令和七年度 大学入学共通テスト追試験 公共、政治・経済

第1問

※第1問のリード文が実質、第1問の問1専用リード文である為、リード文を問1にのみ載せている

第1問 問1

A:新型コロナウイルス感染症のまん延は、ワクチン接種や副反応、重篤な患者の受入れなど、様々な問題をもたらしたね。医学的な観点からだけではなく、倫理的、法的、社会的な観点からの多面的な検討を要する課題もあった。
B:人工呼吸器を緊急に要する患者が多く運び込まれてきた場合に、限られた呼吸器を誰から先に装着するか、というトリアージの問題があるね。
A:功利主義の立場では、医療措置を加えれば助かる見込みが出てくる人を優先することで、[ ア ]の救命を目指すやり方が考えられる。
B:装着順を決めざるを得ないときに備えて、基準を定めておく必要はあるから、功利主義の発想は捨てきれないね。うーん、これって、「公共の福祉」という考え方と同じなのだろうか。
A:憲法上の「公共の福祉」は、社会全体の幸福を目的とする功利主義と直結するとは必ずしも言えないかも。それに、各人が平等にもつ人権や[ イ ]を何よりも尊重しようという義務論の立場からすると、救命に優先順位をつけるのは難しいと感じられるかな。
B:よりよい社会の実現のためには、すぐに答えの出ない問題について、皆で考えていくのが大事だね。地域社会のルールや私人どうしのルールも、社会の進展に伴って生じる課題に対応するために形成されてきたんだろうね。

会話文中の空欄ア・イに入る語句の組合せとして最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① ア 最大多数   イ 欲求
② ア 最大多数   イ 尊厳
③ ア 無差別   イ 欲求
④ ア 無差別   イ 尊厳

#国語問題 #倫理分野

第1問 問1解説

正解:②
復習用資料:倫理分野

・倫理分野の中でも功利主義とは何かについての知識を問い、その上で読解力も問う複合問題
・…の筈なのだが、これ、やろうと思えば全部読解力で行けちゃうのでは…ともなる問題である

A:功利主義の立場では、医療措置を加えれば助かる見込みが出てくる人を優先することで、[ ア ]の救命を目指すやり方が考えられる。

・選択肢は「最大多数」か「無差別」である
・功利主義と言えば、“最大多数の幸福”。これさえ覚えていれば、それだけで解ける知識問題の箇所である
・なのだが、正直、もう少し広く文章を読めば、国語力で解けてしまう

B:人工呼吸器を緊急に要する患者が多く運び込まれてきた場合に、限られた呼吸器を誰から先に装着するか、というトリアージの問題があるね。
A:功利主義の立場では、医療措置を加えれば助かる見込みが出てくる人を優先することで、[ ア ]の救命を目指すやり方が考えられる。
B:装着順を決めざるを得ないときに備えて、基準を定めておく必要はある

・ここの会話は、“全員は助けられない”からこそ誰かを優先せざるを得ない、という状況の話である
⇒この会話は、要するに、「緊急」の場合を頭に浮かべながらのものである。もう少し言えば、“全員は助けられない”という状況を想定して、ABが会話している。であれば、優先順位をつけて、一部を助けて一部を見捨てる、という形にせざるを得ない

・となると、[ ア ]に「無差別」は絶対に入らない
⇒「無差別の救命」であれば、優先順位をつけず、全員を救おうとする筈だからである。結果、消去法で残った「最大多数」が正答となるのだ

第1問 問2

人権に関して、生徒Aと生徒Bは、日本国憲法が保障する基本的人権は、「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」であり、自由獲得の歴史のなかで、次の考え方ア~ウが展開されてきたことを学んだ。後のカードX~Zは、人権保障に関する思想や歴史を表す資料を基に、生徒Aと生徒Bが作成したものである。考え方ア~ウと、それに対応するカードX~Zとの組合せとして最も適当なものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。

考え方
ア 権力者といえども法に従わなければならない
イ 市民の自由を守るために政治権力を分立する
ウ 人は生まれながらに人権を有している

カード
X すべての人は生れひとしく自由かつ独立しており、一定の生来の権利を有するものである。(斎藤眞訳)
Y 〔国王が、〕議会の同意なくして王の権威により法や法の執行を停止する権限があるかのようにふるまうことは違法である。(江藤晶子訳)
(注)表現を一部〔〕内で補っている。
Z 同一の人間あるいは同一の役職者団体において立法権力と執行権力とが結合するときは、自由は全く存在しない。(横田伸弘訳)

① ア-X   イ-Y   ウ-Z
② ア-X   イ-Z   ウ-Y
③ ア-Y   イ-X   ウ-Z
④ ア-Y   イ-Z   ウ-X
⑤ ア-Z   イ-X   ウ-Y
⑥ ア-Z   イ-Y   ウ-X

#人権の拡大 #国家の正当性の原理 #法の支配と法治主義 #世界の政治制度

第1問 問2 解説

正解:④
復習用資料:政治分野第一章/人権の拡大
復習用資料:政治分野第一章/国家の正当性の原理
復習用資料:政治分野第一章/法の支配と法治主義
復習用資料:政治分野第一章/世界の政治制度

・「人権の拡大」や「国家の正当性の原理」、「法の支配と法治主義」に関する知識を問う問題
・なのだが、あまり各項目の細かい内容は聞いてこない問題でもある
・むしろ、「中世・近世・近代史概略」をきちんと学んでいるかが問われている

ア 権力者といえども法に従わなければならない

・ヘンリー・ド・ブラクトンの格言と類似する、大憲章(マグナ・カルタ)の精神を表す文章である
⇒「王と雖も神と法の下にある」と言ったのが大憲章制定当時の人物、ヘンリー・ド・ブラクトン。清教徒革命直前、この言葉を引き合いに出して権利請願を起草したのがエドワード・コークである

・では、ヘンリー・ド・ブラクトンは何処の国の人か? 大憲章は何処の国で出たものか?
・それはもちろん、イングランド王国(現代のイギリス)である
・この国は伝統的に王の権力が弱い、という話は「中世・近世・近代史概略」でした
・即ちイングランド王国には、王の権力を、議会(や議会の制定する法)が牽制する伝統があるのだ

Y 〔国王が、〕議会の同意なくして王の権威により法や法の執行を停止する権限があるかのようにふるまうことは違法である。(江藤晶子訳)

・このイングランド王国の伝統に沿うのは、明らかにYである
・よって、ア-Yであると分かる

イ 市民の自由を守るために政治権力を分立する

・明らかに、権力分立に関する文言である
・簡単に言えば、あらゆる国家権力が一人に集中している状態が絶対王政であり、人の支配である
・近世も後半に入ると絶対王政が実現されていくが、その中で、人の支配の弊害も指摘され始める
・即ち、“絶対王政・人の支配の場合、一度圧政が始まったら止めようがない”のである

・ここで出てきた考え方の一つが、制御と均衡(チェック・アンド・バランス)に基づく権力分立である
・国家権力を二つか三つに分けて、互いに牽制させよ…という訳である
⇒これを提唱した人物としては、社会契約説でも有名なジョン・ロックや、三権分立を唱えたラ・ブレード=モンテスキュー男爵シャルル=ルイが有名

Z 同一の人間あるいは同一の役職者団体において立法権力と執行権力とが結合するときは、自由は全く存在しない。(横田伸弘訳)

・Zは、この権力分立の考え方の前提を述べたものである
前提:国家権力が全て「同一の人間あるいは同一の役職者団体」に集中していると、マズイ
結論:だから「政治権力を分立」しよう

・という訳で、イ-Zであると分かる

ウ 人は生まれながらに人権を有している

・人権という考え方の中でも、天賦人権説的な考え方である
・即ち、「人は生まれながらに」、一定の権利を有しているという考え方である
⇒一般に多いのは、“××という義務を果たしたから、△△という権利がある”という考え方である。人権、特に天賦人権説的な人権は、そうではない。誰であっても(どんな悪人でも、犯罪者でも、ニートでも)人権を持っている、と考える

X すべての人は生れひとしく自由かつ独立しており、一定の生来の権利を有するものである。(斎藤眞訳)

・こちらも、天賦人権説的な内容になっている
・何せ、「すべての人は(中略)一定の生来の権利を有する」のだから、これは天賦人権である

・よって、ウ-Xであると分かる

第1問 問3

地域社会のルールに関して、生徒Aと生徒Bは、都道府県や市町村には、それぞれ地域独自のルールがあるということを学び、自分たちが住むP市の条例について調べた。次の会話文中の空欄[ ア ]〜[ ウ ]に入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。

A:P市では、屋外広告物条例を作るために、条例案について広く住民の意見や情報を求める[ ア ]の手続きを始めたそうだよ。
B:条例を制定する場合にも実施されることがあるんだね。どんな内容の条例案なの?
A:どうやら、屋上広告は全面的に禁止、立て看板やのぼり旗も駅前でしか認められないみたい。うちのレストランはわかりにくい場所にあるから、あちらこちらに看板や広告を出しているんだよね。それらを撤去すると、お客さんが減ってしまうんじゃないかと心配だな。広告を規制するP市の条例案は、表現の自由や[ イ ]を侵害することになるんじゃないかな。
B:P市は、良好な景観を享受する住民の利益を重視しているんだろうね。環境権そのものは、[ ウ ]や生存権を根拠に主張されているようだけど、大気や水などの自然環境だけでなく、景観利益の保護も含むかどうかは議論があるね。うーん、基本的人権を保障しながら、同時に良好な景観を維持するのは案外難しいな。

① ア パブリックコメント   イ 労働基本権   ウ 幸福追求権
② ア パブリックコメント   イ 労働基本権   ウ 請願権
③ ア パブリックコメント   イ 営業の自由   ウ 幸福追求権
④ ア パブリックコメント   イ 営業の自由   ウ 請願権
⑤ ア マニフェスト   イ 労働基本権   ウ 幸福追求権
⑥ ア マニフェスト   イ 労働基本権   ウ 請願権
⑦ ア マニフェスト   イ 営業の自由   ウ 幸福追求権
⑧ ア マニフェスト   イ 営業の自由   ウ 請願権

#政党 #新しい人権 #日本国憲法と人権(自由権)

第1問 問3解説

正解:③
復習用資料:政治分野第一章/政党
復習用資料:政治分野第二章/新しい人権
復習用資料:政治分野第二章/日本国憲法と人権(自由権)

・文章が長ったらしいだけの、簡単な知識を問う問題である。こういうのは落とさないようにしたい

条例案について広く住民の意見や情報を求める[ ア ]の手続きを始めたそうだよ

・選択肢は「パブリックコメント」か「マニフェスト」である
・報道を見ている人は一発でパブリックコメントと分かる
・報道を見ていない人も、「マニフェスト」が明らかに違うというのは分かる筈である
⇒公共や政治経済の“政党”のところでやる内容だが、“私が当選したらこういう事をします”というのを公約と言うが、その公約の中でも、「我々が政権を取ったら」という形を採り、尚且つ財政的な裏付けや実施期限等が示されているものをマニフェスト(政権公約)と呼ぶ

・よって、[ ア ]は「パブリックコメント」である

うちのレストランはわかりにくい場所にあるから、あちらこちらに看板や広告を出しているんだよね。それらを撤去すると、お客さんが減ってしまうんじゃないかと心配だな。広告を規制するP市の条例案は、表現の自由や[ イ ]を侵害することになるんじゃないかな。

・選択肢は「労働基本権」か「営業の自由」である
・よって、広告の規制が“労働者の権利”と“経営者の自由”どちらを侵害するか考えればよい

・上記に引用したAさんの発言をもう一度読んでみよう。これは明らかに、経営者の発想である
⇒労働者(社員)にとってみれば、客は少なければ少ない方がいい。レストランに来る客が増えたところで給料は増えないし、単に忙しくなるだけである。最悪、潰れても転職すればよい。一方、経営者にとってみれば、客が増えれば増えるほど儲かる。逆に客が減って店が潰れるとなれば、経営者は莫大な借金を背負う可能性も出てくる。となると、“広告が減ったら客が減るかもしれない、心配”というのは、経営者の発想であると分かる

・つまり広告の規制は、「営業の自由」の侵害にはなり得ても、「労働基本権」の侵害にはなり得ない
⇒言い方を変えれば、“好きな場所で好きな店を経営していい”という自由の侵害にはなり得ても、労働者の権利の侵害にはならない

・よって、[ イ ]は「営業の自由」である

環境権そのものは、[ ウ ]や生存権を根拠に主張されている

・環境権は、いわゆる“新しい人権”の一種である
・そして“新しい人権”は、一般に、“幸福追求権”を根拠に展開される事が多い
⇒要するに日本国憲法制定時は存在しなかった人権を、一般に“新しい人権”と呼ぶ。日本国憲法制定後の社会の変化の中で、“憲法には書いていないが、憲法の理念を考えれば認められるべきでしょう”となって生まれてきた種々の人権が“新しい人権”と言える。その性格から、新しい人権は日本国憲法に明記されていないが、全く根拠がない訳でもなく、一般的には日本国憲法十三条の幸福追求権が根拠となっている

・よって、[ ウ ]は選択肢を見るまでもなく「幸福追求権」である

第1問 問4

私人どうしのルールに関して、生徒Aと生徒Bが、先生Tと契約の原則や契約の解除に関する法律上のルールについて学んでいる。次の会話文中の下線部dと下線部eの発言内容の正誤の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

A:近いうちに買おうと思っている自転車があります。d契約が成立すると、原則として、契約を一方的にやめることはできないんですよね。だとすれば、あるお店でいったん自転車を買った後で、同じ型の自転車をもっと安い値段で売っているお店を見つけた場合、そちらのお店で自転車を買い直したくても、もとのお店に自転車を返品して返金してもらうことはできない、ということになりますか?
T:お店側の好意で返品に応じてくれることはあるかもしれませんが、いったん契約が成立した後で、契約を取り消したり解除したりするためには、法律に規定されている取消しや解除の要件を満たす必要がありますね。
B:私は、エステティックサロンに通いたいと思っています。何か特別な法律上のルールがありますか?
T:事業者がエステサービスを一定の期間にわたり提供し、利用者が一定の料金を支払うことを約束する契約で、その期間が1月を超え、かつ、総額が5万円を超えるものは、特定商取引法が定めるクーリング・オフ制度の対象になります。
B:たしかeクーリング・オフは、一定の期間内であれば、事業者の同意を条件に契約を解除することができるという仕組みですね。いずれにせよ、契約を結ぶときには、契約内容をしっかり確認して、熟慮することが大事ですね。

