令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済 第1問 問6

問題

地方財政について、生徒Xは、地方財政における福祉関係の支出に関心をもち、次の図1と図2を作成した。図1・図2は、都道府県と市町村の民生費の歳出について、2000年度と2019年度とを比較したものである。民生費とは、地方財政における福祉関係の経費のことである。図1・図2から読みとれる内容として誤っているものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

① 都道府県の民生費について、2019年度の社会福祉費と老人福祉費の金額はいずれも2000年度の2倍以上に増加している。児童福祉費の金額も増加しているが、構成比は下がっている。
② 市町村の民生費について、2019年度の児童福祉費の金額は2000年度の2倍以上に増加している。社会福祉費、老人福祉費、生活保護費の金額も増加しているが、構成比はいずれも下がっている。
③ 2019年度の民生費について、都道府県では老人福祉費の構成比が最も高く、次いで社会福祉費、児童福祉費の順となっている。市町村では児童福祉費の構成比が最も高く、次いで社会福祉費、老人福祉費の順となっている。
④ 2019年度の民生費について、市町村の総額は都道府県の総額の2倍以上となっている。社会福祉費、老人福祉費、児童福祉費、生活保護費のいずれに関しても、市町村の金額は都道府県の金額の2倍以上となっている。

#国語問題

解説

正解:④

・知識は必要なく、ただ選択肢と図1もしくは図2を見比べるだけの問題
※計算要素も多少あるが、ここまで来ると計算問題とはちょっと言わないかな…

① 都道府県の民生費について、2019年度の社会福祉費と老人福祉費の金額はいずれも2000年度の2倍以上に増加している。児童福祉費の金額も増加しているが、構成比は下がっている。

・都道府県の民生費なので、図1を見てみよう

・社会福祉費は100.5⇒253.8。二倍以上に増加している
・老人福祉費は159.7⇒332.9。二倍以上に増加している
・児童福祉費は116.9⇒189.9。増えている
・児童福祉費の構成比は28.5⇒23.2。下がっている

・以上から、①は正文である

② 市町村の民生費について、2019年度の児童福祉費の金額は2000年度の2倍以上に増加している。社会福祉費、老人福祉費、生活保護費の金額も増加しているが、構成比はいずれも下がっている。

・市町村の民生費なので、図2を見てみよう

・児童福祉費は321.7⇒857.5。二倍以上に増加している
・社会福祉費は292.0⇒544.1。増加している
・社会福祉費の構成比は27.9⇒25.0。下がっている
・老人福祉費は242.7⇒396.2。増加している
・老人福祉費の構成比は23.2⇒18.2。下がっている
・生活保護費は187.3⇒372.4。増加している
・生活保護費の構成比は17.9⇒17.1。下がっている

・以上から、②は正文である

③ 2019年度の民生費について、都道府県では老人福祉費の構成比が最も高く、次いで社会福祉費、児童福祉費の順となっている。市町村では児童福祉費の構成比が最も高く、次いで社会福祉費、老人福祉費の順となっている。

・まず図1都道府県の構成比を見てみよう
⇒老人福祉費の構成比が最も高く(40.7)、次いで社会福祉費(31.0)、児童福祉費(23.2)の順になっている

・続いて図2市町村の構成比を見てみよう
⇒児童福祉費の構成比が最も高く(39.4)、次いで社会福祉費(25.0)、老人福祉費(18.2)の順になっている。生活保護費は17.1なので四位

・以上から、③は正文である

④ 2019年度の民生費について、市町村の総額は都道府県の総額の2倍以上となっている。社会福祉費、老人福祉費、児童福祉費、生活保護費のいずれに関しても、市町村の金額は都道府県の金額の2倍以上となっている。

・まず総額を比較してみよう
・市町村(図2)の2019年総額は21兆円以上、都道府県(図1)は8兆円である
・よって二倍以上であり、この部分は正しい

・次いで、2019年の各費用を比較してみよう
社会福祉費:市町村(図2)は544.1、都道府県(図1)は253.8 ⇒ 二倍以上である
老人福祉費:市町村(図2)は396.2、都道府県(図1)は332.9 ⇒ 二倍以上ではない
児童福祉費:市町村(図2)は857.2、都道府県(図1)は189.9 ⇒ 二倍以上である
生活保護費:市町村(図2)は372.4、都道府県(図1)は24.3 ⇒ 二倍以上である

・以上から、④は誤文である

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