令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済 第2問 問8

問8

生徒Xは、社会保障に関心をもち、社会保障制度がどのように生まれ、展開してきたかを示す次のメモを作成した。メモ中の空欄( ア )〜( ウ )には後の記述a〜cのいずれかが当てはまる。空欄( ア )〜( ウ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。

 病気やけが、失業などの生活上の問題で、私たちは誰もが貧困に陥る可能性がある。人々が安心して暮らせる社会をつくるために必要なセーフティネットが社会保障制度であり、その主要なものとして公的扶助制度と社会保険制度がある。
 17世紀初頭にイギリスで制定されたエリザベス救貧法では、( ア )。これは、現在の公的扶助制度の原型ともいわれる。他方の社会保険制度は、19世紀後半にドイツで初めて創設された。
 20世紀に入って、国民の生存権を保障する観点から、体系的な社会保障制度を構築する必要性が認識されるようになった。1942年にイギリスで発表されたベバリッジ報告においては、( イ )。また、1944年にILO(国際労働機関)総会で採択されたフィラデルフィア宣言では、( ウ )。
 このように、救貧という考え方から人間の基本的権利としての社会保障という考え方へと変化していく中で、時間をかけて社会保障制度の体系化が進められてきた。しかしながら、各国における財政状況の悪化や少子高齢化の進行などにより、社会保障制度は転機を迎えている。

a 国家の責任において、国民に最低限度の生活水準の保障がなされるべきとされた
b 所得や医療などの面で、社会保障の充実を図っていくことが国際的な原則とされた
c 国家の恩恵として、働くことができない貧困者を救済、保護することとされた

① ア―a イ―b ウ―c
② ア―a イ―c ウ―b
③ ア―b イ―a ウ―c
④ ア―b イ―c ウ―a
⑤ ア―c イ―a ウ―b
⑥ ア―c イ―b ウ―a

#社会保障

解説

正解:⑤
復習用資料:経済分野第二章/社会保障

・社会保障の歴史の問題
・(ウ)で問われているフィラデルフィア宣言の事は、恐らく受験生は知らない
・が、(ア)と(イ)さえ分かってしまえば消去法で(ウ)も出る為、問題にはならない

17世紀初頭にイギリスで制定されたエリザベス救貧法では、( ア )

・エリザベス救貧法は、名前の通り「貧」乏な人を「救」う法律である
⇒中世以来の欧州社会では、この手の事は教会がやってきた。それを国家がやるようになったものとしては初めて、という文脈で、政治経済の教科書に登場する

c 国家の恩恵として、働くことができない貧困者を救済、保護することとされた

・貧乏な人を国家が救う、という話なのであるから当然、(ア)はcである

1942年にイギリスで発表されたベバリッジ報告においては、( イ )

・ベバリッジ報告は、戦後イギリスの「ゆりかごから墓場まで」の土台になった報告である
・そしてこの報告は、ナショナル・ミニマムの概念を取り入れて作られている
・即ち、国家が国民に対し、最低限度の生活を保障するという考え方である

a 国家の責任において、国民に最低限度の生活水準の保障がなされるべきとされた

・まさにaは、ナショナル・ミニマムの話である
・となると(イ)はaであると考えられる

・そして(ウ)は、消去法でbであると分かる

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