令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問3
問題
講演者は「海外で事業を展開する際、為替レートの変動を注視する必要がある」と話した。その話を聞いた生徒Bは、国内外の販売価格の変化について計算して考えた。いま、ある日本企業が、国内において600万円で販売している商品Kを、各時点における為替レートでドル換算した価格で、アメリカにおいて販売しているとする。一年間と現在とで為替レートに変化が生じた場合の、日本企業の商品Kのアメリカにおける販売価格の変化を、次のノート1に記した。ノート1中の空欄[ ア ]~[ ウ ]に入るものの組合せとして最も適当なものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。
ノート1 |
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●為替レートの変化 一年前:1ドル=150円、日本国内における商品Kの販売価格600万円 現在:1ドル=100円、日本国内における商品Kの販売価格600万円 |
●アメリカにおける販売価格の変化 上記の為替レートの変化は、[ ア ]と判断することができます。このとき、アメリカにおける商品Kの現在の販売価格は、一年前に比べて[ イ ]万ドル[ ウ ]なっています。 |
①ア 円安 イ 2 ウ 高く
②ア 円安 イ 2 ウ 安く
③ア 円安 イ 12 ウ 高く
④ア 円安 イ 12 ウ 安く
⑤ア 円高 イ 2 ウ 高く
⑥ア 円高 イ 2 ウ 安く
⑦ア 円高 イ 12 ウ 高く
⑧ア 円高 イ 12 ウ 安く
解説
・外国為替相場の基本的な知識さえあれば、後は算数の問題である
一年前:1ドル=150円
現在:1ドル=100円
・これは円高である
⇒円の数字が減っているので、ド文系は円安と言ってしまいがちだが…“一年前は、1ドル買うのに150円もかかった”“今年は、1ドル買うのにたったの100円でいい”と考えると、円の価値が高くなっている事が分かる
・よって、[ア]は円高となる
一年前:1ドル=150円
・この条件で、日本の商品を米国で売ろうとするとどうなるか?
例1:日本で150円の商品Aを米国で売ろうとすれば、1ドルになる
例2:日本で300円の商品Bを米国で売ろうとすれば、2ドルになる
一年前:1ドル=150円、日本国内における商品Kの販売価格600万円
・では、商品Kの場合は? 600万円÷150円=4万ドルである
現在:1ドル=100円、日本国内における商品Kの販売価格600万円
・一方、この場合の商品Kは? 600万円÷100円=6万ドルである
・よって、去年と今年では、商品Kは2万ドル値上がりした事になる
このとき、アメリカにおける商品Kの現在の販売価格は、一年前に比べて[ イ ]万ドル[ ウ ]なっています。
・以上から、[イ]は2、[ウ]は高く、である