令和五年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済
第1問
※全く見る価値のないリード文省略
問1
生徒Xは、国民の政治参加について番組で説明した。現在の日本における政治参加の制度に関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
①憲法を改正するには、憲法改正案への賛否を問う国民投票において、その過半数の賛成が必要となる。
②地方裁判所や高等裁判所の裁判官の罷免の可否を問う国民審査の制度では、投票者の多数が罷免を可とするとき、その裁判官は罷免される。
③特定の地方公共団体のみに適用される特別法を制定するには、当該地方公共団体の住民投票で3分の2以上の多数による賛成が必要である。
④地方自治法における直接請求権に関する手続では、首長の解職の請求は有権者の3分の1以上の署名を集めて内閣に対し行うことになっている。
問1解説
問2
続いて、生徒Xは、日本の国政選挙について番組で説明した。次の図aは第44回の、後の図bは第45回の衆議院議員総選挙の結果をうけた衆議院議員の政党別の当選人数である。図aや図bの結果をもたらしたそれぞれの総選挙後の日本政治に関する後の記述ア~ウのうち、正しいものはどれか。当てはまる記述をすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。
ア 図aや図bの結果をもたらした衆議院議員総選挙後には、いずれも連立政権が成立した。
イ 図aの結果をもたらした衆議院議員総選挙後に、小泉純一郎内閣の下で郵政民営化法が制定された。
ウ 図の結果をもたらした衆議院議員総選挙後に、細川護熙内閣の下で衆議院の選挙制度に小選挙区比例代表並立制が導入された。
①ア ②イ ③ウ ④アとイ ⑤アとウ ⑥イとウ ⑦アとイとウ
問2解説
問3
国会議員に関連して、生徒Xは、2021年の常会(通常国会)に提出された法案を調べて次の表を作成し、立法過程での国会議員や政党の役割などについて司会者Jと話し合っている。後の会話文中の空欄[ ウ ]には、後の記述aかbのいずれかが当てはまる。表中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句と空欄[ ウ ]に当てはまる記述との組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
X:表のような結果が生じるのは、議院内閣制であることと関連するとの見方もあるんですよね。
J:日本では、内閣提出法案は国会提出前に閣議決定されますし、さらに、閣議決定の前に与党が法案の内容について審査し了承する手続も慣例化していますね。
X:[ ウ ]との指摘があります。このことを踏まえると、与党議員は閣議決定の前段階で法案の内容に影響力を行使しやすくなるし、与党議員の賛成で法案は成立しやすくなると考えられます。政党における政策決定過程が国会での法案の審議や成立を左右する面もあるようです。
[ ウ ]に当てはまる記述
a 党首討論の導入で国会が議論の場として機能することをめざしている
b 与党審査と党議拘束がセットで機能している
①ア―内閣 イ―議員 ウ―a ③ア―内閣 イ―議員 ウ―b
②ア―議員 イ―内閣 ウ―a ④ア―議員 イ―内閣 ウ―b
問3解説
正解:②
問4
生徒Yは、経済のグローバル化に関して学習したことを番組で紹介するために、次の原稿を作成した。原稿中の空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして正しいものを、後の①~④うちから一つ選べ。
【経済のグローバル化と企業への課税】
こんにちは! 本日は、経済のグローバル化が抱える課題に関して私が学習したことを紹介します。
国連は、[ ア ]について「資産を2ないしそれ以上の国において統括するすべての企業」と定義しています。このような企業には、[ イ ]と呼ばれる国・地域を利用して税を逃れていると指摘されるものもあります。
そこで、税率の国家間競争を防ぐためにも、OECD(経済協力開発機構)加盟国を中心とする国・地域の間で、法人税率の[ ウ ]の設定が合意されました。また、巨大IT企業に対する「デジタル課税」の導入についても合意されました。
①ア 寡占企業 イ ヘッジファンド ウ 上限
②ア 寡占企業 イ ヘッジファンド ウ 下限
③ア 寡占企業 イ タックスヘイブン ウ 上限
④ア 寡占企業 イ タックスヘイブン ウ 下限
⑤ア 多国籍企業 イ ヘッジファンド ウ 上限
⑥ア 多国籍企業 イ ヘッジファンド ウ 下限
⑦ア 多国籍企業 イ タックスヘイブン ウ 上限
⑧ア 多国籍企業 イ タックスヘイブン ウ 下限
問4解説
・国語問題であるだけでなく、国際経済テーマ史(の中でも「南北問題」)の知識を聞いてくる問題
問5
外国為替レートの変動に関連して、外貨準備が国の資産であることを知った生徒Yは、その増減の仕組みについて関心をもった。より詳しく調べてみたところ、日本の外貨準備は外国為替資金特別会計で管理されていることがわかった。そこでYは、学んだことをもとに番組で説明するため、次のメモを作成した。メモ中の空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを後の①~⑧のうちから一つ選べ。
メモ
外国為替介入と外貨準備の関係について、外国為替資金特別会計の模式図を書いてみます。ここでは説明の簡略化のため、資産には外貨準備、負には政府短期証券しかないものとします。また、通常の企業であれば純資産となる箇所は、資産負債差額となっており、ここでは一定とします。
政府が保有する外貨準備は、政府の外国為替介入によって増減します。政府が主として政府短期証券を発行して介入資金を調達することから、外国為替介入に伴う外貨準備という資産の増加と負債の[ ア ]とが対応関係にあることもわかります。たとえば、円売り米ドル買い介入は、政府短期証券の残高を[ イ ]させ、過度な[ ウ ]を抑えることを目的として実施されます。
① ア 増加 イ 増加 ウ 円高 ② ア 増加 イ 増加 ウ 円安
③ ア 増加 イ 減少 ウ 円高 ④ ア 増加 イ 減少 ウ 円安
⑤ ア 減少 イ 増加 ウ 円高 ⑥ ア 減少 イ 増加 ウ 円安
⑦ ア 減少 イ 減少 ウ 円高 ⑧ ア 減少 イ 減少 ウ 円安
問5解説
問6
