令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済
第1問
※全く見る価値のないリード文省略
問1
市場経済と政府の役割に関連して、生徒Xは、著名な二人の経済学者の著作を読み、次の記述a・bについて後のメモにまとめた。記述a・bは、一方がケインズのエッセイ「自由放任の終焉」からの抜粋であり、他方がフリードマンの著書『資本主義と自由』からの抜粋である(なお、表記を省略した箇所がある)。メモ中の空欄( ア )・( ウ )には記述a・bのいずれかが当てはまる。空欄( ア )~( ウ )には当てはまる記述と語句の組み合わせとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
a 世界は、私的利益と社会的利益とがつねに一致するように、天上から統治されてはいない。世界は、実際問題として両者が一致するように、この地上で管理されているわけでもない。啓発された利己心が、つねに公益のために作用するというのは、経済学の諸原理から正しく演繹されたものではない。
b 政府が重要な役割を果たすようになった結果、すでに政権には危険なまでの経済支配力が集中し、民間企業の事業環境に影響をおよぼし、事業の成功にかかわるような基準や規格を次から次へと定め、他にもさまざまな手段を使って自由市場を脅かしている。
メモ
ケインズは、予定調和的な資本主義観に懐疑的な立場だったといわれ、「( ア )」という記述で、自由放任が常に社会の調和をもたらすわけではないことを指摘している。そして、彼は「( イ )」による補完が必要であると主張する。これに対してフリードマンは、新自由主義的な立場だったといわれ、「( ウ )」という記述で、「( イ )」が拡大した現状について批判的に述べている。
① ア‐a イ‐裁量的な政策介入 ウ‐b
② ア‐a イ‐市場での競争 ウ‐b
③ ア‐b イ‐裁量的な政策介入 ウ‐a
④ ア‐b イ‐市場での競争 ウ‐a
問1解説
正解:①
復習用資料:経済分野第一章/資本主義
・資本主義の理論について問う問題
・長い十九世紀から現代までの資本主義思想の変遷を覚えていれば簡単に解ける
帝国の時代まで | 世界大戦期~冷戦期 | 冷戦末期~ | |
---|---|---|---|
重視された人権 | 【自由権】 | 【社会権】 | 【自由権】 |
路線 | 【小さな政府】 | 【大きな政府】 | 【小さな政府】 |
基礎理論提供者 | 【『国富論』】の【アダム・スミス】 | [『雇用、利子及び貨幣に関する一般理論』]のジョン・メイナード・【ケインズ】 | ミルトン・【フリードマン】 |
・ケインズは、自由放任による経済を批判し、政府が経済に介入すべきだと説いた人物である
・一方フリードマンは、ケインズ的なやり方を批判し、自由主義的な経済を現代に蘇らせた
・となれば、答えは①しかない
問2
税制に関連して、生徒Yは、日本の国税について学習を進めた。次の図は、1990年度と2019年度の国税の内訳を示したものである。図中の空欄( ア )〜( ウ )には、「消費税」、「所得税」、「法人税」のいずれかの語句が当てはまる。また、後の記述a〜cは、日本における消費税、所得税、法人税のいずれかに関するものである。空欄( ア )〜( ウ )と記述a〜cとの組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
a 企業の国際競争力の強化などを図るため、1980年代後半以降、繰り返し減税が行われてきた。
b 諸外国における付加価値税に相当し、特定の品目に対して軽減税率が導入されている。
c 累進課税制度により垂直的公平を図ることができるが、過度に高い税率が設定された場合には、勤労意欲が阻害されるとの指摘もある。
① ア―a イ―b ウ―c ② ア―a イ―c ウ―b
③ ア―b イ―a ウ―c ④ ア―b イ―c ウ―a
⑤ ア―c イ―a ウ―b ⑥ ア―c イ―b ウ―a
問2解説
正解:⑤
復習用資料:経済分野第一章/税
・税の知識を問うている問題
・どこから解いてもよいが、まずは、(ア)~(ウ)がそれぞれ何税なのかから始めてみよう
・図を見ると、(ウ)だけが間接税である
・そして一般に消費税は間接税とされ、所得税と法人税は直接税とされる
・よって(ウ)が消費税と分かる
・更に(ア)は、2019年度に至っても割合一位である
・無論、そろそろ(ウ)、即ち消費税に抜かれそうだが、それでもまだ、最も高い割合を誇る
・これはまさに、所得税の特徴であると言える
⇒国税の中では長年、2019年までは【所得税】が一位、次いで【消費税】、【法人税】というのが定番であった。消費税率が10%になったのが2019年十月で、この効果により、2020年度の会計から消費税が一位になっている
・よって(ア)が所得税と分かり、消去法で(イ)が法人税と分かる
・つまり現時点で、以下のようであると分かっている
ア:所得税
イ:法人税
ウ:消費税
・後は、はっきり言って消化試合である。ほぼ国語の問題と言ってしまってもよい
b 諸外国における付加価値税に相当し、特定の品目に対して軽減税率が導入されている。
・「特定の品目に対して軽減税率」という文言、明らかに消費税の可能性が高い。よってウ‐cである
⇒税について詳しく知らない高校生でも、「コンビニでものを買う時、イートイン使う使わないで消費税率が変わる」というのは知っているだろう。アレである
c 累進課税制度により垂直的公平を図ることができるが、過度に高い税率が設定された場合には、勤労意欲が阻害されるとの指摘もある。
・累進課税制度の代表選手が所得税、というのは政治経済の授業で必ずやるところ。よってア‐cである
⇒なお、法人税と消費税は比例税である
a 企業の国際競争力の強化などを図るため、1980年代後半以降、繰り返し減税が行われてきた。
・消去法で既に、aが法人税だというのは分かっている。よってイ‐aである
・消去法抜きにしても、減税して企業の競争力が強化されるのは「会社から取る税金」が最右翼である
問3
生徒Xは、日本の財政制度に関心をもち、学習を進めた。日本の財政制度に関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 一般会計は、国が特定の事業を行う場合や特定の資金を保有してその運用を行う場合などに、法律によって特別に設けられる会計である。
② 政府関係機関予算は、特別な法律によって設立され政府が全額出資する特殊法人に関する予算であり、国会の議決を要さない。
③ 財政投融資は、中小企業支援や社会資本整備などの事業に対する投融資活動であり、財投債の発行などにより調達された資金を財源としている。
④暫定予算は、経済情勢の変化などにより年度の途中で当初予算に追加や変更を行う場合に組まれる予算であり、国会の議決を経て執行される。
問3解説
・この手の四択問題として、解き方を問わない優しい問題
⇒全てが政治経済の授業の範疇の知識であり、消去法でも「他は知らんけどこれが絶対正解でしょ」でも解ける
① 一般会計は、国が特定の事業を行う場合や特定の資金を保有してその運用を行う場合などに、法律によって特別に設けられる会計である。
・誤文
⇒特別会計と政府関係機関予算以外、全ての国の収入・支出を一般会計で処理するのが原則である
② 政府関係機関予算は、特別な法律によって設立され政府が全額出資する特殊法人に関する予算であり、国会の議決を要さない。
・誤文
⇒国の予算を国会で決めなければいけないというのを財政国会中心主義という。日本は第一回帝国議会以来ずっとこの形式である
③ 財政投融資は、中小企業支援や社会資本整備などの事業に対する投融資活動であり、財投債の発行などにより調達された資金を財源としている。
・正文
④暫定予算は、経済情勢の変化などにより年度の途中で当初予算に追加や変更を行う場合に組まれる予算であり、国会の議決を経て執行される。
・誤文
⇒この説明は明らかに補正予算。暫定予算は、毎年一月からの通常国会で、四月からの予算が決まらなかった時に組むもの
問4
生徒Yは、アメリカの事例に関心をもち、「双子の赤字」について調べた。1980年代のアメリカの財政収支について正しく表したものを次の図アか図イ、1980年代のアメリカの経常収支について正しく表したものを後の図ウか図エから選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
①図アと図ウ ②図アと図エ ③図イと図ウ ④図イと図エ
問4解説
正解:③
復習用資料:経済分野第三章/国際経済通史
復習用資料:経済分野第四章/安定成長期
・双子の赤字、という言葉を知っていればそれだけで解けてしまう問題
⇒1980年代のアメリカ合衆国は、「(新冷戦の開幕によって増大した)軍事費」と「(特に対日)貿易赤字」によって、大赤字に陥っていた。これを指して双子の赤字、と呼ぶ
・仮にこの言葉を忘れていても、「1980年代」という言葉でピンと来なければいけない
・即ち、1980年代は、日本経済史的に見れば日米貿易摩擦の時代である
⇒良質な日本製品が米国市場を席巻して米国は貿易赤字、結果、アメリカ合衆国が日本国へ内政干渉と呼ぶべき圧力をかけてくる時代。そしてその恫喝に、日本国が屈服してしまった時代である
・と言う訳で、1980年代アメリカ合衆国は財政赤字の筈である
・また、経常収支的には、貿易収支がとんでもない大赤字を記録している筈である
・これらを理解した上で図を見れば、自ずと答えは出る
・図アイに関しては、歳入より歳出が多い状態の筈である。よって図イが正しい
・図ウエに関しては、貿易が大幅に赤字の筈である。よって図ウが正しい
問5
NGO(非政府組織)の役割に関心をもった生徒Xと生徒Yは、さまざまな条約にかかわるNGOの活動を調べ、次のメモにまとめた。後の記述ア〜ウのうち、メモから読みとれるNGOの役割に関する記述として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
現代では、グローバル化の進展に伴って、国家以外の主体が国際政治に大きな影響を与えている。かつては国家のみが関与していた条約の成立や条約内容の実現においても、NGOが重要な役割を果たしていることが指摘されている。
まず、条約の成立については、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)についてNGOが果たした役割が重要である。費用対効果が高く、国防上不可欠の兵器と考える国が多い中、NGOが人道上の見地から対人地雷の廃止を訴えた。これを受けて、対人地雷全廃を規定した同条約が採択されている。また、地球温暖化防止をめざす気候変動枠組み条約で、NGOが果たした役割も重要である。この条約では、条約作成会議にオブザーバーとしての参加を認められたNGOが、自身の発行するニュースレターを通じて交渉の経緯や進捗状況を報告するといった活動も行っている。
さらに、条約内容の実現については、自由権規約(B規約)との関係でNGOが果たしている役割が重要である。本条約の締約国による規約の遵守を促すため、NGOが、日頃の草の根活動で得られた知見に基づいて、遵守状況について問題点を指摘する報告書を国連の委員会に提出している。
ア 条約の交渉過程について、国際社会に対する透明性を確保する。
イ 条約を遵守していない国に対して、是正措置を命令する。
ウ 国際社会が取り組むべき課題を示し、条約の成立を後押しする。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
問5解説
正解:⑤
・完全に国語の問題
・本文から読み取れる内容を選ぶ、ただそれだけの国語問題である
ウ 国際社会が取り組むべき課題を示し、条約の成立を後押しする。
まず、条約の成立については、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)についてNGOが果たした役割が重要である。費用対効果が高く、国防上不可欠の兵器と考える国が多い中、NGOが人道上の見地から対人地雷の廃止を訴えた。これを受けて、対人地雷全廃を規定した同条約が採択されている。
・本文のこの部分は、「国際社会が取り組むべき課題を示し、条約の成立を後押し」したものと言える
・よって、ウが正文であると言えるだろう