①d―正 e―正   ②d―正 e―誤   ③d―誤 e―正   ④d―誤 e―誤

#消費者問題

第1問 問4解説

正解:②
復習用資料:経済分野第二章/消費者問題

・共テでは、“下線部だけ見ればOK”と“問題文全体を見ないと駄目”という問題が混在している
⇒なので、共テ(の特に公共、政治経済)では、“問題文全体は読まず、下線部とその周辺だけ読む”という“ラク”をするやり方はしないようにしたい

・この問題は典型で、下線部dに関しては後者、下線部eに関しては前者である
⇒即ち、下線部dについては問題文の残りの部分を読めば正誤が判定できる。下線部eに関しては、下線部だけ読めば、後は知識で判定できる

d契約が成立すると、原則として、契約を一方的にやめることはできない
T:お店側の好意で返品に応じてくれることはあるかもしれませんが、いったん契約が成立した後で、契約を取り消したり解除したりするためには、法律に規定されている取消しや解除の要件を満たす必要がありますね。

・下線部dの直後のTの発言を読めば、dは正であると分かる
⇒Tが言っているのは、要するに「原則として、契約を一方的にやめることはできない」という話である

eクーリング・オフは、一定の期間内であれば、事業者の同意を条件に契約を解除することができるという仕組み

・こちらは、クーリング・オフについて知っていれば誤と分かる部分である

・クーリング・オフの概要は、“売買契約の成立後一定期間内なら、買主側から契約を解除できる”である
⇒即ち、買った側が一方的に(売った側の同意なしに)契約を解除できる、というのがクーリング・オフである。特定商取引法等の、悪徳商法を防止する系の法律に書いてあるやり方である

・一方で、eには「契約を解除」するには「事業者の同意を条件」にしている
・よって、eは誤である

第2問

※リード文(らしきもの、二行しかない)は割愛

第2問 問1

若者議会で三人に求められているのは、現代社会における社会保障の課題を整理し、若い世代として、それらの課題にどのように取り組むことができるかについて提言することである。三人は、「公共」の授業内容を振り返り、若い世代がどのように社会に参画してきたのかという点に焦点をあて、青年期における自己の在り方と社会との関わり方について考えてみた。社会的に「大人」となるためには、身体的な成熟だけでなく、心理的・社会的な成熟が求められていることが、授業のテーマとなっていた。このテーマに関する次の記述ア〜ウは、後の記述X・Yのいずれに該当するか。それぞれの組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。

ア 大人としての責任や社会的義務が、部分的に猶予される
イ 親や年長者の考え方や、社会的権威に反抗する
ウ 一定の儀式を経ることで、社会的な地位や社会的役割が与えられる
X 人の一生には、七五三や成人式のように、人生の節目に行われる行事がある
Y 人の一生には、自分自身をよく知り、独自の価値観や人生観を体得し、精神的な自立を実現する時期がある

①X―アとイ Y―ウ
②X―アとウ Y―イ
③X―ア Y―イとウ
④X―イとウY―ア
⑤X―イ Y―アとウ
⑥X―ウ Y―アとイ

#国語問題

第2問 問1解説

正解:⑥

・倫理分野の問題…に見せかけた、ただの国語の問題である
⇒倫理分野の、特に“青年期の課題”でよく見る短文を組み合わせる問題なのだが…そもそも“青年期の課題”をやっていなくても、国語力で普通に組み合わせられてしまう

・本問で重要になるのは、“短文ア~ウは必ずXかYに分類される”という点である
⇒即ち、“短文アはXでもないしYでもない”というような話は存在しない。その為、例えば“短文アは明らかにXではないが、だからと言ってYかと言われると微妙じゃないか…?”というような場合でも、Yに分類してしまえばよいのである。そこさえ分かってしまえば、本問は簡単である

ア 大人としての責任や社会的義務が、部分的に猶予される

・明らかに、Xの言う「人生の節目に行われる行事」の話ではない
・むしろ、Yの方が「~する時期」と言ってるだけ、まだ近い

・よって、アはYに分類すべきである

イ 親や年長者の考え方や、社会的権威に反抗する

・反抗期の話っぽいが、やはり明らかに、Xの言う「人生の節目に行われる行事」の話ではない
・一方Yでは、「精神的な自立を実現する時期」と言っており、反抗期の話っぽい感じがある

・よって、イはYに分類すべきである

ウ 一定の儀式を経ることで、社会的な地位や社会的役割が与えられる

・「一定の儀式」は、Xの言う「人生の節目に行われる行事」の話と理解する事が可能である
・また選択肢から見ても、アイウ全部Yというのはあり得ず、ひとつはXが必要である

・よって、ウはXに分類すべきである

第2問 問2

三人は、若い世代の負担と老後の経済生活に対する備えについて考えるために、「公共」の授業ノートで紹介されていた、スウェーデン、日本、アメリカの3か国の社会保障に関するデータを調べた。ノートには、表1の、財務省がまとめた、国民所得(NI)に対する租税負担と社会保険料負担の合計の割合である「国民負担率(対NI比)」のデータ、及び、表2の「50歳代までに行った老後の生活に向けてしていたこと」をまとめたデータが紹介されていた。後の会話文を読み、Xは3か国のうちどの国にあてはまるか、そしてXに対応する国は、後のア〜ウのどれにあたるのか、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑨のうちから一つ選べ。

表1 国民負担率(対NI比)(%)

国民負担率(対NI比)
X 32.3
Y 54.5
Z 47.9

(注)国民負担率(対NI比)2020年、日本は2020年度データ。
(出所)財務省Webページにより作成。

表2 50歳代までに行った老後の生活に向けてしていたこと(%)

  預貯金 個人年金への加入 債券・株式の保有、投資信託 老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める
54.6 24.0 13.5 12.7
42.4 48.8 32.5 1.3
62.7 45.7 52.2 27.1

(注1)対象は各国在住の60歳以上の男女個人(施設入所者は除く)である。
(注2)複数回答のため、合計は100%にはならない。
(注3)項目は表2に示したもの以外に「不動産取得」などがあるが、省略している。
(出所)内閣府「第&回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(2020年)(内閣府Webページ)により作成。

A:表1と表2のデータを比較してみると、国ごとの社会保障費の負担に関連した、老後に向けての準備状況の特徴がよく見えてくる。
B:国民負担率が最も高い国では、「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」という回答の比率が、顕著に低くなっているね。
C:逆に、社会保障制度の整備状況が低い国ほど、「預貯金」などのかたちで、自ら老後の生活に向けて準備しておくことが必要になってくるようだ。国ごとの社会保障制度に対応するかたちで、個人の負担状況も変わるという傾向が見えてくるね。
A:たしかに、国民負担率が3か国のなかで最も低かった国では、「預貯金」「債券・株式の保有、投資信託」と「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」という回答の比率が、最も高くなっている。
B:もっとも、単純な相関とは言えないね。3か国を比較すると、ちょうど国民負担率が中間だった国では、「個人年金への加入」と「債券・株式の保有、投資信託」という回答の比率が最も低くなっているからだ。
C:国民負担率と社会保障制度の国ごとの違いについて考えることは、だれがどのように負担するか、若いうちから将来に対する準備をどのようにしておくべきかを考える上で、重要なポイントだね。

  表1のXの国名 Xに対応する表2が示す国の記号
スウェーデン
スウェーデン
スウェーデン
日本
日本
日本
アメリカ
アメリカ
アメリカ

#社会保障 #国語問題

第2問 問2解説

正解:⑨
復習用資料:経済分野第二章/社会保障

・“アメリカ合衆国の社会保障はオワコン”という知識があれば、後は国語の問題である
⇒私なんかは授業中、雑談で何度も何度も繰り返し言う話なのだが…教科書にばっちり載ってるような知識ではないし、日本全国の高校三年生の人生を占う共テでこんな事聞いていいのか…? という気持ちはかなりある。ただこの手の、“普段から報道とか見てれば何となくそういう知識ついてるよね”的な前提を元に作られた問題が近年増加傾向なのも事実である

・今回、問題としてはXが問われており、表1を見ると、Xは日米瑞三国の中で国民負担率が最も低い
・よって、会話文の中でも↓の部分さえ見つける事ができれば、答えは分かる

C:逆に、社会保障制度の整備状況が低い国ほど、「預貯金」などのかたちで、自ら老後の生活に向けて準備しておくことが必要になってくる
A:たしかに、国民負担率が3か国のなかで最も低かった国では、「預貯金」「債券・株式の保有、投資信託」と「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」という回答の比率が、最も高くなっている

・この会話から、Xはアメリカ合衆国であると分かる
⇒CとAは、明らかに、「国民負担率が3か国のなかで最も低かった国」こそが「社会保障制度の整備状況が低い国」であるという前提で話をしている。表1から、「国民負担率が3か国のなかで最も低かった国」はXなので、日米瑞三国で「社会保障制度の整備状況が低い国」が分かれば、Xの国名も分かる。そして、日米瑞三国で社会保障がオワコンな国はどれかとなれば、それは言うまでもなく、自由権重視で社会権も公共事業も社会保障も大っ嫌いなアメリカ合衆国以外にあり得ない

・また、この会話から、Xはウであるという事も分かる
⇒「国民負担率が3か国のなかで最も低かった国」、即ちXが、表2に於いてどんな結果になっているかをAが語っている。それによると、Xは、表2の中では「預貯金」「債券・株式の保有、投資信託」「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」が最も高かった。表2を見ると、その条件を満たすのはウであると分かる

第2問 問3

三人は社会保障の在り方をさらに検討した。三人が二つの代表的な年金制度の仕組みの特徴と社会情勢の変化によって影響を受けやすい点、及び、対応策について検討した際の次のメモを読み、メモ中の空欄[ イ ]・[ ウ ]・[ エ ]に入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。

メモ

年金制度 [ ア ]方式 [ イ ]方式
特徴 現役時に年金受給者が支払った年金保険料を財源として、年金受給者への支給を行う。 その時々の現役世代が負担する年金保険料を財源として、年金受給者への支給を行う。
社会情勢の変化によって影響を受けやすい点 社会情勢の持続的な物価の上昇によって、年金給付額の実質的価値が[ ウ ]することがある。 少子高齢化が進み世代間の人口比率が変動することに伴い、給付水準を維持するためには、現役世代の年金保険料負担を[ エ ]必要がある。
対応策 一人ひとりが掛け金を用いて、投資などの資産運用をしていくことで対応する。 年金支給開始年齢を引き上げることで対応する。

① イ 賦課   ウ 減少   エ 減らす
② イ 賦課   ウ 減少   エ 増やす
③ イ 賦課   ウ 増加   エ 減らす
④ イ 賦課   ウ 増加   エ 増やす
⑤ イ 積立   ウ 減少   エ 減らす
⑥ イ 積立   ウ 減少   エ 増やす
⑦ イ 積立   ウ 増加   エ 減らす
⑧ イ 積立   ウ 増加   エ 増やす

#社会保障

第2問 問3解説

正解:②
復習用資料:経済分野第二章/社会保障

・積立方式と賦課方式についての基本的な知識を問う問題である。こういう問題は落とさないようにしたい

[ ア ]方式
現役時に年金受給者が支払った年金保険料を財源として、年金受給者への支給を行う。

・これが積立方式である
⇒かつて、日本の年金制度はこれであった。その為、令和七年現在も、“自分が今貰っている年金は、現役世代が稼いだカネが財源”であると理解していない高齢者は多い

[ イ ]方式
その時々の現役世代が負担する年金保険料を財源として、年金受給者への支給を行う。

・これが賦課方式である
⇒令和七年現在、事実上賦課方式に移行している。日本政府や教科書は長い事「修正積立方式」や「修正賦課方式」と言って頑なに賦課方式であると認める事を拒んでいたが、近年の教科書は普通に「賦課方式」と書き始めている

積立方式
社会情勢の持続的な物価の上昇によって、年金給付額の実質的価値が[ ウ ]することがある。

・物価が上がると、連動して貨幣価値は下がる。これは経済の基本である
⇒例えば、去年までは一本百円だったペットボトルが、今年は一本二百円に値上げされた、としよう。これは言うまでもなく物価上昇にあたる。一方、貨幣価値(カネの価値)に着目するとどうなるか? 去年までは、百円玉にはペットボトル一本分の価値があったが、今年はペットボトル一本分の価値はない(百円玉二枚でようやくペットボトル一本分)…という話になる。即ち、物価上昇に合わせて、貨幣価値(カネの価値)が下落しているのである

・故に、年金支給額が同じでも、インフレ(物価上昇)が起こると、その価値は減少する
・よって、[ ウ ]は「減少」である

賦課方式
少子高齢化が進み世代間の人口比率が変動することに伴い、給付水準を維持するためには、現役世代の年金保険料負担を[ エ ]必要がある。

・賦課方式は、単純化して言えば、“若者が稼いだカネで高齢者を養う”形の年金である
・では、令和七年現在の日本国で進行しているように、少子高齢化が進むとどうなるか?
⇒言い方を変えると、“若者が多く高齢者が少ない”から“若者が少なく高齢者が多い”へ変化した場合、どうなるか…という事である。言うまでもなく、若者一人が払う保険料を増やさないと、高齢者へ支給する年金額を維持できない
※まぁ、日本国の公的年金は公費も投入して維持しているものなので、“国債発行して年金支給に充てる”とかしてもいいのだが…民意が許さないしね……

・よって、[ エ ]は「増やす」である

※ところで、この問題の「対応策」の部分要らないというか、ガバガバ過ぎませんか…? 日本全国の高校三年生が受ける試験で、こんなガバガバ対応策をまるで正解であるかのように示していいのか…? 積立方式の対応策とか、最早「じゃあ年金って制度自体やめろよ」って話にしかならなさそうなのだが……

第2問 問4

三人は、これまでの検討結果を整理し、若者議会で提案する内容をまとめている。次の会話文を読み、会話文中の空欄[ ア ]〜[ ウ ]に入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。

