令和五年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第3問 問3
問題
生徒Xと生徒Yは、模擬授業1で扱われた戦争の違法化の試みについて話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ][ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
X:国際連盟は紛争の平和的解決と[ ア ]の一環としての制裁とを通じて国際社会の平和と安全を保障しようとしたよね。国際連盟規約において戦争に課された制約は限定的で、戦争の違法化を進める動きが生じたんだ。
Y:それを進めた国際規範に、[ イ ]があるよね。これは、国際関係において国家の政策の手段としての戦争を放棄することを目的としたものだよ。しかし、第二次世界大戦の勃発を抑止できなかったよね。
X:その後、国際連合憲章では、国際関係において武力による威嚇または武力の行使を禁止しているんだよ。これによって、[ イ ]に比べて制度上禁止される国家の行為は拡大したんだ。21世紀になっても武力紛争はなくなっていないので、武力による威嚇や武力の行使の違法化をもっと実効性のあるものにすべきではないのかな。
①ア 勢力均衡 イ 不戦条約
②ア 勢力均衡 イ 国際人道法
③ア 集団安全保障 イ 不戦条約
④ア 集団安全保障 イ 国際人道法
解説
・単純な知識問題であり、また、「こういう問題を落とさない」というのが合格に重要である
・難問奇問を解ける解けないよりも、まずは、こういう基本的な問題を落とさないよう心掛けたい
国際連盟は紛争の平和的解決と[ ア ]の一環としての制裁とを通じて国際社会の平和と安全を保障しようとした
・選択肢は「勢力均衡」と「集団安全保障」である
・国際連盟は、「集団安全保障」をやる為に作られた国際機関としては、初の組織である
・無論、あまりにも不完全ではあったが、それでも、集団安全保障をお題目に掲げていたのは間違いない
・よって、[ア]は集団安全保障である
[ イ ]があるよね。これは、国際関係において国家の政策の手段としての戦争を放棄することを目的としたものだよ
・選択肢は「不戦条約」と「国際人道法」である
・言うまでもなく、第一次世界大戦後の平和ブームの中で結ばれた戦争放棄条約が、不戦条約である
・知識以前の問題として、「戦争を放棄」と言っている以上、文脈的にも「国際人道法」ではあり得ない
・よって、[イ]は不戦条約である