※ところでこれは余談なんですけど、この試験が実施された令和六年って、地雷をアホほど埋めて防御するのは敵軍の攻撃を破砕するのに効果的、という事をウクライナ軍とロシア軍が実証した年でもあるんですよね。そんな年に地雷の禁止を成果とする問題を出題してしまうというのは…ええんかほんまに(素)
ア 条約の交渉過程について、国際社会に対する透明性を確保する。
この条約では、条約作成会議にオブザーバーとしての参加を認められたNGOが、自身の発行するニュースレターを通じて交渉の経緯や進捗状況を報告するといった活動も行っている。
・本文から、NGOが条約の交渉の経緯を公開している事が分かる
・つまりこれは透明性の確保という役割を果たしていると言え、アが正文であると分かる
イ 条約を遵守していない国に対して、是正措置を命令する。
さらに、条約内容の実現については、自由権規約(B規約)との関係でNGOが果たしている役割が重要である。本条約の締約国による規約の遵守を促すため、NGOが、日頃の草の根活動で得られた知見に基づいて、遵守状況について問題点を指摘する報告書を国連の委員会に提出している。
・本文によれば、NGOは国連に対し、「この国条約違反してますよ」と「ご注進」するとある
・一方で、是正措置を命令する、というような事はどこにも書いていない
・つまりイは誤文である
・以上から、正文はアとウであると分かる
問6
地方財政について、生徒Xは、地方財政における福祉関係の支出に関心をもち、次の図1と図2を作成した。図1・図2は、都道府県と市町村の民生費の歳出について、2000年度と2019年度とを比較したものである。民生費とは、地方財政における福祉関係の経費のことである。図1・図2から読みとれる内容として誤っているものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
① 都道府県の民生費について、2019年度の社会福祉費と老人福祉費の金額はいずれも2000年度の2倍以上に増加している。児童福祉費の金額も増加しているが、構成比は下がっている。
② 市町村の民生費について、2019年度の児童福祉費の金額は2000年度の2倍以上に増加している。社会福祉費、老人福祉費、生活保護費の金額も増加しているが、構成比はいずれも下がっている。
③ 2019年度の民生費について、都道府県では老人福祉費の構成比が最も高く、次いで社会福祉費、児童福祉費の順となっている。市町村では児童福祉費の構成比が最も高く、次いで社会福祉費、老人福祉費の順となっている。
④ 2019年度の民生費について、市町村の総額は都道府県の総額の2倍以上となっている。社会福祉費、老人福祉費、児童福祉費、生活保護費のいずれに関しても、市町村の金額は都道府県の金額の2倍以上となっている。
問6解説
正解:④
・知識は必要なく、ただ選択肢と図1もしくは図2を見比べるだけの問題
※計算要素も多少あるが、ここまで来ると計算問題とはちょっと言わないかな…
① 都道府県の民生費について、2019年度の社会福祉費と老人福祉費の金額はいずれも2000年度の2倍以上に増加している。児童福祉費の金額も増加しているが、構成比は下がっている。
・都道府県の民生費なので、図1を見てみよう
・社会福祉費は100.5⇒253.8。二倍以上に増加している
・老人福祉費は159.7⇒332.9。二倍以上に増加している
・児童福祉費は116.9⇒189.9。増えている
・児童福祉費の構成比は28.5⇒23.2。下がっている
・以上から、①は正文である
② 市町村の民生費について、2019年度の児童福祉費の金額は2000年度の2倍以上に増加している。社会福祉費、老人福祉費、生活保護費の金額も増加しているが、構成比はいずれも下がっている。
・市町村の民生費なので、図2を見てみよう
・児童福祉費は321.7⇒857.5。二倍以上に増加している
・社会福祉費は292.0⇒544.1。増加している
・社会福祉費の構成比は27.9⇒25.0。下がっている
・老人福祉費は242.7⇒396.2。増加している
・老人福祉費の構成比は23.2⇒18.2。下がっている
・生活保護費は187.3⇒372.4。増加している
・生活保護費の構成比は17.9⇒17.1。下がっている
・以上から、②は正文である
③ 2019年度の民生費について、都道府県では老人福祉費の構成比が最も高く、次いで社会福祉費、児童福祉費の順となっている。市町村では児童福祉費の構成比が最も高く、次いで社会福祉費、老人福祉費の順となっている。
・まず図1都道府県の構成比を見てみよう
⇒老人福祉費の構成比が最も高く(40.7)、次いで社会福祉費(31.0)、児童福祉費(23.2)の順になっている
・続いて図2市町村の構成比を見てみよう
⇒児童福祉費の構成比が最も高く(39.4)、次いで社会福祉費(25.0)、老人福祉費(18.2)の順になっている。生活保護費は17.1なので四位
・以上から、③は正文である
④ 2019年度の民生費について、市町村の総額は都道府県の総額の2倍以上となっている。社会福祉費、老人福祉費、児童福祉費、生活保護費のいずれに関しても、市町村の金額は都道府県の金額の2倍以上となっている。
・まず総額を比較してみよう
・市町村(図2)の2019年総額は21兆円以上、都道府県(図1)は8兆円である
・よって二倍以上であり、この部分は正しい
・次いで、2019年の各費用を比較してみよう
社会福祉費:市町村(図2)は544.1、都道府県(図1)は253.8 ⇒ 二倍以上である
老人福祉費:市町村(図2)は396.2、都道府県(図1)は332.9 ⇒ 二倍以上ではない
児童福祉費:市町村(図2)は857.2、都道府県(図1)は189.9 ⇒ 二倍以上である
生活保護費:市町村(図2)は372.4、都道府県(図1)は24.3 ⇒ 二倍以上である
・以上から、④は誤文である
問7
国連(国際連合)に関連して、生徒Xと生徒Yは、安全保障における国連の意義について話し合っている。次の会話文中の空欄( ア )に当てはまる記述として最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
X:国連について考えてみたけど、安全保障の分野をみればその意義はあまり大きくないと思うよ。常任理事国間の対立のために安保理(安全保障理事会)が実効的に対処できないことが、これまでもたびたびあったよね。
Y:安全保障における国連の意義を考える際は、安保理だけでなく、総会が果たしてきた役割にも目を向ける必要があるのではないかな。たとえば、( ア )。
X:国際の平和と安全の維持に主要な責任を負うのは安保理だと「政治・経済」の授業で学んだけど、安全保障における国連の意義は、ほかの機関も含めた国連全体をみて考える必要があるんだね。
①総会は、拒否権を行使する常任理事国にその理由を説明する機会を与える決議を採択しているよね
②総会は、軍縮について定めた多国間条約である新戦略兵器削減条約(新START)を採択しているよね
③安保理が機能しない場合、総会は加盟国の過半数の賛成で平和維持のために必要な措置を勧告することができるよね
④湾岸戦争の時のように、総会の決議に基づいて多国籍軍が国際の平和と安全に対する脅威に対処することもできるよね
#国際連合 #現代国際政治史―ModernWarfare #難問
問7解説
正解:①
復習用資料:政治分野第四章/国際連合
復習用資料:政治分野第四章/現代国際政治史―ModernWarfare
・①が正文である、という知識を現役高校生が持っているとは、想定せず作られた問題と思われる
・即ち、②③④が間違っているから正解は①、という消去法で解く問題である
・ただ、細かい知識が必要とされるので、共テの中では難問の類に入るとは言える
②総会は、軍縮について定めた多国間条約である新戦略兵器削減条約(新START)を採択しているよね
・新STARTは米露の二国間条約である
・国連が関わっている関わっていない以前に、この時点で誤文であると分かる
⇒実際のところ、新STARTと国連の間に、特筆するほどの関係はない。少なくとも、新STARTが国連総会で採択されたという事実はない
③安保理が機能しない場合、総会は加盟国の過半数の賛成で平和維持のために必要な措置を勧告することができるよね
・恐らく、平和の為の結集決議に基づく緊急特別総会の事を指している
・ただ、緊急特別総会もあくまで総会なので、やる事は多数決である
・そして総会は、一般事項は過半数で、重要事項は2/3で議決する
・戦争を止める為の措置となると当然、重要事項になる可能性が高い訳で…
・そうなると、「総会は加盟国の過半数の賛成で」は不適切と言える
・よって、誤文である
④湾岸戦争の時のように、総会の決議に基づいて多国籍軍が国際の平和と安全に対する脅威に対処することもできるよね
・湾岸戦争は、安全保障理事会の決議に基づいて多国籍軍が編成されている
⇒同じ「多国籍軍」でも、湾岸戦争の時のものは安保理の武力行使容認決議に基づいており、イラク戦争の時のものは安保理の武力行使容認決議を経ていない…というのは一つ、大事な点である。ちなみに朝鮮戦争の時のものは、特別に「国連の旗使っていいよ」という決議が出ているので「国連軍」と呼ばれる事もある(ソ連は朝鮮戦争の途中から安保理を欠席しており、米国側が好き勝手にできた結果がこれである)
・よって、誤文である
問8
主権国家に関連して、生徒Yは、国家が領域に対してもつ権利について調べ、次のメモにまとめた。メモを踏まえて判断したとき、後の記述ア〜ウのうち、国家が領域に対してもつ国際法上の権利を行使する例として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
〇国家の領域に主権が及ぶことは、その領域において統治権の行使が認められることを意味する。すなわち、国家は、自国の領域内にあるすべての人や物を排他的に支配する権利を有し、また他国の領域内にある人や物に対して許可なく支配を及ぼすことを禁じられる。
〇国家の領域に主権が及ぶことは、また、その領域を使用したり、処分したりする権利が認められることを意味する。過去には、国家が自国の領域の一部を他国に売り渡すこともあったが、これは自国の領域を処分する権利の行使の一例である。
ア 自国の領海で違法薬物の取引をしている外国人犯罪グループに対して、停船命令を下し、逮捕する。
イ 自国の領域で殺人を犯した者が他国の領域に逃れた場合に、その逃亡犯罪人を他国の許可なくその領域で捜索し、逮捕する。
ウ 国際機関に対して、自国の領土の一部に事務局の設置を認める。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
問8解説
正解:⑤
復習用資料:政治分野第一章/国家とは何か
・国家とは何かについての最低限の知識さえあれば、後は国語の問題である
⇒今回問われている最低限の知識は、「国家を構成する領域は、領土、領海、領空」というもの。これさえ分かっていれば問題ない
ア 自国の領海で違法薬物の取引をしている外国人犯罪グループに対して、停船命令を下し、逮捕する。
・正文である
⇒問題文にあるように「国家は、自国の領域内にあるすべての人や物を排他的に支配する権利を有」するのであるから、当然、自国の領域内(領海は、国家の領域に含まれる)で犯罪者がいたら逮捕してよい
イ 自国の領域で殺人を犯した者が他国の領域に逃れた場合に、その逃亡犯罪人を他国の許可なくその領域で捜索し、逮捕する。
・誤文である
⇒問題文にあるように「国家は、自国の領域内にあるすべての人や物を排他的に支配する権利を有」するが、「他国の領域内にある人や物に対して許可なく支配を及ぼすことを禁じられる」。つまり、他国の領域にいる人物は他国に支配されているものなので、「許可なく」手を出してはならない
ウ 国際機関に対して、自国の領土の一部に事務局の設置を認める。
・正文である
⇒問題文にあるように「国家の領域に主権が及ぶことは、また、その領域を使用したり、処分したりする権利が認められることを意味する。過去には、国家が自国の領域の一部を他国に売り渡すこともあった」。自国の領域の一部を他国に売り渡す事さえできるのだから、当然、自国の領域の一部を国際機関に使わせるぐらい構わないのである
・よって、アとウのみが正文となる
第2問
※全く見る価値のないリード文省略
問1
国富について、生徒Xは、日本の政府統計を調べ、次の表を作成した。後のノートは表から国富を読みとりXがまとめたものである。ノート中の空欄ア〜ウに当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。
ノート
