令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問2

問題

講演会の冒頭で、講演者は社会や環境に配慮した事業の立ち上げ時を振り返り、「起業にはビジネスのアイデアだけでなく、資金調達もまた重要であった」と話した。その話を聞いた生徒Aは、資金調達の方法について調べた。不特定多数から資金を集めて新規事業を立ち上げる場合の、次の資金調達の手段ア~ウとその特徴X~Zの組合せとして最も適当なものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。

ア 株式の発行
イ 社債の発行
ウ クラウドファンディング

X 企業は調達した資金を期日までに返済する義務がある。事業の業績に関わりなく、資金の提供者に対して、確定した金額の利子を支払う。
Y 企業は調達した資金を返済する義務がない。事業の業績に必ずしも関わりなく、資金の提供者に対して、あらかじめ約束した特典などを提供する。
Z 企業は調達した資金を返済する義務がない。事業の業績に応じるかたちで、資金の提供者に対して、各々の出資比率に基づき配当などを配分する。

①ア-X   イ-Y   ウ-Z
②ア-X   イ-Z   ウ-Y
③ア-Y   イ-Z   ウ-X
④ア-Y   イ-X   ウ-Z
⑤ア-Z   イ-X   ウ-Y
⑥ア-Z   イ-Y   ウ-X

解説

正解:⑤

・株式、社債についての知識を問う問題である
⇒時事の知識もしくは常識として、クラウドファンディングについて多少なりとも知っていれば、株式か社債どちらかの知識だけで解ける。そういう意味では、“机の上でやる勉強だけが勉強じゃない!“路線を突っ走る最近の共テらしい問題と言える

X 企業は調達した資金を期日までに返済する義務がある。事業の業績に関わりなく、資金の提供者に対して、確定した金額の利子を支払う。

・明らかに社債の説明である
⇒社債は一種の、“会社がする借金”だと思うとよい。となると、「資金を期日までに返済する義務がある」「事業の業績に関わりなく(中略)利子を支払う」は、完全に借金の特徴である

Z 企業は調達した資金を返済する義務がない。事業の業績に応じるかたちで、資金の提供者に対して、各々の出資比率に基づき配当などを配分する。

・明らかに株式の説明である
⇒株式は、“この会社の持ち主になる権利を売ります券”であり、借金ではない。よって、「企業は調達した資金を返済する義務がない」。また、株式を購入して株主となった者は、“会社の持ち主”になる訳だから、当然、会社を経営した儲かった利益を受け取る権利がある。即ち会社は、「事業の業績に応じるかたちで、資金の提供者に対して、各々の出資比率に基づき配当などを配分する」のである

Y 企業は調達した資金を返済する義務がない。事業の業績に必ずしも関わりなく、資金の提供者に対して、あらかじめ約束した特典などを提供する。

・クラウドファンディングの説明である
⇒クラウドファンディングは名前だけしか知らない人が多いかもしれないが、まさにこのYの説明にあるようなものである。基本的には、資金を提供する側は“景品つきの寄付”“商品の先行購入”だと思ってやるものである

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