令和七年度 大学入学共通テスト試作問題 公共、政治・経済 第3問 問3
問題
一票の格差について、生徒Xは、1980年以降の衆議院議員総選挙における最大格差を調べ、その結果をまとめた次の表を作成した。表で示されている内容に関する記述として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
総選挙の実施年 | 1980年 | 1983年 | 1986年 | 1990年 | 1993年 | 1996年 |
一票の格差 | 3.94 | 4.40 | 2.92 | 3.18 | 2.82 | 2.31 |
総選挙の実施年 | 2000年 | 2005年 | 2009年 | 2012年 | 2014年 | 2017年 |
一票の格差 | 2.47 | 2.17 | 2.30 | 2.43 | 2.13 | 1.98 |
(出所)裁判所Webページにより作成。
①中選挙区制の下で実施された総選挙では、いずれも一票の格差が4.00を超えることはなかった。
②小選挙区比例代表並立制の導入以降の総選挙では、いずれも一票の格差は2.50を下回っている。
③2000年以降の総選挙に関して、最高裁判所が一票の格差を違憲状態と判断したことはなかった。
④1980年の総選挙に比べて2017年の総選挙は投票率が高かったため、一票の格差も小さくなっている。
解説
正解:②
復習用資料:政治分野第三章/選挙制度
復習用資料:政治分野第三章/現代日本の政党政治
・選挙制度そのものと言うよりは、歴史知識について聞いてくる問題
・と言うのは、1991年から1993年は、四つの事件が重なる非常に重要な時期である
1:現代日本(令和六年現在)最後の好景気が終わった(1991-1993/バブル崩壊)
2:五十五年体制が崩壊した(1993/細川内閣成立)
3:ソ連が崩壊し、冷戦という時代が完全に終わった(1991)
4:湾岸戦争(イラク共和国軍のクウェート侵攻による戦争発生そのものは前年夏だが、「クウェート解放戦争」「多国籍軍vsイラク共和国軍」としての湾岸戦争は1991年)
・そして、「腐敗政治の打破」を掲げた細川内閣の目玉政策が、「政治改革関連四法」である
・これによって中選挙区制がなくなり、現在の小選挙区比例代表並立制が成立したのだった
・…という知識があれば、解ける問題である
⇒即ち、「あー、細川内閣は1993年の選挙で成立してるから、その次の選挙から小選挙区比例代表並立制に切り替わったんだな」となり、表を読み取って正答を導く事ができる
・とは言え、そこまでできる高校生は多くないと思われ、難問と言えるだろう