非金融資産は生産資産と非生産資産に分類される。生産資産とは固定資産と在庫の合計のことであり、非生産資産とは土地や鉱物資源などである。次に、金融資産とは現金・預金や株式などの資産である。
国富とは、ある時点で一国にどれだけの富が蓄積されているかを表す( ア )の指標であるが、非金融資産と金融資産を単に合計したものとは異なる。金融資産は、その債権者にとっては資産であるが、同時に債務者にとっての負債だからである。この観点から、金融資産から負債を控除した( イ )と非金融資産の合計が国富と定義されている。つまり、表中の( ウ )が国富にあたる。
① ア フロー イ 対外純資産 ウ 総資産
② ア フロー イ 対外純資産 ウ 正味資産
③ ア フロー イ 外貨準備 ウ 総資産
④ ア フロー イ 外貨準備 ウ 正味資産
⑤ ア ストック イ 対外純資産 ウ 総資産
⑥ ア ストック イ 対外純資産 ウ 正味資産
⑦ ア ストック イ 外貨準備 ウ 総資産
⑧ ア ストック イ 外貨準備 ウ 正味資産
問1解説
・正面から国富について聞いてきている問題
⇒国富は「フローとストック」という項目で扱うが、「フローとストック」と言いつつ実際にはフロー(GDPとかGNPとか)の話ばかりで出題もそちらばかり。国富はかなりマイナーで、センターや共テで問われるのは珍しい。…というのを反映してか、必要な知識の半分ぐらいは問題文に書かれている
国富とは、ある時点で一国にどれだけの富が蓄積されているかを表す( ア )の指標である
・その人がどれぐらい金持ちかを見るには、年収と貯金両方見ないと駄目
・これと同様に、国家もまた、フローとストックの両方を見ないといけない
・そしてフローの代表例がGDPであり、ストックの代表例が国富である
・よって(ア)はストックである
金融資産は、その債権者にとっては資産であるが、同時に債務者にとっての負債だからである。この観点から、金融資産から負債を控除した( イ )と非金融資産の合計が国富と定義されている
・金融資産の中でも、国債を例に考えてみよう
・例えば日本国政府が発行した一万円の国債を、日本人の鈴木さんが買ったとする
・日本人の鈴木さんにとって、この国債は資産である
・一方、日本国政府にとっては、この国債は負債である
・「日本の国富」を考える時、鈴木さんが持っている国債一万円を算入するのはよろしくない
・よろしくないと言うか、多分、「日本の国富」を計算する上では考慮しない方がよさそうである
・一方、米国政府が発行した一万円の国債を、日本人の鈴木さんが買ったとする
・この場合、日本人の鈴木さんにとって資産となり、米国政府にとっては負債となる
・「日本の国富」を考える時、鈴木さんが持っているこの国債一万円は、素直に算入して問題なかろう
・更に、日本国政府が発行した一万円の国債を、米国人のドナルドさんが買ったとする
・この場合、米国人のドナルドさんにとって資産となり、日本国政府にとっては負債となる
・「日本の国富」を考える時、ドナルドさんが持っているこの国債一万円は、マイナスで算入すべきだろう
・このような考え方から出てくるのが、対外純資産である
・よって(イ)は対外純資産である
⇒勿論、ここは対外純資産と外貨準備の二択なので、「外貨準備ってそういうもんじゃないよね」「ある国の政府や中央銀行が持ってる、外国のカネだよね」というので対外純資産を選んでもよい
この観点から、金融資産から負債を控除した( イ )と非金融資産の合計が国富と定義されている。つまり、表中の( ウ )が国富にあたる。
・(イ)でも見たこの文章は、つまり、以下のような事を言っている
国富 = (金融資産-負債)+非金融資産
・さて、(ウ)の選択肢は二つ。総資産と正味資産である
・表を見ると、総資産は金融資産と非金融資産の合計だと分かる
・この時点で、総資産は(ウ)の答えにはなり得ない
・一方、正味資産は、金融資産と非金融資産の合計から負債を引いた額になっている
・よって、(ウ)は正味資産である
問2
循環型社会に関して、生徒Yは、政府の資料を参照して、日本における循環型社会を形成していくための方策をまとめた次の図を作成した。図中の空欄( ア )〜( ウ )には、循環型社会の形成に必要な何らかの行為や活動を示す語句が当てはまる。また、後の記述a〜cは、空欄( ア )〜( ウ )にそれぞれ当てはまる行為や活動の具体例を示したものである。空欄( ア )〜( ウ )に当てはまる行為や活動と記述a〜cとの組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
a 製造企業が、企業内のさまざまな伝達に電子メールを活用することで、ペーパーレス化を推進する。
b すでに着なくなった子供服を、フリーマーケットなどを通じて別の子育て世帯に売却する。
c ペットボトルを再生繊維として再資源化し、衣服などの原材料とする。
① ア―a イ―b ウ―c ② ア―a イ―c ウ―b
③ ア―b イ―a ウ―c ④ ア―b イ―c ウ―a
⑤ ア―c イ―a ウ―b ⑥ ア―c イ―b ウ―a
問2解説
正解:②
・環境問題に見せかけ…てすらいない、国語の問題
・図と選択肢を見て、問題作成者の意図を見抜けばそれで終わる
・まず、図を見て、それぞれがいつの話なのかを見てみよう
(ア):商品を生産している間の話である
(イ):ゴミ処理の時の話。ゴミ処理場に行ったゴミを、再び消費者に届ける話である
(ウ):商品を捨てる時の話。ある消費者にとってゴミとなった商品を、別に消費者に届ける話である
・後は、選択肢を見て該当するものを当てはめていけばよい
a 製造企業が、企業内のさまざまな伝達に電子メールを活用することで、ペーパーレス化を推進する。
・製造企業の話であるから、当然、商品を生産している時の話である
・よって、ア―a
c ペットボトルを再生繊維として再資源化し、衣服などの原材料とする。
・bとcは共に捨てる商品の話だが、cは明らかに、ゴミ処理場に行った後の話である
・即ち、各家庭で出たペットボトルゴミはゴミ収集車に集められ、ゴミ処理場でリサイクルされる
・と考えると、これは「ゴミ処理場に行ったゴミを、再び消費者に届ける話」、即ち(イ)である
・よって、イ―c
b すでに着なくなった子供服を、フリーマーケットなどを通じて別の子育て世帯に売却する。
・逆にbは、捨てる商品がゴミ処理場に行く前の話である
・「ある消費者にとってゴミとなった商品を、別に消費者に届ける話」である
・よって、ウ―bである
問3
生徒Xは、国債残高の増大に関連する新聞記事検索を行い、次の記事をみつけた。記事中の空欄( ア )には後の記述aかb、空欄( イ )には後の語句cかdのいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( イ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
( ア )
a 特例国債を発行して行う所得税減税により消費需要を強力に刺激
b 歳出削減と増税により基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化
( イ )に当てはまる語句
c国内 d国外
① ア-a イ-c ② ア-a イ-d
③ ア-b イ-c ④ ア-b イ-d
問3解説
正解:③
復習用資料:経済分野第一章/通貨とは何か
・私の授業をきちんと受けている人なら、ぱっと答えられる問題
⇒従来、テレビや新聞では○○○○氏のような事を言う人ばかりだったのが、令和六年現在、△△△△氏のような事を言う人も徐々に目立ちつつある。これは一種の時代の変わり目とも言え、その風潮が反映された、ある意味時事問題であるとも言えるだろう
・本文をぱっと読めば、○○○○氏と△△△△氏の主張は正反対であると分かる
・以下に、両氏の主張を要約してみよう
○○○○氏:国債とは国の借金である。本来、借金は一銭たりとてするべきではない。よって国債発行を停止すべきだ。政府が大赤字になって破産したらどうするんだ!
△△△△氏:国債は国の借金、という認識そのものがまずおかしい。それを抜きにしても、「不景気の時こそ政府は赤字にならないと、余計不景気になる」って政治経済でやらなかったんですか?
・これを踏まえた上で(ア)(イ)を見ていこう
>( ア )
a 特例国債を発行して行う所得税減税により消費需要を強力に刺激
b 歳出削減と増税により基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を黒字化
・○○○○氏の「まず(ア)すべきである」に入るのはaかbか、というところである
・先に要約したように、○○○○氏は国債を発行すべきでないと言っている
・という事は、aではありえない
⇒こういう主張をする人って、プライマリーバランス黒字化みたいな世迷い事言うよね…という知識でbを選んでも勿論よい
・よって、(ア)はbである
日本国債はそのほとんどが( イ )の経済主体に保有されており、債務不履行に陥る可能性は極めて低い
c国内 d国外
・私の授業で何度も言及しているように、日本国債は債務不履行の危険性が低い
・誰が買っているか以前の問題として、そもそも、日本円建てで発行している時点で極めて低い
⇒「一年後に一万百円あげます」券を一万円で売る、みたいな事をしている。一年後、どうしても手元に一万円がなかったのであれば最悪、一万円札を刷って渡せばよい
⇒これが「一年後に十一ドルあげます」券を十ドルで売る、みたいな事をしていた場合(ドル建て)はそうはいかない。ドルは日本政府が作っているものではないので。この場合は債務不履行に陥る可能性は充分にある
・そして、円建てで発行した国債を沢山買うのはどの国の人か、と言ったら当然日本人である
・普段から円を使って生活しているのは日本人しかいないのだから、それはそうとしか言いようがない
・もっと言えば、アベノミクス以来十年に渡って、日本銀行は買いオペを続けてきた
・という事は、日本国債のかなりの部分は日本銀行(つまり国内)にある、という事である
⇒これは現実にそうで、令和六年三月末の時点で、日本の国債合計1082兆506億円の内、約五割を日本銀行が保有している。海外が保有する日本国債は、6.5%に過ぎない
参考:財務省の統計(https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf)
・よって、(イ)はcである
問4
FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)に関して、生徒Xと生徒Yが話し合っている。次の会話文中の空欄( ア )〜( ウ )に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。
X:FTAやEPAは、締約国間の貿易を促進し、経済を活性化するとの考えから、1990年代以降に増加しているよね。日本は2002年に初めてのEPAを( ア )と結んだよ。
Y:その一方で、WTO(世界貿易機関)の多国間主義の下では加盟国間の利害が調整しきれず、合意形成ができなくなり、ドーハ・ラウンド(ドーハ開発アジェンダ)では交渉の休止が宣言されたよ。
X:そうした背景もあり多くの国がFTAやEPAを推進しようとしているのではないかな。ただ、これが国家間の経済紛争の原因となってはいけないよね。FTAやEPAが締約国間の貿易を促進すると、非締約国にとっては、不利な状況になってしまう可能性があるからね。
Y:第二次世界大戦が起こった一因ともいわれる( イ )と似た状況にしてはならないということだね。
X:そうだね。多角的貿易交渉に参加する国や地域が( ウ )してきたこともあり、WTOの下での自由化促進が停滞しているけれど、国際平和の実現という観点からも多国間主義の理念は大切にしなければならないよね。
① ア アメリカ イ 計画経済 ウ 増加
② ア アメリカ イ 計画経済 ウ 減少
③ ア アメリカ イ ブロック経済 ウ 増加
④ ア アメリカ イ ブロック経済 ウ 減少
⑤ ア シンガポール イ 計画経済 ウ 増加
⑥ ア シンガポール イ 計画経済 ウ 減少
⑦ ア シンガポール イ ブロック経済 ウ 増加
⑧ ア シンガポール イ ブロック経済 ウ 減少
問4解説
正解:⑦
復習用資料:経済分野第三章/国際経済通史
復習用資料:経済分野第三章/国際経済テーマ史
・国際経済通史と、国際経済テーマ史を問うてくる問題である
