令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済 第3問 問1
問題
生徒Xは、模擬授業後、日本国憲法に関心をもって調べた。次の記述ア〜ウのうち、日本国憲法における天皇に関する記述として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。
ア 天皇は、国会の指名に基づいて、最高裁判所の長官を任命する。
イ 天皇は、憲法改正の賛否を問う国民投票において有効投票の4分の3以上の賛成が得られたとき、国民の名で、直ちにこれを公布する。
ウ 天皇は、国政に関する権能を有しておらず、内閣の助言と承認に基づいて国事行為を行う。
① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ
#現代日本の統治制度と権力分立 #大日本帝国憲法と日本国憲法
解説
正解:③
復習用資料:政治分野第三章/現代日本の統治制度と権力分立
復習用資料:政治分野第二章/大日本帝国憲法と日本国憲法
・日本国憲法と天皇についての問題
⇒日本国憲法に於いて天皇は国民の象徴という事になっている筈なのだが、その割に公共や政治経済での扱いは軽く、色々な項目に散らばっている。重要事項であるという事実に変わりはないので、ちゃんと頭の中で整理しておこう
ア 天皇は、国会の指名に基づいて、最高裁判所の長官を任命する。
・天皇は最高裁判所長官を任命する、というのは正解
・但し指名するのは内閣である
・よってアは誤文である
イ 天皇は、憲法改正の賛否を問う国民投票において有効投票の4分の3以上の賛成が得られたとき、国民の名で、直ちにこれを公布する。
・色々間違っている。政治分野の復習用資料から持ってきた日本国憲法九十六条と比較してみよう
日本国憲法第【九十六条】 この憲法の改正は、【各議院】の総議員の【三分の二】以上の賛成で、国会が、これを【発議】し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の【国民投票】又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを【公布】する。
・見ての通り、日本国憲法には、憲法改正の国民投票について×分の×以上という指定はない
・よってイは誤文である
ウ 天皇は、国政に関する権能を有しておらず、内閣の助言と承認に基づいて国事行為を行う。
・これは正文である
⇒国事行為と国政行為、ごっちゃになりやすいので気を付けるようにしよう