令和五年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第1問 問2

問題

東アジア諸国に関連して、生徒Xは、日本、韓国、中国の経済発展に関心をもち、これら3か国の2000年、2010年および2020年の実質GDP成長率、一人当たり実質GDP、一般政府総債務残高の対GDP比を調べ、次の表にまとめた。表中のA~C国はこれら3か国のいずれかである。後の記述ア~ウは、これら3か国についてそれぞれ説明したものである。A~C国と記述ア~ウの組合せとして最も適当なものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。

ア この国は、1978年からの改革開放政策の下で、外資導入などにより経済成長を続けてきた。この国の経済運営方針は、低・中所得国にとって、一つの経済発展モデルになっている。
イ この国は、1960年代から工業化による経済成長が進み、NIESの一つに数えられた。その後、アジア通貨危機による経済危機も克服し、現在はアジア有数の高所得国となっている。
ウ この国は、1950年代から1973年頃まで高度経済成長を遂げ、急速に欧米の先進国に追いついた。しかし、1990年代以降は低成長が常態化しており、政府部門の累積赤字の拡大が議論の的となっている

①A国─ア B国─イ C国─ウ   ②A国─ア B国─ウ C国─イ
③A国─イ B国—ア C国─ウ   ④A国─イ B国─ウ C国─ア
⑤A国─ウ B国—ア C国─イ   ⑥A国─ウ B国─イ C国―ア

#国際経済テーマ史 #日本経済通史

解説

正解:⑥
復習用資料:経済分野第三章/国際経済テーマ史
復習用資料:経済分野第四章/高度経済成長期

・国際経済テーマ史の中でも、「2010年以降の国際経済」を聞いてきている
・また、日本経済通史の中でも、「高度経済成長期」「失われた三十年」を聞いてきている問題である

・まず、ABC国が、日本国、大韓民国、中華人民共和国のどれにあたるかを考えないといけない

・A国の特徴として、BC国に比べ「明らかに一般政府総債務残高が多い」というものがある
・これは即ち、1991年のバブル崩壊以降、ずっとデフレ傾向の割に国債は発行し続けている日本国である
⇒インフレ傾向なら、お金の価値がどんどん下がっていくので、国債を発行し続けても対GDP比の債務残高は減るのだが…

・BC国の大きな違いとしては、2000年時点の一人当たり実質GDPに明らかな差がある
・そして、中華人民共和国と大韓民国では、経済が急激に伸びた時期に違いがある

中華人民共和国:2000年代に急激に伸びた
大韓民国:1970年代に急激に伸びた(1970年代のアジアNIESの一角)

・よって、大韓民国は2000年時点で既に先進国化しており、一人当たり実質GDPが高い筈である
・一方、中華人民共和国は2000年時点ではまだまだ発展途上国と呼んで差し支えない状態である
・つまり、この時点ではまだ、一人当たり実質GDPはかなり低かった筈である

・よって、以下のようになる

A国:日本国
B国:大韓民国
C国:中華人民共和国

ア この国は、1978年からの改革開放政策の下で、外資導入などにより経済成長を続けてきた。

・「改革開放」という言葉を見た瞬間、中華人民共和国であると判断してほしい
・よって、C-アである

イ この国は、1960年代から工業化による経済成長が進み、NIESの一つに数えられた。

・先程も述べたが、韓国はかつてアジアNIESの一角として急成長した国である
⇒アジアの四小龍とか四小虎とか呼ばれていた時代。大韓民国のみならず、香港、シンガポール共和国、中華民国(台湾)も急激に伸びた

・よって、B-イである

ウ この国は、1950年代から1973年頃まで高度経済成長を遂げ、急速に欧米の先進国に追いついた。

・1950年代の神武景気から始まって、1973年の第一次石油危機まで高度経済成長が続いた国とは?
・これはもう、日本国以外には考えられない
・よって、A-ウである

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