生徒は、価格の変動要因について番組で説明するため、次のメモを作成した。メモは、企業どうしが自由に競争している市場にあるものとして、ある企業の商品Aの価格を下落させる要因として考えられることをまとめたものである。メモ中の空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~③のうちから一つ選べ。
① ア 供給過多 イ 向上 ウ 上昇
② ア 供給過多 イ 向上 ウ 低下
③ ア 供給過多 イ 低下 ウ 上昇
④ ア 供給過多 イ 低下 ウ 低下
⑤ ア 供給不足 イ 向上 ウ 上昇
⑥ ア 供給不足 イ 向上 ウ 低下
⑦ ア 供給不足 イ 低下 ウ 上昇
⑧ ア 供給不足 イ 低下 ウ 低下
問6解説
問7
次に、生徒Zの活動に話題が移った。司会者Jが、平和をめざした思想について、Zに話を聞いている。次の会話文中の空欄[ ア ]には後の人名aかb、空欄[ イ ]には後の語句eかd、空欄[ ウ ]には後の記述eかfのいずれかが当てはまる。空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。
J:平和をめざした思想には、どのようなものがあるのですか。
Z:たとえば、18世紀に[ ア ]が著した『永久平和のために(永遠平和のために)』があります。その本では、平和のために諸国家による連合を設立する必要があると説かれていて、興味深かったです。
J:連合といえば、今は国連がありますよね。もちろん、当時と今とでは国際社会の状況が変わっているので、言葉の意味も異なるのでしょうね。
Z:そうですね。また、今日国連があるからといって、平和の実現に向けた課題が解決したわけではありません。
J:国連加盟国に対する武力攻撃が発生しても、安保理(安全保障理事会)が常任理事国間の利害対立によって機能不全に陥り、十分な役割を果たすことができないということが、先日ニュースでも取り上げられていましたよね。
Z:はい。安保理は、[ イ ]については九つの理事国の賛成で決定できますが、それ以外の決定にはすべての常任理事国を含む九つの理事国の賛成が必要です。このため、安保理は機能不全に陥ることがあります。そのような場合には、たとえば、[ ウ ]。
[ ア ]に当てはまる人名
aグロティウス(グロチウス)
bカント
[ イ ]に当てはまる語句
c手続事項
d実質事項
[ ウ ]に当てはまる記述
e朝鮮戦争をきっかけとして採択された「平和のための結集」決議によれば、緊急特別総会での3分の2以上の加盟国の賛成によって、総会は平和維持のために必要な措置をとるよう勧告することができます
f国際連合憲章によれば、加盟国は自国への武力攻撃がなくとも個別的自衛権の行使によって、他の加盟国に対する武力攻撃を実力で阻止することができます
①ア―a イ―c ウ―e ②ア―a イ―c ウ―f
③ア―a イ―d ウ―e ④ア―a イ―d ウ―f
⑤ア―b イ―c ウ―e ⑥ア―b イ―c ウ―f
⑦ア―b イ―d ウ―e ⑧ア―b イ―d ウ―f
問7解説
問8
生徒Zは、司会者Jと話を続け、EU(欧州連合)に話題が移った。次の会話文中の空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして正しいものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。
J:EUでは経済統合が進み、ユーロという共通通貨がありますよね。
Z:はい。でも、EU加盟国であってもユーロを導入するには条件があります。原則として、単年度の[ ア ]がGDPの3%以下など、条件を満たすことが必要です。
J:それは厳しいですね。ところで、EUの加盟国間には経済格差や、難民の受入れをめぐる意見の対立など、いろいろと課題もあるようですね。
Z:はい。たとえば、2004年に調印された欧州憲法条約(EU憲法条約)は発効しませんでした。しかし一方で、2009年にはEUの基本的な構造を定める[ イ ]条約が発効し、EUは域内の経済統合だけでなく、政治統合もめざしています。たとえば、この条約によって[ ウ ]が創設されました。EUのような、単一通貨や共通外交、共通市民権など、これまでの主権国家の枠組みを超えた試みはとても興味深いです。
① ア 財政赤字 イ ニース ウ 欧州安定メカニズム(ESM)
② ア 財政赤字 イ ニース ウ 欧州理事会常任議長(EU大統領)
③ ア 財政赤字 イ リスボン ウ 欧州安定メカニズム(ESM)
④ ア 財政赤字 イ リスボン ウ 欧州理事会常任議長(EU大統領)
⑤ ア 公的債務残高 イ ニース ウ 欧州安定メカニズム(ESM)
⑥ ア 公的債務残高 イ ニース ウ 欧州理事会常任議長(EU大統領)
⑦ ア 公的債務残高 イ リスボン ウ 欧州安定メカニズム(ESM)
⑧ ア 公的債務残高 イ リスボン ウ 欧州理事会常任議長(EU大統領)
問8解説
第2問
※全く見る価値のないリード文省略
問1
法の役割に関連して、生徒X、生徒Y、生徒Zは、発表の準備として、日本の社会において、さまざまな規範が働いている事例をもち寄って、法の役割を考えることにした。次の①~④の事例における人物J、人物K、人物L、人物Mが行った行為とその結果に注目したとき、「社会秩序を維持するために国家
が設定した社会規範」としての法を、国家が直接に強制しているといえる事例はどれか。最も適当なものを、①~④のうちから一つ選べ。
①ある法律の規定によれば、消費者は、事業者から提供された情報を活用して、事業者と結ぶ契約の内容を理解するよう努める義務がある。ある会社と契約を結んだJは、契約締結時に契約の条件を十分に確認しなかった。Jは、家族からこのことを注意された。
②ある法律の規定によれば、他人の財産を盗んだ者に対しては、懲役や罰金の刑罰が科される。傘を持たずに外出したKは、にわか雨が降ってきたため、たまたま通りかかった店舗の商品である傘を持ち去った。Kは、後に、傘を盗んだとして起訴され罰金刑を科された。
③あるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を運営する事業者の会員規約によれば、他人の名誉を傷つけ、差別発言をした会員のアカウントは、削除される。このSNSの会員のLは、友人を誹謗中傷する書込みを行った。Lは、後に、会員規約に従って事業者にアカウントを削除された。
④ある学校の部活動の決まりによれば、部員は指定された集合時刻の10分前には集合場所に集まらなければならない。この部活動の部員のMは、指定された集合時刻の5分前に集合場所に到着した。Mは、ほかの部員からこのことを注意された。
