令和七年度 大学入学共通テスト試作問題 公共、政治・経済 第3問 問4
問題
拒否権について、生徒Yは、東西冷戦の対立構図の下、国際連合(国連)の安全保障理事会が、常任理事国の拒否権の頻繁な発動により十分な役割を果たせなかったことに関心をもった。そこでYは、常任理事国が拒否権を行使した回数を調べて次の表を作成し、その背景にあるできごとについて推察した。表から推察できる内容の記述として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
期間 | アメリカ | イギリス | ソ連(ロシア) | 中国 | フランス |
---|---|---|---|---|---|
1946〜1960年 | 0 | 2 | 96 | 1 | 4 |
1961〜1975年 | 12 | 11 | 18 | 2 | 2 |
1976〜1990年 | 57 | 19 | 6 | 0 | 12 |
1991〜2005年 | 12 | 0 | 3 | 2 | 0 |
2006〜2020年 | 6 | 0 | 24 | 13 | 0 |
(注)1946年から1971年まで中国の代表権は中華民国(台湾)がもっていた。また、1991年のソ連の解体後、ソ連の地位はロシアが継承した。
(出所)United Nations Webページにより作成。
①1946~1960年の期間では、常任理事国のうちソ連が最も多く拒否権を行使しているが、その中には朝鮮戦争に関連する決議が含まれる。
②1961~1975年の期間では、常任理事国のうちイギリスが最も多く拒否権を行使しているが、その中にはベトナム戦争に関連する決議が含まれる。
③1976~1990年の期間では、常任理事国のうちアメリカが最も多く拒否権を行使しているが、その中にはキューバ危機に関連する決議が含まれる。
④2006~2020年の期間では、常任理事国のうちロシアが最も多く拒否権を行使しているが、その中には湾岸戦争に関連する決議が含まれる。
解説
正解:①
復習用資料:政治分野第四章/戦後国際政治史―ColdWar
復習用資料:政治分野第四章/国際連合
・戦後国際政治史について問う問題に見せかけて、むしろ、国際連合について聞いている問題。即ち…
・国際連合には安全保障理事会がある
・安全保障理事会には常任理事国というのがいて、拒否権を持っている
・安全保障理事会が拒否権発動で機能不全に陥った時の為に、平和の為の結集決議というのがある
・上記決議は、冷戦初期、朝鮮戦争の際にソ連が拒否権を発動した為にできた
・…という事が分かっていれば、①が正解だという事が分かる
※②~④の選択肢については、問題作成者の方でも「どこがどう間違っているという事を、受験生が知っている」とは想定していないと思われる