A:若者議会の提案をまとめていくために、強調したいポイントを出してほしい。
B:公的年金の世代間公正について検討したけど、若い世代の課題としては、親から子の世代に格差や貧困が引き継がれる問題についても考える必要がある。
C:その点について考えてみると、貧困などに陥った際に生じる問題を防ぐ仕組みや制度である[ ア ]の機能が注目される理由が見えてくる。
A:その機能について、地域社会や企業の役割も大切になってくると思う。社会保険のなかでも、事業主のみが負担する[ イ ]の意義にも気付かされた。
B:たしかに、政府や企業など多様な主体が関わる仕組みはとても重要だと思う。
C:私は、社会保障制度を持続可能なものとするために、一人ひとりが取り組む意識を高め、社会に参画する準備を促すことを提案したい。
A:若い世代が主体的に社会に参画するための方法には、何があるだろうか。
B:[ ウ ]があげられるね。授業では、阪神・淡路大震災後に大きく進展したことから、1995年が日本における[ ウ ]の「元年」と言われたことを学んだ。
C:様々な主体が社会課題に関わる可能性を示してくれたので、さらに検討して提案をまとめていこう。

① ア ディーセント・ワーク   イ 雇用保険   ウ 公共サービス
② ア ディーセント・ワーク   イ 雇用保険   ウ ボランティア
③ ア ディーセント・ワーク   イ 労災保険   ウ 公共サービス
④ ア ディーセント・ワーク   イ 労災保険   ウ ボランティア
⑤ ア セーフティネット   イ 雇用保険   ウ 公共サービス
⑥ ア セーフティネット   イ 雇用保険   ウ ボランティア
⑦ ア セーフティネット   イ 労災保険   ウ 公共サービス
⑧ ア セーフティネット   イ 労災保険   ウ ボランティア

#労働問題 #社会保障

第2問 問4 解説

正解:⑧
復習用資料:経済分野第二章/労働問題
復習用資料:経済分野第二章/社会保障

・知識を問うだけの問題を会話文で糊塗しただけの、あんまり捻りがない問題である
⇒問われている知識もイ以外はそんなに難しいものではないので、少なくともアとウに関しては間違えないようにしたい
※イに関しては…いや確かに去年の共テ本試でも同じ知識を問う問題が出たけど…そこそんなにしつこく聞く知識か…? 私が公共とか政治経済の授業するなら強調するとこだけど、普通の人はそんなとこやらないと思うぞ…? って感じ

貧困などに陥った際に生じる問題を防ぐ仕組みや制度である[ ア ]

・選択肢は「ディーセントワーク」か「セーフティネット」である
・ここは、単語の意味さえ分かっていれば「セーフティネット」が正解であるとすぐ分かる
⇒社会保障の文脈で、貧困を予防したり、貧困により生じる問題を防いだりするのがセーフティネットである。本文から、明らかにこちらが適切である
※ディーセントワークは、“働きがいのある人間らしい仕事”を指す。もうちょっと言うと、“人間らしい生活“を”継続的に“営める労働である。つまるところ、ブラック労働や超低賃金労働は“人間らしい生活“を”継続的に“営む事はできない訳で…

・よって、アは「セーフティネット」である

社会保険のなかでも、事業主のみが負担する[ イ ]の意義にも気付かされた

・選択肢は「雇用保険」か「労災保険」である
・労災保険の保険料は、事業主(会社)のみが払う
⇒と言うか、実際に労災が発生した時の報告や、給付金請求なんかも全部事業主(会社)がやる。労働災害は完全に会社の責任なんだから、会社が全部やれ、という考え方である

・よって、イは「労災保険」である
※先にも触れたが、全く同じ知識が昨年(令和六年)追試験でも問われているので、大学入試センター的にホットな話題なのかもしれない

A:若い世代が主体的に社会に参画するための方法には、何があるだろうか。
B:[ ウ ]があげられるね。授業では、阪神・淡路大震災後に大きく進展したことから、1995年が日本における[ ウ ]の「元年」と言われたことを学んだ。

・選択肢は「ボランティア」か「公共サービス」である
・文脈的にも知識的にも、ウには「公共サービス」は入らないだろう

・まず知識で考えてみよう。阪神淡路大震災は、ボランティアの元年と呼ばれる事件でもある
⇒阪神淡路大震災は、当時の村山内閣の無為無策(以外にも色々あるけど)もあって、“公”による対応が遅れた事で有名である。一方で、現地でのボランティア活動が活発に行われ、また注目されたのもあり、阪神淡路大震災が起きた1995年はボランティアの「元年」と呼ばれている
⇒よって、ウに「公共サービス」は不適切で、「ボランティア」が適すると考えられる

・一方、文脈から考えるなら、Aの「若い世代が主体的に社会に参画する」発言に注目すればよい
⇒ここで言う「若い世代」は高校生や大学生であろうと考えられるが、一般に、「公共サービス」は官僚がやるものである(公共サービスの例をざっと挙げると、警察、裁判所、ゴミ収集、上下水道、公立学校、公民館…等々。公務員がやるものである)。逆に、「ボランティア」は、若い世代でも気軽に参加できる

・どちらから考えても、ウは「ボランティア」である

第3問

※全く見る価値のないリード文省略

第3問 問1

生徒Xと生徒Yは、人身の自由について話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

X:J教授の授業はとても興味深かったね。J教授は、犯罪の内容と刑罰をあらかじめ法律で定める[ ア ]は、許される行為と許されない行為との境界線を事前に示すことで、国民が刑罰を科せられる危険を事前に予測できるようにしている、と指摘していたね。
Y:なるほどね。日本国憲法では、行為のときに犯罪と定められていなかったのに、行為の後に制定された法律でその行為が犯罪とされ、刑罰が科せられないようにするために[ イ ]が定められているよ。
X:J教授は、刑事手続の場面では、告知と聴聞の機会を与えることも大切だと話していたけれど、どういうことかな。
Y:たとえば、抑留・拘禁される人に対して直ちに理由が知らせられなければ、逮捕が正当なものかどうかを判断したり、捜査機関や裁判所に十分な弁明をしたりすることができなくなってしまうよね。

[ ア ]に当てはまる語句
a罪刑法定主義
b過失責任主義

[ イ ]に当てはまる語句
c遡及処罰の禁止
d残虐な刑罰の禁止

① ア―aイ―c   ② ア―aイ―d   ③ ア―bイ―c   ④ ア―bイ―d

#日本国憲法と人権(自由権)

第3問 問1 解説

正解:①
復習用資料:政治分野第二章/日本国憲法と人権(自由権)

・知識を問うだけの問題を会話文で糊塗しただけの、あんまり捻りがない問題である
⇒問われている知識は二つあるが、どちらも簡単。こういう問題は絶対落とさないようにしたい

J教授は、犯罪の内容と刑罰をあらかじめ法律で定める[ ア ]
[ ア ]に当てはまる語句
a罪刑法定主義
b過失責任主義

・「罪刑法定主義」を端的に説明すれば、「犯罪の内容と刑罰をあらかじめ法律で定める」となる
・よって、アはaである

※罪刑法定主義が主に公法(国家と国民の関係を規定)に出てくる概念なら、過失責任主義は、私法(私人と私人の関係を規定)の話で出てくる概念である。即ち、損害賠償でカネを払うのは、過失があった時だけにしようね…という考え方を過失責任主義と呼ぶ。公共や政治経済の授業では、消費者問題の単元で“PL法は無過失責任主義だよ~、過失責任主義じゃないよ~”みたいな形でよく出てくる

日本国憲法では、行為のときに犯罪と定められていなかったのに、行為の後に制定された法律でその行為が犯罪とされ、刑罰が科せられないようにするために[ イ ]が定められているよ
[ イ ]に当てはまる語句
c遡及処罰の禁止
d残虐な刑罰の禁止

・「遡及処罰の禁止」の端的な説明が、[ イ ]の直前の文章である
・よって、イはcである

※「残虐な刑罰の禁止」は…いやこれ解説しようがないですね。そのまんま、“残虐な刑罰は禁止です”という意味である。例えば現代日本では、絞首刑による死刑は「残虐な刑罰」にカウントされていない。これが、“市中引き回しの上打首獄門”とかだと「残虐な刑罰」カウントされると思われる

第3問 問2

全国民の代表に関して、生徒Xと生徒Yは、模擬授業で配布された次の資料を参考に、日本国憲法における国会議員と選出母体との関係について議論している。後の会話文中の空欄[ ア ]に当てはまる記述と空欄[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

資料 全国民の代表と命令委任の禁止
〇中世ヨーロッパでは、貴族、聖職者、市民などの身分別に部会がおかれる身分制議会が存在した。この身分制議会において、議員は選出母体の代表とされ、その職務遂行に際しては選出母体からの指示に拘束され、この指示を守らない場合には召還・解任される命令委任の関係が成立していた。
〇近代以降の議会では、議員は選出母体の代表ではなく、全国民の代表とされ、命令委任は禁止されるとの考えが普及した。議員は、選出母体からの指示ではなく、自らの信念に従い、討論を通じて全国民の福利を追求すべきだと考えられるようになった。

会話文
X:J教授は、日本国憲法は国会議員を全国民の代表としており、資料にある命令委任の禁止を継承しているとする考えが有力だと言っていたね。
Y:代表者の選出母体からの独立性を強調する命令委任の禁止の考えに照らしてみれば、今の日本では[ ア ]ことがよく理解できるね。
X:J教授の説明では、日本国憲法では、国会議員が全国民の代表として活動できるために不逮捕特権や免責特権などが認められているとのことだったね。
Y:そのうち、[ イ ]は、議院の承認があるときなど一定の場合を除いて、原則として会期中にのみ認められるんだね。

[ ア ]に当てはまる記述
a議院による所属議員の除名が認められている
b有権者による国会議員の解職請求が制度化されていない

[ イ ]に当てはまる語句
c不逮捕特権
d免責特権

① ア―aイ―c   ② ア―aイ―d   ③ ア―bイ―c   ④ ア―bイ―d

#立法府(国会) #国語問題

第3問 問2 解説

正解:③
復習用資料:政治分野第三章/立法府(国会)

・前半は国語の問題、後半は知識問題、という複合問題である
・より正確に言うと、↓のようになっている
[ ア ]:選択肢ab共に正文で、問題文全体を読んで文脈に沿うものを選ぶ
[ イ ]:知識で解く ※なお、問うている知識は結構マニアック

Y:代表者の選出母体からの独立性を強調する命令委任の禁止の考えに照らしてみれば、今の日本では[ ア ]ことがよく理解できるね。
[ ア ]に当てはまる記述
a議院による所属議員の除名が認められている
b有権者による国会議員の解職請求が制度化されていない

・既に見たように、選択肢abはどちらも正文であり、文脈で解く事を求められる
・ここで重要になるのは、「命令委任の禁止」に沿う制度設計はabどちらか、という話である

身分制議会において、議員は選出母体の代表とされ、その職務遂行に際しては選出母体からの指示に拘束され、この指示を守らない場合には召還・解任される

・命令委任とは、上記引用文のような考え方である。議員は、選出母体の意に反する場合、クビになる

X:J教授は、日本国憲法は国会議員を全国民の代表としており、資料にある命令委任の禁止を継承しているとする考えが有力だと言っていたね。
Y:代表者の選出母体からの独立性を強調する命令委任の禁止の考えに照らしてみれば、今の日本では[ ア ]ことがよく理解できるね。

・そしてこの会話の要旨は、“命令委任のような考え方はダメ、ってのが現代日本社会だよ“だと言える
⇒現代日本には「命令委任」がない、言い方を変えれば、“議員は、選出母体の意に反する場合、クビになる”がない、という話である

・よって、会話文に沿う選択肢はb、「有権者による国会議員の解職請求が制度化されていない」である

Y:そのうち、[ イ ]は、議院の承認があるときなど一定の場合を除いて、原則として会期中にのみ認められるんだね。
[ イ ]に当てはまる語句
c不逮捕特権
d免責特権

・アと違って、完全に知識を問うてくる部分である(しかもマニアック)
・会期中にのみ発揮される議員特権は、不逮捕特権である
・よって、イはcである

ついでに議員特権をおさらいしちゃおうの会

・公共や政治経済で出てくる議員特権は、主に三つ。不逮捕特権、免責特権、歳費特権である

・[不逮捕]特権は、分かりやすく「国会議員は、会期中に逮捕される事はない」というもの
⇒警察(行政府に所属)に対抗する為の権利。但し、[現行犯]の場合、及び[所属する院]の許諾がある場合は可能となる

・[免責]特権は、「国会議員は、国会での活動について[法律]上の責任を問われない」というもの
⇒裁判所(司法府)に対抗する為の権利。但し、所属する議院の合議と議決によって[懲罰]を受けたり、最悪[除名]されたりする事はある
※尚、国務大臣になっている場合は、[内閣総理大臣]の同意によって訴追が可能になる

・[歳費]特権は、「国会議員の給料、経費、待遇は良質のものを保障する」というもの
⇒これがないと、貧乏人は国会議員になれなくなる。言い換えれば、金持ちしか国会議員にしかならなくなる。そうなると、金持ち向けの政治ばかり行われるようになってしまう

第3問 問3

生徒Xは、司法権の独立について調べた。日本国憲法における司法権の独立に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

①日本国憲法は、職務上の義務に著しく違反したか、職務の内外を問わず裁判官としての威信を著しく損なう非行を行った裁判官については、内閣に罷免権を付与している。
②日本国憲法は、裁判官は憲法と法律にのみ拘束されると規定し、裁判官の職権の独立を保障している。
③日本国憲法は、行政機関が終審として裁判を行うことを認めていないが、例外として、市場の独占や寡占等に関する訴訟については公正取引委員会が終審となることを認めている。
④日本国憲法は、最高裁判所の裁判官の任命について、内閣に任命権を認めているが、国会の同意を必要としている。

#現代日本の統治制度と権力分立 #司法府(裁判所)

第3問 問3 解説

正解:②
復習用資料:政治分野第三章/現代日本の統治制度と権力分立
復習用資料:政治分野第三章/司法府(裁判所)

・極めて素直な知識問題である。こういう基本問題は絶対落とさないようにしたい
⇒四つの選択肢全てが高校の政治経済の範疇になっている。共テに限らず受験は、こういう基礎問題を落とさないところから。難問奇問は二の次三の次である

