令和六年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問2

問題

生徒Xは、国家が運営する社会保障の仕組みに注目し、日本の雇用保険と労働者災害補償保険(労災保険)について次のメモを作成した。メモ中の空欄( ア )には後の記述aかb、空欄( イ )には後の記述cかdのいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( イ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

○雇用保険
労働者が失業したときなどに給付を行う制度である。労働者が失業したときの主な給付の財源の負担者は、( ア )。

○労災保険
労働者が業務に起因して負傷したり病気になったりしたときなどに給付を行う制度である。給付の財源となる保険料の負担者は、( イ )。

( ア )に当てはまる記述
a 失業が事業主の経営判断や労働者の転職・求職行動を原因として生じるという考え方により、事業主と労働者とされている
b 失業が政府の経済政策や雇用政策と無縁ではなく事業主や労働者だけでは対処できない原因でも生じるという考え方により、事業主、労働者、政府の三者とされている

( イ )に当てはまる記述
c 給付を受けうる労働者も負担すべきという考え方により、事業主と労働者とされている
d 事業から利益を得る事業主が負担すべきという考え方により、事業主のみとされている

① ア-a イ-c
② ア-a イ-d
③ ア-b イ-c
④ ア-b イ-d

#社会保障

解説

正解:④
復習用資料:経済分野第二章/社会保障

・社会保障、特に社会保険の知識を問う問題
・…なのだが、多分ここまで細かい知識、普通の政治経済の授業じゃやらないと思う…
⇒私の授業に関しては、「労働問題なんてまさに、一生使う重要な知識なんだからきっちりやらないと駄目だろ!」でかなり細かい知識まで解説しているが、普通の公共・政治経済では…うーん…こんな知識、私大本番ならともかく共テで聞いていいのかな……という感じがある

・アで問われている雇用保険もイで問われている労災保険も、社会保険である
・社会保険である以上は、給付するカネの原資は、保険料及び公費である
⇒社会保険は「誰でも入れる安い保険」である。つまり保険料が安い。そして保険料を安くする為に、国のカネ、つまり公費が使われている

・以上を踏まえた上で、問題文を見ていく必要がある

○雇用保険
労働者が失業したときなどに給付を行う制度である。労働者が失業したときの主な給付の財源の負担者は、( ア )。

・ここで聞かれているのは、「主な給付の財源の負担者」である
・雇用保険の「主な給付の財源」は、既に見たように、保険料及び公費である
・そして雇用保険の保険料は、事業主(会社)と労働者(社員)双方が払う ⇒折半にしている会社が多い

・つまり、「主な給付の財源の負担者」は、事業主、労働者、そして政府である
・この時点で正解は③か④になる

○労災保険
労働者が業務に起因して負傷したり病気になったりしたときなどに給付を行う制度である。給付の財源となる保険料の負担者は、( イ )。

・一方、こちらは「給付の財源となる保険料の負担者」が問われている
・労災保険の保険料は、事業主(会社)のみが払う
⇒と言うか、実際に労災が発生した時の報告や、給付金請求なんかも全部事業主(会社)がやる。労働災害は完全に会社の責任なんだから、会社が全部やれ、という考え方である

・よって、正解は④である

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