令和四年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第1問 問1

問題

国の法制度に関連して、生徒Xは、図書館で資料調査をする中で、国家権力のあり方に関するある思想家の著作に次のような記述があることを発見した。この記述から読みとれる内容として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。なお、一部表記を改めた箇所やふりがなを振った箇所がある。

 およそ権力を有する人間がそれを濫用しがちなことは万代不易(ばんだいふえき)の経験である。彼は制限に出会うまで進む。…(中略)…
 権力を濫用しえないようにするためには、事物の配置によって、権力が権力を抑止するようにしなければならない。誰も法律が義務づけていないことをなすように強制されず、また、法律が許していることをしないように強制されないような国制が存在しうるのである。…(中略)…
 同一の人間あるいは同一の役職者団体において立法権力と執行権力とが結合されるとき、自由は全く存在しない。なぜなら、同一の君主または同一の元老院が暴君的な法律を作り、暴君的にそれを執行する恐れがありうるからである。
 裁判権力が立法権力や執行権力と分離されていなければ、自由はやはり存在しない。もしこの権力が立法権力と結合されれば、公民の生命と自由に関する権力は恣意的となろう。なぜなら、裁判役が立法者となるからである。もしこの権力が執行権力と結合されれば、裁判役は圧制者の力をもちうるであろう。
 もしも同一人間、または、貴族もしくは人民の有力者の同一の団体が、これら三つの権力、すなわち、法律を作る権力、公的な決定を執行する権力、犯罪や個人間の紛争を裁判する権力を行使するならば、すべては失われるであろう。

① 権力を恣意的に行使する統治に対する革命権の重要性を説いている。
② 権力を分立することにより公民の自由が保護されると説いている。
③ 権力をもつ者が権力を濫用するのではなく公民の自由を保護する傾向にあることを前提としている。
④ 権力をもつ者が人民から自然権を譲渡された絶対的な存在であることを前提としている。

#国語問題 #国家の正当性の原理

解説

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