問1解説
正解:②
問2
生徒Xは、基本的人権の保障の歴史を調べた。次の記述a〜dはそれぞれ、アメリカ独立宣言、児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)、フランス人権宣言(人および市民の権利宣言)、ワイマール憲法の一節のうちのいずれかである(なお、和訳の一部表記を改めた箇所やふりがなを振った箇所がある)。これらの記述を成立した年の古いものから順に並べたとき、3番目にくるものとして正しいものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
a 人は、自由、かつ、権利において平等なものとして生まれ、生存する。社会的区別は、共同の利益にもとづくものでなければ、設けられない。
b いかなる児童も、その私生活、家族、住居もしくは通信に対して恣意(しい)的にもしくは不法に干渉されまたは名誉および信用を不法に攻撃されない。
c 経済生活の秩序は、すべての人に、人たるに値する生存を保障することをめざす正義の諸原則に適合するものでなければならない。
d すべての人は平等に造(つく)られ、造物主によって一定の奪うことのできない権利を与えられ、その中には生命、自由および幸福の追求が含まれる。
①a ②b ③c ④d
#人権の拡大 #良問
問2解説
正解:③
復習用資料:政治分野第一章/人権の拡大
・(人権から見た)(政治経済の範囲内での)歴史の概略を主に聞いてきている問題
・一方で、勉強内容があやふやだと全然解けない問題でもある。よく考えられた良問である
・まず、各人権文書を適切に並べ替える
時代 | 主要な事件 | 今回問われた人権文書 |
---|---|---|
革命の時代 | アメリカ独立戦争 フランス革命 |
アメリカ独立宣言 フランス人権宣言 |
資本の時代 | 明治維新 | |
帝国の時代 | 日清戦争 日露戦争 |
|
世界大戦期 | ヴァイマル憲法 | |
冷戦期 | 子どもの権利条約 |
※今回の問題には関係ないが、アメリカ独立戦争とフランス革命なら前者が先。そもそもフランス革命の原因の一つが、「ただでさえフランス王国の国家財政大赤字なのに、アメリカ独立戦争にカネをドバドバ突っ込んだ」である
・よって、三番目はヴァイマル憲法である
・続いて、各人権文書の特徴を考えてみよう
人権文書 | 特徴 |
---|---|
アメリカ独立宣言 | 人間には、平等、自由、幸福追求といった基本的人権があるとし、それ故植民地は本国の暴政に抵抗し独立する、とする。即ち、人権保障の観点からアメリカは独立する、という論理構造になっている |
フランス人権宣言 | ルソーの平等思想とロックの抵抗権の思想の影響を受けている。「自由権と平等権の確認」「人権保障と権力分立の主張」「所有権の不可侵性の確認」という特徴がある |
ヴァイマル憲法 | 史上初めて社会権を明記した憲法 |
子どもの権利条約 | 子供の権利を守る趣旨の条約。子供を「保護すべき対象」でなく「権利行使の主体」とする |
・ここまできちんと勉強していれば、後は、消去法でもそうでなくても解ける
・まず消去法で考えみよう
b いかなる児童も、その私生活、家族、住居もしくは通信に対して恣意(しい)的にもしくは不法に干渉されまたは名誉および信用を不法に攻撃されない。
・明らかに子どもの権利条約である
・と言うかこれで子どもの権利条約じゃなかったら流石に悪問である
a 人は、自由、かつ、権利において平等なものとして生まれ、生存する。社会的区別は、共同の利益にもとづくものでなければ、設けられない。
d すべての人は平等に造(つく)られ、造物主によって一定の奪うことのできない権利を与えられ、その中には生命、自由および幸福の追求が含まれる。
・基本的人権、特に自由権と平等権が強調されている
・つまり、自由権や平等権を強調していたアメリカ独立宣言とフランス人権宣言である
⇒この問題を解く上では「どっちかがどっちか」でいいのだが、一応正解を言うと、dがアメリカ独立宣言、aがフランス人権宣言である。dの非常にキリスト教的な言い草は、アメリカ独立宣言でも特に有名な一節である
・ここまで来れば、消去法でcがヴァイマル憲法だと分かる
・一方、「他は知らんけどcがヴァイマル憲法だな?」で解く事も可能である
・ヴァイマル憲法と言えば、世界で初めて社会権を記した憲法として有名である
・ところで、社会権は戦後の日本でも保障されている
日本国憲法第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
・例えば↑は、社会権の中でもいわゆる生存権について記したものとして、非常に有名である
・そして労働基準法は、この生存権にも基づいて作られた側面がある
労働基準法第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
・cの文章と、非常によく似た条文である
・つまるところcは社会権について述べた文章であり、という事は、cがヴァイマル憲法だと考えられる
・よってcが正解、という形で解いてもよい
問3
障害者に関連して、生徒Xは、日本における障害者の権利について生徒Yと議論している。次の会話文中の空欄[ ア ]には後の記述aかb、空欄[ イ ]には後の記述cかdのいずれかが当てはまる。空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
X:障害を理由とした不利益な取扱いを禁止するだけで、障害者への平等を保障できるかな。[ ア ]という考え方によれば、より一層の機会を障害者に提供していく必要があるね。
Y:そうだね。それに、障害者への差別を解消するには、障害者がさまざまな場面で感じている不自由にも対応する必要があるよ。多くの社会制度や慣行が、障害のない者を前提にしているからね。
X:だから、障害者基本法は、それぞれの障害者が有する障害の特性に応じた配慮をして、障害者が日常生活や社会生活を送るときに障壁となるものを除去することを求めているよ。
Y:それが合理的配慮だといわれていて、その具体例としては、[ イ ]があるね。合理的配慮は、すべての人が障害の有無にかかわりなく共生する社会を作る上で大切なものといえるね。
アに当てはまる記述
aすべての人々を属性によらず画一的に扱って形式的平等を確保する
b人々の間にある格差の是正を積極的に図って実質的平等を確保する
