令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済 第3問 問7

問題

生徒Yは、模擬授業後、条約に関して調べた。人権保障についての条約に関する次の記述ア〜ウのうち、正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。

ア 国連において、世界人権宣言の内容をより具体化して法的拘束力をもたせるものとして、国際人権規約が採択された。
イ 国連において、女性差別の撤廃をめざす条約は採択されたものの、人種差別の撤廃についてはいまだ条約は採択されていない。
ウ 日本は、国際人権規約の批准に際して中等・高等教育の無償化について留保していたが、現在は留保を撤回している。

① ア
② イ
③ ウ
④ アとイ
⑤ アとウ
⑥ イとウ
⑦ アとイとウ

#人権の拡大 #時事問題

解説

正解:⑤
復習用資料:政治分野第一章/人権の拡大

・だいぶ悪問寄りの問題
・アとイについては通常の公共や政治経済の知識で解けるが、ウが時事問題と言うにも厳しい

ア 国連において、世界人権宣言の内容をより具体化して法的拘束力をもたせるものとして、国際人権規約が採択された。

・正文である

イ 国連において、女性差別の撤廃をめざす条約は採択されたものの、人種差別の撤廃についてはいまだ条約は採択されていない。

・誤文である。と言うか、逆に現代に至っても人種差別撤廃が採択されていない方が怖い
・実際、人種差別撤廃条約が存在し、日本国も批准している
⇒なお、国連は国連でも国際連盟であれば、大日本帝国が提案した人種差別撤廃提案を否決した歴史がある。反対の急先鋒はアメリカ合衆国とイギリスであった

ウ 日本は、国際人権規約の批准に際して中等・高等教育の無償化について留保していたが、現在は留保を撤回している。

・問題はこれ
・正文なのだが、公共や政治経済の授業ではここまでやらないので、教科書の知識では解けない
・そして時事問題として見ても、撤回したのが2012年の話であり、「言うほど時事か?」となる

・恐らく、問題作成者の意図としては、「自分の周囲に関心を持っている生徒の点を上げたい」である
⇒これは大学入試改革全体の話になるが…従来の「高校の授業と教科書の内容をキッチリやって満点!」みたいな受験が「詰め込み教育はクソ!」「色んな体験をして考える力を養おう!」「考える力を評価しよう!」という感じでアホな国民に叩かれに叩かれて発生したのが、令和二年から始まった大学入試改革である。この改革で、センター試験も、大学入試共通テストへ変わった
⇒こういった教育改革の中で、「身の回りの事に興味関心を持って、自分なりに探求する」生徒が偉い、という事になった。逆に言えば、「高校の授業と教科書の内容をキッチリやって満点!」みたいな生徒は偉くない、という事になった。そういう風潮は、現役高校生ほど肌で感じている筈である

・で、今回の国際人権規約の留保の撤回の話だが…
・確かに「身の回りの事に興味関心を持って、自分なりに探求」していれば、出てくる話なのだ

・と言うのは、近年は高校実質無償化のような政策が実施されている
・故に令和六年現在の高校生は、そういった政策で助かっている家庭が多い事を知っている
・そしてこの手の政策は、元をただせば2012年の留保撤回に行きつく

・まさに「身の回りの事に興味関心を持って、自分なりに探求」していれば、出てくるのである
⇒のだが、「こんな問題を、国公立受験する奴が全員受けるような試験で出していいのか?」と言われるとまぁうん。私は反対です

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