⇒大まかには、第二次世界大戦以降GATT/WTOを中心に自由貿易が推進されてきたが、加盟する国が増えすぎたWTOが機能不全となり、FTAやEPAが増えている…という話を理解できていればよい
日本は2002年に初めてのEPAを( ア )と結んだよ
・ここは、国際経済テーマ史でも「地域統合」のところを聞いてきている
・ここの選択肢はアメリカ、シンガポールである
・そして私の授業でも触れたように、日本国は最初、先進国とはFTA/EPAを締結していなかった
・第二次安倍政権の後半戦となる2010年代終盤になってようやく、結ぶようになる
⇒自由貿易を志向した安倍晋三の外交の結果と言える
・よって、初めてのEPAはアメリカではありえない。(ア)はシンガポールである
第二次世界大戦が起こった一因ともいわれる( イ )と似た状況にしてはならない
・ここは、国際経済通史でも「戦後の貿易体制」のところを聞いてきている
・ここの選択肢はブロック経済、計画経済である
・そして第二次世界大戦の原因となったのは、ブロック経済である
⇒計画経済は社会主義国家がやるもの。まぁソ連という社会主義国家の存在そのものが第二次世界大戦の原因の一つになったとは言えるが…
・よって、(イ)はブロック経済である
多角的貿易交渉に参加する国や地域が( ウ )してきたこともあり、WTOの下での自由化促進が停滞している
・ここは、国際経済テーマ史でも「1980年代以降のGATT/WTO」を聞いてきている
・ここの選択肢は増加、減少である
・WTOが機能不全に陥ったのは、加盟国が増えすぎたせいである
・よって、(ウ)は増加である
問5
経済協力に関して、生徒Xは、日本の経済協力について調べ、次のメモを作成した。メモ中の空欄( ア )には後の語句a〜cのいずれか、空欄には後の記述dかeのいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( イ )に当てはまるものの組合せとして正しいものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
グローバル化が進む中で、貿易、投資、観光など、さまざまな分野で日本と諸外国との交流が活発になっている。人的交流についていえば、日本は( ア )全体とEPAを結んでおり、( ア )加盟国のいくつかと個別に協定を結んで、日本の看護師や介護福祉士の国家資格取得をめざす候補者の受入れを実施するといった二国間の交流も活性化している。
先進国による発展途上国への援助をめぐっても日本は一定の役割を果たしており、( イ )を実施している。
( ア )に当てはまる語句
a EFTA(欧州自由貿易連合)
b MERCOSUR(南米南部共同市場)
c ASEAN(東南アジア諸国連合)
( イ )に当てはまる記述
d 内閣総理大臣の指揮監督の下で国際的に活動する国境なき医師団による技術協力など
e 日本のODA(政府開発援助)を行う国際協力機構を通じた技術協力や無償資金協力など
① ア―a イ―d ② ア―a イ―e
③ ア―b イ―d ④ ア―b イ―e
⑤ ア―c イ―d ⑥ ア―c イ―e
問5解説
正解:⑥
・普段から報道を見ていたり、世の中を見る解像度を高くしていたりすれば問題なく解ける問題
・逆に言えば、教科書的な知識で解く問題ではない
人的交流についていえば、日本は( ア )全体とEPAを結んでおり、( ア )加盟国のいくつかと個別に協定を結んで、日本の看護師や介護福祉士の国家資格取得をめざす候補者の受入れを実施する
a EFTA(欧州自由貿易連合)
b MERCOSUR(南米南部共同市場)
c ASEAN(東南アジア諸国連合)
・要するに、移民労働者を日本に入れている、という話である
・では移民労働者は、どの地域から来ているか?
・コンビニや飲食店でよく見る移民労働者は、大抵アジア系の筈である
⇒英語科のネイティブ要員に限定すれば、まぁ確かに欧州人が多いが、それだけである。南米系に至っては、そういう事もあんまりない
・よって、(ア)はcであると分かる
先進国による発展途上国への援助をめぐっても日本は一定の役割を果たしており、( イ )を実施している。
d 内閣総理大臣の指揮監督の下で国際的に活動する国境なき医師団による技術協力など
e 日本のODA(政府開発援助)を行う国際協力機構を通じた技術協力や無償資金協力など
・単純にeの方が、本文に合う…というのもある
⇒ODAは「先進国による発展途上国への援助」そのものである
・一方で、国境なき医師団は国際NGOの代表例として各所で名前を見る存在の筈である
・そういう組織が、何処かの国家の政府首班の指揮監督を受けるというのは、明らかに変と言えよう
・よって、(イ)はeであると分かる
問6
グローバル化時代に関連して、生徒Xと生徒Yが、外国人との共生社会のあり方について話し合っている。次の会話文中の空欄( ア )には後の語句aかb、空欄( イ )には後の記述cかdのいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( イ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
X:バスや電車、さらには商品パッケージでも文字や言語によらず情報を伝えるマークをよくみかけるようになったね。
Y:ひと目で情報が得られて、外国人にもわかりやすくていいよね。日本で暮らす外国人が増えているし、災害時の対応を考えても、情報を得る上での( ア )を進めることは今後ますます大事になりそうだね。
X:そういえば、市民講座で( イ )と学んだよね。
Y:そうだったね。外国人との共生社会を作るためには、企業や地域社会の取組みも重要になってくるね。
( ア )に当てはまる語句
a デジタル・デバイド
b バリアフリー
( イ )に当てはまる記述
c 外国人労働者にも、労働者災害補償保険(労災保険)が適用される
d 外国人労働者には、労働基準法が適用されない
① ア―a イ―c
② ア―a イ―d
③ ア―b イ―c
④ ア―b イ―d
問6解説
正解:③
・普段から報道を見ていたり、世の中を見る解像度を高くしていたりすれば問題なく解ける問題
・逆に言えば、教科書的な知識で解く問題ではない
X:バスや電車、さらには商品パッケージでも文字や言語によらず情報を伝えるマークをよくみかけるようになったね。
Y:ひと目で情報が得られて、外国人にもわかりやすくていいよね。日本で暮らす外国人が増えているし、災害時の対応を考えても、情報を得る上での( ア )を進めることは今後ますます大事になりそうだね
a デジタル・デバイド
b バリアフリー
・このXとYは、明らかに情報を得る上でのバリアフリーの話をしている
⇒要するに、言語情報以外で情報を伝えるようにすれば、日本語が分からない外国人も楽でいいよねという話である
・一方、デジタル・デバイドという言葉は情報格差を指す
・要するに、スマホやパソコンを使える人と使えない人で様々な格差がつくよねという話である
⇒このXとYは、日本人と外国人で格差を広げようという話はしていない
・よって、(ア)はbである
余談:日本では「○」は「OK」「×」は「駄目」を意味するが、国によっては逆だったりする。同様に、日本では「頷く」という動作は「はい」、「首を横に振る」という動作は「いいえ」を意味するが、国によっては逆だったりする。情報のバリアフリーとか言ってキャッキャしてて大丈夫なんですかね?
X:そういえば、市民講座で( イ )と学んだよね。
c 外国人労働者にも、労働者災害補償保険(労災保険)が適用される
d 外国人労働者には、労働基準法が適用されない
・こんな事を知識として知っている高校生はそうはいないと思われるが、よく考えてほしい
・現代日本社会は、「日本人も外国人も平等に扱おう」か「格差をつけよう」かどっちか?
・例えば、「外国人に無限に労働させて、日本人は楽をしよう」みたいな国か?
・…というのを考えれば、自ずと答えは出る
・よって、(イ)はcである
余談:「自国人と外国人の間に格差をつけよう」みたいな類の国も存在はする。例えば中東湾岸諸国では「出稼ぎ・移民労働者による犯罪はほぼありません!」みたいな国が結構あるが、大抵の場合、要はとんでもない格差がついているから犯罪も起きない(犯罪を起こせるような扱いを受けていない)のである
問7
生徒Yは、食の安全について調べた。次のア〜ウのうち、日本における食の安心・安全に関する記述として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。
ア 食品安全基本法制定後に設置された食品の安全性を評価する国の機関は、消費生活センターである。
イ 自身の健康を最優先に栄養バランスを考慮した食品の購入を実践する消費者は、グリーン・コンシューマーと呼ばれる。
ウ 食品などの生産・加工・流通の履歴を明らかにする仕組みを、トレーサビリティの制度という。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
問7解説
正解:③
復習用資料:経済分野第二章/消費者問題
・公害問題、環境問題の問題…と見せかけて、実は消費者問題の問題である
⇒アだけ消費者問題の知識で解いて、後は常識の範囲内で判断できる話。勿論、普段から報道を見ていたり、世の中を見る解像度を高くしていたりした方がいい問題ではあるが、時事問題とまでは言えない常識の範囲に収まっていると言える
ア 食品安全基本法制定後に設置された食品の安全性を評価する国の機関は、消費生活センターである。
・消費生活センターはそういう組織ではない
・全国各地に存在する、消費者の相談窓口が消費生活センターである
⇒消費者保護政策の司令塔が消費者庁、末端の消費者の相談窓口が消費生活センター、両者を繋ぐのが国民生活センター。例えば、「これ詐欺じゃないか」みたいになった時、相談する先は最寄りの消費生活センターである
・よって、アは誤文となる
イ 自身の健康を最優先に栄養バランスを考慮した食品の購入を実践する消費者は、グリーン・コンシューマーと呼ばれる。
ウ 食品などの生産・加工・流通の履歴を明らかにする仕組みを、トレーサビリティの制度という。
・続いてイとウを見て「???????」となった人が九分九厘であろう
・「知らんわそんなもん」と思ったのではないだろうか
・しかしイをよく見てほしい
・「グリーン・ナントカカントカ」とか言った場合、普通、地球環境に保護した何かである
・しかしイでは「自身の健康を最優先に栄養バランスを考慮した食品の購入を実践する」とある
・そういうのを「グリーン・うんぬんかんぬん」と名付けて持ち上げるような事は普通、しない
・よってイも恐らく誤文だろう、となる
・そして選択肢から、アイウのどれか一つは正文の筈である
・そう考えると、ウのみが正文であろうと結論できるのである
⇒即ち、問題作成者は恐らく、受験生がグリーン・コンシューマーやトレーサビリティの知識を持っているとは期待せずに本問を作っている。そういう知識がなくても解けるように作られている問題である
問8
生徒Xは、社会保障に関心をもち、社会保障制度がどのように生まれ、展開してきたかを示す次のメモを作成した。メモ中の空欄( ア )〜( ウ )には後の記述a〜cのいずれかが当てはまる。空欄( ア )〜( ウ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
病気やけが、失業などの生活上の問題で、私たちは誰もが貧困に陥る可能性がある。人々が安心して暮らせる社会をつくるために必要なセーフティネットが社会保障制度であり、その主要なものとして公的扶助制度と社会保険制度がある。
17世紀初頭にイギリスで制定されたエリザベス救貧法では、( ア )。これは、現在の公的扶助制度の原型ともいわれる。他方の社会保険制度は、19世紀後半にドイツで初めて創設された。
20世紀に入って、国民の生存権を保障する観点から、体系的な社会保障制度を構築する必要性が認識されるようになった。1942年にイギリスで発表されたベバリッジ報告においては、( イ )。また、1944年にILO(国際労働機関)総会で採択されたフィラデルフィア宣言では、( ウ )。
このように、救貧という考え方から人間の基本的権利としての社会保障という考え方へと変化していく中で、時間をかけて社会保障制度の体系化が進められてきた。しかしながら、各国における財政状況の悪化や少子高齢化の進行などにより、社会保障制度は転機を迎えている。
a 国家の責任において、国民に最低限度の生活水準の保障がなされるべきとされた