①日本国憲法は、職務上の義務に著しく違反したか、職務の内外を問わず裁判官としての威信を著しく損なう非行を行った裁判官については、内閣に罷免権を付与している。

・誤文である
⇒内閣(行政府)から裁判所(司法府)に対して可能な抑制(チェック)は、「最高裁判所長官の指名」と「最高裁判所裁判官の選定、任命」である。それ以上は手出しできない。下記にも引用した日本国憲法に基づくチェック・アンド・バランスは、必ずきちんと把握しておこう

②日本国憲法は、裁判官は憲法と法律にのみ拘束されると規定し、裁判官の職権の独立を保障している。

・正文である

③日本国憲法は、行政機関が終審として裁判を行うことを認めていないが、例外として、市場の独占や寡占等に関する訴訟については公正取引委員会が終審となることを認めている。

・誤文である

・公正取引委員会のような準司法機関は、裁判所ではないのに裁判所であるかのように機能する
⇒即ち、準司法機関は行政府(内閣)に所属する行政機関であり、司法府には所属していない。にも拘わらず、特定の法律に関係する事案(公正取引委員会であれば独占禁止法等)に関しては、まるで裁判所であるかのように審判をし、処分を申し渡すことができる
⇒このような、行政府に所属する組織が出す処分を”行政処分”と呼ぶ

・一般に、準司法機関が出す処分が不服である場合、裁判所に申し立てができる
・その場合、一般には地方裁判所から始まり、控訴を繰り返せば、最終的には最高裁判所まで行く
⇒即ち、準司法機関が噛んでくる事案は、“準司法機関で一回”“裁判所で最大三回”の最大四段階で判断される事になる。地方裁判所を一審、高等裁判所を二審、最高裁判所を三審とするとして、準司法機関は事実上ゼロ審の役割を果たす…と表現する事もできるだろう

④日本国憲法は、最高裁判所の裁判官の任命について、内閣に任命権を認めているが、国会の同意を必要としている。

・誤文である
⇒①でも見た三権分立とチェック・アンド・バランスを、再度確認しよう

第3問 問4

生徒Xは、模擬授業の内容を振り返りながら、資本主義経済における政府の役割について次のメモにまとめた。メモ中の空欄[ ア ]〜[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑧のうちから一つ選べ。

 経済が発展するにつれ、資本主義経済の弊害が顕在化するようになった。そのため、20世紀になると、先進資本主義諸国では、政府が積極的に市場介入を行い、経済政策の実施と社会保障体制の整備とにより[ ア ]が形成されていった。
 その後、1970年代後半から1980年代前半にかけて、政府の財政赤字と経済の低成長を背景に、アメリカやイギリスを中心に、自由な経済活動を重視し、政府の市場への介入の縮小を主張する[ イ ]が台頭することになった。[ イ ]は、公企業の民営化や規制緩和を導く理念とされ、その考え方の背景にあるのが、市場メカニズムに対する[ ウ ]である。
 一方、[ イ ]に基づいた政策が雇用の不安定化や貧困率の上昇をもたらしたとの批判があり、今日では、政府と市場との適切な役割分担が課題となっている。

① ア 夜警国家   イ 修正資本主義   ウ 批判
② ア 夜警国家   イ 修正資本主義   ウ 信頼
③ ア 夜警国家   イ 新自由主義   ウ 批判
④ ア 夜警国家   イ 新自由主義   ウ 信頼
⑤ ア 福祉国家   イ 修正資本主義   ウ 批判
⑥ ア 福祉国家   イ 修正資本主義   ウ 信頼
⑦ ア 福祉国家   イ 新自由主義   ウ 批判
⑧ ア 福祉国家   イ 新自由主義   ウ 信頼

#資本主義

第3問 問4 解説

正解:⑧
復習用資料:経済分野第一章/資本主義

・この試験の第1問の問2のような、大まかな経済史の流れを掴んでいるかを問う問題である
⇒某中世~近現代経済史概観のワークシートの内容は、経済分野を学ぶ上で、基本中の基本となる。必ず押さえておこう

経済が発展するにつれ、資本主義経済の弊害が顕在化するようになった。そのため、20世紀になると、先進資本主義諸国では、政府が積極的に市場介入を行い、経済政策の実施と社会保障体制の整備とにより[ ア ]が形成されていった。

・革命の時代から帝国の時代にかけて、重視された人権は自由権であった
⇒自由権は“政府は黙って座ってろ、俺達国民を自由にしろ”。だから理想とされる国家も“何もしない国家”“最低限の事しかしない国家”たる夜警国家だったし、経済学もまた、自由放任を旨とし、全てを市場メカニズムに委ねんとする古典経済学が主流であった

・これが世界大戦期になると、重視される人権が社会権へと変わる
⇒社会権は“政府は黙って座ってないで立て、俺達国民を助けろ”。だから理想とされる国家も“ゆりかごから墓場まで”、国家が国民の人生の面倒を見る福祉国家となった。経済学もまた、“政府は、デフレならインフレ誘導しろ。インフレならデフレ誘導しろ”“政府は働け、金融政策も財政政策も両方やれ”のケインズ主義が主流となる

・問題文第一段落は明らかに、世界大戦期~冷戦期の社会権ブームの話をしている
・よって、[ ア ]は「福祉国家」である

 その後、1970年代後半から1980年代前半にかけて、政府の財政赤字と経済の低成長を背景に、アメリカやイギリスを中心に、自由な経済活動を重視し、政府の市場への介入の縮小を主張する[ イ ]が台頭することになった。[ イ ]は、公企業の民営化や規制緩和を導く理念とされ、その考え方の背景にあるのが、市場メカニズムに対する[ ウ ]である。

・言うまでもなく、資本主義や資本主義社会とは“現代的な社会”を指す言葉である
⇒大体の国民がどこかの会社の社員で、毎日職場に行って仕事をし、給料を貰って生きている。こういう社会が資本主義社会である。これが逆に中世だと、大体の国民が農民で、自分の土地を持っていて、畑を耕して生活していて…みたいになる
⇒勿論、資本主義の教科書的な定義は“生産手段の私有、という意味での私有財産制”及び“利潤の追求の肯定”が両立する社会、である。が、“それって要するにどんな社会?”となると↑のような説明になる

・革命の時代から帝国の時代のような資本主義社会を、産業資本主義と呼ぶ
⇒自由権が重視され、夜警国家が理想とされ、古典経済学が主流とされた時代は、産業革命に合わせて資本主義社会が登場したばかりであった。この時代の資本主義社会を、こう呼んでいる

・世界大戦期から冷戦中期までのような資本主義社会を、修正資本主義と呼ぶ
⇒社会権が重視され、福祉国家が理想とされ、ケインズ主義が理想とされた時代の資本主義を、こう呼んでいる

・そして1980年代以降、“新しい資本主義”として、新自由主義が台頭する
⇒1980年代以降、重視される人権は再び自由権となった。故に、夜警国家的な“何もしない国家”“最低限の事しかしない国家”が理想とされるようになり、経済学もまた、古典経済学のリバイバルとでも言うべき自由主義的な考え方が台頭する。これが新自由主義である

・上記のような歴史の流れを踏まえていれば、1980年代以降流行った考え方は新自由主義であると分かる
・よって、[ イ ]は「新自由主義」であると分かるだろう

・また、[ ウ ]も「信頼」だと分かるだろう
⇒既に見たように古典経済学は、自由放任を旨とし、全てを市場メカニズムに委ねんとする経済学である。新自由主義が古典経済学のリバイバルとしての側面を持つ事が分かっていれば、新自由主義が「市場メカニズムに対する批判」を持つか「市場メカニズムに対する信頼」を持つか、考えるまでもない

第3問 問5

生徒Xと生徒Yは、模擬授業後、税制について話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。

X:K准教授は、税制を構築する上で考慮すべき原則について話していたね。そのうち、課税が経済活動にできるだけ影響しないようにする[ ア ]の原則が気になったよ。この原則に基づけば、働く人の勤労意欲を削ぐことにはならないし、経済活動を大きく妨げることにもならないからいいね。
Y:でも、[ ア ]の原則を満たすことは実際には難しいよ。これは、環境問題について考えてみるとわかるね。
X:そうだね。たとえば、ある企業が生産活動で汚染物質を排出して他の経済主体に損失を与えている場合、その損失の費用を考慮しないで生産活動を行うと、その企業の生産量は、社会全体として望ましい生産量よりも[ イ ]なるよ。
Y:たしかにね。だから、環境税の導入によってその企業が生産量を調整し、汚染物質の排出量が削減できれば、[ ア ]の原則には反するけれど、税によって、企業の経済活動を社会的に望ましい方向へ導くことができるといえるよ。
X:なるほど。それでは、税の望ましい経済効果と果たすべき役割について調べてみよう。

① ア 公平   イ 多く
② ア 公平   イ 少なく
③ ア 中立   イ 多く
④ ア 中立   イ 少なく
⑤ ア 簡素   イ 多く
⑥ ア 簡素   イ 少なく

#税 #国語問題

第3問 問5 解説

正解:③
復習用資料:経済分野第一章/税

・税に関する知識を問う…ように見せかけて、読解力だけで解ける問題である
⇒とは言え、高校の政治経済ではあまり扱わない知識が身に着くので、一応「税」のタグもつけている

課税が経済活動にできるだけ影響しないようにする[ ア ]の原則

・選択肢は「公平」「中立」「簡素」である。言葉の意味をまず確認しよう
公平:すべてのものを同じように扱うこと。判断や処理などが、かたよっていないこと。また、そのさま。
中立:対立するどちらの側にも味方しないこと。また、特定の思想や立場をとらず中間に立つこと。
簡素:簡易で質素なこと。
※公平と中立はデジタル大辞泉から、簡素は現代実用辞典(第二版、講談社)から

・意味から考えて、公平の原則は“誰でも同じような税を納める”みたいな意味になりそうである
・同様に簡素の原則は、“誰にでも分かる簡単な税制にする”みたいな意味になりそうである
・そして中立は、“特定の何かにとって有利、不利になるような税制にしない”になりそうである

・問題文の書き方からすると、[ ア ]には明らかに「中立」が適する
⇒“特定の何かにとって有利、不利になるような税制にしない”から、「課税が経済活動に(中略)影響しない」という話になるし、「この原則に基づけば、働く人の勤労意欲を削ぐことにはならないし、経済活動を大きく妨げることにもならない」のである

~ここから豆知識~
・「公平」「中立」「簡素」という三原則は、現代日本の税制の根幹であるとされている
⇒“どこが簡素やねん言うてみぃ”と言いたくなるぐらい複雑なのが現代日本の税制だし、“消費税とかいう逆進性の塊みたいな税をバリバリかけといて何が公平やねん”ともなるだろうが、お題目としてはそうなっている。ちなみにこの三原則は、日本経済史の戦後混乱期に出てくるシャウプ勧告の内容が元になっている、とも言われている

・「公平」「中立」「簡素」の三原則を、経済学初学者向けに噛み砕いて解説すると以下のようになる
1:公平(Equity)
⇒納税額を、その人の経済力に応じたものにする。具体的には“垂直的公平:その人の経済力に応じて税額を増減する”“水平的公平:収入が同じなら同じ額を納税するし、支出が同じなら同額を納税する”
2:中立(Neutrality)
⇒税が経済行動に影響を与えない税制にする。言い方を変えれば、“働かない方が得”“投資しない方が有利”等にならないようにする
3:簡素(Simplicity)
⇒納税する側からすれば分かりやすい税制。徴税する側からしても、手間がかからない税制にする
~豆知識終わり~

X:そうだね。たとえば、ある企業が生産活動で汚染物質を排出して他の経済主体に損失を与えている場合、その損失の費用を考慮しないで生産活動を行うと、その企業の生産量は、社会全体として望ましい生産量よりも[ イ ]なるよ。

・選択肢は「多く」「少なく」である。ここはどう考えても、「少なく」であろう
⇒普通に考えて、汚染物質を垂れ流しながら商品を作る工場は、あんまり多くない方がいい。が、“汚染物質を垂れ流してもお咎めなし!”“その汚染物質で人が死のうが何しようが一切関係なし!”であるなら、かつ、その商品で儲かるなら、汚染物質垂れ流し工場は沢山建つし、汚染物質垂れ流し商品は大量に作られるだろう。これは、「社会全体として望ましい生産量よりも」多い状態である

※汚染物質を適切に処理するコストを企業が負担しないと、社会全体としては“本来より作り過ぎ”になるので、望ましい生産量より“多く”なる。だから、“汚染物質を浄化するコストは、工場を経営する企業が払いなさい!”というような法律が作られる…というのは、政治経済の授業でも、“市場の失敗”の“外部不経済”のところでよく見られる解説である

第3問 問6

財政の機能に関心をもった生徒Xと生徒Yは、日本における所得再分配政策によるジニ係数の変化を示した次の模擬授業の資料をみながら話し合っている。後の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

X:再分配効果について、当初所得のジニ係数と、社会保障と税による再分配所得のジニ係数の推移をみてみよう。2002年よりも2021年の方が再分配効果は[ ア ]ことがわかるね。それから、どの年も社会保障が中心となって所得再分配機能を果たしているね。
Y:それに関して、模擬授業での租税負担率の国際比較では、日本は先進諸国に比べると、個人所得課税の負担率が低いことを学習したね。もし、所得格差を小さくするために現在の所得課税の税率の構造を変えるとしたら、最高税率を[ イ ]と、再分配効果は高くなるね。
X:それも一案だね。高齢化が進行する中、格差が固定化しないように、所得再分配機能のあり方を考える必要があるかもね。

① ア 大きい   イ 引き上げる
② ア 大きい   イ 引き下げる
③ ア 小さい   イ 引き上げる
④ ア 小さい   イ 引き下げる

#貧富の格差を表す指標 #国語問題

第3問 問6 解説

正解:①
復習用資料:経済分野第一章/貧富の格差を表す指標

・貧富の格差を表す指標、と言うか、ジニ係数についての知識があれば後は国語の問題である
⇒具体的には、“ジニ係数は0から1の数字であり、0に近ければ平等、1に近ければ格差社会である”という知識さえあればいい。後は国語の問題として解ける

