令和七年度 大学入学共通テスト試作問題 公共、政治・経済 第5問 問5
問題
生徒K、生徒L、生徒Mのグループでは、インターネットをめぐる今日の問題として、インターネット上に誹謗中傷やフェイクニュースなどの違法・有害情報が氾濫しているという状況についての対策を議論している。次の会話文中の空欄( ア )~( ウ )には、それぞれ後のa~cの記述のいずれかが当てはまる。当てはまる記述の組合せとして最も適当なものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。
K:SNSなどのオンライン・サービスを提供する事業者が、表現の内容をモニタリングして、他人の権利を侵害する違法な情報や、法的には違法とはいえないけど有害な情報を削除したり、投稿者のアカウントを停止したりすることを、コンテンツ・モデレーションというらしいね。
L:違法・有害情報対策を、事業者の自主的なコンテンツ・モデレーションの取組みに任せておく方法はどうかな?
M:( ア )。
K:せめて違法な情報に対しては、コンテンツ・モデレーションを適切に行う義務を事業者に負わせる、というような法律を作るという方法はどうだろう?
L:( イ )。
M:そういう問題があるとしたら、その他に、どのような方法があり得るかな?
K:( ウ )。
L:情報を受け取る私たちのリテラシーを高めることも、同時に追求していくべきだね。
a違反に対して罰則があったら、事業者は罰を回避するために、本来であれば規制対象とはならないような内容の表現も過剰に削除してしまう可能性があると思うよ
b利用者が安心・信頼してサービスを利用できるように、事業者にコンテンツ・モデレーションの基準と運用を明確にさせるような法的な仕組みがあるといいと思うよ
c事業者の考えや好みによって、違法・有害情報が放置されてしまったり、逆に問題があるとまではいえない内容の表現が削除されてしまったりする可能性があると思うよ
①ア―a イ―b ウ―c ②ア―a イ―c ウ―b
③ア―b イ―a ウ―c ④ア―b イ―c ウ―a
⑤ア―c イ―a ウ―b ⑥ア―c イ―b ウ―a
解説
正解:⑤
インターネット上に誹謗中傷やフェイクニュースなどの違法・有害情報が氾濫している
L:情報を受け取る私たちのリテラシーを高めることも、同時に追求していくべきだね。
⇒まるで「インターネット上でしか違法・有害情報の氾濫は無い」とでも言うかのような問題を作っている時点で、リテラシーとか言う資格のない情報弱者では…?
・それはさておき、(ア)も(イ)も直後に同じような発言がある
・即ち、「そうだとしても何とかしてインターネット上の発言を検閲できないか?」的な発言である
・故に(ア)(イ)は、インターネット上の発言に対する検閲制度の弊害を指摘するものの可能性が高い
・そう思って選択肢を見ると、aとcがそのような趣旨の発言である
・また、(ア)は直前に、事業者に自主的に検閲させようと言っている
・一方、(イ)は、法的に、事業者に検閲の義務を負わせようとしている
・ここで改めて選択肢を見ると、cは事業者の自主性に任せる場合の問題点の話である
・そしてaは、法的に、事業者に検閲の義務を負わせた場合の問題点の話である
・残るは(ウ)とbであり、こちらも適合する内容になっている
・よって、正解は「ア―c イ―a ウ―b」となる