b 所得や医療などの面で、社会保障の充実を図っていくことが国際的な原則とされた
c 国家の恩恵として、働くことができない貧困者を救済、保護することとされた
① ア―a イ―b ウ―c
② ア―a イ―c ウ―b
③ ア―b イ―a ウ―c
④ ア―b イ―c ウ―a
⑤ ア―c イ―a ウ―b
⑥ ア―c イ―b ウ―a
問8解説
正解:⑤
復習用資料:経済分野第二章/社会保障
・社会保障の歴史の問題
・(ウ)で問われているフィラデルフィア宣言の事は、恐らく受験生は知らない
・が、(ア)と(イ)さえ分かってしまえば消去法で(ウ)も出る為、問題にはならない
17世紀初頭にイギリスで制定されたエリザベス救貧法では、( ア )
・エリザベス救貧法は、名前の通り「貧」乏な人を「救」う法律である
⇒中世以来の欧州社会では、この手の事は教会がやってきた。それを国家がやるようになったものとしては初めて、という文脈で、政治経済の教科書に登場する
c 国家の恩恵として、働くことができない貧困者を救済、保護することとされた
・貧乏な人を国家が救う、という話なのであるから当然、(ア)はcである
1942年にイギリスで発表されたベバリッジ報告においては、( イ )
・ベバリッジ報告は、戦後イギリスの「ゆりかごから墓場まで」の土台になった報告である
・そしてこの報告は、ナショナル・ミニマムの概念を取り入れて作られている
・即ち、国家が国民に対し、最低限度の生活を保障するという考え方である
a 国家の責任において、国民に最低限度の生活水準の保障がなされるべきとされた
・まさにaは、ナショナル・ミニマムの話である
・となると(イ)はaであると考えられる
・そして(ウ)は、消去法でbであると分かる
第3問
※全く見る価値のないリード文省略
問1
生徒Xは、模擬授業後、日本国憲法に関心をもって調べた。次の記述ア〜ウのうち、日本国憲法における天皇に関する記述として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
ア 天皇は、国会の指名に基づいて、最高裁判所の長官を任命する。
イ 天皇は、憲法改正の賛否を問う国民投票において有効投票の4分の3以上の賛成が得られたとき、国民の名で、直ちにこれを公布する。
ウ 天皇は、国政に関する権能を有しておらず、内閣の助言と承認に基づいて国事行為を行う。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
#現代日本の統治制度と権力分立 #大日本帝国憲法と日本国憲法
問1解説
正解:③
復習用資料:政治分野第三章/現代日本の統治制度と権力分立
復習用資料:政治分野第二章/大日本帝国憲法と日本国憲法
・日本国憲法と天皇についての問題
⇒日本国憲法に於いて天皇は国民の象徴という事になっている筈なのだが、その割に公共や政治経済での扱いは軽く、色々な項目に散らばっている。重要事項であるという事実に変わりはないので、ちゃんと頭の中で整理しておこう
ア 天皇は、国会の指名に基づいて、最高裁判所の長官を任命する。
・天皇は最高裁判所長官を任命する、というのは正解
・但し指名するのは内閣である
・よってアは誤文である
イ 天皇は、憲法改正の賛否を問う国民投票において有効投票の4分の3以上の賛成が得られたとき、国民の名で、直ちにこれを公布する。
・色々間違っている。政治分野の復習用資料から持ってきた日本国憲法九十六条と比較してみよう
日本国憲法第【九十六条】 この憲法の改正は、【各議院】の総議員の【三分の二】以上の賛成で、国会が、これを【発議】し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の【国民投票】又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを【公布】する。
・見ての通り、日本国憲法には、憲法改正の国民投票について×分の×以上という指定はない
・よってイは誤文である
ウ 天皇は、国政に関する権能を有しておらず、内閣の助言と承認に基づいて国事行為を行う。
・これは正文である
⇒国事行為と国政行為、ごっちゃになりやすいので気を付けるようにしよう
問2
頻発する武力紛争に関して、生徒Xと生徒Yは、オープンキャンパスが終わった後に模擬授業で配られた次の資料をみながら話をしている。資料は、第二次世界大戦後に起こった「国家が関与する武力紛争」を「独立戦争」、「国家間紛争」、「国際化された国内紛争」、「国内紛争」の四つに分けて、それぞれ示したものである。後の会話文中の空欄( ア )には後の記述aかb、空欄( イ )には後の記述cかdのいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( イ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
X:資料にある「独立戦争」というのは、植民地の独立をめぐる武力紛争のことだと模擬授業で学んだけど、1970年代を最後にみられないね。
Y:そうだね。この資料をみると、それ以外の「国家間紛争」、「国際化された国内紛争」、「国内紛争」は、2020年現在までみられるね。「国家間紛争」というのは、国家同士が戦う武力紛争のことだったね。
X:最近増えてきている「国際化された国内紛争」というのは、もともとは「国内紛争」だったけれども、国外の勢力が加わるようになったものだと模擬授業で学んだね。「国内紛争」というのは、国家と非国家勢力とが戦う武力紛争のことだったね。
Y:その「国内紛争」と「国家間紛争」とについては、資料から( ア )ということが読みとれるね。
X:そうだね。冷戦終結直後の1990年代前半に「国内紛争」の数が増加しているのは、( イ )ことが一因だと考えられるよ。これらの「国内紛争」のなかには、後に「国際化された国内紛争」となったものもあるね。
( ア )に当てはまる記述
a 冷戦期以降一貫して、「国家が関与する武力紛争」全体に占める「国内紛争」の割合は、「国家間紛争」の割合よりも高い
b 冷戦終結後になって初めて、「国家が関与する武力紛争」全体に占める「国内紛争」の割合は、「国家間紛争」の割合よりも高くなった
( イ )に当てはまる記述
c ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のような旧社会主義国の崩壊に伴う紛争が生じた
d シリア紛争のような「アラブの春」に伴う紛争が生じた
① ア―a イ―c
② ア―a イ―d
③ ア―b イ―c
④ ア―b イ―d
問2解説
正解:①
復習用資料:政治分野第四章/現代国際政治史―ModernWarfare
復習用資料:政治分野第四章/世界の紛争
・一応図を読み取る必要はあるが、小学生でも分かるようなものなので実質知識問題
・即ち、冷戦後の紛争についての知識を問う問題である
( ア )に当てはまる記述
a 冷戦期以降一貫して、「国家が関与する武力紛争」全体に占める「国内紛争」の割合は、「国家間紛争」の割合よりも高い
b 冷戦終結後になって初めて、「国家が関与する武力紛争」全体に占める「国内紛争」の割合は、「国家間紛争」の割合よりも高くなった
・aを読んでから図を見るとどうも正しそうには見えるが、数値化されていないのでちょっと不安が残る
・一方bを読んでから図を見ると、こちらは明らかに間違っているのが分かる
⇒冷戦終結宣言が出たマルタ会談が1989年、ソ連が爆発四散するのが1991年。この辺以降になっても、「国家間紛争」が「国内紛争」を上回る事はない
・よって、(ア)はaである
冷戦終結直後の1990年代前半に「国内紛争」の数が増加しているのは、( イ )ことが一因だと考えられるよ。
c ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のような旧社会主義国の崩壊に伴う紛争が生じた
d シリア紛争のような「アラブの春」に伴う紛争が生じた
・ソ連が爆発四散した直後に起きた紛争はcかdか、という問題である
・cは「ボスニア・ヘルツェゴヴィナ」という単語を見た時点で、「あー旧ユーゴね」と思ってほしい
・そして旧ユーゴスラヴィアと言えば、ソ連崩壊と同時に大爆発を起こした国として記憶していてほしい
⇒ユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国と名乗っていたこの国は、ソ連崩壊とほぼ同時に内戦へ突入。約十年の内戦の末、最終的に七つの国へ分裂している。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争はその一幕であり、その結果、ボスニア・ヘルツェゴヴィナは国家として独立を達成した
・一方dのアラブの春は、2010年代序盤の事件である
⇒欧米諸国は「民主主義は最高!」「民主主義にすれば何でも解決!」と思い込んでおり、2010年末から中東諸国で次々と起きた革命を「アラブの春」と褒めそやして支援。結果、各地で内戦が発生し、難民が欧州へ流れ込み、欧州は難民の対処に苦しみ…と、令和六年現在の状況へ直接つながっていく
・二択なので、ユーゴ内戦とアラブの春、どちらの知識を使っても解ける
・ともあれ、(イ)はcである
問3
国連平和維持活動(PKO)に関して、PKOへの部隊派遣人数に関心をもった生徒Yは、模擬授業後に次のメモを後の表1〜3をみながら作成した。メモと表1〜3中の空欄( ア )には「ソマリア」か「ルワンダ」のいずれか、表1〜3中の空欄( イ )〜( エ )には「1990年」、「2002年」、「2022年」のいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( エ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
メモ
〇( ア )は紛争中にはPKOを派遣される側の国であったが、紛争後は民族間の融和・和解や経済成長が進んでおりPKOに部隊を多く派遣するようにもなった。
〇日本は2015年のPKO協力法改正によって駆けつけ警護が可能となったが、その後の南スーダンからの撤退もあり、部隊派遣人数は減少した。
① ア ソマリア エ 1990年
② ア ソマリア エ 2002年
③ ア ソマリア エ 2022年
④ ア ルワンダ エ 1990年
⑤ ア ルワンダ エ 2002年
⑥ ア ルワンダ エ 2022年
問3解説
正解:⑥
復習用資料:政治分野第四章/世界の紛争
・基本的には、世界の紛争について聞く問題である
・ただ、それ以上に時事問題、常識問題と言えるかもしれない
⇒ルワンダ内戦もソマリア内戦も、「内戦があったよ」という話は大抵、授業でやる。ただ、「その後こうなったよ」という話はあんまりしないのである。そしてこの問題は、「その後こうなったよ」の部分を問うている
メモと表1〜3中の空欄( ア )には「ソマリア」か「ルワンダ」のいずれか
〇( ア )は紛争中にはPKOを派遣される側の国であったが、紛争後は民族間の融和・和解や経済成長が進んでおりPKOに部隊を多く派遣するようにもなった。
・この二行から、内戦から立ち直ったのはソマリアかルワンダか、と聞かれているのが分かる
・無論、世界の紛争について詳しく知っていれば、これは解ける
・例えば両内戦のその後について知っていれば、解ける
⇒ルワンダ共和国は内戦で大変な事になったが、2000年代から復興が進み、令和六年現在、ブラックアフリカの中でもかなりの優等生である。一方、ソマリア内戦は令和六年現在も継続中。一時よりはマシになっているが、終わる気配は全くない
・もしくは、両内戦が始まった時期を知っていれば解ける
⇒ルワンダ内戦は1990年代、ソマリア内戦は1980年代に始まった。そして日本国自衛隊は2009年の海賊対処法により、ソマリア沖での海賊対処活動に従事した…というのも、政治経済の授業でやる。これを合わせれば、「ずっと内戦続けてるのはソマリアの方だな」と判断できる
・ただ、普通の授業ではここまでやらないし、当然、大抵の受験生にそんな知識はない
・しかし、そこまで詳しくなくても、報道を見ていれば、何となく判断できる筈である
・即ち、今でもちょくちょく「ソマリアの海賊が…」みたいなニュースが流れるのである
・そういうのを見ていれば、「ソマリアがPKOを送るぐらい発展した、はないだろう」となるのである
・よって、(ア)はルワンダである
・そして(イ)だが、こちらは表を参照するとよい
