令和五年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問6

問題

環境保護に関連して、生徒Xは、地域におけるリサイクルの状況を考える上で、リサイクル率(再資源化個数÷販売個数)という指標を利用できることを学んだ。そこでXは、この指標を用いて、地域Aと地域Bの二つの地域だけから構成されるある国における、ある商品の「基準年」と「基準年の5年後」のリサイクルの状況を考え、次の表を作成した。表は、各年における地域Aと地域Bでの商品のリサイクル率を示している。ただし、商品が販売される地域と再資源化される地域は同一であるものとする。リサイクル率の増加をもってリサイクルが活発化したと評価するとき、地域A、地域B、国全体のうちリサイクルが活発化しているものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①~⑦のうちから一つ選べ。

①地域A  ②地域B  ③国全体  ④地域Aと地域B
⑤地域Aと国全体  ⑥地域Bと国全体  ⑦地域Aと地域Bと国全体

#計算問題

解説

正解:④

・政治経済の試験に突然シンプソンのパラドクスをぶち込んだ超悪問
・一応擁護すると、逐一問題文の言う通りやれば解けるは解ける
・そういう意味では、国語でもよくある「問題の誘導に素直に乗れるか」を見る問題とも言えはする

・問題文によれば、リサイクル率の定義は以下である
・また、このリサイクル率が増えていればリサイクルが活発化した事にしてよい

リサイクル率(再資源化個数÷販売個数)という指標を利用できることを学んだ(中略)リサイクル率の増加をもってリサイクルが活発化したと評価する

・例えば、基準年に於ける地域Aでは、400個売られた商品の内、160個がリサイクルされている
・よって、リサイクル率は160÷400=0.4。ちょうど40%という事になる
・まずは、AB両地域について、リサイクル率を算出しよう

  A B
基準年 160÷400
=0.4
10÷100
=0.1
五年後 250÷500
=0.5
60÷500
=0.12

・すると、AB両地域に於いて、リサイクル率が上昇している事が分かる
・だから当然、国全体(AB両地域の合算)でも、リサイクル率が上昇…していそうなものなのだが
・せっかくなので、国全体も計算してみよう

  A B 全体
基準年 160÷400
=0.4
10÷100
=0.1
(160+10)÷(400+100)
=0.34
五年後 250÷500
=0.5
60÷500
=0.12
(250+60)÷(500+500)
=0.31

・不思議な事に、国全体のリサイクル率だけは何故か下がっている
・このような事象をシンプソンのパラドクスと呼ぶ(らしい)(私はド文系なので詳しい事は分かりません)

・無論、問題作成者は受験生がこのパラドクスについて知っているとは期待していないだろう
・基本的には、問題文にある通り、素直に計算していけば解ける問題ではある
・でもこれ政治経済の受験で、しかも共通一次的な試験で出していいのかなぁ…

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