令和六年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問7
問題
生徒Yは、日本の会社の組織や責任について、生徒Xと議論している。次の会話文中の空欄( ア )には後の語句aかb、空欄( イ )には後の語句cかd、空欄( ウ )には後の記述eかfのいずれかが当てはまる。空欄( ア )〜( ウ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。
Y:株式会社では、株主は、会社の債務に対して、( ア )よ。
X:会社の債務について出資者がどこまで責任を負うかは、( イ )も同じだね。
Y:そうだね。だけど、株主が( ア )という立場を超える場合、自らの経済的利益を優先し、社会にとって望ましくない活動を会社にさせるという意見もあるよ。
X:( ウ )は、そうした事態を避けるために有効だよね。
( ア )に当てはまる記述
a 出資額をこえた責任は負わない
b 出資額をこえた責任を負う
( イ )に当てはまる語句
c 合同会社
d 合名会社
( ウ )に当てはまる記述
e 会社が株主代表訴訟を通じて株主の責任を追及していくこと
f 会社に社会的責任を果たさせて幅広いステークホルダーの利益を確保すること
① ア-a イ-c ウ-e
② ア-a イ-c ウ-f
③ ア-a イ-d ウ-e
④ ア-a イ-d ウ-f
⑤ ア-b イ-c ウ-e
⑥ ア-b イ-c ウ-f
⑦ ア-b イ-d ウ-e
⑧ ア-b イ-d ウ-f
解説
正解:②
復習用資料:経済分野第一章/企業とは
・「企業とは」という話についての、基本的な知識を問う問題
⇒特にアイで問われている、有限責任社員と無限責任社員の意味、及びどの社員がどの会社にいるのか、これはいつでもどこでも頻出みたいな話なのでしっかり覚えておきたい
株式会社では、株主は、会社の債務に対して、( ア )
a 出資額をこえた責任は負わない
b 出資額をこえた責任を負う
・株式会社の出資者とは、即ち株主である
・そして株主は、(出資者という意味での)社員としては、有限責任社員にあたる
・そして有限責任社員は、出資額を超えた責任は負わない
⇒言い方を変えると、「自分が出した(出資した)カネを失う事はあるが、それ以上を失う事はない」
・よって、アはaである
会社の債務について出資者がどこまで責任を負うかは、( イ )も同じだね。
c 合同会社
d 合名会社
・文脈から、有限責任社員しかいない形態の会社を答えればよい
・これ↑、本当に頻出な上に大変覚えづらいので、しっかり暗記しておこう
・表を見ての通り、有限責任社員しかいないのは合同会社である。よってイはc
Y:そうだね。だけど、株主が( ア )という立場を超える場合、自らの経済的利益を優先し、社会にとって望ましくない活動を会社にさせるという意見もあるよ。
X:( ウ )は、そうした事態を避けるために有効だよね。
e 会社が株主代表訴訟を通じて株主の責任を追及していくこと
f 会社に社会的責任を果たさせて幅広いステークホルダーの利益を確保すること
・ウに関しては、株主代表訴訟の意味が分かっていれば解ける
⇒取締役会のような会社の経営陣が、法令違反によって会社に損害を与えた場合、株主は訴訟を起こせる。特に、一部の株主が株主全体を代表して裁判に訴える場合を株主代表訴訟と言う
・文脈的に、ウは法令違反がどうこうという話ではない
・となると、社会的責任がどうこうというfの方が正しい
・つまり、ウはfである
・よって、正解はa-c-f、即ち②である