イに当てはまる記述
c職場における構成員の多様性を確保して活力のある職場を作るために、障害者を積極的に採用すること
d周囲の物音に敏感で気が散って集中できないという障害のある人について、職場において静かな環境で作業に従事できるようにすること
①ア―a イ―c ②ア―a イ―d ③ア―b イ―c ④ア―b イ―d
問3解説
問4
外国人に関連して、生徒Xは、次の資料の最高裁判所判決(最高裁判所民事判例集49巻2号)を調べた。資料から読みとれる記述として最も適当なもの後の①~④のうちから一つ選べ。
資料 「憲法93条2項にいう「住民』とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当である。「憲法93条2項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第8章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて・・・(中略)・・・、法律をもって、地方公共団体の長。その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。」
①憲法第93条第2項にいう住民には日本に在留する外国人も含まれるので、地方公共団体と特段に緊密な関係にある永住者等であれば、国会は法律で外国人に対して地方公共団体における選挙権を与えることができる。
②憲法第93条第2項にいう住民には日本に在留する外国人は含まれないので、地方公共団体と特段に緊密な関係にある永住者等であっても、国会は法律で外国人に対して地方公共団体における選挙権を与えることができない。
③憲法第93条第2項にいう住民には日本に在留する外国人も含まれるが、地方公共団体と特段に緊密な関係にある永住者等であっても、国会は法律で外国人に対して地方公共団体における選挙権を与えることができない。
④憲法第93条第2項にいう住民には日本に在留する外国人は含まれないが、地方公共団体と特段に緊密な関係にある永住者等であれば、国会は法律で外国人に対して地方公共団体における選挙権を与えることができる。
問4解説
正解:④
復習用資料:政治分野第三章/選挙制度
問5
生徒は、日本において司法制度改革が推進される中で設けられたさまざまな仕組みについて調べた。これらの仕組みに関する記述として誤っているものを次の①~④のうちから一つ選べ。
①法テラス(日本司法支援センター)では、司法に関する情報提供や法律相談を受けることができる。
②被害者参加制度では、犯罪被害者やその家族が刑事裁判に裁判員として参加することができる。
③一定の事件における被疑者の取調べでは、録音・録画による記録が義務づけられている。
④知的財産高等裁判所では、特許権などの知的財産権(知的所有権)に関する訴訟が専門に扱われている。
問5解説
問5解説
正解:②
復習用資料:政治分野第三章/司法府(裁判所)
問6
生徒Yは、死刑制度に関する議論を調べ、次の資料1と資料2をみつけた(なお、資料1と資料2には表記を改めた箇所や省略した箇所がある)。資料1と資料2の内容を踏まえつつ、日本の死刑制度に関する記述として正しいものを、後の記述ア〜エから二つ選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
資料1(最高裁判所昭和23年大法廷判決・最高裁判所判例集・最高裁判所刑事判例集第3巻第6号)
「刑罰としての死刑そのものが、一般に直ちに憲法第36条にいわゆる残虐な刑罰に該当するとは考えられない。ただ死刑といえども…(中略)…その執行の方法等がその時代と環境とにおいて人道上の見地から一般に残虐性を有するものと認められる場合には、もちろんこれを残虐な刑罰といわねばならぬから、将来もし…(中略)…残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、その法律こそは、まさに憲法第36条に違反するものというべきである。」
資料2(団藤重光『死刑廃止論(第6版)』)
「かりに殺人の真犯人に対する死刑がいかに正義の要請だとしても、無実の者が処刑されることは…(中略)…とうてい許すべからざる不正義であります。また、犯罪予防論者から言えば、仮に無実の者が処刑される多少の心配があろうとも、死刑によって犯罪の予防ができさえすれば、それだけで十分に死刑制度の合理性があるという議論をするかも知れませんが、いやしくも無実の者が死刑になるという恐ろしき犠牲において犯罪の予防を重視するという論者がもしいるとすれば、私はその人の人間的なセンスを疑うものです。」
ア 資料1によれば、死刑の執行方法に残虐性があれば残虐な刑罰として禁止されるが、死刑自体は憲法第36条に直ちには違反しない。
イ 資料1は、死刑自体が違憲であるとする。実際、憲法によれば法の定める手続によっても国民の生命を奪いえない。
ウ 資料2によれば、死刑による犯罪予防効果が重要であるので、無実の者が誤って処罰されることもやむをえない。
エ 資料2は、死刑廃止の根拠として無実の者が誤って死刑にされる危険を重視する。実際、死刑判決確定後に再審で無罪となった事件がある。
①アとイ ②アとウ ③アとエ ④イとウ ⑤イとエ ⑥ウとエ
問6解説
正解:③
・完全に国語の問題。問題文本文と選択肢を見比べれば、自然と答えが出る
・以下、解説作成者が解いた時の思考を文字化していく
ア 資料1によれば、死刑の執行方法に残虐性があれば残虐な刑罰として禁止されるが、死刑自体は憲法第36条に直ちには違反しない。
・アは資料1に書いてある内容と概ね合っている
・恐らく正文だが、一旦判断を保留。次を見てみよう
イ 資料1は、死刑自体が違憲であるとする。実際、憲法によれば法の定める手続によっても国民の生命を奪いえない。
刑罰としての死刑そのものが、一般に直ちに憲法第36条にいわゆる残虐な刑罰に該当するとは考えられない
・イは資料1の初手の一文と明らかに矛盾する
・よってイはまず間違いなく誤文だろう。次を見てみよう
ウ 資料2によれば、死刑による犯罪予防効果が重要であるので、無実の者が誤って処罰されることもやむをえない。
無実の者が死刑になるという恐ろしき犠牲において犯罪の予防を重視するという論者がもしいるとすれば、私はその人の人間的なセンスを疑うものです
・ウは、資料2の全体の論調と明らかに矛盾する
・特に、最後の部分と驚くほど矛盾する
・よって、ウも間違いなく誤文だろう。という事はアとエが正文なのでは?
