令和六年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第4問 問3
問題
生徒Yは、下線部⑧の現状について調べた。アジアのインフラ開発やODA(政府開発援助)に関連する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
① 中国が取り組む一帯一路構想は、現代のシルクロードとして、陸路のみによる経済圏構築をめざしているものである。
② 中国が主導して設立されたアジアインフラ投資銀行への参加は、アジア諸国に限定されている。
③ 自然災害や紛争による被災者の救援のために日本のODAとして行われる食料や医薬品の無償援助は、国際収支の第2次所得収支に含まれる。
④ ODAは発展途上国の経済発展のために行われるものであり、日本では開発協力大綱によって日本の国益を考慮せずに行うことが示されている。
解説
・消去法ではなく、「他の選択肢は知らんけど③は合ってるでしょ」で解く問題である
・そして、「③は合ってる」と判断するには、国際収支についての知識が必要となる
⇒一見すると何を聞きたいのかよくわからないが、その実、国際収支の知識を問うている問題であると言える
③ 自然災害や紛争による被災者の救援のために日本のODAとして行われる食料や医薬品の無償援助は、国際収支の第二次所得収支に含まれる。
・国際収支の中でも、「見返りを求めないカネ」の収支は第二次所得収支に計上される
・災害の義捐金もそうだし、紛争被害者への無償援助も勿論第二次所得収支である
・よって、明らかに③が合っている。③が正解…という解き方をする問題である
・尚、他の選択肢の知識がある事については、問題作成者も期待していないだろう
・一応④は政治経済の授業で扱われるが、①②は本当に報道とかよく見てないと分からない
・一応、以下に軽く解説をしておく
① 中国が取り組む一帯一路構想は、現代のシルクロードとして、陸路のみによる経済圏構築をめざしているものである。
・普通に海路も入っている
⇒それこそ、十九世紀に欧米各国がやってたような事をかまされた(中華人民共和国に借金漬けにされて、その借金のカタに港を「租借」された)某セイロン島の国は、一帯一路構想に於ける重要拠点と目されている
② 中国が主導して設立されたアジアインフラ投資銀行への参加は、アジア諸国に限定されている。
・アジアインフラ投資銀行と言われてぱっと思いつかない人も、AIIBと言えば通じるかも
・これは「アジアでのインフラ建設に投資する銀行」であり、アジア諸国以外も参加している
⇒…と言うか、中華人民共和国が一帯一路の建設の為に作った国際銀行みたいなところがあり、もっと言えば、「日本とかアメリカとか、ムカつくよな。同じ事思ってる奴ら、俺達と一緒に世界を変えようぜ!」みたいなノリで作った組織でもあり…なのでロシア連邦を筆頭に、世界中の様々な国が参加している
④ ODAは発展途上国の経済発展のために行われるものであり、日本では開発協力大綱によって日本の国益を考慮せずに行うことが示されている。
・そもそも、日本の国益を考えてODAやりましょう、と決めたのが開発協力大綱である