令和五年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問8
問題
生徒は、国内総生産とその構成について学んだ。そこでYは、日本における2014年度から2015年度にかけての民間最終消費支出と民間企業設備投資の増加について調べ、次のメモを作成した。メモに関する記述として最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
メモ
○国内総生産は生産面、分配面、支出面の三つの側面からみることができる。
○国内総生産は民間最終消費支出、政府最終消費支出、総固定資本形成、純輸出からなる。
○総固定資本形成は、民間企業設備投資や民間住宅投資などを含む。
○民間最終消費支出は2兆3,211億円増加した。
○民間企業設備投資は3兆1,698億円増加した。
①国内総生産に占める支出割合は、民間最終消費支出より民間企業設備投資の方が小さいため、2015年度のこれら二つの支出項目の対前年度増加率を比較すると、民間企業設備投資の方が高い。
②国内総生産に占める支出割合は、民間最終消費支出より民間企業設備投資の方が大きいため、2015年度のこれら二つの支出項目の対前年度増加率を比較すると、民間企業設備投資の方が高い。
③国内総生産に占める支出割合は、民間最終消費支出より民間企業設備投資の方が小さいため、2015年度のこれら二つの支出項目の対前年度増加率を比較すると、民間最終消費支出の方が高い。
④国内総生産に占める支出割合は、民間最終消費支出より民間企業設備投資の方が大きいため、2015年度のこれら二つの支出項目の対前年度増加率を比較すると、民間最終消費支出の方が高い。
解説
・私の授業で言うと、「フローとストック」の「国民所得いろいろ」でやった細かい知識が必要な問題
・しかも知識があれば解けるというものでもなく、問題文ときっちり睨めっこしないと解けない難問である
○国内総生産は生産面、分配面、支出面の三つの側面からみることができる。
訳:国内総生産は、色々な計算方法がある。生産、分配、もしくは支出を足し算する事でも算出できる
※普通、国内総生産(GDP)は引き算で出す(総生産額-中間生産物)が、足し算でも出せるよという話。授業でやったNIと同じである
○国内総生産は民間最終消費支出、政府最終消費支出、総固定資本形成、純輸出からなる。
訳:例えば支出を足し算して国内総生産を出すのであれば、この四項目を足し算するよ
①国内総生産に占める支出割合は、民間最終消費支出より民間企業設備投資の方が小さい(後略)
②国内総生産に占める支出割合は、民間最終消費支出より民間企業設備投資の方が大きい(後略)
③国内総生産に占める支出割合は、民間最終消費支出より民間企業設備投資の方が小さい(後略)
④国内総生産に占める支出割合は、民間最終消費支出より民間企業設備投資の方が大きい(後略)
・ではここで、選択肢を見てみよう
・選択肢①③では、「民間最終消費支出 > 民間企業設備投資」であると言っている
・逆に選択肢②④では、「民間最終消費支出 < 民間企業設備投資」であると言っている
・「フローとストック」の授業でも言ったが、正しいのは選択肢①③である
・支出の足し算に於いては、民間の消費、特に企業による消費が圧倒的に多いのだ
・では、これを理解した上で、選択肢①③の後半を見てみよう
①(中略)2015年度のこれら二つの支出項目の対前年度増加率を比較すると、民間企業設備投資の方が高い。
③(中略)2015年度のこれら二つの支出項目の対前年度増加率を比較すると、民間最終消費支出の方が高い。
・今度は、増加率を聞いてきている
・先にも見たように、GDPに占める比率としては、消費の方が圧倒的に大きい
・なので、例えば消費も投資も同じ額増えていれば、増加率は投資の方が大きい、という話になる
例:元々消費が100兆円、投資が1兆円だとする。どちらも1億円増えたとする。この場合、増加率は投資の方が高い
○民間最終消費支出は2兆3,211億円増加した。
○民間企業設備投資は3兆1,698億円増加した。
・問題文を見てみると、同額どころか、投資の方が1兆円近く多く増えている
・という事は、間違いなく、投資の方が増加率は高い
・よって、①が正解となる