・一応、エも見てみよう
エ 資料2は、死刑廃止の根拠として無実の者が誤って死刑にされる危険を重視する。実際、死刑判決確定後に再審で無罪となった事件がある。
・エは、資料2に書いてある内容と概ね合っている
⇒後半は資料2の内容に書いていない話ではあるが事実だし、前半は概ね合っていると言える
・となると、やはり、あからさまに矛盾するイウが誤文で、アエが正文だろう
・よってアとエが正文、正解は③である
問7
労働に関連して、生徒Zは、日本における労働に関する法改正とその背景を整理した。次の記述ア~ウは、2010年以降に行われた労働に関する法改正の内容である。また、後の記述a~cは、それぞれこれらの法改正の背景となった事情である。記述ア~ウと記述a~cとの組合せとして最も適当なものを後の①~⑥のうちから一つ選べ。
ア 労働者が子の出生後8週間以内の時期に最大4週間の長さで取得できる(2回に分割することもできる)、出生時育児休業の仕組みが導入された。
イ 期間の定めのある労働契約が所定の期間を超えて更新されたとき、労働者の側で期間の定めのない労働契約に転換できる制度が導入された。
ウ 法定時間外労働の時間数について、使用者に対する罰則付きの上限規制が導入された。
a 有期契約を締結している労働者のうち、同一の使用者の下での勤続年数が5年を超えている労働者が約30%となっており、約360万人の労働者が有期契約を複数回にわたって更新していた。
b パートタイム労働者を除いた労働者について、年間の実際の労働時間が過去20年ほど2,000時間程度を維持したまま減少しておらず、過労死や過労自殺に対する対策が求められていた。
c ある権利について男性と女性とで権利行使の状況に大きな差が生じており、女性が権利行使した割合が80%を超えていたのに対して、男性が権利行使した割合は10%を下回っていた。
①ア―a イ―b ウ―c ②ア―a イ―c ウ―b
③ア―b イ―a ウ―c ④ア―b イ―c ウ―a
⑤ア―c イ―a ウ―b ⑥ア―c イ―b ウ―a
問7解説
正解:⑤
問8
投票率に関連して、生徒Yと生徒Zは、国政選挙の年代別投票率を調べ作成した次の表をみながら話し合っている。後の会話文中の空欄[ ア ]には後の記述a~cのいずれか、空欄[ イ ]には後の語句dかeが当てはまる。空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。
Z:表は、選挙権が18歳以上に拡大した後の4回の国政選挙の投票率をまとめたものだよ。
Y:表をみると[ ア ]。興味深いね。
Z:主権者としての政治参加のあり方を学校で学んだ直後だからかな。若者の選挙への関心を高めるにはどうすればいいのかな。
Y:そういえば、2013年の公職選挙法の改正でインターネットを利用した[ イ ]が認められていたね。その影響を調べてみようよ。
[ ア ]に当てはまる記述
aすべての国政選挙で、20代から60代までの投票率は、年代が上がるにつれて高くなっているね。また、すべての国政選挙で、18歳の投票率は20代の投票率を上回っているね
bすべての国政選挙で、60代の投票率が20代の投票率の2倍以上になっているね。また、すべての国政選挙で、10代の投票率は20代の投票率を上回っているね
cすべての国政選挙で、20代から60代までの投票率は、年代が上がるにつれて高くなっているね。また、すべての国政選挙で、19歳の投票率は20代の投票率を上回っているね
イに当てはまる語句
d選挙運動
e投票
①ア―a イ―d ②ア―a イ―e ③ア―b イ―d
④ア―b イ―e ⑤ア―c イ―d ⑥ア―c イ―e
問8解説
正解:①
第3問
※全く見る価値のないリード文省略
問1
経済が発展する過程に関連して、生徒Xは、ある経済学者の学説について調べて、次のメモを作成した。メモ中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる人名と語句との組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
メモ
発展途上国が経済成長を実現するには、経済学者[ ア ]の著書『経済学の国民的体系』の中の主張の一つである[ イ ]といった政策も必要ではないか。
① ア リスト イ 幼稚産業の保護
② ア リスト イ イノベーションの促進
③ ア シュンペーター イ 幼稚産業の保護
④ ア シュンペーター イ イノベーションの促進
問1解説
正解:①
復習用資料:経済分野第一章/資本主義
問2
政府の政策的な支援に関連して、生徒Yは、日本の農業の動向が気になり、日本の農業について学習を進めた。日本の農業の現状あるいは農業政策の現状に関する次の記述a~cのうち、正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。
a 農地が荒廃し、耕作放棄地が増加している。この対策の一つとして、農作物の生産拡大を図るため、2000年以降、食糧管理制度の導入により米以外の作物の生産が奨励され、農業所得の拡大が図られている。
b 農業就業者の後継者不足と高齢化の深刻さが増している。この対策の一つとして、若い後継者を確保するためにも、農作物のブランド化や生産・加販売までの一体化による高付加価値化が進められている。
c 食料自給率の低迷や食品の偽装表示などにより、食料の確保と安全が脅かされている。この対策の一つとして、食料安全保障の観点から、農産物の関税撤廃により海外農産物の輸入制限の強化が図られている。
①a ②b ③c ④aとb ⑤aとc ⑥bとc ⑦aとbとc
問2解説
・日本経済テーマ史の中でも「農業」について聞いてくる問題
問3
財政基盤に関連して、生徒Xと生徒Yは、授業で配付された次の図を参考にしながら、国の一般会計と地方財政の関係について話をしている。後の会話文中の下線部ア〜エのうち正しいものはどれか。当てはまるものを二つ選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。
X:国と地方の財政が関連しているとは思わなかったよ。税金も国税と地方税に分かれているしね。それにしても、国の一般会計の歳入や歳出では、公賃金や国債費の額も大きいね。
Y:公債金については、赤字国債が大きいのが原因だよね。ア赤字国債は、公共事業の財源に限定されて発行されるんだよ。地方財政なら地方債があるけど、地方財政の歳入は地方税が一番大きいね。