X:再分配効果について、当初所得のジニ係数と、社会保障と税による再分配所得のジニ係数の推移をみてみよう。2002年よりも2021年の方が再分配効果は[ ア ]ことがわかるね。それから、どの年も社会保障が中心となって所得再分配機能を果たしているね。

・図を見ると、●は常に高く、△と■は常に低い
・また、●は緩やかながら上昇していく傾向があるのに対して、△と■はほぼ横ばいである
●:当初所得のジニ係数
△:社会保障による再分配所得のジニ係数
■:社会保障と税による再分配所得のジニ係数

・以上の事から、以下のような事実が分かる
1:(少なくとも所得に関しては、)社会保障や税は、格差の是正に効果がある
2:社会保障や税による是正前で見ると、ゼロ年代よりも20年代の方が、格差が広がっている
3:2の事実があるにも拘わらず、社会保障や税による再分配後の格差は広がっていない

⇒つまるところ、2021年は本来、2002年に比べて格差が広がっている筈にも拘わらず、社会保障や税による格差是正後の格差は広がっていない。これを、社会保障や税による格差是正の「効果」という側面から見れば、2021年の方が「再分配効果は高い」と言えるだろう

もし、所得格差を小さくするために現在の所得課税の税率の構造を変えるとしたら、最高税率を[ イ ]と、再分配効果は高くなるね。

・ところで、格差是正の為に使われる「税」とは何か? 言うまでもなく累進課税であり、所得税である
⇒“金持ちからは沢山税を取る、貧乏人からはあんまり取らない”が累進課税である。現代日本の場合、この累進課税制度を採っている税の代表例が所得税である

・よって、所得税による格差是正効果(再分配効果)を高めたいなら、所得税の累進性をより高めればよい
⇒言い方を変えれば、“今は金持ちからでも最大、収入の45%しか取っていない。これを、70%とか90%とかにすればいい”というような話である

・よって、「最高税率を引き上げる」と、格差是正効果は上がる筈である

※“今や消費税よりも逆進性が高いと話題になってる社会保障で、こんなに格差が是正される訳ないだろ!!”と思うかもしれないが、ジニ係数は“所得”つまり“収入”しか見ないので…“貯金もロクにできない若者から収奪した社会保険料が、たっぷり資産のある年金生活者の年金として支給される”みたいな現実は一切反映されないのである

第4問

※全く見る価値のないリード文省略

第4問 問1

授業での発表に向け、生徒Xと生徒Yは、フィンテックが日本の経済社会に及ぼす影響について話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

X:フィンテックが経済活動を活性化させると期待されているね。
Y:銀行が融資先の信用評価を行う際にAI(人工知能)を使ったり、スマートフォンに決済機能をもたせたりすることだね。ほかにも、ブロックチェーンによって改ざんを防いで取引する[ ア ]が話題になっているよ。
X:そうだね。[ ア ]は、暗号資産とも呼ばれているね。
Y:インターネット上でやりとりできる利便性はあるけど、価格変動を利用した投機的な取引が話題になったように、[ ア ]の価値貯蔵手段の機能は、安定していないかもね。
X:その点、日本銀行券の場合は、法定通貨として[ イ ]があり、金融政策を通じてその価値の安定化が図られているよ。
Y:たしかにね。フィンテックによる金融サービスの広がりについては、価値の安定化を含めて、安全にサービスが利用できる仕組みをさらに考えていかなければならないね。

① ア 仮想通貨   イ 発行できる量の上限
② ア 仮想通貨   イ 強制的な通用力
③ ア 現金通貨   イ 発行できる量の上限
④ ア 現金通貨   イ 強制的な通用力

#通貨とは何か

第4問 問1 解説

正解:②
復習用資料:経済分野第一章/通貨とは何か

・「通貨とは何か」をきちんと学んでいれば、ちょっと考えれば分かる問題。落とさないようにしたい

・まず、[ ア ]の選択肢は「仮想通貨」か「現金通貨」である
⇒仮想通貨はビットコイン等。現金通貨は千円札や一万円札、もしくは百円玉や五百円玉といったものを指すものである

ブロックチェーンによって改ざんを防いで取引する[ ア ]

・千円札や百円玉にブロックチェーン技術が使われていたら怖い

[ ア ]は、暗号資産とも呼ばれている

・千円札や百円玉が暗号だったら怖い

[ ア ]の価値貯蔵手段の機能は、安定していない

・千円札や百円玉ですら価値貯蔵できないならもう金貨銀貨の時代まで戻るしかないじゃん…
・…という訳で、[ ア ]は「現金通貨」である

・続いて、[ イ ]の選択肢は「発行できる量の上限」と「強制的な通用力」である

日本銀行券の場合は、法定通貨として[ イ ]があり
※「日本銀行券」は言うまでもなく、一万円札や千円札を指している

・現代の一万円札や千円札は“管理通貨制度”に基づく“不換紙幣”である事を覚えていれば簡単である
ナントカ本位制:兌換紙幣が発行される。兌換紙幣は金や銀との交換が保証される。金と交換なら金本位制
管理通貨制度:不換紙幣が発行される。不換紙幣は、金や銀との交換が保証されないただの紙である

⇒例えば金本位制なら、その国が持っている金の量以上に紙幣を発行できない。即ち「発行できる量の上限」がある。一方、管理通貨制度に基づく不換紙幣にそういう上限はなく、事実上、無限に発行可能である

・よって、「日本銀行券」に「発行できる量の上限」はない。[ イ ]は「強制的な通用力」である

※なお、「強制的な通用力」があるおカネ(“これで支払います”と言われたら断れないおカネ)の事を法定通貨(法貨)と呼ぶが、現代の日本国では、日本銀行法で「日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する」と定めている
※つまり日本国内では、“一万円札で支払います”と言ってきた客に“駄目です、ドルで払ってください”とか言ったら違法になります

第4問 問2

企業の資金調達に関連して、さまざまな資金調達の方法について関心をもった生徒Yは、企業のバランスシート(貸借対照表)の変化を考えるために、企業のバランスシートを模式的に示した次の図を作成した。企業が銀行から3000万円の資金を借り入れて設備投資を行った場合、図中のア〜ウのどの欄に3000万円を書き加えればよいか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして正しいものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。

①ア  ②イ  ③ウ  ④アとイ  ⑤アとウ  ⑥イとウ  ⑦アとイとウ

#通貨とは何か

第4問 問2 解説

第4問 問3

個人の資産運用に関連して、生徒Xは、家族Jと家計の資産運用について話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ]に当てはまる記述と空欄[ イ ]に当てはまる金額の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

X:「貯蓄から投資へ」という話を新聞で読んだよ。
J:現金や預金の形で保有されている家計の金融資産を株式や債券で運用してはどうか、という話だね。市場の金利を引き下げる金融政策がなされてきたことが背景にあるよ。ただ、日本では、市中銀行への預金は[ ア ]から、投資に比べてリスクが小さいため、貯蓄も悪くはないよね。
X:資産運用のリスクとリターンのバランスを考える必要があるんだね。じゃあ、余裕資金を年間の利回り10%で運用するケースを考えてみようよ。株式の利回りは株価と配当金の額から計算できるけど、債券の場合はどうかな。
J:すでに市場に出回っている債券なら、発行時に定められた利率が年1.2%で満期が1年後の場合は、額面価格100万円の債券を[ イ ]で購入すれば、1年後には10%の利回りが得られるよね。

[ ア ]に当てはまる記述
a貸金業法によって、上限金利が定められている
b預金保険制度によって、1000万円までの預金元本とその利息が保証されている

[ イ ]に当てはまる金額
c92万円
d108万円

①ア―a イ―c   ②ア―a イ―d  ③ア―b イ―c   ④ア―b イ―d

#国語問題 #計算問題

第4問 問3 解説

正解:③

・知識が必要そうな気が一瞬だけするが、実際には国語と算数の問題である
⇒一応、経済分野第四章「日本経済史」の「失われた三十年」でやった預金保険制度とペイオフの知識があればより盤石にはなる。なるが、正直そんな知識なくても…感が強い

ただ、日本では、市中銀行への預金は[ ア ]から、投資に比べてリスクが小さいため、貯蓄も悪くはないよね

・この発言から読み取れるのは、“市中銀行への預金という形での貯蓄も悪くない”である
⇒もうちょっと言うと、その裏付けとして、市中銀行への預金は「リスクが小さい」と言っている。これらを踏まえた上で↓を見てみよう

[ ア ]に当てはまる記述
a貸金業法によって、上限金利が定められている
b預金保険制度によって、1000万円までの預金元本とその利息が保証されている

・aは預金の話をしていないが、bは預金の話をしている。これだけで[ ア ]はbだと分かる
⇒aは「貸金業法」と言っているので。カネを貸す時の話であってカネを預かる時の話ではない。いやまぁ銀行の本業は金貸しと言えばそうだが…筆者の父(元銀行マン)も“俺は悪徳高利貸しや!”言ってたし…とは言え預金業務と貸出業務は全く別の業務なので……

※先に言った預金保険制度とペイオフの知識があれば、bが正文であるという事も分かる。とは言え文脈上bしか入らないので、知らなくても解けてしまう

すでに市場に出回っている債券なら、発行時に定められた利率が年1.2%で満期が1年後の場合は、額面価格100万円の債券を[ イ ]で購入すれば、1年後には10%の利回りが得られるよね。

・これは計算するだけでいい。算数の問題である

・「利率が年1.2%」「額面価格100万円」「満期が1年後」の債券は、1年後いくらになるか?
⇒上記三つの条件から、この債券は、1年後、“100万円”プラス“100万円の1.2%”が貰えるモノである。よって↓のような計算になる

100万円+100万円×0.012=100万円×1.012=101万2000円

・問題文から、この101万2000円が「10%の利回りが得られ」た後の金額になっていればよい
⇒「10%の利回りが得られる」とはつまり、“110%のカネが返ってくる”という事である。例を挙げれば、“100円が、110円になって返ってくる”ということである。つまるところ、101万2000円が[ イ ]の110%になればよい

[ イ ]×1.1=101万2000円
[ イ ]=101万2000円÷1.1
[ イ ]=92万円

・よって、[ イ ]はcの92万円である

第4問 問4

労働力不足に関連して、生徒Xと生徒Yは、路線バス運転者の労働力不足をめぐる課題の解決策について話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる記述の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

X:路線バス運転者の人手不足の問題を解決していくためには、労働条件の改善が必要だと思うけど、デジタル技術はどのように貢献できるかな。
Y:たとえば、[ ア ]ことで運転経験が少ない人の運転技能の向上を支援することは、就業を希望する人の不安の解消にもつながるし、新規就業者数の増加に効果があると思うよ。
X:ほかにも、デジタル技術を用いて運転者の労働時間を短縮する方法もあるかもね。ただし、そのような工夫をしても人手不足が続く場合には、既存のバス路線網を廃止しないために[ イ ]ことが必要なのではないかな。
Y:自動運転技術に期待したいけれど、その限界にも注意すべきだね。

[ ア ]に当てはまる記述
aバスの運行状況を、利用客が停留所に設置された装置やスマートフォンなどで確認できるようにする
b急発進および急ブレーキを検知するセンサーをバスに取り付けて、そこから得られた数値を記録し、運転者にAIがアドバイスする

[ イ ]に当てはまる記述
c現状の便数に加えて乗客数が最も多い時間帯のバスを増便する
d現状の便数から乗客数が一定以下の時間帯のバスを減便する

①ア―a イ―c   ②ア―a イ―d   ③ア―b イ―c   ④ア―b イ―d

#国語問題

第4問 問4 解説

正解:④

・「これ本当に政治経済の試験なのか…?」と疑心暗鬼になる程度には純粋な、国語の問題である

X:路線バス運転者の人手不足の問題を解決していくためには、労働条件の改善が必要だと思うけど、デジタル技術はどのように貢献できるかな。
Y:たとえば、[ ア ]ことで運転経験が少ない人の運転技能の向上を支援する

Xは労働条件の改善って言ってんだから真っ先に出てくるべきは給料上げるとか休みを増やすとかだろ、死んでも給料上げたくない病にかかった有害資本家かこのYは

・Yの発言から、[ ア ]は新人バス運転士の運転技能向上(仕事の負荷軽減)に関係する話と分かる

[ ア ]に当てはまる記述
aバスの運行状況を、利用客が停留所に設置された装置やスマートフォンなどで確認できるようにする
b急発進および急ブレーキを検知するセンサーをバスに取り付けて、そこから得られた数値を記録し、運転者にAIがアドバイスする

・aは運転技能向上の話ではなく、bは運転技能向上の話である。よって、[ ア ]はbである
⇒aは別に悪い施策ではないし、何なら色んなバス会社が実際にやっている事だし、デジタル技術を使った取り組みとしてニュースでも取り上げられるような話である。しかしaはあくまで“利用者の利便性向上の話”をしていて、“バス運転士に志願する人が少ない、どうしよう”をどうこうする話ではないのだ

ただし、そのような工夫をしても人手不足が続く場合には、既存のバス路線網を廃止しないために[ イ ]ことが必要なのではないかな。

・これは「人手不足」、つまり“バス運転士不足”が続いた場合の話である
⇒よって、[ イ ]に入るのは、“バスの運転士が足りないせいで、今のバスの便数を維持できない”という状況で打てる手という事になる

[ イ ]に当てはまる記述
c現状の便数に加えて乗客数が最も多い時間帯のバスを増便する
d現状の便数から乗客数が一定以下の時間帯のバスを減便する

・dは、バスの運転士が足りない状況でも打てる手である
⇒逆に言えばcは、バスの運転士が足りない状況では打てない手である。今の便数すら維持できないぐらい運転士がいないからどうするって話をしているのに、便数を増やせる筈がない

・よって、[ イ ]はdである

第4問 問5

地方公共団体について、現在の日本の地方公共団体に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

①地方公共団体の活動を監視するために、一部の地方公共団体がオンブズパーソン(オンブズマン)制度を設置している。
②地方公共団体の事務処理の効率性を高めるために、一部の地方公共団体が共同で道州制を導入している。
③住民自治の原則を実現するために、地方公共団体の議会は、条例に基づいて行われた住民投票の結果に法的に拘束される。
④法律との整合性を図るために、地方公共団体の条例は、その地方公共団体の議会での議決ののち総務大臣の認可を経て制定される。

