令和七年度 大学入学共通テスト試作問題 公共、政治・経済 第4問 問1

問題

日本経済について、生徒Xは、第二次世界大戦後の日本経済の歩みを調べ、次のア~ウのグラフを作成した。これらは、それぞれ1970年代、1990年代、2010年代のいずれかの消費者物価指数の変化率(対前年比)と完全失業率との推移を示したものである。グラフの横軸は「年」を表し、10年間について1年ごとの目盛り間隔となっている。このとき、これらを年代の古いものから順に並べたものとして正しいものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。

①ア→イ→ウ   ②ア→ウ→イ   ③イ→ア→ウ
④イ→ウ→ア   ⑤ウ→ア→イ   ⑥ウ→イ→ア

#日本経済通史

解説

正解:③
復習用資料:経済分野第四章/安定成長期
復習用資料:経済分野第四章/失われた三十年

・日本経済史を覚えた上で、図表を正しく読み取れないと解けない良問
・まず、それぞれの年代の特徴を挙げてみよう

年代 特徴
1970年代 ・日本国の高度経済成長期が、二度の石油危機で完全に終わる
・ニクソンショックとその後のゴタゴタで、ブレトン=ウッズ体制が崩壊する
1990年代 ・現代日本(令和六年現在)最後の好景気が終わった(1991-1993/バブル崩壊)
・五十五年体制が崩壊した(1993/細川内閣成立)
・ソ連が崩壊し、冷戦という時代が完全に終わった(1991)
・湾岸戦争(イラク共和国軍のクウェート侵攻による戦争発生そのものは前年夏だが、「クウェート解放戦争」「多国籍軍vsイラク共和国軍」としての湾岸戦争は1991年)
2010年代 ・東日本大震災(2011年)
・民主党下野、第二次安倍晋三内閣成立(2012年末)
・いわゆるアベノミクスの実施

・これを頭に入れた上で、各図表を読み取ればよい

・例えばアは、1年から急激にデフレ傾向となり(■が下がる)、失業率(△)が右肩上がりになっている
・つまりアは、1年から大不況になったと考えられる
⇒という事は、1991年からバブル崩壊が始まる1990年代の可能性が高い

・同様にウは、最初3%ほどあった完全失業率が一貫して下がっている
・という事は、2010年代の可能性が高い
⇒2010年代は、2000年代末のリーマンショックによる大不況直後であり、最初から完全失業率が高くて当然。そしてまた、2010年代は、アベノミクス実施で景気が回復していった(少なくとも失業率は下がった)時代である

・一番分かりにくいのがイである
・何が分かりにくいかと言うと、石油危機は二回あったのに、イでは大インフレが一回しか起きていない
⇒実際のところ、二回目の石油危機は日本国経済には(比較的)大きな影響を与えなかったのだが…とは言え…うーん……という感じで悩む事になる

・ただ、消去法でイが1970年代という事は分かるだろう

・結果として、答えは以下のようになる

イ(1970年代) ⇒ ア(1990年代) ⇒ ウ(2010年代)

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