X:イ地方財政の歳入の一般財源は、歳入総額の半分以上になっているよ。私たちが納める税金は、地方税より国税の方が多いね。
Y:国税は、地方交付税の財源となるものと、ならないものに分かれているね。それに、ウ国税のうち地方交付税として配分する地方交付税対象税目は、その半分以上が地方交付税として地方へ配分されているんだね。
X:地方交付税は、交付税及び譲与税配付金特別会計を経由して地方財政に入ってくるね。この特別会計で地方交付税の金額が増えているよ。
Y:地方交付税は、地方自治体にとっては貴重な財源だね。エ地方債は、返済義務があるけれども重要な財源となっているね。
①下線部アと下線部イ ②下線部アと下線部ウ ③下線部アと下線部エ
④下線部イと下線部ウ ⑤下線部イと下線部エ ⑥下線部ウと下線部エ
問3解説
正解:⑤
復習用資料:政治分野第三章/地方自治
問4
貿易に関連して、生徒Xは、海外で模造(コピー)された日本のアニメ作品のキャラクター商品に対する国内販売差止めのニュースに関心をもち、関連する多角的貿易交渉(ラウンド)について調べた。知的財産権の保護が主な交渉内容となり、またWTO(世界貿易機関)の設立が合意されたラウンドの名称として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
①ドーハ・ラウンド ②東京ラウンド ③ウルグアイ・ラウンド ④ケネディ・ラウンド
問4解説
正解:③
復習用資料:経済分野第三章/国際経済通史
復習用資料:経済分野第三章/国際経済テーマ史
・GATTとWTOの実施したラウンド交渉の知識を聞いてくる問題
⇒私の授業では、国際経済通史と国際経済テーマ史の「1980年代以降のGATT/WTO」で扱っています
問5
財政基盤に関連して、生徒Yは、授業で紹介された次の資料をもとに、社会保障の費用とその財源について学んだ。また、授業では、政府が基礎的財政収(プライマリーバランス)の黒字化を目標にしていることも言及された。国の一般会計予算における社会保障の費用の増加額について資料から読みとれる内容として正しいものを後の記述アかイ、基礎的財政収支の黒字の状態を示した図として正しいものを後の図aか図bから選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
ア 社会保障の費用の増加額は、消費税の増加額よりも大きい。
イ 社会保障の費用の増加額は、消費税の増加額よりも小さい。
①アと図a ②アと図b ③イと図a ④イと図b
問5解説
正解:②
問6
経済格差に関連して、生徒は、日本における個人の経済格差について学習を進めた。経済格差に関する次の記述ア~ウのうち、正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。
ア ジニ係数が上昇した場合、所得格差が拡大したといえる。
イ 相続税の累進性を強化することにより、資産を多く相続する者の税負担が軽減される。
ウ 公的扶助には、所得再分配機能がある。
①ア ②イ ③ウ ④アとイ ⑤アとウ ⑥イとウ ⑦アとイとウ
問6解説
正解:⑤
復習用資料:経済分野第一章/財政、予算、会計
復習用資料:経済分野第一章/貧富の格差を表す指標
・貧富の格差を表す指標(と言うかジニ係数)と財政政策の知識を問うてくる、基本的な問題
・こういう簡単な知識問題は落とさないようにしたい。難問奇問より基本問題である
ア ジニ係数が上昇した場合、所得格差が拡大したといえる。
・ジニ係数は1に近ければ近いほど格差が大きく、0に近ければ近いほど平等、という指標である
・よって、アは正文である
イ 相続税の累進性を強化することにより、資産を多く相続する者の税負担が軽減される。
・財政政策、もしくは税のところでやる「累進課税」を理解していれば解ける選択肢
・累進課税は簡潔に言えば、金持ちからはガッツリ、貧乏人からは殆ど取らない税金である
・金持ちなら当然、沢山資産を相続する
・だから累進性が相続税の累進性が強ければ、沢山税金を払う事になる
・これは、イに書いてある内容とは全く逆である
・よって、イは誤文である
ウ 公的扶助には、所得再分配機能がある。
・財政政策には三つの機能がある、という話を覚えていれば解ける選択肢
・即ち、財政政策には資源配分調整機能、所得再分配機能、経済安定化機能(景気調整機能)がある
・そして所得再分配機能の典型例が、累進課税で集めたカネを社会保障で貧困層に配る事なのだ
・勿論、公的扶助も社会保障の一種である
・よって、ウは正文である
問7
公共財について、生徒Xは、社会環境が変われば公共財の状態も変化するのではないかと考え、次の事例ア~ウを想定した。これらの事例のうち、公共財としての公園が非排除性と非競合性の両方の性質を保つことができている事例として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。
ア 地方自治体が管理し市民が無料で利用していた公園の近くに、企業がテーマパークを作った。それ以降、公園は地方自治体が管理しつつ誰も利用しない状態になった。
イ 地方自治体が管理し市民が無料で利用していた公園を、企業が社会貢献の一環として管理する状況になった。それ以降、地方自治体が管理していた時と同じ利用方法のままで企業の管理が続いた。
ウ 地方自治体が管理する公園を市民に無料で開放していたが、多くの人が利用して公園内に荒れ地が目立つようになった。それ以降、地方自治体が公園への入場料金を徴収し管理するようになった。
①ア ②イ ③ウ ④アとイ ⑤アとウ ⑥イとウ ⑦アとイとウ
問7解説
正解:④
復習用資料:経済分野第一章/市場の失敗
問8
公共サービスに関連して、生徒Xと生徒Yは、多様化する行政へのニーズに対応するため、企業と同様に行政もリストラクチャリング(事業の再構築)が必要と考え、地方自治体のアウトソーシング(業務の外部委託)の例を示そうとした。地方自治体が新たにアウトソーシングをしたと考えられる例として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。
①地域経済の活性化のため、地方自治体が企業に雇用拡大の要請を行っていた。それに関連して、地方自治体が採用意欲のある企業の人事担当者に出席を求めて求職者相談会を催した。
②自然環境整備のため、地方自治体が地元企業と協力して植林事業を行っていた。それに関連して、間伐材を活用した地場産業の新商品の開発を行う部署を地方自治体内に新設した。
