令和七年度 大学入学共通テスト試作問題 公共、政治・経済 第5問 問1

問題

探究する学習を始めるにあたり、先生Tが「日本経済は歴史のなかでさまざまな変化を経験してきており、現在も変わり続けています。こうした現代につながる歴史を知った上で、現代社会を理解することが大切です。」と述べた。日本経済の変化に関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

①1980年代には貿易摩擦の激化を背景として、日本が外需主導型経済へ転換することが求められた。
②2000年代に入ると、小泉純一郎内閣の下で構造改革が進められたが、これはいわゆる大きな政府を志向するものであった。
③近年進行してきた、モノそれ自体よりも知識や情報の重要性が高まっていく変化のことを、産業の空洞化という。
④企業の組織再編の加速を目的に設立が解禁された、株式の所有を通じて他の企業を支配することを主たる業務とする会社のことを、持株会社という。

#日本経済通史

解説

正解:④
復習用資料:経済分野第四章/安定成長期
復習用資料:経済分野第四章/失われた三十年

・消去法でも、「④が正解だ!」「他は知らんけど」でも解ける問題である
⇒ただ、日本経済史は頻出のお題な割に、公共・政治経済の授業ではあんまりきっちりやらない(私の授業ではきっちりやるけど)。本問の全選択肢ぐらいなら解説できるぐらい、しっかり勉強しておきたい

・①は、外需主導型という部分が間違い
・そもそも、日本国が外国(主に米国)へ物凄い勢いで輸出しているから、貿易摩擦になるのである
・そこで外需主導(沢山商品を輸出しましょう)型経済への転換を求めてどうする…という話で……

・②の小泉内閣は、大きな政府ではなく、小さな政府志向である
⇒1980年代以降の日本国の内閣では、中曽根内閣、橋本内閣、小泉内閣が新自由主義的で小さな政府志向だと覚えておこう

中曽根康弘内閣:1980年代に新自由主義的な政策を日本で初めて行った
橋本龍太郎内閣:バブル崩壊後の1990年代、不況の中で突如新自由主義的な小さな政府志向の政策を始めた
小泉純一郎内閣:橋本内閣の後、大きな政府志向だった小渕内閣を挟み、2000年代、再び新自由主義的な小さな政府志向の政策を実施

・③は、産業の空洞化の意味が違う
⇒産業の空洞化は、「日本の企業なのに、日本の工場を閉鎖して日本人をクビにして、代わりに外国に工場を作って外国人を雇って…」「あれ、日本の企業が儲かってる筈なのに、日本経済自体は弱くなってるな?」というような事態の事を言う

・④は正文である
⇒なお、この持株会社は元々独占禁止法で禁じられていた事、及び金融ビッグバンの目玉として解禁された事を覚えておきたい。もっと言えば、金融ビッグバンを大々的に進めたのが橋本内閣である事も知っておきたい

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