・表1表2では、(ア)は0人である。つまり内戦から復活しておらず、PKOも派遣していない
・一方表3では(ア)はPKOを派遣するようになっている。内戦から復活したという事である
・問題文から、表1~表3はそれぞれ1990年、2002年、2022年のどれかである
・となると、表1表2は1990年か2002年、表3は2022年と考えるのが妥当である
・よって、(イ)は2022年である
問4
生徒Xは、国会の役割に関心をもった。日本の国会における制度に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
①衆議院と参議院に設置されている委員会は、法律案の審議のための公聴会を必ず開催しなければならない。
②法律や命令の制定時に、その法律や命令が憲法に違反するかしないかを審査する憲法審査会は、衆議院と参議院に設置されている。
③憲法は、衆議院については予算の先議権と内閣不信任決議権を定め、参議院については法律案の先議権を定めている。
④憲法は、国政調査権を衆議院と参議院に認めており、証人の出頭や証言に加えて記録の提出を要求することができると定めている。
問4解説
・標準的な、知識を問う四択問題である
・典型的な「④が正解でしょ。他は知らんけど」で解く問題である
⇒①や③はともかく、②について、受験生がちゃんとした知識を持っていると想定して作問した訳ではないと思われる
①衆議院と参議院に設置されている委員会は、法律案の審議のための公聴会を必ず開催しなければならない。
・委員会の議員は、その分野で専門的に活動しているとは言え、基本的には素人である
・そこで、玄人を呼ぶ場合がある。それが公聴会であり、必ず開催しなければならないものではない
②法律や命令の制定時に、その法律や命令が憲法に違反するかしないかを審査する憲法審査会は、衆議院と参議院に設置されている。
・憲法審査会は衆参両院に存在するが、役割が違う
・憲法審査会の任務は、主なところでは以下の通りである
1:日本国憲法の関する総合的調査
2:憲法改正の原案審査
3:憲法改正に係る国民投票の法案審査
・つまるところ、「法律や命令が憲法に違反するかしないかを審査する」機関ではない
・あまり政治経済の授業で取り上げられるような組織ではないが、ともあれ誤文である
⇒なお、憲法審査会そのものについて知らずとも、「…違憲立法審査とか意見行政審査って、それ司法府の役割では?」と考えて誤文と判断する事も可能である
③憲法は、衆議院については予算の先議権と内閣不信任決議権を定め、参議院については法律案の先議権を定めている。
・衆議院が予算の先議権を持つのはその通り
・衆議院が内閣不信任決議権を持つのもその通り(参議院は問責決議しかできない)
・法案の議論は、どちらが先というのは決まっていない
④憲法は、国政調査権を衆議院と参議院に認めており、証人の出頭や証言に加えて記録の提出を要求することができると定めている。
・正文である
問5
立法に関して、生徒Xは、差別解消に関連する立法による対応について調べた。日本における差別の解消に関連する法律についての記述として誤っているものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
① 部落差別が一連の対策によってもなお完全に解消されない中、部落差別解消推進法(部落差別解消法)が制定された。
② 特定の民族や国籍の人々への差別的言動に対する対策が求められる中、ヘイトスピーチ対策法(ヘイトスピーチ解消法、ヘイトスピーチ規制法)が制定された。
③ アイヌ文化振興法に代わり制定された、アイヌ民族支援法(アイヌ施策推進法)は、法律として初めてアイヌを先住民族と明記したものである。
④ 障害者雇用促進法は、職場における障害者の雇用割合を一定以上にすることを企業には義務づけていないが、国および地方公共団体には義務づけている。
問5解説
正解:④
復習用資料:経済分野第二章/社会保障
・標準的な、知識を問う四択問題である
・典型的な「④が正解でしょ。他は知らんけど」で解く問題である
⇒日本史でも出てくる③はともかく、①②について、受験生がちゃんとした知識を持っていると想定して作問した訳ではないと思われる
④ 障害者雇用促進法は、職場における障害者の雇用割合を一定以上にすることを企業には義務づけていないが、国および地方公共団体には義務づけている。
・障害者雇用促進法は、勿論、企業にも障害者雇用枠の設定を義務付けている
・よって④が誤文である
問6
生徒Xは、違憲審査に関心をもち、法律の規定を違憲と判断した日本の最高裁判所の判例について調べた。最高裁判所の判例に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
① 最高裁判所は、共有林の共有者による分割請求を一定の条件の下で制限する森林法の規定が財産権を保障する憲法の規定に違反すると判断した。
② 最高裁判所は、婚外子の法定相続分についての民法の規定が生存権を保障する憲法の規定に違反すると判断した。
③ 最高裁判所は、不良医薬品の供給防止という目的にとって必要性と合理性がないので、薬事法の定める薬局間の距離制限規定が、法の下の平等を保障する憲法の規定に違反すると判断した。
④ 最高裁判所は、一票の価値の格差が合理的に許される範囲を超えているので、公職選挙法の定める衆議院の議員定数配分規定が、職業選択の自由を保障する憲法の規定に違反すると判断した。
問6解説
正解:①
復習用資料:政治分野第二章/日本国憲法と人権(自由権)
復習用資料:政治分野第二章/日本国憲法と人権(平等権)
・知識を問う素直な問題
・選択肢全て違憲判決が出ているという点では正しいが、「何権に関する裁判か」で正誤が分かれている
① 最高裁判所は、共有林の共有者による分割請求を一定の条件の下で制限する森林法の規定が財産権を保障する憲法の規定に違反すると判断した。
・正文である
② 最高裁判所は、婚外子の法定相続分についての民法の規定が生存権を保障する憲法の規定に違反すると判断した。
・婚外子法定相続訴訟は最高裁で違憲判決が出ているが、平等権に関する裁判である
③ 最高裁判所は、不良医薬品の供給防止という目的にとって必要性と合理性がないので、薬事法の定める薬局間の距離制限規定が、法の下の平等を保障する憲法の規定に違反すると判断した。
・薬局距離制限事件は最高裁で違憲判決が出ているが、自由権に関する裁判である
⇒もうちょっと言うと、経済的自由の中でも居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由に関する裁判である
④ 最高裁判所は、一票の価値の格差が合理的に許される範囲を超えているので、公職選挙法の定める衆議院の議員定数配分規定が、職業選択の自由を保障する憲法の規定に違反すると判断した。
・議員定数不均衡問題に関しては、最高裁は何度か違憲判決を出している
・が、これは平等権に関する裁判である
問7
生徒Yは、模擬授業後、条約に関して調べた。人権保障についての条約に関する次の記述ア〜ウのうち、正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
ア 国連において、世界人権宣言の内容をより具体化して法的拘束力をもたせるものとして、国際人権規約が採択された。
イ 国連において、女性差別の撤廃をめざす条約は採択されたものの、人種差別の撤廃についてはいまだ条約は採択されていない。
ウ 日本は、国際人権規約の批准に際して中等・高等教育の無償化について留保していたが、現在は留保を撤回している。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
問7解説
正解:⑤
復習用資料:政治分野第一章/人権の拡大
・だいぶ悪問寄りの問題
・アとイについては通常の公共や政治経済の知識で解けるが、ウが時事問題と言うにも厳しい
ア 国連において、世界人権宣言の内容をより具体化して法的拘束力をもたせるものとして、国際人権規約が採択された。
・正文である
イ 国連において、女性差別の撤廃をめざす条約は採択されたものの、人種差別の撤廃についてはいまだ条約は採択されていない。
・誤文である。と言うか、逆に現代に至っても人種差別撤廃が採択されていない方が怖い
・実際、人種差別撤廃条約が存在し、日本国も批准している
⇒なお、国連は国連でも国際連盟であれば、大日本帝国が提案した人種差別撤廃提案を否決した歴史がある。反対の急先鋒はアメリカ合衆国とイギリスであった
ウ 日本は、国際人権規約の批准に際して中等・高等教育の無償化について留保していたが、現在は留保を撤回している。
・問題はこれ
・正文なのだが、公共や政治経済の授業ではここまでやらないので、教科書の知識では解けない
・そして時事問題として見ても、撤回したのが2012年の話であり、「言うほど時事か?」となる
・恐らく、問題作成者の意図としては、「自分の周囲に関心を持っている生徒の点を上げたい」である
⇒これは大学入試改革全体の話になるが…従来の「高校の授業と教科書の内容をキッチリやって満点!」みたいな受験が「詰め込み教育はクソ!」「色んな体験をして考える力を養おう!」「考える力を評価しよう!」という感じでアホな国民に叩かれに叩かれて発生したのが、令和二年から始まった大学入試改革である。この改革で、センター試験も、大学入試共通テストへ変わった
⇒こういった教育改革の中で、「身の回りの事に興味関心を持って、自分なりに探求する」生徒が偉い、という事になった。逆に言えば、「高校の授業と教科書の内容をキッチリやって満点!」みたいな生徒は偉くない、という事になった。そういう風潮は、現役高校生ほど肌で感じている筈である
・で、今回の国際人権規約の留保の撤回の話だが…
・確かに「身の回りの事に興味関心を持って、自分なりに探求」していれば、出てくる話なのだ
・と言うのは、近年は高校実質無償化のような政策が実施されている
・故に令和六年現在の高校生は、そういった政策で助かっている家庭が多い事を知っている
・そしてこの手の政策は、元をただせば2012年の留保撤回に行きつく
・まさに「身の回りの事に興味関心を持って、自分なりに探求」していれば、出てくるのである
⇒のだが、「こんな問題を、国公立受験する奴が全員受けるような試験で出していいのか?」と言われるとまぁうん。私は反対です
問8
生徒Yは、模擬授業後、下線部について調べた結果、世界的な問題として「南北問題」や「南南問題」があることを知った。次の記述ア〜ウのうち、「南北問題」や「南南問題」に関する記述として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
ア 「南北問題」の歴史的背景の一つには、「南」において植民地時代にモノカルチャー経済が形成されたことがある。モノカルチャー経済とは、単一あるいは少数の工業製品の生産や輸出に依存する経済のことである。
イ 「南北問題」についての協議を行うために国連開発計画(UNDP)が創設され、初代事務局長のプレビッシュによる報告に基づいて一次産品の価格安定化などがめざされた。
ウ 「南南問題」が生じた背景の一つには、「南」の中で新興工業経済地域(NIES)と呼ばれる工業化が比較的進んだ国々や地域が現れた一方で、後発発展途上国(LDC)と呼ばれる開発が遅れている国々も存在することがある。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
問8解説
・国際経済テーマ史の中でも、「南北問題」を扱う知識問題
・素直な知識問題であり、ちゃんと勉強していればスッと解ける
ア 「南北問題」の歴史的背景の一つには、「南」において植民地時代にモノカルチャー経済が形成されたことがある。モノカルチャー経済とは、単一あるいは少数の工業製品の生産や輸出に依存する経済のことである。
・誤文。モノカルチャー経済は、「単一あるいは少数の“農産品”の生産や輸出に依存する経済」を指す
⇒「儲かる工業製品は宗主国が作って植民地に売りつける」「あんまり儲からない原料や農作物は、植民地が作って宗主国に送れ」でできるのがモノカルチャー経済である。君もVictoria3をプレイして、欧米諸国で太平洋の島を占領して全土農園にしよう。儲かる工業製品は本国で作って植民地に売りつけよう
イ 「南北問題」についての協議を行うために国連開発計画(UNDP)が創設され、初代事務局長のプレビッシュによる報告に基づいて一次産品の価格安定化などがめざされた。
・誤文。南北問題解決を主眼に設立されたのはUNCTAD(国連貿易開発会議)である
