令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済 第3問 問4
問題
生徒Xは、国会の役割に関心をもった。日本の国会における制度に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
①衆議院と参議院に設置されている委員会は、法律案の審議のための公聴会を必ず開催しなければならない。
②法律や命令の制定時に、その法律や命令が憲法に違反するかしないかを審査する憲法審査会は、衆議院と参議院に設置されている。
③憲法は、衆議院については予算の先議権と内閣不信任決議権を定め、参議院については法律案の先議権を定めている。
④憲法は、国政調査権を衆議院と参議院に認めており、証人の出頭や証言に加えて記録の提出を要求することができると定めている。
解説
・標準的な、知識を問う四択問題である
・典型的な「④が正解でしょ。他は知らんけど」で解く問題である
⇒①や③はともかく、②について、受験生がちゃんとした知識を持っていると想定して作問した訳ではないと思われる
①衆議院と参議院に設置されている委員会は、法律案の審議のための公聴会を必ず開催しなければならない。
・委員会の議員は、その分野で専門的に活動しているとは言え、基本的には素人である
・そこで、玄人を呼ぶ場合がある。それが公聴会であり、必ず開催しなければならないものではない
②法律や命令の制定時に、その法律や命令が憲法に違反するかしないかを審査する憲法審査会は、衆議院と参議院に設置されている。
・憲法審査会は衆参両院に存在するが、役割が違う
・憲法審査会の任務は、主なところでは以下の通りである
1:日本国憲法の関する総合的調査
2:憲法改正の原案審査
3:憲法改正に係る国民投票の法案審査
・つまるところ、「法律や命令が憲法に違反するかしないかを審査する」機関ではない
・あまり政治経済の授業で取り上げられるような組織ではないが、ともあれ誤文である
⇒なお、憲法審査会そのものについて知らずとも、「…違憲立法審査とか意見行政審査って、それ司法府の役割では?」と考えて誤文と判断する事も可能である
③憲法は、衆議院については予算の先議権と内閣不信任決議権を定め、参議院については法律案の先議権を定めている。
・衆議院が予算の先議権を持つのはその通り
・衆議院が内閣不信任決議権を持つのもその通り(参議院は問責決議しかできない)
・法案の議論は、どちらが先というのは決まっていない
④憲法は、国政調査権を衆議院と参議院に認めており、証人の出頭や証言に加えて記録の提出を要求することができると定めている。
・正文である