令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済 第3問 問3
問題
国連平和維持活動(PKO)に関して、PKOへの部隊派遣人数に関心をもった生徒Yは、模擬授業後に次のメモを後の表1〜3をみながら作成した。メモと表1〜3中の空欄( ア )には「ソマリア」か「ルワンダ」のいずれか、表1〜3中の空欄( イ )〜( エ )には「1990年」、「2002年」、「2022年」のいずれかが当てはまる。空欄( ア )・( エ )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。
メモ
〇( ア )は紛争中にはPKOを派遣される側の国であったが、紛争後は民族間の融和・和解や経済成長が進んでおりPKOに部隊を多く派遣するようにもなった。
〇日本は2015年のPKO協力法改正によって駆けつけ警護が可能となったが、その後の南スーダンからの撤退もあり、部隊派遣人数は減少した。
① ア ソマリア エ 1990年
② ア ソマリア エ 2002年
③ ア ソマリア エ 2022年
④ ア ルワンダ エ 1990年
⑤ ア ルワンダ エ 2002年
⑥ ア ルワンダ エ 2022年
解説
正解:⑥
復習用資料:政治分野第四章/世界の紛争
・基本的には、世界の紛争について聞く問題である
・ただ、それ以上に時事問題、常識問題と言えるかもしれない
⇒ルワンダ内戦もソマリア内戦も、「内戦があったよ」という話は大抵、授業でやる。ただ、「その後こうなったよ」という話はあんまりしないのである。そしてこの問題は、「その後こうなったよ」の部分を問うている
メモと表1〜3中の空欄( ア )には「ソマリア」か「ルワンダ」のいずれか
〇( ア )は紛争中にはPKOを派遣される側の国であったが、紛争後は民族間の融和・和解や経済成長が進んでおりPKOに部隊を多く派遣するようにもなった。
・この二行から、内戦から立ち直ったのはソマリアかルワンダか、と聞かれているのが分かる
・無論、世界の紛争について詳しく知っていれば、これは解ける
・例えば両内戦のその後について知っていれば、解ける
⇒ルワンダ共和国は内戦で大変な事になったが、2000年代から復興が進み、令和六年現在、ブラックアフリカの中でもかなりの優等生である。一方、ソマリア内戦は令和六年現在も継続中。一時よりはマシになっているが、終わる気配は全くない
・もしくは、両内戦が始まった時期を知っていれば解ける
⇒ルワンダ内戦は1990年代、ソマリア内戦は1980年代に始まった。そして日本国自衛隊は2009年の海賊対処法により、ソマリア沖での海賊対処活動に従事した…というのも、政治経済の授業でやる。これを合わせれば、「ずっと内戦続けてるのはソマリアの方だな」と判断できる
・ただ、普通の授業ではここまでやらないし、当然、大抵の受験生にそんな知識はない
・しかし、そこまで詳しくなくても、報道を見ていれば、何となく判断できる筈である
・即ち、今でもちょくちょく「ソマリアの海賊が…」みたいなニュースが流れるのである
・そういうのを見ていれば、「ソマリアがPKOを送るぐらい発展した、はないだろう」となるのである
・よって、(ア)はルワンダである
・そして(イ)だが、こちらは表を参照するとよい
・表1表2では、(ア)は0人である。つまり内戦から復活しておらず、PKOも派遣していない
・一方表3では(ア)はPKOを派遣するようになっている。内戦から復活したという事である
・問題文から、表1~表3はそれぞれ1990年、2002年、2022年のどれかである
・となると、表1表2は1990年か2002年、表3は2022年と考えるのが妥当である
・よって、(イ)は2022年である