⇒プレビッシュ報告が、「援助よりも貿易を」、つまり発展途上国が貿易で儲けられるようにしろ、というものだったのは正しい
ウ 「南南問題」が生じた背景の一つには、「南」の中で新興工業経済地域(NIES)と呼ばれる工業化が比較的進んだ国々や地域が現れた一方で、後発発展途上国(LDC)と呼ばれる開発が遅れている国々も存在することがある。
・正文である
第4問
※全く見る価値のないリード文省略
問1
生徒Xと生徒Yは、知的財産権の保護の必要性について議論している。次の会話文中の空欄( ア )には後の記述aかb、空欄( イ )には後の記述cかdのいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( イ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
X:知的財産を盗用や濫用から保護することは、創作活動に必須の基盤だよね。
Y:でも、創作活動というのは、既存の作品をある程度は参照して行うものだよね。公表された創作物にみられる表現などは非競合性を有しているよね。非競合性というのは、( ア )とされているね。それらを知的財産権として保護して権利者に独占的な地位を与えるということは、かえって将来の創作活動を制限してしまう危険性はないかな。そもそもなぜ知的財産権を保護するんだろう。
X:一つの考え方としては、たとえば著作権を保護するのは、人々の創作活動への意欲を刺激して著作物を増やし、社会に有用な効果をもたらすためというものがあるよ。つまり、( イ )という考え方に基づくと、著作権者を保護するだけでなく、ほかの人の自由な創作活動を阻害しないように著作権法を設計する必要があるね。
( ア )に当てはまる記述
a ある人が消費しても、ほかの人の消費できる量が減ることはない性質
b 市場取引を介することなく利益を享受することができる性質
( イ )に当てはまる記述
c プライバシーへの配慮のために著作者の権利を保護する
d 文化発展という公益を促進する手段として著作権を保護する
① ア―a イ―c
② ア―a イ―d
③ ア―b イ―c
④ ア―b イ―d
問1解説
正解:②
・涙が出るほどマトモな会話をしている高校生の会話文を読んで答える国語問題
個人的な感想:「俺の二次創作はいい二次創作、あいつの二次創作は悪い二次創作」みたいな話をして延々と学級会やってる某ツィッタラントの人達に読ませてあげたいぐらいマトモな会話です
非競合性というのは、( ア )とされているね。それらを知的財産権として保護して権利者に独占的な地位を与えるということは、かえって将来の創作活動を制限してしまう危険性はないかな。
a ある人が消費しても、ほかの人の消費できる量が減ることはない性質
b 市場取引を介することなく利益を享受することができる性質
・非競合性は、公共、政治経済でも公共財を学ぶ時に出てくる単語である
・ただそれを忘れていても、国語の問題として解けてしまう
・「非競合性」という事はつまり「競合しない」という事である
・じゃあ「競合しない」ってどういう意味ですか、と言えばaであろう
・また、「(ア)みたいなのを独占させるって問題では?」という言葉の意味が通りやすいのもaである
・よって、(ア)はaである
X:一つの考え方としては、たとえば著作権を保護するのは、人々の創作活動への意欲を刺激して著作物を増やし、社会に有用な効果をもたらすためというものがあるよ。つまり、( イ )という考え方に基づくと、著作権者を保護するだけでなく、ほかの人の自由な創作活動を阻害しないように著作権法を設計する必要があるね。
c プライバシーへの配慮のために著作者の権利を保護する
d 文化発展という公益を促進する手段として著作権を保護する
・Xは明らかに、プライバシーの話はしていない
・ある作品の作者の利益を守るだけが著作権ではない、という話をしている
・その意味が通るのはdである
・よって、イはdである
問2
生徒Xは、産業構造や産業のあり方の変化について調べ、第二次世界大戦後の日本の産業構造に関する次のメモと後の図を作成した。メモ中の空欄( ア )〜( ウ )には、後の記述a〜cが一つずつ当てはまる。また、図中の空欄( A )・( B )は、後の語句dかeのいずれかが当てはまる。空欄( イ )・( B )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
メモ
高度経済成長期には第二次産業が拡大した。特に、( ア )が進むこととなり、高度経済成長が実現された。
1970年代以降、第二次産業は縮小傾向に転じるが、( イ )が進み、これらが安定成長期における日本経済の国際競争力を高めることとなった。
しかし、1990年代以降、経済のグローバル化の中で新興国の経済発展が進むと、製造業の中にはかつての国際競争力を維持することが困難となるものがみられるようになってきた。そのような中で、( ウ )が十分に進んでいるとはいえず、この点が、現在の日本経済の課題となっている。
a 製造業において従来型の電機などに代わる新産業の発展、第三次産業において次代を担いうる新産業の発展
b 製造業において、軽工業から重化学工業への転換
c 製造業において、重厚長大型の産業から加工組立型産業や知識集約型産業への転換
d 医療、福祉
e 製造業
① イ―a B―d ② イ―a B―e ③ イ―b B―d
④ イ―b B―e ⑤ イ―c B―d ⑥ イ―c B―e
問2解説
・日本経済テーマ史の中でも、「産業構造の転換」を聞いてくる問題
・勿論、日本経済通史をしっかり勉強していても解ける
・まず、(ア)~(ウ)がabcのどれなのかを把握する必要がある
高度経済成長期には第二次産業が拡大した。特に、( ア )が進むこととなり、高度経済成長が実現された。
・高度経済成長期(つまり1950年代から1960年代)は第二次産業が伸びた時代である
・それだけでなく、軽工業中心だった日本経済に於いて、重工業が伸びた時代である
・その旨が書いてあるのはb。よって(ア)はbである
1970年代以降、第二次産業は縮小傾向に転じるが、( イ )が進み、これらが安定成長期における日本経済の国際競争力を高めることとなった。
・1970年代は、石油危機とブレトン=ウッズ体制崩壊の時代である
・この時代、二度の石油危機を受けた日本国は、省エネ志向になる
・即ち、「石油を湯水の如く使う産業を主力にするのはやめよう」という志向となる
・これを、「素材産業から加工組立産業へ」「労働集約産業から知識集約産業へ」と表現する
・その旨が書いてあるのはc。よって(イ)はcである
・当然、消去法で(ウ)はaである
d 医療、福祉
e 製造業
・続いて、図を見てみよう
・図によると、( A )は2002年からずっと労働者が減り続けている
・逆に( B )は増え続けている
・様々な見方ができるが、どう考えても減り続けているのはeで増え続けているのがdである
・( B )がdであると結論付ける考え方の例を、いくつか挙げておこう
1:産業の空洞化で、ここ二十年ぐらいは製造業の就業者減ってるだろうな
2:技術の進歩で、少人数で工場を動かせるようになってきてる筈。って事は製造業の労働者は減るな
3:少子高齢化で、高齢者の数は増える一方。老人ホームもデイケアセンターも大量にできるし、福祉分野の労働者は増えるしかないよね
問3
法律による保護と規制緩和に関連して、生徒Xは、2002年の道路運送法の改正とその影響、関連する法律について調べることで、各産業における健全な競争のあり方やそれへの政府の介入の仕方について考えることとし、次のメモを作成した。後の記述ア〜ウのうち、メモから読みとれる内容として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
- 1 道路運送法について
- 道路運送法は、道路運送の分野における事業を規制し、輸送の安全を確保し、利用者の利益の確保を図っている。同法が規制対象とする事業の一つである旅客自動車運送事業とは、他人の求めに応じて、有償で、自動車を使用して乗客を運送する事業である。これには、ルートとダイヤが固定されて乗客が乗り合う乗合バス事業や、乗客が契約して自動車を貸し切って運送されるタクシー事業などが含まれる。
- 2 各事業の従来の規制と2002年道路運送法改正
- 改正前の道路運送法では、乗合バス事業は路線ごと、タクシー事業は事業区域ごとの免許制であった。この免許を与えるにあたっては、「当該事業の開始によって当該路線又は事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであること」という要件など(需給調整要件)があり、これにより既存事業者は保護されていた。2002年の改正は需給調整要件を撤廃し、事業者ごとに安全な運行をする能力があるかを判断して事業を行う許可を与えることとした。そして、路線や事業区域においてどのくらい増車するかは各事業者が判断し、届出をすればよいこととなった。
- 3 2002年道路運送法改正後の展開
- (1)乗合バス事業乗合
- バス事業は全体的に赤字構造にあり、とくに地方部においては厳しい経営状況にある。地方公共団体は地方交付税などの支援を受けつつ、事業者に補助金を交付するなどして乗合バス事業を支えている。
- このような厳しい経営状況を受け、2020年独占禁止法特例法が制定された。この法律は、乗合バス事業が「国民生活および経済活動の基盤となるもの」であることから、地方部での乗合バス事業者の合併や共同経営について、企業の合併を規制する独占禁止法の適用を除外するものである。
- (2)タクシー事業
- タクシー事業については、2002年道路運送法改正後、事業者数が増加し、運賃やサービス内容が多様化したものの、乗客数は増えなかった。このためタクシー事業の経営は厳しい状況にあり、安全性やサービスの質の低下が懸念された。そこで、2013年タクシー適正化・活性化法改正により、供給が過剰な「特定地域」としての指定がなされた場合には、その地域での事業者の新規参入および既存業者のタクシー台数の増車が一律禁止され、タクシーの運賃が一定の額を下回るときには国土交通大臣等による運賃変更命令が出されるようになった。
- (1)乗合バス事業乗合
ア 2002年改正前の道路運送法の下では、ある個人がタクシー事業を始めようとした場合に、その個人に安全に事業を行う能力があったとしても、ある事業区域においてタクシー事業を行うことができない可能性があった。
イ 乗合バス事業については、2002年道路運送法改正により規制緩和がなされた後も、一定の地域では収支が厳しい路線であっても存続が求められる事業であることが政策からみてとれる。
ウ 2013年タクシー適正化・活性化法改正後のタクシー事業については、過剰な競争による安全性の低下やサービスの質の低下への対処は、利用者がそうした事業者を選択しないという市場による解決に委ねられており、行政は介入しない。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
問3解説
正解:④
・小泉政権期の規制緩和がお題ではあるが、純粋な国語の問題である
・とにかく問題文を読んで、読み取れた内容を元に回答すればよい
ア 2002年改正前の道路運送法の下では、ある個人がタクシー事業を始めようとした場合に、その個人に安全に事業を行う能力があったとしても、ある事業区域においてタクシー事業を行うことができない可能性があった。
改正前の道路運送法では、乗合バス事業は路線ごと、タクシー事業は事業区域ごとの免許制であった。この免許を与えるにあたっては、「当該事業の開始によって当該路線又は事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであること」という要件など(需給調整要件)があり、これにより既存事業者は保護されていた。
・このように並べれば、特に解説する事もない。アは正文である
イ 乗合バス事業については、2002年道路運送法改正により規制緩和がなされた後も、一定の地域では収支が厳しい路線であっても存続が求められる事業であることが政策からみてとれる。
3 2002年道路運送法改正後の展開
(1)乗合バス事業乗合
バス事業は全体的に赤字構造にあり、とくに地方部においては厳しい経営状況にある。地方公共団体は地方交付税などの支援を受けつつ、事業者に補助金を交付するなどして乗合バス事業を支えている。
