令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第3問 問4
問題
生徒Xと生徒Yは、ある大学のオープンキャンパスで行われた「日本国憲法における表現の自由」という模擬授業に参加した。次の資料は、模擬授業で配布されたものの一部である(なお、資料には表記を改めた箇所や省略した箇所がある)。XとYは、模擬授業後資料をみながら話し合っている。後の会話文中の空欄[ ア ]に当てはまる記述と空欄[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
資料
表現の自由の意義として、さらに、各人が自己の意見を自由に表明し、競争することによって、真理に到達することができるという、「思想の自由市場論」があげられている…(略)…。「思想の自由市場論」は、アメリカの連邦最高裁判所のホームズ裁判官が、「真理の最良の判定基準は、市場における競争のなかで、みずからを容認させる力をもっているかどうかである」と述べたもので…(略)…ある。
(出所)野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利『憲法I〔第5版〕』
X:この資料は、真理に到達するための筋道について論じているみたいだね。でも、人々の意見は多様だし、思想に真理なんてあるのかな。
Y:ここでの真理は、唯一絶対の真理とは違うよね。人々の思想に唯一の真理なんて普通は存在しないからこそ、思想の自由市場を説いたのではないかな。
X:そうだね。この資料の考え方を踏まえると、日本国憲法で定めている検閲の禁止は、[ ア ]ためにも大事なんだね。
Y:資料の考え方を現実の問題に当てはめてみるとどうだろうね。たとえば、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で、アルゴリズムによって自分の考えと同じ意見ばかり表示されるとしたら、どうかな。
X:その場合、この資料にある思想の自由市場の前提である競争が[ イ ]されるんじゃないかな。ほかにも現実の問題に当てはめて考えることができそうだね。
Y:模擬授業ではSNS上でのフェイクニュースの問題が取り上げられていたけど、これも関連するんじゃないかな。こう考えてくると、思想の自由市場がしっかり機能するために、何らかの対策をする余地があるのかもしれないね。
[ ア ]に当てはまる記述
a危険な言論を取り除くことで、思想の自由市場を健全に保ち続ける
b意見の自由なやりとりを確保することで、真理を探究し続ける
[ イ ]に当てはまる語句
c促進
d阻害
①ア―a イ―c ②ア―a イ―d ③ア―b イ―c ④ア―b イ―d
#国語問題 #悪問
解説
正解:④
・作問者の思想性が強く出すぎている悪問
・問題としては別に難しくないので、この手の問題を落とさないようにしたくもある
日本国憲法で定めている検閲の禁止は、[ ア ]ためにも大事なんだね
a危険な言論を取り除くことで、思想の自由市場を健全に保ち続ける
b意見の自由なやりとりを確保することで、真理を探究し続ける
・「検閲」という言葉の意味さえ理解していれば解ける部分である
・即ち「検閲」は、特定の表現や言論の発表を(主に国家権力が)禁止するものである
・何故禁止するのかと言えば、aの言う通り「危険な言論を取り除く」為である
・そして、会話文にある通り、日本国憲法は検閲を禁止している
・という事は、検閲の目的について述べたaは不適切である
・むしろ、日本国憲法が検閲を禁止した目的に近い、bが適切である
Y:資料の考え方を現実の問題に当てはめてみるとどうだろうね。たとえば、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で、アルゴリズムによって自分の考えと同じ意見ばかり表示されるとしたら、どうかな。
X:その場合、この資料にある思想の自由市場の前提である競争が[ イ ]されるんじゃないかな。
c促進 d阻害
・何故かSNSだけが問題になって、その他のメディアが問題になっていない部分。思想が強い…
・Yが言及しているのは、「一部の人間によって、人が受け取る情報が制御されてしまう」状況である
・この「一部の人間」とは即ち、SNSや新聞、テレビ等の運営者である
・人々に届く情報を、彼らが選別してしまう…というのは、検閲に近い効果があるのではないか、という話である
⇒検閲がなされていない、即ち、ある表現や言論の発表が禁止されていない状態であっても、人々に届かないのであれば結局は、検閲されているのと変わらない
・という訳で、[ イ ]は「阻害」が適切である