令和七年度 大学入学共通テスト試作問題 公共、政治・経済 第5問 問6
問題
探究する学習のまとめの発表会で、「インターネット時代の世論」というテーマで調査を行った生徒Nたちのグループが、次の発表原稿に基づいて報告を行った。この報告に対して、報告を聴いていた生徒たちから、報告の内容を確認する後のア~ウの発言があった。ア~ウのうち、Nたちのグループの報告の内容に合致する発言として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。
発表原稿
これまで、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などのマス・メディアが、国民が政治を判断するために必要な情報を伝えるなど、世論形成に大きな役割を果たしてきましたが、今日ではインターネットが果たす役割が大きくなっています。
しかし、インターネットやSNSの特性から、世論の分断化を招く恐れがあるなどの弊害も指摘されています。たとえば、SNS等を利用する際、自分と似た興味関心をもつユーザーをフォローする結果、意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってくるという経験をしたことがあるでしょう。それにより、特定の意見が増幅されて強化されていくとされます。こうした状況は、閉じた小部屋で音が反響する物理現象にたとえて「エコーチェンバー」といいますが、それが世論形成に影響を与えるといわれています。
また、インターネットでは、アルゴリズムがインターネット利用者個人の検索履歴やクリック履歴を分析・学習し、個々のユーザーがみたい情報を優先的に表示していきます。その結果、自分の考え方や価値観に近い情報だけに包まれた情報環境に置かれることになります。この状況を指して、「フィルターバブル」といわれることがあります。
人間は、自分に都合の良い情報にばかり目を向けてしまい、都合の悪い情報は無意識のうちに無視したり、または、意識的に避けてしまったりという心理的な傾向をもつといわれます。かつては自分の好みや考え方に合わない情報にもマス・メディアを通じて触れる機会がありましたが、インターネットなどの特性からその機会が失われつつあるのです。
これらのことを自覚しながら、情報を批判的に吟味し読み解くメディア・リテラシーを身に付けることが、ますます重要な時代といえるでしょう。
ア 限定的な情報に接し、考えの同じ人々と同調し合うことで、特定の意見や立場が強化されていく結果、世論がより極端な意見や立場に分断していってしまう可能性があるということですね。
イ インターネット上の情報には真偽不明なものが少なくないから、たとえば、政治家についての虚偽情報が流布されることなどによって、有権者の理性的な判断が妨げられてしまうということですね。
ウ テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などのマス・メディアは、自分とは異なる価値観や、多様な情報に触れる機会を与えるという意味で、インターネットの時代でもその重要性が失われたわけではないということですね。
①ア ②イ ③ウ ④アとイ
⑤アとウ ⑥イとウ ⑦アとイとウ
解説
正解:⑤
人間は、自分に都合の良い情報にばかり目を向けてしまい、都合の悪い情報は無意識のうちに無視したり、または、意識的に避けてしまったりという心理的な傾向をもつといわれます。
⇒この発表原稿作った人自身が、「マス・メディアはいいもの!」「インターネットは悪!」という価値観を持って原稿を作っていたら…? と考えると趣深いですね。鏡見た方がいい
・問題としては、文章がまず提示されて、その文章の要約として正しいものを選ぶ問題
・即ち、選択肢の文章それぞれが正しいかは関係なく、要約になっているかどうかだけを見ればよい
・つまり、100%完全に国語の問題。こんな問題政治経済で出すな
・アは、発表原稿で言うとエコーチェンバーあたりの話の事。発表原稿内にある話なので正文
・イは、発表原稿にそれらしい話がない。よって誤文
・ウは、発表原稿で言うと最後のあたり。発表原稿内にある話なので正文