令和七年度 大学入学共通テスト試作問題 公共、政治・経済 第3問 問5
問題
最高裁判所の仕組みに関心をもった生徒Xは、裁判所法を調べ、最高裁判所の違憲審査権の行使に関する部分について次のメモを作成した。なお、メモには、表記を改めた箇所やふりがなを振った箇所がある。メモから読み取れる、最高裁判所における裁判に関する記述として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
メモ
第9条第1項 最高裁判所は、大法廷又は小法廷で審理及び裁判をする。
第10条 事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
一 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。)
二 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。
三 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。
①法律が憲法に適合しないとの裁判は、最高裁判所の定めるところに反しない限り、小法廷において行うことができる。
②法律が憲法に適合しないとの裁判は、それが当事者の主張に基くか否かにかかわらず、小法廷において行うことはできない。
③法律が憲法に適合するとの裁判は、その意見が前に大法廷で行った裁判と異なるときであっても、小法廷において行うことができる。
④法律が憲法に適合するとの裁判は、その意見が前に大法廷で行った裁判と同一である場合には、大法廷において行うことはできない。
解説
正解:②
・ザ・論理国語で出せ案件
・論理国語で出すのであれば、よく考えなければ解けない良問と言えるが、政治経済で出すのは…
・時間がかかるので、実際の試験では、一旦飛ばした方がいいような問題でもある
・選択肢は全て、「法律が憲法に適合する・しない」の判断を「小法廷」でできるか? という話である
※④だけ「大法廷でできない」ではあるが、それは裏を返せば「小法廷でやる」という意味である
・「法律が憲法に適合する・しない」とは即ち、法律が合憲か違憲かという話である
・ここで問題文のメモを見ると、以下の事が分かる
十条一:「当事者の主張に基いて」裁判する場合、小法廷では「合憲判決も違憲判決も出せない」
十条二:「当事者の主張に基かない」裁判の場合でも、小法廷では「違憲判決は出せない」
十条三:最高裁判所の以前の判断と違う判決を出す場合は、小法廷ではできない
・上記を元に考えてみると…
①「小法廷は違憲判決を出せる」←出せません(十条一、十条二)
②「小法廷は違憲判決を出せない」←そうです(十条一、十条二)
③「小法廷は合憲判決を出せる」「最高裁の以前の見解と違っても小法廷でできる」←できません(十条三)
④「最高裁の以前の見解と同じ合憲判決は、大法廷でやった駄目」←メモの何処にもそんな話は無い
・…という形で②が正解だと分かる