#地方自治

第4問 問5 解説

正解:①
復習用資料:政治分野第三章/地方自治

・単純な、知識を問う四択問題…ではあるが、ちょっとマニアックないやらしい問題でもある
⇒消去法で解ける問題だが、④が少々いやらしい。こういう問題で点数に差がつくと言えばそうなので、しっかり正解できるようにしたい

①地方公共団体の活動を監視するために、一部の地方公共団体がオンブズパーソン(オンブズマン)制度を設置している。

・正文である
⇒私の授業では扱わないが、人によっては扱うところなので知っている人もそこそこいるかも…ぐらいの知識である

②地方公共団体の事務処理の効率性を高めるために、一部の地方公共団体が共同で道州制を導入している。

・誤文である
⇒そもそも現代の日本国に「州」は無い(「道」ならあるけど)。その時点で誤文である
⇒もうちょっと言うと、道州制は「一部の地方公共団体が共同で」導入できるような代物ではない。要は、県とか都とか府の上に更に大きい「州」もしくは「道」を設置しようという話なので…少なくとも国法の改正が必要である

※道州制導入というのは、2000年代後半(相互フォローの人調べ)(本試の解説を書く配信中に調べてくれました)に流行った話であり、令和七年現在は殆ど見なくなった。そんな一時の流行りを今の日本が採用している訳もなく…

③住民自治の原則を実現するために、地方公共団体の議会は、条例に基づいて行われた住民投票の結果に法的に拘束される。

・誤文である
⇒一般に、住民投票条例に基づく住民投票の結果に法的拘束力はない。地方特別法の住民投票や憲法改正の国民投票なら話は別だが…

※何を言っているのか全く分からない人は、政治分野第三章「現代日本の統治機構」の「地方自治」を復習しましょう。「地方自治体(地方公共団体)の構造」の節に解説があります

④法律との整合性を図るために、地方公共団体の条例は、その地方公共団体の議会での議決ののち総務大臣の認可を経て制定される。

・誤文である

・多くの受験生は消去法でこの問題を解くと思われるが、その際最も悩むと思われる選択肢がこれ
⇒条例は“地方議会の議決”と“首長の公布”で成立する。即ち、国の認可そのものが不要」…なのだが、高校の政治経済では、条例の制定についてここまで厳密にはやらない。しかも条例は“法律の範囲内で制定できるもの”なので、国の認可を得ていそうな気がすると言えばする。だから受験生は悩んでしまう訳である

・という訳で、まずは、高校の政治経済でやる知識で、かつ条例の制定に関係していそうなものを挙げよう

1:地方議会の権能のひとつとして、“条例の制定・改廃”がある
2:首長の権能のひとつとして、“条例の執行”がある
3:国と地方は“上下・主従”関係ではなく、“対等・協力”関係である
4:地方自治は主に、“団体自治”と“住民自治”という考え方に基づいて行われる
4-1:団体自治/地方の行政は、中央政府から独立した地方公共団体が自主的に実施する
4-2:住民自治/地方の行政は、その地方の住民の意志に従って決定され、実施される

・上記知識から、「地方公共団体の条例制定に、国が口を出すのはおかしくない?」という推論が導ける
⇒そもそも条例を作るのは地方議会の権能であり、しかも国と地方は対等なのであれば、明らかにおかしい
⇒もっと言えば、団体自治の考え方から見ても住民自治の考え方から見ても、やっぱりおかしい

・このような推論から、④は誤文だと類推する事が可能である
⇒ここで大事なのは、「って事は④は誤文だな!」と決断的に除外する事である。それができれば、正解に一気に近づくだろう。逆に言えばここで迷ってしまうと、正解が遠のく。受験では、こういう決断力が要求される場面がちょくちょく出現する。受験に向けて必死に勉強してきた自分を信じて決断しよう

第4問 問6

政府に関連して、現在の日本における行政機関に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

①内閣府は、各省庁より上位の位置から省庁間の政策に関する総合調整を行う機関である。
②国家公安委員会は、政治的中立性や公平性の観点から警察行政を統括し調整する独立行政法人である。
③各省庁の幹部職員人事に関する一元的な管理を行うことを目的として、人事院が設置されている。
④各省庁の国務大臣による企画立案を補佐することを目的として、政府委員制度が設置されている。

#行政府(内閣)

第4問 問6 解説

正解:①

・“消去法”か“他の選択肢は知らんが、正解が①なのは分かる”かで言えば、後者で解く問題である
⇒正直、出題する方も、受験生が選択肢②~④の細かい知識を持っていると想定して作ってはいない問題であると思われる

①内閣府は、各省庁より上位の位置から省庁間の政策に関する総合調整を行う機関である。

・正文である
⇒授業用資料政治分野第三章の「行政府(内閣)」の「行政府(内閣)の構造」の「概要」にある組織図をきちんと学習していれば、「内閣府は、各省庁より上位の位置」という部分が正しいと分かる
⇒同様に、授業用資料政治分野第三章の「行政府(内閣)」の「行政府(内閣)の構造」の「内閣府と内閣官房」の内容をきちんと学習していれば、内閣府は「省庁間の政策に関する総合調整を行う」という部分も正しいと分かる

②国家公安委員会は、政治的中立性や公平性の観点から警察行政を統括し調整する独立行政法人である。

・誤文である
⇒国家公安委員会は、行政委員会の一種である。授業用資料政治分野第三章「行政府(内閣)」の「行政府(内閣)の機能」の「行政委員会」に記載がある
⇒独立行政法人は、授業用資料経済分野第一章の「企業とは何か」に記載がある。公企業(国有企業みたいなもの)の一種であり、概ね“国が作るがカネは出さない企業”をこう呼ぶ。全国各地の国立大学が代表例である

③各省庁の幹部職員人事に関する一元的な管理を行うことを目的として、人事院が設置されている。

・誤文である
⇒人事院は、公共や政治経済だと、政治分野第二章の日本国憲法と人権(社会権)の「労働三権」の「労働三権の制限」等で出てくる。ただ、出てくる内容が“公務員ってストライキとかできないし、じゃあ給料上がらないじゃん”“その代わり、人事院って役所に公務員の給料に関する勧告を出させる制度を作ってるよ”ぐらいしかない。なので、受験生が確信を持って「うーん、これは誤文!」というのは普通に厳しい

※だから、この問題は“消去法”か“他の選択肢は知らんが、正解が①なのは分かる”で言えば後者で解く事になる訳である。学校の定期試験では①~④全て、試験範囲の教科書に書いてある内容なのが普通かもしれないが、受験だとそうではないのだ

※なお、実際のところ各省庁の幹部職員人事はどこがやっているかと言うと、内閣(より正確に言うと内閣人事局)がやっている

④各省庁の国務大臣による企画立案を補佐することを目的として、政府委員制度が設置されている。

・誤文である
⇒かつては、政府委員制度というのが存在したが、令和七年現在はなくなっている
⇒詳細は、政治分野第三章の「立法府(国会)」の「その他国会・国会議員あれこれ」の「官僚主導から政治主導へ」のところに書かれている

第5問

※全く見る価値のないリード文省略

第5問 問1

人口減少の状況について、生徒Xは、日本の5年ごとの人口および労働力人口のデータを調べ、次の図を作成した。後の記述ア〜ウのうち、この図に関する記述として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。

ア 総人口が減少していても、65歳以上人口が増加している期間がある。
イ 2000年と2020年の労働力人口を比べると、65歳以上の増加分が65歳未満の減少分を上回っている。
ウ 生産年齢人口が減少している期間にも、65歳未満の労働力人口は増加した期間がある。

①ア   ②イ   ③ウ   ④アとイ   ⑤アとウ   ⑥イとウ   ⑦アとイとウ

#国語問題 #悪問

第5問 問1 解説

正解:⑦

・ザ悪問みたいな問題である
⇒見るからに図表読み取り問題のような体裁で、しかも問題文で「この図に関する記述として正しいものはどれか」とまで言っているのに、“お、よくある図表読み取り問題だな!”と思って解くと時間がかかる、下手すると間違える、とかいうトンデモ問題である。いや「この図に関する記述」って部分がヒントなんだろうけどさぁ…(詳細は後述)

ア 総人口が減少していても、65歳以上人口が増加している期間がある。

・一旦敢えて、この選択肢について、図表読み取り問題として解いてみよう

・選択肢から、以下の二つが正であれば、アは正文となる
1:総人口が減少している期間がある
2:1の期間中の何処かで、65歳以上人口が増加している

・図を見ると、総人口を表す黒丸が2010年頃から下がっているのが分かる
・続いて2010年から2020年の棒グラフを見ると、65歳以上労働人口にあたる黒塗り部分が増加している
・よって、図から分かるのは以下の二つである

甲:総人口が減少している期間がある(2010年以降)
乙:甲の期間中、65歳以上労働人口は増えている

・甲は、1が正しい根拠として使えるだろう
・では乙は? 「65歳以上労働人口」が増えれば必ず、「65歳以上人口」も増えるのだろうか?
⇒これは否である。勿論、「65歳以上労働人口」(65歳以上でかつ働いている人の数)と「65歳以上人口」(65歳以上の人の数)の両方が増える場合もある。一方で、「65歳以上労働人口」は増えているが、「65歳以上人口」は減っている、という場合もあり得る

※極端な例を挙げよう。今、突然日本政府が崩壊したとしよう。当然、年金が支払われなくなったり、国立病院の機能が麻痺したりするだろう。そうなれば、「高齢者であろうが生きていくには働くしかない」「それはそれとして過酷な状況に晒された高齢者は容赦なく死ぬ」になるだろう。このような場合、「65歳以上労働人口」は増えているが、「65歳以上人口」は減っている、は充分あり得る

・結果として、アが正文か誤文か、判断がつかなくなってしまう訳である
⇒問題文が言う通り、素直に「この図に関する記述として正しいものはどれか」という意識で問題を解こうとすると、ここで詰まってしまうのである。図からは、“総人口が減少している期間がある”と“甲の期間中、65歳以上労働人口は増えている”しか分からない。“65歳以上人口”がどうなっているかは、図からは読み解けないのである

・という訳で普通に解くと詰まってしまうこの選択肢だが、別の考え方をすれば問題なく解ける
・即ち、“図表読み取り問題に見せかけて、図表読み取りを半分放棄した常識問題“と思えばよいのだ

ア 総人口が減少していても、65歳以上人口が増加している期間がある。

・この選択肢を常識から考えてみよう

1:総人口が減少している期間がある ← そりゃこんだけ少子高齢化放置してればそうなるでしょ
2:1の期間中の何処かで、65歳以上人口が増加している ← 少子高齢化なんだからそうだろうね

・↑のようになる筈である。常識的に考えて「それはそうだろうね」が選択肢アなのだ
・ここに、図表読み取り要素を申し訳程度に付け加えてみよう

1:総人口が減少している期間がある
↑そりゃこんだけ少子高齢化放置してればそうなるでしょ
↑図で見ても、2010年ぐらいから黒丸が右肩下がりになっとるね
2:1の期間中の何処かで、65歳以上人口が増加している
↑少子高齢化なんだからそうだろうね
↑図で見ても、2010年以降、65歳以上労働人口増えてるね。まぁこれは65歳以上人口そのものじゃないけど、65歳以上人口そのものもやっぱり、増えてそうだね

・という訳でアは正文…という判断になる筈である
⇒ここまで読んできて、受験生は「ふざけんな!!!!!!」と思っていると思うが、まぁこういう問題も出てしまうのが現実である。うーん…

※問題文が“この図から読み取れる記述として正しいものはどれか”じゃなくて「この図に関する記述として正しいものはどれか」になってるのが多分ヒントなんだと思うけども、そんな狐と狸の化かし合いみたいな事を全国の受験生が共通で受ける試験でやるなよ感は強いですわね…

イ 2000年と2020年の労働力人口を比べると、65歳以上の増加分が65歳未満の減少分を上回っている。

・打って変わって選択肢イとウは、純粋に図を見れば解ける内容になっている
⇒まぁ選択肢アみたいなのが沢山あっても困りますからね…とは言え、選択肢ウはともかくイも素直ではない。しっかりやらないと取りこぼす可能性は大いにあるだろう

・選択肢イで比べているのは、2000年と2020年の労働力人口である
⇒つまり、2000年の棒グラフと、2020年の棒グラフだけを見ればよい。その上で、以下の1と2を比べる必要がある

1:65歳以上労働力人口(棒グラフの上の方、黒い部分)の増加分
2:65歳未満労働力人口(棒グラフの下の方、斜線の部分)の減少分

・1>2であればイは正文、逆に1<2であればイは誤文である
⇒正直この図、積み上げ棒グラフなのでどっちが大きいか分かりづらい。が、よく目を凝らしてみれば、65歳以上(上の方、黒い部分)がかなり増えている割に、65歳未満(下の方、斜線の部分)はそこまで減っていない事が分かるだろう。よってイも正文である

ウ 生産年齢人口が減少している期間にも、65歳未満の労働力人口は増加した期間がある。

・これが一番素直な選択肢である。まずは選択肢ウの内容を分解してみよう

1:生産年齢人口が減少している期間
2:1の期間中、65歳未満労働力人口が増加した時期がある

・では続いて、図と照らし合わせてみよう

1:生産年齢人口が減少している期間
⇒生産年齢人口は折れ線グラフの黒四角。1995年からずっと右肩下がりになっている
2:1の期間中、65歳未満労働力人口が増加した時期がある
⇒65歳未満労働力人口は棒グラフの斜線部。1995年以降も、増える時は増えている(例えば2015年から2020年で明らかに増えている)

・よって、ウは正文である

※この問題、全部ウみたいな素直な選択肢にしちゃ駄目だったんですかね…

第5問 問2

女性の就業に関連して、生徒Xと生徒Yは、次の資料1と資料2をみながら、女性の働き方について話し合っている。後の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる記述の組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。

