令和七年度 大学入学共通テスト試作問題 公共、政治・経済 第2問 問4

問題

生徒Xたちは、最終発表に向け、人口減少及び高齢化が進行する自らの地域において、高齢者がよりよい生活を送るためにはどのような施策が考えられるかということについて話し合った。次の会話文中の( A )~( C )に当てはまる文の組合せとして最も適当なものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。

X:人口減少、高齢化が進行している私たちの住む地域の中で、どのような施策が考えられるだろうか。
Y:私たちの住む地域は高齢者世帯が多いことから、行政主体での、希望するすべての高齢者世帯への家事援助や配食サービスの実施を提案してはどうだろう。
X:公正を重視した提案だね。新たな社会保障の施策を考える時に大切な考え方だ。では、効率の面からはどうかな。
Z:効率の面からみると、( A )。
Y:そうだね。Zさんの発言に加えると、( B )ということも考えられるから効率的だし、地元にもメリットがあるね。
W:でも、効率が安易に追求されすぎて、利用者の生活の質(QOL)が損なわれることになってはいけない。提供されるサービスの質を確保し、すべての利用者が適切にサービスを受けられるという公正さの確保も大切なことだ。だから( C )とよいのではないかな。
X:施策を考えるには、様々な視点や立場から検討することが大切だね。

( A )に入る文
ア このようなサービスは、新たに行政が始めるよりも、入札を実施して、ノウハウをもつ民間企業に委ね、サービスの提供に関わる費用を行政が負担して提供する方がよいのではないかな
イ このようなサービスは、各自治体が住民の求めるすべてのサービスに対応できるようにするために、ニーズの有無に関わらず大きな組織を複数作って提供する方がよいのではないかな

( B )に入る文
ウ 行政に幾つもの新しい組織が作られることで、その運営に関わる費用が多少増えても、多くの組織が作られることによる新たな雇用の創出が期待できる
エ 企業は業務を請け負い、また利潤を得るために無駄な経費を抑えるだろうし、また、その地域で新たな雇用の創出が期待できる

( C )に入る文
オ 行政には、すべての企業がその規模や過去の実績に関わらず入札に参加できる機会の公正を確保する役割を担ってもらう
カ 行政には、企業から高齢者世帯へのサービスの提供後に、その内容を点検することによって公正さを確保する役割を担ってもらう

①A-アB-ウC-オ   ②A-アB-ウC-カ   ③A-アB-エC-オ   ④A-アB-エC-カ
⑤A-イB-ウC-オ   ⑥A-イB-ウC-カ   ⑦A-イB-エC-オ   ⑧A-イB-エC-カ

#国語問題

解説

正解:④

 完全に国語の問題。社会科の知識とか特に関係はない。
 話の展開としては、まず、「高齢者向けサービスは、公正さを考えると、行政主体でやった方がいいよね」という話で始まり、その後、「でも効率という面から見ると( A )だよね」という話に繋がる。これを受けて「( A )をやるなら( B )ってことが考えられるよね」という話になる。そして、「効率追求ばっかりにした結果、サービスの質が下がったらマズイから、( C )をしよう」という展開である。
 選択肢を見ると、( A )の選択肢は、アの「企業にやらせる」かイの「行政主体でやる」かである。この二つの選択肢の中で、イの「行政主体でやる」の文章は、明らかに効率性について考えていない。公正さのみを頭に入れて語っている。この時点で、( A )はアが正解の可能性が高い。
 また、( B )の選択肢は、( A )で「企業にやらせる」を選んだか、「行政主体でやる」を選んだかで変動するような内容である。また、( C )の選択肢を見ると、どちらの選択肢も「企業にやらせる」話が行われている事を前提にした内容になっている。こう考えると、( A )の時点で「企業にやらせる」選択肢を選んでいなければならない。
 このように考えてくると、( A )はアの「企業にやらせる」が正解と考えられる。また、( B )は、エの企業関係の選択肢が正解だと考えられる。
 最後の( C )だが、どちらの選択肢も「企業にやらせる」としてどのように公正さを確保するかについて語っている。そして会話文を読む限り、「利用者(高齢者)が酷い目に遭わない」という意味での公正さの話が行われている。よって、そのような意図での公正さについて語っているカが正解になる。

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