令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済 第1問 問7

問題

国連(国際連合)に関連して、生徒Xと生徒Yは、安全保障における国連の意義について話し合っている。次の会話文中の空欄( ア )に当てはまる記述として最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

X:国連について考えてみたけど、安全保障の分野をみればその意義はあまり大きくないと思うよ。常任理事国間の対立のために安保理(安全保障理事会)が実効的に対処できないことが、これまでもたびたびあったよね。
Y:安全保障における国連の意義を考える際は、安保理だけでなく、総会が果たしてきた役割にも目を向ける必要があるのではないかな。たとえば、( ア )。
X:国際の平和と安全の維持に主要な責任を負うのは安保理だと「政治・経済」の授業で学んだけど、安全保障における国連の意義は、ほかの機関も含めた国連全体をみて考える必要があるんだね。

①総会は、拒否権を行使する常任理事国にその理由を説明する機会を与える決議を採択しているよね
②総会は、軍縮について定めた多国間条約である新戦略兵器削減条約(新START)を採択しているよね
③安保理が機能しない場合、総会は加盟国の過半数の賛成で平和維持のために必要な措置を勧告することができるよね
④湾岸戦争の時のように、総会の決議に基づいて多国籍軍が国際の平和と安全に対する脅威に対処することもできるよね

#国際連合 #現代国際政治史―ModernWarfare #難問

問7解説

正解:①
復習用資料:政治分野第四章/国際連合
復習用資料:政治分野第四章/現代国際政治史―ModernWarfare

・①が正文である、という知識を現役高校生が持っているとは、想定せず作られた問題と思われる
・即ち、②③④が間違っているから正解は①、という消去法で解く問題である
・ただ、細かい知識が必要とされるので、共テの中では難問の類に入るとは言える

②総会は、軍縮について定めた多国間条約である新戦略兵器削減条約(新START)を採択しているよね

・新STARTは米露の二国間条約である
・国連が関わっている関わっていない以前に、この時点で誤文であると分かる
⇒実際のところ、新STARTと国連の間に、特筆するほどの関係はない。少なくとも、新STARTが国連総会で採択されたという事実はない

③安保理が機能しない場合、総会は加盟国の過半数の賛成で平和維持のために必要な措置を勧告することができるよね

・恐らく、平和の為の結集決議に基づく緊急特別総会の事を指している
・ただ、緊急特別総会もあくまで総会なので、やる事は多数決である
・そして総会は、一般事項は過半数で、重要事項は2/3で議決する
・戦争を止める為の措置となると当然、重要事項になる可能性が高い訳で…
・そうなると、「総会は加盟国の過半数の賛成で」は不適切と言える

・よって、誤文である

④湾岸戦争の時のように、総会の決議に基づいて多国籍軍が国際の平和と安全に対する脅威に対処することもできるよね

・湾岸戦争は、安全保障理事会の決議に基づいて多国籍軍が編成されている
⇒同じ「多国籍軍」でも、湾岸戦争の時のものは安保理の武力行使容認決議に基づいており、イラク戦争の時のものは安保理の武力行使容認決議を経ていない…というのは一つ、大事な点である。ちなみに朝鮮戦争の時のものは、特別に「国連の旗使っていいよ」という決議が出ているので「国連軍」と呼ばれる事もある(ソ連は朝鮮戦争の途中から安保理を欠席しており、米国側が好き勝手にできた結果がこれである)

・よって、誤文である

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