③住環境整備のため、地方自治体が特定地域にマンションを建設する事業者に助成金を出していた。それに関連して、他の地域のマンションの建設にも助成金を出すことになった。
④国際化の推進のため、地方自治体が国際交流センターを建設し自治体の職員が管理していた。それに関連して、公共施設運営の効率化に向けて同センターの管理を民間企業が請け負うことになった。
問8解説
正解:④
・問題文を全部読解すればそれだけで終わる、典型的な国語の問題である
・アウトソーシング(業務の外部委託)として正しい選択肢を選べばそれで正解となる
・言い換えれば、地方自治体がこれまで自前で行ってきた業務を、外部委託したものを選べばよい
・もっと言えば、「地方自治体で働いてる人の仕事量が減ったもの」を選べばよいのだ
①地域経済の活性化のため、地方自治体が企業に雇用拡大の要請を行っていた。それに関連して、地方自治体が採用意欲のある企業の人事担当者に出席を求めて求職者相談会を催した。
・この例は、「地方自治体がこれまで自前で行ってきた業務」の話ではない
・よって、①は誤文である
②自然環境整備のため、地方自治体が地元企業と協力して植林事業を行っていた。それに関連して、間伐材を活用した地場産業の新商品の開発を行う部署を地方自治体内に新設した。
・この例は、「地方自治体がこれまで自前で行ってきた業務」の話ではある
・しかし、その業務を「外部委託」したという話ではない
・あくまで、その地方自治体の中に新しい部署を作って、そこに任せる事になったというだけである
・よって、②は誤文である
③住環境整備のため、地方自治体が特定地域にマンションを建設する事業者に助成金を出していた。それに関連して、他の地域のマンションの建設にも助成金を出すことになった。
・この例も、「地方自治体がこれまで自前で行ってきた業務」の話ではある
・しかし、この例もまた、業務を「外部委託」したという話ではない
・助成金を出す業務が増えた、というだけである
・よって、③は誤文である
④国際化の推進のため、地方自治体が国際交流センターを建設し自治体の職員が管理していた。それに関連して、公共施設運営の効率化に向けて同センターの管理を民間企業が請け負うことになった。
・この例は、「地方自治体がこれまで自前で行ってきた業務」の話である
・今まで、地方自治体の職員が国際交流センターを管理していたのだ
・この管理業務を、外部の民間企業に委託しよう、という話である
・まさに、アウトソーシング(業務の外部委託)の例であると言えよう
・よって、④は正文である
第4問
※全く見る価値のないリード文省略
問1
仕事と家庭生活に関連して、生徒Xは、ディーセントワークの実現のための一つの視点として、消費の面から家庭生活について考えることにした。Xは、余暇時間と労働から得られる所得とが消費行動に与える影響について、身近な映画館のケースを需要の価格弾力性の分析に当てはめて考え、次のメモを作成した。メモ中の図は異なる二本の需要曲線(D1とD2)を描いたものである。メモ中の空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまる記号と語句との組合せとして正しいものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。
メモ
図中のD1とD2を比較すると、需要の価格弾力性が高いのは[ ア ]である。なぜなら、同じ価格の下での価格の変化に対する数量(需要量)の変化がもう一方と比較して[ イ ]からである。
D1とD2を異なる集団の人たちの需要曲線と考えてみる。たとえば、高校生と社会人という異なる二つの集団の需要曲線がそれぞれD1とD2のいずれかとする。
高校生は、社会人に比べて自由に使えるお金が少なく、自由に使える時間が多いと仮定する。映画館の料金では、学生割引が設定されている場合がある。映画館は高校生の需要曲線が[ ウ ]であると想定し、入館者と収益の増加を期待していると考えることができる。
①ア―D1 イ―大きい ウ―D1 ②ア―D1 イ―大きい ウ―D2
③ア―D1 イ―小さい ウ―D1 ④ア―D1 イ―小さい ウ―D2
⑤ア―D2 イ―大きい ウ―D1 ⑥ア―D2 イ―大きい ウ―D2
⑦ア―D2 イ―小さい ウ―D1 ⑧ア―D2 イ―小さい ウ―D2
問1解説
正解:①
復習用資料:経済分野第一章/需要供給曲線
問2
賃金に関連して、生徒Xと生徒Yは、労働者の生活の基盤として賃金と労働時間の果たす役割が重要だと考えた。そこで、日本、アメリカ、ドイツの名目賃金、実質賃金、年間総実労働時間について調べ、次の図1~3を作成した。なお、名目賃金とは各国通貨単位の賃金総額を被雇用者数で割って算出された値であり、実質賃金とは名目賃金を消費者物価指数で割って算出された値である。図1~3から読みとれる内容をまとめた後のメモ中の空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。
メモ
図1をみると、名目賃金指数は、日本が総じて横ばいであるのに対して、アメリカとドイツは上昇傾向になっていることがわかる。次に図3をみると、年間総実労働時間はいずれの国も[ ア ]傾向になっていることから、単位時間あたりの名目賃金は、すべての国で[ イ ]したことがわかる。また、図1と図2から、名目賃金指数と実質賃金指数の動きを比較してみると、日本では実質賃金指数も総じて横ばいであることから、物価が大きく変動していないことがわかる。一方で、アメリカとドイツの両指数をみると、物価は[ ウ ]していたことがわかる。
① ア 増加 イ 上昇 ウ 上昇
② ア 増加 イ 上昇 ウ 低下
③ ア 増加 イ 低下 ウ 上昇
④ ア 増加 イ 低下 ウ 低下
⑤ ア 減少 イ 上昇 ウ 上昇
⑥ ア 減少 イ 上昇 ウ 低下
⑦ ア 減少 イ 低下 ウ 上昇
⑧ ア 減少 イ 低下 ウ 低下
問2解説
正解:⑤
問3
消費に関連して、生徒Yは、所得と消費の関係に注目し、この関係について整理するために、家計に関する政府統計のデータを調べた。その際に、可処分所得の増加に伴って平均消費性向が低下する傾向にあることを知った。Yは、この傾向と所得格差が消費にどのような影響を与えるかについて考察するために、次の表のようなモデルケースを考え、後のメモを作成した。メモ中の空欄アには後の記述aかb、空欄イには後の記述c〜eのいずれかが当てはまる。空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまるものの組合せとして正しいものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。
