令和四年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問4

問題

金融政策に関連して、生徒Xと生徒は、日本銀行による金融政策の主な手段である公開市場操作(オープンマーケット・オペレーション)について話し合った。次の会話文中の空欄[ ア ][ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

X:日本銀行は、買いオペレーションや売りオペレーションによって、個人や一般企業が保有する通貨量を変動させているようだね。
Y:そうかな?たしかに、買いオペは金融[ ア ]の効果が期待できると言われているけど、日本銀行が市中銀行から国債を買い入れると、確実に増加するのは市中銀行が保有する日銀当座預金の残高だね。
X:それは個人や一般企業が保有する通貨量、つまり[ イ ]|が増加すると考えてよいのかな。
Y:[ イ ]が増加するかどうかは、個人や一般企業の資金需要と市中銀行の貸出が増加するかどうかによるよ。
X:それなら、日本銀行の公開市場操作は[ イ ]を直接的に増減させるものではないということだね。

① ア 緩和   イ マネーストック   ② ア 緩和   イ マネタリーベース
③ ア 引締   イ マネーストック   ④ ア 引締   イ マネタリーベース

#金融政策と銀行

解説

正解:①
復習用資料:経済分野第一章/金融政策と銀行

・共テ恒例「そんな生徒いねーよ」シリーズの中でも特に実在性が低い回
⇒生徒Xの冒頭の「買いオペ売りオペでマネーストックが変動するんだね」までは「ああ、この生徒試験勉強中なのかな?」ぐらいで済むが、そこですかさず「そうかな?」とか言い出す生徒は絶対にいない。ここでクスッと来たら、君も共テのヘビーユーザー言えるだろう(?)

・そこを抜きにすると、金融政策と公開市場操作の知識があれば解ける基本的な知識問題になっている
・だからこそ、こういう問題は落とさないようにしたい
⇒何度でも言うが、受験は「難問奇問がいくら解けるか」ではなく「基本的な問題をどれだけ落とさないか」が鍵である

買いオペは金融[ ア ]の効果が期待できると言われている

・ここを解く上で一番いいのは、ちゃんと覚えている事である
・「買いオペは通貨流通量を増やす、つまり金融緩和政策」と覚えていれば一発である
・よって空欄アは「緩和」だと、覚えていればそれで終わりなのだ

・ただ、そこまで完璧に覚えていなくても解けると言えば解ける
・「金融緩和は通貨流通量を増やす」と公開市場操作の仕組みさえ覚えていれば導出できるからである

・公開市場操作では、日本銀行が民間の金融機関と有価証券を売り買いする
・買いオペであれば、日本銀行が買う側である
・日本銀行は有価証券を買い、カネを民間の金融機関へ支払う
・これで日本銀行からカネが民間へ流れ、通貨流通量が増える、という訳である
・よって買いオペは金融緩和(通貨流通量増加)…と、答えを導出できるのだ

・政治経済は、「原理原則だけ覚えておいて、細かい事はその場で導出する」が有効な科目である
・丸暗記という非効率な勉強はやめて、賢く効率的に勉強しよう

それは個人や一般企業が保有する通貨量、つまり[ イ ]が増加すると考えてよいのかな。

・一方、こちらはもう覚えているか覚えていないかだけの、完全な知識問題である
・選択肢はマネーストックとマネタリーベースだが、この両者は全然違う単語なのだ

マネーストック:市場に流通する貨幣の総量(どこまでを「貨幣」とするかで数え方は色々ある)
マネタリーベース:市場に存在する現金全部+市中銀行の日銀口座全額

・文脈から考えれば、空欄イは明らかにマネーストックである
⇒空欄イが初登場する直前の会話文でも、生徒Yが、買いオペは所詮「市中銀行が保有する日銀当座預金の残高」みたいな事を言っている。この文脈で、市中銀行の日銀口座全額が含まれるマネタリーベースが空欄イに入る事はありえない

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