X:日本では、女性の20歳代後半から30歳代の就業率が周辺の年代と比べて低くなるM字カーブは解消してきているのかな。
Y:資料1をみると、2017年にはその年代の女性の就業率も70%に達しているね。
X:たしかに2017年にはM字カーブがある程度解消しているようにみえるけど、[ ア ]。正規雇用と非正規雇用とでは待遇に差があるから、出産や子育てを経験しても正規の職員・従業員として働き続けることができるような政策が必要じゃないかな。
Y:そうだね。だけど、資料2をみると、[ イ ]ことも重要だと思うな。

[ ア ]に当てはまる記述
a1987年に比べて上昇しているのは、非正規の職員・従業員での就業率で、正規の職員・従業員での就業率は低下しているね
b正規の職員・従業員での就業率は、20歳代後半で最も高くなり、それ以降は年齢階級が上がるに従って低下しているね

[ イ ]に当てはまる記述
c女性が非正規の職員・従業員を選択した理由として最も多いのは、「正規の職員・従業員の仕事がないから」だから、企業が、正規の職員・従業員の雇用を拡大する
d女性が非正規の職員・従業員を選択した理由として最も多いのは、「自分の都合のよい時間に働きたいから」だから、企業が、勤務地や勤務時間を限定して雇用する「限定正社員制度」の導入を進める
e女性が非正規の職員・従業員を選択した理由として最も多いのは、「自分の都合のよい時間に働きたいから」だから、企業が、高所得の専門職に労働時間の上限規制を適用しない「高度プロフェッショナル制度」での雇用を拡大する

①ア―a イ―c   ②ア―a イ―d   ③ア―a イ―e
④ア―b イ―c   ⑤ア―b イ―d   ⑥ア―b イ―e

第5問 問2 解説

正解:①

・政治経済の知識が必要そうに見えて全く必要ない、純粋な国語の問題である
・但し、独特のいやらしさがある問題でもある
⇒この手の「最も適当なもの」を選べ、という問題、たまに“これが100%正解!”と言える選択肢がない事がある。選択肢bが40%ぐらい合ってて、選択肢aが80%ぐらい合ってる…みたいな場合がある。この問題がまさにそれで、そういう場合、不完全ではあってもパーセンテージが高い方を決断的に選ぶ必要が出てきてしまう。一発勝負の受験では勇気が要る行為だが、この問題では、まさにその勇気が必要である

Y:資料1をみると、2017年にはその年代の女性の就業率も70%に達しているね。
X:たしかに2017年にはM字カーブがある程度解消しているようにみえるけど、[ ア ]

・Yの発言から、資料1を見ればよい事が分かる
・Xの発言から、資料1の2017年がどうなっているかを読み取ればよいと分かる

b 正規の職員・従業員での就業率は、20歳代後半で最も高くなり、それ以降は年齢階級が上がるに従って低下しているね

・bの方が素直な内容なので先にこちらを見てみよう。これは前半と後半に分けて見るとよい

前半:「正規の職員・従業員での就業率は、20歳代後半で最も高くなり」
⇒確かに、資料1の2017年の「正規の職員・従業員」は、25~29歳(薄い灰色)が最も大きい

後半:「それ以降は年齢階級が上がるに従って低下している」
⇒確かに、資料1の2017年の「正規の職員・従業員」は、30~34歳以降ずっと右肩下がりになっている。いやまぁ50~54歳辺りで一度持ち直しているようにも見えるっちゃ見えるのだが…

・となると、bは80%ぐらい合っていそうである。続いてaも見てみよう

a 1987年に比べて上昇しているのは、非正規の職員・従業員での就業率で、正規の職員・従業員での就業率は低下しているね

・こちらは、資料1の2017年と1987年を比べてどうなっているか、を述べている
・こちらも前半と後半に分けて見るとよいだろう

前半:「非正規の職員・従業員での就業率」が「1987年に比べて上昇している」
⇒年齢の指定がないので、“資料1の1987年と2017年で、面積が増えているかどうか”で判断すればよいと思われる。「非正規の職員・従業員での就業率」は資料1の点々部分なので見比べてみると、確かに、点々部分の面積は明らかに増えている

後半:「正規の職員・従業員での就業率は」1987年に比べ「低下している」
⇒「正規の職員・従業員での就業率」は薄い灰色である。比べてみると、どうも怪しい。30代以降の面積は明らかに増えているが、20代後半のピークに関してはむしろ1987年の方が高いし…いやでも全体としては多分これ増えてるよな…多分…多分そうだよな…という感じ

・となると、こちらは40%ぐらい合っているような気がする
⇒80%と40%なら、80%を選ぶ。それが「最も適当なもの」を選ぶ問題である。よって、[ ア ]はbである

※結局、受験問題を出す方も完璧ではない。結果、「細部まで完全に正しいか」はどうでもよくて、「全体として最も筋が通っているのはどれか」ぐらいのノリで考えないといけない…というような場面は多々ある。人間が出題し、人間が解くものである以上、これはある程度仕方ないと割り切ろう。だから作る方もわざとこういう問題作るのはやめてください。やめろって言ってんだろ(圧)

資料2をみると、[ イ ]ことも重要だと思うな

・ここからは[ イ ]の話である。上記の部分から、[ イ ]は資料2を見ればよいと分かる

c 女性が非正規の職員・従業員を選択した理由として最も多いのは、「正規の職員・従業員の仕事がないから」…(後略)
d 女性が非正規の職員・従業員を選択した理由として最も多いのは、「自分の都合のよい時間に働きたいから」…(後略)
e 女性が非正規の職員・従業員を選択した理由として最も多いのは、「自分の都合のよい時間に働きたいから」…(後略)

・こうしてみると、資料2で最も多い理由を使えば、選択肢を絞り込めると分かるだろう
⇒という訳で実際に資料2を見てみると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が全年齢層で最多である。よって選択肢cはあり得ないと分かり、dとeの一騎討ちになる

d(前略)企業が、勤務地や勤務時間を限定して雇用する「限定正社員制度」の導入を進める
e(前略)企業が、高所得の専門職に労働時間の上限規制を適用しない「高度プロフェッショナル制度」での雇用を拡大する

・「自分の都合のよい時間に働きたい」を実現できそうなのはdeのどちらか、と考えればよい
⇒そう考えると、dが適当だろう。「勤務時間を限定して雇用する」というのは、“午前で仕事終わり”とか“勤務時間は13時から17時の4時間だけ”とかそういう話の筈である

・よって、[ イ ]はdである

※逆にeは、「労働時間の上限規制を適用しない」と言っているので、これは一日の労働時間が10時間とか12時間とかになってしまう制度である。労働時間が長くなればなるほど「自分の都合のよい時間」だけ働く、というのはできなくなっていく訳で…

第5問 問3

社会支出に関連して、生徒Yは、日本の政策分野別社会支出の対GDP(国内総生産)比とその内訳を調べ、次の資料を作成した。資料中の空欄[ ア ]・[ エ ]にはそれぞれ「保健」または「失業・積極的労働市場政策」のいずれかの語句が、空欄[ イ ]・[ ウ ]にはそれぞれ「家族」または「高齢」のいずれかの語句が当てはまる。空欄[ ア ]・[ ウ ]に当てはまるものの組合せとして正しいものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

① ア 保健   ウ 家族
② ア 保健   ウ 高齢
③ ア 失業・積極的労働市場政策   ウ 家族
④ ア 失業・積極的労働市場政策   ウ 高齢

#国語問題 #時事問題 #今日的な福祉問題

第5問 問3 解説

正解:①

・常識と言っても差し支えないような知識さえあれば、後は国語の問題である
⇒ここ十何年かの日本政府が何にカネを使ってるか…というところで、“高齢者の医療費やら年金に決まってるじゃ~ん、子供の未来に大規模な投資なんかしてる訳ないじゃ~ん”という事さえ分かっていれば、後は国語の問題となる

※この知識、私の授業の単元で言えば「経済分野第二章/今日的な福祉問題」の「人口問題」の辺りの話になる。が、常識と言えば常識だし、時事と言えば時事だよなぁ…

資料中の空欄[ ア ]・[ エ ]にはそれぞれ「保健」または「失業・積極的労働市場政策」
2020年は(中略)なかでも「失業・積極的労働市場政策」の増加率が最も高かった

・まず[ ア ]・[ エ ]から見ていこう。問題文の上記二箇所、及び棒グラフを見れば解ける
⇒棒グラフの中で明らかに大きく増えているのは薄い灰色、エである。つまり、「増加率が最も高かった」「失業・積極的労働市場政策」が[ エ ]だと分かる

・逆に言えば、[ ア ]は「保健」である
⇒既に見たように、「空欄[ ア ]・[ エ ]にはそれぞれ「保健」または「失業・積極的労働市場政策」」である。[ エ ]が「失業・積極的労働市場政策」なのだから、当然、[ ア ]は「保健」である

空欄[ イ ]・[ ウ ]にはそれぞれ「家族」または「高齢」
「家族」は児童手当、育児・介護休業給付など、「高齢」は老齢年金などである

・続いて[ イ ]・[ ウ ]だが、ここで必要になるのが冒頭に言ったあの知識である
⇒即ち、“ここ十何年かの日本政府が何にカネを使ってるか?”“高齢者の医療費やら年金に決まってるじゃ~ん、子供の未来に大規模な投資なんかしてる訳ないじゃ~ん”というアレである

※ここで必要なのは、“大学受験完全攻略!政治経済一問一答!”みたいな本に出てくるような細かい知識ではない。あくまで“今の日本社会はどこにお金を使っているか”という大雑把な理解である

※また、公共でも政治経済でも、何なら中学の公民でもやる“日本は少子高齢化社会”という話から、“じゃあ子供にはあんまりカネ使ってないよなぁ、だって『少子』なんだから”という風に考えてもよい

・となると、棒グラフの小さい点々(ウ)が「家族」と判断できる。よって、[ ウ ]は「家族」である
※勿論、「高齢」は棒グラフのでっかい濃い灰色(イ)である

第5問 問4

ジェンダー平等に関連して、生徒Xと生徒Yは、婚姻の際の夫婦同氏制を定める民法の規定の合憲性に関する2015年の最高裁判所判決についての次の資料をみながら話をしている。後の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

〇最高裁判所の多数意見「氏は、家族の呼称としての意義があるところ、現行の民法の下においても、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性が認められる。」
〇岡部喜代子裁判官の個別意見「本件規定は、昭和22年の民法改正後、社会の変化とともにその合理性は徐々に揺らぎ、少なくとも現時点においては、夫婦が別の氏を称することを認めないものである点において、個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っており、憲法24条に違反するものといわざるを得ない。」

(出所)最高裁判所民事判例集69巻8号

X:この判決には、多数意見とは異なる岡部裁判官の個別意見がついているよ。夫婦同氏制をめぐる争いの背景には、[ ア ]が増えて、氏の変更に伴う不利益に直面する人々の存在があるね。具体的な不利益は何だろう。
Y:たとえば、婚姻により氏を変更した場合、その婚姻中は[ イ ]の識別に困難が生じやすくなるね。個別意見もその点に着目しているのかな。
X:この後も繰り返し訴訟が提起されているようだね。もっと調べてみよう。

① ア 婚姻後も就労する女性   イ 変更前の人物と同一人物であるか
② ア 婚姻後も就労する女性   イ 自身の婚内子(嫡出子)との親子関係
③ ア 育児休業を取得する男性   イ 変更前の人物と同一人物であるか
④ ア 育児休業を取得する男性   イ 自身の婚内子(嫡出子)との親子関係

#国語問題 #時事問題

### 第5問 問4 解説

正解:①

・本質的には国語の問題だが、時事問題と言えば時事問題、みたいな微妙な立ち位置の問題である
⇒この問題を解く上で必要な最低限の知識は、“現代日本では、婚姻時に夫婦同姓となる”“規則上は男性女性どちらが改姓してもいいが、実際には女性が改姓する場合が圧倒的に多い”の二つである。後は国語の問題として解ける

※“うーん、これは現代日本の時事に関する知識が必要だから時事問題!w”とかやると何でもかんでも時事問題になっちゃうよね、と言うとそれはそう。一方でこの問題、公明党や立憲民主党が謎に夫婦同姓をプッシュしまくった令和六年に作った共テだからこそ出たんだよね、と言うとそれもそう。故に、“本質的には国語の問題だが、時事問題と言えば時事問題”みたいな微妙な立ち位置になる

[ ア ]が増えて、氏の変更に伴う不利益に直面する人々

・まずは[ ア ]から。この部分から、[ ア ]は女性の話をしていると分かる
⇒何せ「氏の変更に伴う不利益に直面する人々」と言っている。現代日本では“規則上は男性女性どちらが改姓してもいいが、実際には女性が改姓する場合が圧倒的に多い”のである。であれば当然[ ア ]は、実際に氏姓を変更する事の多い女性の話であろう

・選択肢①~④を見ると、[ ア ]は以下のどちらかである

婚姻後も就労する女性
育児休業を取得する男性

・既に見たように、[ ア ]は女性の話である。よって、[ ア ]は「婚姻後も就労する女性」である

たとえば、婚姻により氏を変更した場合、その婚姻中は[ イ ]の識別に困難が生じやすくなるね

・続いて[ イ ]。こちらも氏姓を変更した場合の話だが、そういう人にはどんな問題が起きるかである

変更前の人物と同一人物であるか
自身の婚内子(嫡出子)との親子関係

・これは常識で、ぱっと「変更前の人物と同一人物であるか」だと分かるだろう
⇒氏姓を変更するという事は、名前が変わるという事である。例えば結婚前に取った資格の証明書は、当然、変更前の名前で書かれている。“あれっ、名前違わない?”みたいな事態は当然多発するだろう

・よって、[ イ ]は「変更前の人物と同一人物であるか」である

※ちなみに、「自身の婚内子(嫡出子)との親子関係」だが、氏姓を変更してもこちらに大きな影響は無い筈である。何せ日本国は、世界でも珍しい、戸籍をしっかり作っている国なので…戸籍を見れば、“ナントカさんは、生年月日いついつ、父はナントカ、母はカントカ、続柄は長男”みたいなものが全部載っているのだ

第5問 問5

生徒Xは、生存権について調べた。生存権に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

①朝日訴訟において、最高裁判所は、当時の生活保護基準は最低限度の生活水準を維持できないため憲法違反であると判断した。
②堀木訴訟において、最高裁判所は、生存権保障のための立法について国会の裁量の余地はないと判断した
③日本国憲法は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障しており、この権利を具体化するものとして生活保護法が定められている。
④日本国憲法は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するため、この権利を具体化するものとして生活保護基準を条文で定めている。

