令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第5問 問6
問題
日本における労働力雇用の特徴に関連して、日本における雇用の特徴に関心をもった生徒X、生徒Y、生徒Zは、いろいろな本を読み、本の内容とこれまでの学習から考察できることについて話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる記述と空欄[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。
X:最近読んだ本に、日本における雇用を他国と比較した際の特徴として、職務が特定されていない労働契約がしばしばみられることがあげられていたよ。
Y:私が読んだ本でも、日本の雇用では、職務が特定されていない労働契約に基づいて使用者がさまざまな職務を労働者に担当させていることが特徴的だと指摘されていたね。
X:そのような雇用形態の場合、担当している職務が廃止されても、ほかの職務を担当できる場合には、使用者がその労働者を解雇することに制約があるという側面も述べられていたよ。これが終身雇用の慣行につながっているといえそうだね。
Z:ということは、そのような雇用形態では、[ ア ]が重要な要素となっていると推察できるね。
X:さらに同じ人がさまざまな職務を担当する可能性の高い終身雇用の下では、[ イ ]が難しいので年功序列型賃金がみられるようになったと推察できるね。
Y:一方で、職務を特定した採用を増やそうとする動きもみられるよ。
Z:労働生産性を高めて経済成長につなげようとするねらいが背景にあるのかな。
X:そうすると、今後日本では、雇用形態に変化が生じる可能性があるね。
Y:そうした変化の中で、今後職務に適合した労働者を雇用する傾向が強まると、労働者にとって[ ウ ]の労働組合の必要性が高まるといえるんじゃないかな。
Z:雇用のあり方のそうした変化を見通した上で、過労死やサービス残業、賃金格差の拡大といった問題について、考えていく必要があるね。
[ ア ]に当てはまる記述
a労働者が単一の職務の専門的技能を身につけていること
b労働者が特定の企業の一員であること
[ イ ]に当てはまる記述
c職務の専門的技能の高低や職務の必要度の高低に応じて賃金を定めること
d入社後の期間や年齢といった客観的な基準に応じて賃金を定めること
[ ウ ]に当てはまる語句
e企業別
f産業別や職業別
①ア―a イ―c ウ―e
②ア―a イ―c ウ―f
③ア―a イ―d ウ―e
④ア―a イ―d ウ―f
⑤ア―b イ―c ウ―e
⑥ア―b イ―c ウ―f
⑦ア―b イ―d ウ―e
⑧ア―b イ―d ウ―f
解説
正解:⑥
・労働問題の知識を問う…ように見せかけた、純粋な国語の問題である
X:最近読んだ本に、日本における雇用を他国と比較した際の特徴として、職務が特定されていない労働契約がしばしばみられることがあげられていたよ。
Y:私が読んだ本でも、日本の雇用では、職務が特定されていない労働契約に基づいて使用者がさまざまな職務を労働者に担当させていることが特徴的だと指摘されていたね。
(中略)
Z:ということは、そのような雇用形態では、[ ア ]が重要な要素となっていると推察できるね。
・[ ア ]に関して、重要なのは下線部である
・現代日本社会では、労働者に様々な仕事をさせる(単一の仕事をさせる事を想定していない)のである
・という事は、「a労働者が単一の職務の専門的技能を身につけていること」が重要というのはあり得ない
・必然的に、「b労働者が特定の企業の一員であること」が正答として導かれるのである
X:さらに同じ人がさまざまな職務を担当する可能性の高い終身雇用の下では、[ イ ]が難しいので年功序列型賃金がみられるようになったと推察できるね。
・[ イ ]は、[ ア ]の話の続きである
・現代日本社会では、「同じ人がさまざまな職務を担当する」
・言い換えれば、現代日本社会では、“ある人がずっと同じ仕事をする”というのはあまり想定されていない
・結果、「c職務の専門的技能の高低や職務の必要度の高低に応じて賃金を定めること」は難しいのである
⇒だから、従来の日本型労働環境では、年功序列型賃金、即ち「d入社後の期間や年齢といった客観的な基準に応じて賃金を定めること」が多かったのである
Y:一方で、職務を特定した採用を増やそうとする動きもみられるよ。
(中略)
Y:そうした変化の中で、今後職務に適合した労働者を雇用する傾向が強まると、労働者にとって[ ウ ]の労働組合の必要性が高まるといえるんじゃないかな。
・ここで話が少し変わるが、[ ア ]を振り返ると正答を得やすいだろう
・今までの現代日本社会では、“ある人がずっと同じ仕事をする”は想定されていなかった
・故に大事なのは「a労働者が単一の職務の専門的技能を身につけていること」ではなかった
・大事なのは「b労働者が特定の企業の一員であること」であった
・故に、従来の日本型労働環境では、「e企業別」労働組合が多かった
・ところが、最近、“ある人がずっと同じ仕事をする”形で労働者を雇う動きが出てきている
・そうなると、大事なのは「b労働者が特定の企業の一員であること」ではなくなるだろう
・大事なのは「a労働者が単一の職務の専門的技能を身につけていること」になるだろう
・という事は、労働組合も「f産業別や職業別」が求められるようになるのではないか…
・…というのが、[ ウ ]周辺の話である
・よって正解は、⑥ア―b イ―c ウ―f である