令和四年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第3問 問2

問題

雇用環境に関連して、生徒Yは、日本の失業について詳しく知りたいと考え、「労働力調査」の「用語の定義」から15歳以上人口の分類を調べ、次の資料にまとめた。その上で、Yはある月の月末1週間の状況として、後のA~Cの3人のモデルケースを作成し、3人の就業状態を分類した。資料中の空欄[ ア ]に入る語句と空欄イに入る分類の図の組合せとして正しいものを、後の①~③のうちから一つ選べ。

  • 15歳以上人口は、労働力人口と非労働力人口からなる。
    • →この15歳以上人口は、生産年齢人口と[ ア ]
  • 労働力人口は、就業者と完全失業者からなる。(調査週間は月末1週間)
    • 就業者は、従業者と休業者からなる。
      • 従業者は、収入を伴う仕事を1時間以上した者。
      • 休業者は、仕事をもちながら、調査週間中に少しも仕事をしなかったものの、賃金等の支払いを受けた者、または受けることになっている者。
    • 完全失業者は、次の三つの条件を満たす者。
      • 仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった。
      • 仕事があればすぐに就くことができる。
      • 調査週間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)。

⇒これらに従った3人のモデルケースの正しい分類は[ イ ]である。

※非労働力人口は、通学、家事、高齢などの理由で仕事をしていない者。

[ ア ]に入る語句
a一致する   b一致しない

①ア―a イ―図1   ②ア―a イ―図2   ③ア―a イ―図3   ④ア―a イ―図4
⑤ア―b イ―図1   ⑥ア―b イ―図2   ⑦ア―b イ―図3   ⑧ア―b イ―図4

#国語問題

解説

正解:⑦

・かなり難しい国語の問題である
・アで常識を問うてきた上で、イで読解力を問うてくる二段構えの構成になっている
・しかも解くのに時間がかかる…と、これ政治経済で出していい問題なのかな……

●15歳以上人口は、労働力人口と非労働力人口からなる。
 この15歳以上人口は、生産年齢人口と[ ア ]
●労働力人口は、就業者と完全失業者からなる

・まずは常識を聞いてくるところである
・「ナントカカントカ人口」が複数出てくるが、常識に従ってその意味を類推する必要がある

・「15歳以上人口」は、「15歳以上の人間が何人いるか」だろう
・その後、「労働力人口」と「非労働力人口」という単語が出てくるが、これは目くらましである
・アは、あくまで「15歳以上人口」が「生産年齢人口」と同じかどうかを聞いてきている
・しかも「15歳以上人口」はどういうものかは、名前を見れば大体類推できる
・だからここで、「労働力人口」と「非労働力人口」についてウンウン悩む必要はない
・むしろそのせいで問題を誤る可能性が高く、ここは一旦無視しよう

・では、「生産年齢人口」は何か?
・これはこの後二度と出てこない単語であり、意味は類推するしかない

・ここで、ちょっと考えてみよう
・例えば、三十歳は「生産年齢人口」と言えそうだろうか?
・生産と言うと工場で機械を動かして商品を作るとかやっていそうだが、三十歳ならやっていそうである
・続いて、六十歳は「生産年齢人口」と言えそうだろうか?
・一昔前なら定年退職で引退して年金生活に入り始める歳であり、微妙そうである
・では、百歳は「生産年齢人口」と言えそうだろうか?
・百歳を工場で働かせる…老人虐待としか思えないだろう

・このように考えてくると、「生産年齢人口」が何か見えてくる
・要は、生産活動(経済活動の中でも商品を作る側の活動)を主に担う年齢の人間が何人いるか、である
・となると、「生産年齢人口」は「15歳以上人口」とは異なる、という事になる
・何せ、九十歳も百歳も百十歳も、「15歳以上」なのだ

[ ア ]に入る語句
a一致する   b一致しない

・よって、アはb「一致しない」である

●労働力人口は、就業者と完全失業者からなる。(調査週間は月末1週間)
 ○就業者は、従業者と休業者からなる。
  ・従業者は、収入を伴う仕事を1時間以上した者。
  ・休業者は、仕事をもちながら、調査週間中に少しも仕事をしなかったものの、賃金等の支払いを受けた者、または受けることになっている者。

・続いてイを考えていこう。まずはABCのどれが就業者か割り出してみよう

・Cを見ると、「調査週間中に1日臨時の仕事を得た」とある
・そして就業者の一種たる従業者は「収入を伴う仕事を1時間以上した者」である

・となると、Cは就業者の可能性が高い
⇒臨時の日雇い仕事とは言え、1日仕事をしている訳で、まず間違いなく1時間以上仕事をしている
⇒むろん、「でもこの“1日臨時の仕事”って、収入を伴うとは書いてないな…」「いやでも普通、収入を伴わないものを仕事とは言わんな…」「うーん微妙」となるのは事実。こういう時は一旦、「多分Cが就業者じゃない?」と考えながら次に行ってみよう

 ○完全失業者は、次の三つの条件を満たす者。
  ・仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった。
  ・仕事があればすぐに就くことができる。
  ・調査週間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)。

・次は、完全失業者を探してみよう
・AもBも仕事はしておらず、また求職活動もしているので、どちらも完全失業者に該当しそうに見える
・しかしよく見ると、Bが求職活動していたのは以前の話であり、今回の調査週間中はしていない
・一方、Aはアルバイトに応募している

・となると、Aは完全失業者の可能性が高い

※非労働力人口は、通学、家事、高齢などの理由で仕事をしていない者。

・最後に、非労働力人口を見てみよう
・AもBも現在仕事をしていないのは同じ、また勉強しているのも同じである
※Aは大学生、Bは資格取得の勉強中
・そして既に見たように、Aは求職活動をしており、Bは勉強に集中している
・「通学、家事、高齢などの理由で仕事をしていない」により適合するのは、Bと言えるだろう

・となると、Bは非労働力人口の可能性が高い

・よって、Cが就業者、Aが完全失業者、Bが非労働力人口であると考えられるのである

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