・こちらも、こうして並べれば特に解説する事もない。イは正文である
ウ 2013年タクシー適正化・活性化法改正後のタクシー事業については、過剰な競争による安全性の低下やサービスの質の低下への対処は、利用者がそうした事業者を選択しないという市場による解決に委ねられており、行政は介入しない。
2013年タクシー適正化・活性化法改正により、供給が過剰な「特定地域」としての指定がなされた場合には、その地域での事業者の新規参入および既存業者のタクシー台数の増車が一律禁止され、タクシーの運賃が一定の額を下回るときには国土交通大臣等による運賃変更命令が出されるようになった。
・最後のウも、こうして並べれば何も言う事はない。ウは誤文である
問4
企業の生産拠点の海外移転に関連して、生徒Yは、A国の企業がA国内からB国へ生産拠点を移転した場合、A国の輸出や輸入はさまざまな影響を受けると考え、それらを次のメモ中の記述a〜dにまとめた。さらに、Yは、他の条件が一定のとき、メモ中の記述a〜dの効果が表れた場合にA国の貿易収支が受ける影響について考察し、それらをメモ中の記述e・fにまとめた。メモ中の空欄( ア )〜( エ )には、それぞれ「増加」または「減少」の語句が当てはまり、空欄( オ )・( カ )には、それぞれ「黒字化」または「赤字化」の語句が当てはまる。メモ中の空欄( ア )・( オ )・( カ )に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。
- 〇企業の生産拠点の海外移転がA国の輸出や輸入に与える効果
- a A国の企業がB国に移転した生産拠点で生産した最終製品を、B国で販売したりC国などの第三国に輸出したりすると、A国からB国への輸出やA国からC国などの第三国への輸出が( ア )する効果が考えられる。これは「輸出代替効果」といわれる。
- b A国の企業が最終製品の生産拠点をB国に移転すると、A国からB国への部品等の中間財や機械設備などの資本財の輸出が( イ )する効果が考えられる。これは「輸出誘発効果」といわれる。
- c A国の企業がB国に移転した生産拠点で生産した最終製品が、A国に輸出されると、A国の輸入額が( ウ )する効果が考えられる。これは「逆輸入効果」といわれる。
- d A国の企業がB国に移転した生産拠点が、A国で生産するはずであった最終製品を代替生産するようになると、A国の生産拠点で必要であった原材料などの輸入が不要となり、A国の輸入額が( エ )する効果が考えられる。これは「輸入転換効果」といわれる。
- 〇上記の記述a〜dの効果が表れた場合にA国の貿易収支が受ける影響についての考察
- ※考察にあたっては、当初A国の貿易収支は均衡状態にあると仮定する。また、後の記述e・fにおいては、それぞれ言及されていない条件は一定とする。
- e「輸出代替効果」による貿易額の増減が「輸入転換効果」による貿易額の増減よりも大きければ、貿易収支は( オ )する。
- f「輸出誘発効果」による貿易額の増減が「逆輸入効果」による貿易額の増減よりも小さければ、貿易収支は( カ )する。
① ア 増加 オ 黒字化 カ 黒字化
② ア 増加 オ 黒字化 カ 赤字化
③ ア 増加 オ 赤字化 カ 黒字化
④ ア 増加 オ 赤字化 カ 赤字化
⑤ ア 減少 オ 黒字化 カ 黒字化
⑥ ア 減少 オ 黒字化 カ 赤字化
⑦ ア 減少 オ 赤字化 カ 黒字化
⑧ ア 減少 オ 赤字化 カ 赤字化
問4解説
正解:⑧
・基本的には、本文を読み解けばそれで正解が出てくる国語の問題である
・ただ、普段から政治経済的な話題に触れていないと厳しいだろうと思われる話題でもある
⇒簡単に言えば、「サッカーを見た事もないしルールも知らない人が、サッカーの試合の評論文を読んで理解できるか?」みたいなところがある問題。そういう意味では、政治経済の試験に相応しい国語問題と言えるかもしれない
a A国の企業がB国に移転した生産拠点で生産した最終製品を、B国で販売したりC国などの第三国に輸出したりすると、A国からB国への輸出やA国からC国などの第三国への輸出が( ア )する効果が考えられる。これは「輸出代替効果」といわれる。
・今まで(A国の企業が、A国内に工場を持つ)の図式はこうである
A国で生産⇒輸出⇒B国で販売
A国で生産⇒輸出⇒C国で販売
・A国の企業がB国に工場移転した後の図式は、こうである
B国で生産⇒B国で販売
B国で生産⇒輸出⇒C国で販売
・つまり、A国からB国への輸出やA国やC国への輸出は減少する
・よって、(ア)は減少である
d A国の企業がB国に移転した生産拠点が、A国で生産するはずであった最終製品を代替生産するようになると、A国の生産拠点で必要であった原材料などの輸入が不要となり、A国の輸入額が( エ )する効果が考えられる。これは「輸入転換効果」といわれる。
・今まで(A国の企業が、A国内に工場を持つ)の図式はこうである
?国が原材料生産⇒輸出⇒A国で生産
※A国が、どこかの国(?国)から原材料を輸入していた
・A国の企業がB国に工場移転した場合、この輸入がゼロになる
・つまり、A国の輸入額が減少する
・よって、(エ)は減少である
・という事は、A国は、輸出代替効果で輸出が減り、輸入転換効果で輸入が減る事になる
・言い方を変えると、輸出代替効果で貿易赤字になり、輸入転換効果で貿易黒字になる
e「輸出代替効果」による貿易額の増減が「輸入転換効果」による貿易額の増減よりも大きければ、貿易収支は( オ )する。
・つまり、輸出代替効果による貿易赤字が、輸入転換効果で貿易黒字より大きければ…?
・勿論、貿易は赤字化する
・よって、(オ)は赤字化である
b A国の企業が最終製品の生産拠点をB国に移転すると、A国からB国への部品等の中間財や機械設備などの資本財の輸出が( イ )する効果が考えられる。これは「輸出誘発効果」といわれる。
・今までは、「A国の企業が、A国内に工場を持つ」形であった
・これが「A国の企業がB国に工場を持つ」形に変わる
・ただ勿論、無から工場が発生する訳ではない
・特に、商品を作る機械(工場で動かす機械)なんかはA国から持っていく必要がある場合も多い
・つまり、A国からB国への輸出が増加する
・よって、(イ)は増加である
c A国の企業がB国に移転した生産拠点で生産した最終製品が、A国に輸出されると、A国の輸入額が( ウ )する効果が考えられる。これは「逆輸入効果」といわれる。
・今まで(A国の企業が、A国内に工場を持つ)の図式はこうである
A国で生産⇒A国で販売
・A国の企業がB国に工場移転した後の図式は、こうである
B国で生産⇒輸出⇒A国で販売
・つまり、工場移転後、A国の輸入額が増加する
・よって、(ウ)は増加である
・という事は、A国は、輸出誘発効果で輸出が増え、逆輸入効果で輸入が増える事になる
・言い方を変えると、輸出誘発効果で貿易黒字になり、逆輸入効果で貿易赤字になる
f「輸出誘発効果」による貿易額の増減が「逆輸入効果」による貿易額の増減よりも小さければ、貿易収支は( カ )する。
・つまり、輸出誘発効果で貿易黒字が、逆輸入効果による貿易赤字より小さければ…?
・勿論、貿易は赤字化する
・よって、(カ)は赤字化である
・まとめると、以下のようになる
ア:減少 イ:増加 ウ:増加 エ:減少 オ:赤字化 カ:赤字化
問5
生徒Yは、ベンチャー企業について調べてみた。次の記述ア〜ウのうち、日本におけるベンチャー企業に関連する記述として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
ア 会社法が施行され、有限会社の新規設立条件が緩和されるとともに、新たに合同会社の設立が可能とされた。これらにより、ベンチャー企業の設立が容易になった。
イ ベンチャー企業の中には、大学の先端的な研究成果を活用し、新しい知識や技術に基づく製品を生み出しているものがある。
ウ ベンチャー企業にとっては、必要な資金をいかに調達するかが大きな問題となる。このような課題に対応するために、新興株式市場の整備が進んだ。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
問5解説
正解:⑥
復習用資料:経済分野第一章/企業とは
復習用資料:経済分野第四章/日本経済テーマ史
・日本経済テーマ史の中でも「中小企業」の話題が中心となる知識問題
・ただ正直、「この知識を共テで問うていいのか?」と思わないでもない問題ではある
ア 会社法が施行され、有限会社の新規設立条件が緩和されるとともに、新たに合同会社の設立が可能とされた。これらにより、ベンチャー企業の設立が容易になった。
・誤文である
⇒会社法の改正によって、有限会社は作れなくなった
イ ベンチャー企業の中には、大学の先端的な研究成果を活用し、新しい知識や技術に基づく製品を生み出しているものがある。
・正文
⇒一応これぐらいの概要であれば、教科書等にも載っている事が多い
ウ ベンチャー企業にとっては、必要な資金をいかに調達するかが大きな問題となる。このような課題に対応するために、新興株式市場の整備が進んだ。
・正文
⇒…なのだが、流石にここまでは教科書に載っていないし政治経済の授業ではやらないのでは…?
・恐らくだが、以下の知識から演繹して答えろ、という問題であろうと思われる
1:ベンチャー企業を作りやすくする為に、会社法の改正で最低資本金制度がなくなった
2:ベンチャー企業の多くは成長途上であり、投資家や投資機関による資金提供を受けている
・上記二つの知識は、政治経済の授業でもやるような内容である
・知識1より、ベンチャー企業の多くは株式会社であると分かる
⇒改正前の会社法で最低資本金が定められていたのは、株式を発行して資金を集める系の会社のみである
・「ベンチャー企業の多くは株式会社」と知識2を組み合わせると、どうなるか
・ベンチャー企業の多くは、投資家や投資機関に株を売って資金調達していると分かる
・これは、「新興株式市場の整備が進んだ」のでなければあり得ない事である
・という訳で、一応、政治経済の授業でやるような知識だけでも正文と判断はできる
・ただちょっとこれは、流石に厳しいのでは…?
問6
生徒Xと生徒Yは、イノベーションを促進するための各種の法制度や政策について発表するため、イノベーション支援策を話し合っている。次の会話文中の空欄( ア )・( イ )に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
X:イノベーション支援策にはいろいろなものがあるよね。まず、革新的な技術やビジネスモデルに基づく新たな事業を社会で活用するためには、対象となる事業の実態を正しく把握して法規制の見直しをしていく必要があるね。日本には規制を見直すための実験的な制度がいくつかあるよね。
Y:そうだね。産業競争力強化法では、企業が一定の範囲で既存の規制の適用を受けずに実証データを集めた上で、法規制の見直しのために必要なデータを行政機関に提供する制度ができたね。( ア )も、地方公共団体や国が主導して、一定の地域に限って規制の特例措置を認め、規制改革や地域産業の活性化につなげる制度だね。
X:イノベーションを起こしていくためには、法規制の見直し以外にも、人材育成や資金調達の支援策も不可欠だね。
Y:人材育成に関していえば、社会の技術革新や時代の変化により、従来仕事で用いている技能が通用しなくなることがあるよね。職業技能の学び直しを意味する( イ )を官民が協力して推進していくことが必要とされているね。
① ア 広域連合 イ リスキリング
② ア 広域連合 イ テクノクラート
③ ア 特区(特別区域) イ リスキリング
④ ア 特区(特別区域) イ テクノクラート
問6解説
・日本経済通史の中でも、「失われた三十年」でやった知識があれば解ける問題
( ア )も、地方公共団体や国が主導して、一定の地域に限って規制の特例措置を認め、規制改革や地域産業の活性化につなげる制度だね。
・日本経済通史の「失われた三十年」で小泉政権の話をするが、その時に構造改革特区が出てくる
・これはまさに、実在性の低そうな高校生Xくんが喋っているような制度である
・よって、(ア)は特区である
職業技能の学び直しを意味する( イ )
・こちらは、知らなくても最低限の英語の知識があれば解けるだろう
・リ(re)はもう一回、スキリング(skill)は技能、訓練
・合わせて、リスキル(reskill)もしくはリスキリング(reskilling)で新しい技能の習得を意味する
・よって、(イ)はリスキリングである