令和六年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問4
問題
国と地方公共団体との関係に関心をもった生徒Xは、両者の関係に関する日本国憲法や地方自治法の規定を調べ、次のメモを作成した。メモ中の空欄( ア )には後の語句aかb、空欄( イ )には後の記述cかdのいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( イ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
憲法第92条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」としている。この「地方自治の本旨」の内容のうち、国から独立した団体を設け、その団体の意思と責任において地方の事務を処理するべきであるという考え方を、( ア )の原則という。
また、1999年の地方分権一括法による改正で新たに設けられた地方自治法第1条の2は、憲法第92条を踏まえて、地方公共団体の役割について、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」と定めている。そして、それに続けて同項は、国の役割について、「国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切な役割を分担するともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たって、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない」とする。ここでは、( イ )という両者の関係が定められている。
( ア )に当てはまる語句
a 団体自治
b 住民自治
( イ )に当てはまる記述
c 住民に身近な行政については、まずは国が責任を負い、国は地方公共団体に対して指揮監督を行う
d 住民に身近な行政については、まずは地方公共団体が責任を負い、国は地方公共団体による施策の実施を補助する
① ア-a イ-c
② ア-a イ-d
③ ア-b イ-c
④ ア-b イ-d
解説
正解:②
復習用資料:政治分野第三章/地方自治
・地方分権について、地方自治の本旨と地方分権一括法の内容の知識を問う問題
⇒この両者は頻出なので、必ず抑えておきましょう
国から独立した団体を設け、その団体の意思と責任において地方の事務を処理するべきであるという考え方を、( ア )の原則という
・これは団体自治。ドイツ系の地方自治の考え方である
⇒ちなみに、「その地方の事は、その地方に住む人が決めればよい」が住民自治。英米系の考え方である
( イ )に当てはまる記述
c 住民に身近な行政については、まずは国が責任を負い、国は地方公共団体に対して指揮監督を行う
d 住民に身近な行政については、まずは地方公共団体が責任を負い、国は地方公共団体による施策の実施を補助する
・簡単に言ってしまえば、地方分権一括法以前がc、以後がdである
⇒要は、「国と地方自治体の関係は、以前は上下関係だったけどこれからは対等だよ」が地方分権一括法と言える
・以上の事から、アは団体自治でa、イはdとなる