メモ
○消費支出は、可処分所得から行われる。各個人の直接税や社会保険料といった支出は消費支出に[ ア ]。
○可処分所得に占める消費支出の割合を平均消費性向という。5人の可処分所得がすべて等しい場合(ケースA)と、異なる場合(ケースB)とを比較する。それぞれのケースの消費支出は、表の可処分所得と平均消費性向から算出され、その合計額は[ イ ]。
アに当てはまる記述
a 含まれる
b 含まれない
イに当てはまる記述
c ケースAの方がケースBよりも大きい
d ケースAの方がケースBよりも小さい
e ケースAとケースBで等しい
①ア―a イ―c ②ア―a イ―d ③ア―a イ―e
④ア―b イ―c ⑤ア―b イ―d ⑥ア―b イ―e
問4解説
正解:④
問4
企業による労働環境の改善について、生徒Xと生徒Yは、ある企業の人事担当者に聞き取り調査を行い、その結果を次のメモにまとめた。後の語句a~cのうち、メモの内容から読みとれる、この企業が取り入れている仕組みとして正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
労働環境改善の取組みに関する聞き取り調査 2022年8月23日
1、育児や介護などを行う従業員を対象に在宅勤務制度を導入
・Web会議システムを活用
・専用のソフトウェアを利用して勤務状況を記録
2、残業体質からの脱却と休み方の改善
・残業時間に上限を設定
・朝食を無料提供し朝型勤務を促進
・有給休暇の積極的な取得を推奨
3、従業員が出社と退社の時刻を一定の時間帯の中で自由に決められるようにする制度を導入
・さらにコアタイム(必ず出勤していなければならない時間帯)を縮小
4、従業員の意識向上のための取組み
・ハラスメント防止講習の実施
・従業員の相談窓口の設置
5、労働環境改善の制度を提案するプロジェクトチームを組織
a フレックスタイム制
b テレワーク
c 高度プロフェッショナル制度
①a ②b ③c ④aとb ⑤aとc ⑥bとc ⑦aとbとc
問4解説
正解:④
復習用資料:経済分野第二章/労働問題
問5
国による法制度の整備に関連して、生徒Xは、国による法整備について調べる中で、さまざまな社会問題に対応するために、私法の基本原則に対して、例外が設けられたり修正が加えられたりしている例に気づいた。次の記述ア~ウは、それぞれ大気汚染防止法、土地収用法、労働基準法のいずれかの条文である(なお、一部表記を改めた箇所や省略した箇所がある)。これらの条文は、後の記述a~cのいずれかの私法の基本原則の例外や修正となる内容を含んでいる。記述ア~ウと記述a~cとの組合せとして最も適当なものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。
ア この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。
イ 公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正かつ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを収用し、または使用することができる。
ウ 工場または事業場における事業活動に伴う健康被害物質の大気中への排出により、人の生命または身体を害したときは、当該排出に係る事業者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。
a 私人間の権利義務関係は、私人が合意により自由に決定し規律できるという原則
b 故意または過失により、他人に損害を与えた場合にのみ責任を負うという原則
c 自身の所有する物について、自由に使用したり、そこから利益を得たり、処分したりすることができるという原則
①ア―a イ―b ウ―c ②ア―a イ―c ウ―b
③ア―b イ―a ウ―c ④ア―b イ―c ウ―a
⑤ア―c イ―a ウ―b ⑥ア―c イ―b ウ―a
問5解説
正解:②
問6
ディーセント・ワークの日本での実現に関する発表について、次の発表原稿は生徒Xと生徒Yがクラスで発表する内容の一部であり、後の図は発表で使用するものである。発表原稿中の空欄ア~ウに当てはまるものとして正しいものを、それぞれ図中のa〜cから一つずつ選び、その組合せとして正しいものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。
発表原稿
ここまでの発表では、日本の労働者の賃金や消費、働き方の現状を紹介してきました。そして、現状の改善のための政府や企業による取組みについて、私たちが調査したことを報告しました。国や企業の側による取組みだけでなく、労働者の側が自ら権利実現のために制度を活用することも重要です。
労働者の権利実現に従来から大きな役割を果たしてきた組織として、労働組合があります。図中の[ ア ]は、労働組合の組織率を表したものです。労働組合は、労働条件の改善や賃金の引上げなどを求めて企業と交渉を行い、交渉がまとまらないときにはストライキを行うこともあります。
こうした労働組合と企業との間に生じる労働争議は、集団的労働関係紛争とも呼ばれます。それに対して、労働者個々人と企業との間の紛争は、個別的労働関係紛争と呼ばれます。そのような紛争を解決する機関の一つとして裁判所があります。裁判所では、民事訴訟や労働審判によって、個別的労働関係紛争を扱って
います。図中の[ イ ]は労働関係の民事訴訟の件数の推移、[ ウ ]は労働審判の件数の推移を表しています。とくに、リーマン・ショック後の時期に、これらの件数が急増しています。この理由としては、経済情勢の悪化だけでなく、労働者の権利意識の向上や職場の雇用形態の多様化が指摘されることがあります。
これら以外にも紛争解決のためのさまざまな制度が作られています。たとえば、行政の機関による相談や斡旋などの制度があります。
以上のような多様な制度をさらに利用しやすくしていくことが、ディーセント・ワークの実現につながるのではないかと思います。
①ア―a イ―b ウ―c ②ア―a イ―c ウ―b
③ア―b イ―a ウ―c ④ア―b イ―c ウ―a
⑤ア―c イ―a ウ―b ⑥ア―c イ―b ウ―a
問6解説
正解:⑥
復習用資料:経済分野第二章/労働問題