令和四年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第1問 問3
問題
K寺の門前町として栄えたJ市に関連して、J市とK寺のかかわり合いに関心がある生徒は、「政治・経済」の授業で学習した政教分離原則のことを思い出し、政教分離原則に関する最高裁判所の判例について調べてみた。最高裁判所の判例に関する次の記述ア~ウのうち、正しいものはどれか。当てはまる記述をすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。
ア 津地鎮祭訴訟の最高裁判決では、市が体育館の起工に際して神社神道固有の祭式にのっとり地鎮祭を行ったことは、憲法が禁止する宗教的活動にあたるとされた。
イ 愛媛玉ぐし料訴訟の最高裁判決では、県が神社に対して公金から玉ぐし料を支出したことは、憲法が禁止する公金の支出にあたるとされた。
ウ 空知太(そらちぶと)神社訴訟の最高裁判決では、市が神社に市有地を無償で使用させていたことは、憲法が禁止する宗教団体に対する特権の付与にあたるとされた。
①ア ②イ ③ウ ④アとイ ⑤アとウ ⑥イとウ ⑦アとイとウ
解説
正解:⑥
復習用資料:政治分野第二章/日本国憲法と人権(自由権)
・非常に基本的な、精神的自由(の中でも信教の自由)の知識についての問題である
・こういう問題は、是非とも落とさないようにしてほしい
⇒何度でも言うが、受験は「難問奇問がいくら解けるか」ではなく「基本的な問題をどれだけ落とさないか」が鍵である
ア 津地鎮祭訴訟の最高裁判決では、市が体育館の起工に際して神社神道固有の祭式にのっとり地鎮祭を行ったことは、憲法が禁止する宗教的活動にあたるとされた。
・津地鎮祭訴訟は、最高裁で合憲判決が出ている
⇒地鎮祭ぐらいどこの誰でもやってるでしょ、という形
・よって、アは誤文である
イ 愛媛玉ぐし料訴訟の最高裁判決では、県が神社に対して公金から玉ぐし料を支出したことは、憲法が禁止する公金の支出にあたるとされた。
・愛媛県靖国神社玉串料訴訟は、最高裁で違憲判決が出ている
⇒違憲判決を出すのに反対だった裁判官が「津地鎮祭訴訟と何が違うんだよ。靖国神社ってビッグネームにビビってるだけじゃねーのか(大意)」とキレキレ意見を出した判決である
・よって、イは正文である
ウ 空知太(そらちぶと)神社訴訟の最高裁判決では、市が神社に市有地を無償で使用させていたことは、憲法が禁止する宗教団体に対する特権の付与にあたるとされた。
・空知太神社訴訟の最高裁判決では、違憲判決が出ている
⇒「公有地を無償で神社へ貸与するのは違憲」とした裁判。同時に「公有地を無償で神社へ譲渡するのは合憲」とした裁判でもあり、傍から見ると「なんでやねんねんねん」となる裁判である
・よって、ウは正文である