令和六年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第3問 問7
問題
下線部⑥に関連して、生徒Yは、比較優位について復習するため、次の表のようなモデルケースを考え、後のメモを作成した。表は、自動車とオレンジのみを生産するA国とB国の、A国における技術革新前・技術革新後における、それぞれの財を1単位生産するために必要な労働者数を示したものである。ただし、いずれの国も、いずれの財の生産においても必要な生産要素は労働力のみとする。後の数値a〜cのうち、表中における空欄( ア )に当てはまる数値として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
A国の技術革新以後に、A国における自動車1単位を生産するために必要な労働力の量が( ア )人であるとき、A国の技術革新以前も技術革新以後で、自動車生産に比較優位をもつ国が変わる。
( ア )に当てはまる数値
a 15
b 6
c 3
① aとb
② aとc
③ bとc
④ aとbとc
解説
正解:⑥
復習用資料:経済分野第一章/資本主義
・比較生産費説の問題。かなりひねってある難しい問題である
・まず、全ての比較生産費説の問題に共通するが、問題文中の表の考え方を間違えないようにしたい
・例えば「20人」と書いてあれば、「20人で1個」商品を作れる、と考えればよい
・例えば上記のように考えればよい訳である
・そして、「片方の商品を作るのをやめてもう片方の商品を作った時どうなるか」を考えればよい
・「A国における技術革新以前」を比べてみよう
・自動車生産を諦めてオレンジ生産に特化した時、生産量が増えるのはA国である
・逆にオレンジ生産を諦めて自動車生産に特化した時、生産量が増えるのはB国である
・このような場合、A国はオレンジ生産に、B国は自動車生産に比較優位がある、という言い方をする
⇒実際、そのようにした場合、両国合わせて6.4個の商品を生産できる。逆にした場合、4.75個しか生産できない
・後は、A国の技術革新によって、どれぐらいA国の自動車生産が効率化されるかである
・(ア)に入るのがa、つまり15の場合
・まだ、B国がオレンジ生産を諦めて自動車生産に特化した方がよい
⇒その場合、両国合わせて5.4個の商品を生産できるが、逆であれば4.83333…個しか生産できない
・(ア)に入るのがb、つまり6の場合
・ここに来て比較優位が逆転。A国がオレンジ生産を諦めて自動車生産に特化した方がよくなる
⇒その場合、両国合計5.3333…個生産できる。逆の場合、3.6個しか生産できない
・(ア)に入るのがc、つまり3の場合は、もう計算するまでもない
・即ち、A国の自動車生産に対する比較優位はより盤石となる
・よって、bとcが正解となる