#日本国憲法と人権(社会権)

第5問 問5 解説

正解:③

・消去法でも「他の選択肢は知らんがこれが正解でしょ」でも解ける、簡単な知識問題である
⇒何度でも言うが、この手の基本問題を落とさないようにするところから受験勉強は始まる。難問奇問をどうこうするより、こういう問題を落とさないようにする事の方が大事である

・選択肢①~④まで全て、生存権の話である。間違えた場合は必ず復習をしよう
⇒私の授業用資料の「復習用資料:政治分野第二章/日本国憲法と人権(社会権)」の「生存権」の項目に、①〜④の内容はすべて整理してある

①朝日訴訟において、最高裁判所は、当時の生活保護基準は最低限度の生活水準を維持できないため憲法違反であると判断した。

・誤文である
⇒生存権と言えば朝日訴訟と堀木訴訟(本当は食糧管理法違反事件も勉強した方がいいが、受験で出やすいのはこの二つ)だが、この二つの裁判はどちらも違憲判決は出ていない

②堀木訴訟において、最高裁判所は、生存権保障のための立法について国会の裁量の余地はないと判断した

・誤文である
⇒終戦直後の食糧管理法事件以来、生存権に対する最高裁の態度は“憲法二十五条は努力目標ですよ”“何が最低限度の生活かは国が決めますよ”である。基本的には、立法の段階では国会が好きなように決めていいのである

③日本国憲法は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障しており、この権利を具体化するものとして生活保護法が定められている。

・正文である
⇒憲法二十五条に書かれた生存権を具体化した法律こそが、生活保護法だと言ってよい

④日本国憲法は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するため、この権利を具体化するものとして生活保護基準を条文で定めている。

・誤文である
⇒生活保護の基準という事は、例えば貯金が何万円未満だったら生活保護の対象、とかそういう話が憲法に書いてある、という話なのだが…ちゃんと政経を勉強している人なら分かると思うが、憲法は基本、ふわっとした事しか書いていない。そんな具体的な事は書かないのが憲法である

第5問 問6

政治参加に関連して、生徒Xと生徒Yは、日本の選挙について調べたところ、投票率の低さが課題として指摘されていることがわかった。そこで、XとYは、政治参加を活性化させるためにどうすればよいかについて、考察と議論を行った。次の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

X:低投票率の背景には、政治的無関心があるといわれているね。有権者の政治的関心を高めるためにはどのような手段が考えられるのかな。
Y:公職選挙法で認められる選挙運動の範囲を拡大してはどうだろう。有権者の積極的な政治参加を促すことにつながるような選挙運動が可能になるんじゃないかな。たとえば、現在は全面的に禁止されている[ ア ]の解禁が考えられるね。
X:ほかにも、さまざまな投票の手段があることをもっと周知する必要があると思うな。たとえば、投票日の前日までに、有権者として名簿に登録されている居住地で投票することのできる制度があるね。それ以外にも、長期の旅行や出張で遠方に滞在していたり、居住地から離れた病院に入院していたりする人が、投票日の前日までに、有権者として名簿に登録されている居住地以外の場所で投票することのできる[ イ ]があるね。
Y:主権者である国民の政治的関心を高めるためにはどうすればいいか、もっと調べてみよう。

① ア 戸別訪問による選挙運動   イ 不在者投票制度
② ア 戸別訪問による選挙運動   イ 期日前投票制度
③ ア インターネットを利用した選挙運動   イ 不在者投票制度
④ ア インターネットを利用した選挙運動   イ 期日前投票制度

第5問 問6 解説

問6解説
正解:①

・簡単な知識問題(を、意味もなく長ったらしい会話文で誤魔化した)問題である
⇒もう本当に何度でも言うが、この手の基本問題は絶対に落とさないようにしたい

※この手の、“簡単な知識問題なのだが、全く意味のない長文で誤魔化している”という問題は、近年の共テでよく見られる。ここで勘違いしてほしくないのは、“だから問題文なんて読まなくていいや、空欄の前後だけ読めばいいや”と思ってしまう事である。確かにこういう問題もあるが、一方で、問題文をよく読んでいないと引っかかる問題もある。共テ政経の秘訣は、“問題文は全部素早く読む”である

※勿論、大問ごとのリード文に関しては、共テ政経は全く意味がない語句の羅列になっているのが例年の流れなので、そっちは読まなくてよい。“全部素早く読む”のは、各問の問題文である

現在は全面的に禁止されている[ ア ]

・①~④を見ると、選択肢は「戸別訪問による選挙運動」か「インターネットを利用した選挙運動」である

・令和七年現在、全面禁止されている選挙運動は戸別訪問である
⇒授業用資料の「復習用資料:政治分野第三章/選挙制度」の「公職選挙法あれこれ」の「禁止事項」に記載がある

※なお、「インターネットを利用した選挙運動」についても、復習用資料:政治分野第三章/選挙制度の「公職選挙法あれこれ」の「制限事項」に記載がある

・よって、[ ア ]は「戸別訪問による選挙運動」である

① ア 戸別訪問による選挙運動   イ 不在者投票制度
② ア 戸別訪問による選挙運動   イ 期日前投票制度
③ ア インターネットを利用した選挙運動   イ 不在者投票制度
④ ア インターネットを利用した選挙運動   イ 期日前投票制度

・続いて、[ イ ]は「不在者投票制度」か「期日前投票制度」である
⇒この二つの制度の詳細については、復習用資料:政治分野第三章/選挙制度の「投票率あれこれ」の「投票率向上に向けての取り組み」にある

たとえば、投票日の前日までに、有権者として名簿に登録されている居住地で投票することのできる制度があるね。

・これは期日前投票の説明である
⇒選挙の投票は、住民票のある市町村で行われる。その市町村にいるはいるが、事情があって投票日当日は行けない、という人向けの制度がこれ

それ以外にも、長期の旅行や出張で遠方に滞在していたり、居住地から離れた病院に入院していたりする人が、投票日の前日までに、有権者として名簿に登録されている居住地以外の場所で投票することのできる[ イ ]があるね

・これは不在者投票の説明である
⇒選挙の投票は、住民票のある市町村で行われる。何らかの理由でその市町村にいない場合、事前に別の場所で投票ができる、というのが不在者投票である

・よって、[ イ ]は「不在者投票制度」である

第6問

※全く見る価値のないリード文省略

第6問 問1

為替相場の変動に関連して、生徒Wは、自国通貨の為替相場が米ドルに対して変動したときに起きることをまとめた。自国通貨が米ドルに対して下落したときに起きることとして最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

①自国企業が保有していた他国の米ドル建ての国債が償還されて、米ドルで受け取った元本と利子を自国通貨に換算すると、その受取額が減少する。
②自国企業が生産拠点をアメリカに設立する場合、自国通貨でみると、より多くの投資額が必要となる。
③外国企業が著作権をもつコンテンツを自国企業が利用して、その利用料を米ドルで支払っている場合、この支払額が自国通貨でみると減少する。
④米ドル建てで自動車を輸入している自国企業が、自国通貨建てでの国内の販売価格を据え置くと、自動車1台当たりの売上げに伴う利益が増大する。

#国際経済の仕組み

第6問 問1 解説

正解:②

「経済分野第一章/国際経済の仕組み」の中でも、為替相場が変動した時に何が起きるかを問う問題である
⇒知識問題と言えばそれはそうなのだが、為替相場の変動によって何が起きるか、を全部丸暗記するのは厳しい。やはり、丸暗記するのは“円安になれば輸入有利、輸出不利。円高はその逆”ぐらいにして、理解に重点を置いていきたい

・今回は円安ドル高の時何が起こるかである
⇒例えば、元が1ドル100円だったところ、1ドル200円になれば円安ドル高である。そういう時何が起こるか、というのを各選択肢について考えていけばよい

※勿論、1ドル100円が1ドル200円になったらとんでもない円安である。が、リアリティを追求して計算を面倒にしてもしょうがないので、こういう時は分かりやすい数字で考えればよい

①自国企業が保有していた他国の米ドル建ての国債が償還されて、米ドルで受け取った元本と利子を自国通貨に換算すると、その受取額が減少する。

・この選択肢は、分解して考えればよい。例として、“額面1ドル”“利子なし”の国債として考えてみよう

1:1ドル100円時代に、他国の国債を1ドル分買いました(100円で国債を買った)
2:1ドル200円になりました
3:国債の満期が来て1ドル貰えました。これを日本円に換金しました(200円貰った)

・つまるところ、100円で買った国債が200円に化けた訳である
⇒よって、①は誤文である。正しくは「その受取額が増加する」である

②自国企業が生産拠点をアメリカに設立する場合、自国通貨でみると、より多くの投資額が必要となる。

・仮に、新しい生産拠点を作るのに、しめて10ドル必要だとしよう
※絶対にそんな額じゃ作れないけど、あんまり数字が大きくなってもめんどくさいだけなので…

1ドル100円時代:新しい生産拠点を作るのに、10ドル、即ち1000円必要
1ドル200円時代:新しい生産拠点を作るのに、10ドル、即ち2000円必要
⇒円安になった結果、円で言えば、より多くの投資額が必要になっている

・よって、②は正文である

③外国企業が著作権をもつコンテンツを自国企業が利用して、その利用料を米ドルで支払っている場合、この支払額が自国通貨でみると減少する。

・仮に、利用料が月間10ドルだとする

1ドル100円時代:利用料は10ドル、即ち1000円
1ドル200円時代:利用料は10ドル、即ち2000円
⇒円安になった結果、円で言えば、利用料が増えている

・よって、③は誤文である
⇒正しくは「支払額が自国通貨でみると増加する」である

④米ドル建てで自動車を輸入している自国企業が、自国通貨建てでの国内の販売価格を据え置くと、自動車1台当たりの売上げに伴う利益が増大する。

・仮に、米国の自動車メーカーが、自動車を10ドルで売っているとする

1ドル100円時代:自動車の価格は10ドル、即ち1000円
1ドル200円時代:自動車の価格は10ドル、即ち2000円
⇒日本の輸入業者からすると、商品の仕入れ価格が二倍になっている

・商品の仕入れ価格が二倍になっている状態で、「販売価格を据え置く」とどうなるか?
⇒言うまでもなく、利益は減る。よって、④は誤文である

※④は、正しくは「自動車1台当たりの売上げに伴う利益が減少する」である

第6問 問2

国際社会の特質に関連して、生徒Uと生徒Vは、二国間関係を念頭に軍事的緊張が高まる原因を考えた。次のメモは、UとVがグループワークをしながら模造紙に付箋を左から順に重ねて貼って作成したものである。メモに基づいて考えたとき、二国間で軍事的緊張が回避されうる場合の記述として最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

①一方の国が、攻撃ではなく防衛の意図をもって、迎撃ミサイルの配備数や配備地点を増やした。
②一方の国が、攻撃ではなく防衛の意図をもって、戦闘機を改修して速度と航続距離を向上させた。
③一方の国が他方の国に対し、軍事情報を相互提供する制度の創設を提案し、二国間の相互提供が開始された。
④一方の国が他方の国に対し、サイバーテロに備えて合同で実施してきた演習の打切りを通告し、二国間の演習が終了した。

#国語問題

第6問 問2 解説

正解:③

・国際政治の知識が要りそうに見えて全く必要ない、ただの国語の問題である
⇒初手でトマス・ホッブズみたいな事を言い出したり、その割に、中学の教科書に載っていそうな陳腐な軍拡競争の話が続いていたりするが、その辺の知識を問う要素は全くない。純粋に国語の読解問題として解いてよい

メモに基づいて考えたとき、二国間で軍事的緊張が回避されうる場合の記述として最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ

・という訳で、メモと選択肢を照らし合わせ、軍事的緊張が回避されそうな選択肢を選べばよい

①一方の国が、攻撃ではなく防衛の意図をもって、迎撃ミサイルの配備数や配備地点を増やした。

・メモと照らし合わせると、軍拡競争になる状況である
⇒以下のあたりと照らし合わせるとよい

なぜ協力は難しいか? → 時刻は防衛を目的としても相手国からは「攻撃的」と理解される
防衛を目的に兵器数を増やす場合
「攻撃的」と理解され二国とも軍拡する

・よって、①は正答ではない

②一方の国が、攻撃ではなく防衛の意図をもって、戦闘機を改修して速度と航続距離を向上させた。

・①とよく似ている。照らし合わせる場所もほぼ一緒である

なぜ協力は難しいか? → 時刻は防衛を目的としても相手国からは「攻撃的」と理解される
防衛を目的に兵器の質を高める場合
「攻撃的」と理解され二国とも軍拡する

・よって、②は正答ではない

③一方の国が他方の国に対し、軍事情報を相互提供する制度の創設を提案し、二国間の相互提供が開始された。

・メモと照らし合わせると、安全保障上の協力が可能になりそうな状況である
⇒以下の部分と照らし合わせるとよい

相互にコミュニケーションをとり、信頼醸成を継続することで安全保障上の協力は可能である

・「安全保障上の協力」が可能な状況とは、軍事的緊張が緩和している状態と考えてよい
・よって、③が正答である

④一方の国が他方の国に対し、サイバーテロに備えて合同で実施してきた演習の打切りを通告し、二国間の演習が終了した。

・これに関してはもう、合同演習の一方的な打ち切りで軍事的緊張が緩和されたら怖い、で終わりである
⇒正直、メモと照らし合わせる必要もない。一応、先の「相互にコミュニケーションをとり、信頼醸成を継続することで安全保障上の協力は可能である」と照らし合わせて、“めっちゃ一方的じゃん、全然コミュニケーション取れてないじゃん”というので正答ではないと判断させる選択肢だとは思われるが…

第6問 問3

経常収支の変化に関連して、次の図は、2007年から2021年までの日本の経常収支、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支を示している。これらのうち、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支は、それぞれ図中のA〜Cのいずれかで表されている。
生徒Xは、図に示されている期間に生じた日本の対外的な経済取引に関する変化を調べて、後のメモにまとめた。メモ中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

メモ
〇Aの2012年から2015年までの時期の変化は、[ ア ]が増加してこの金額が計上されたことを反映している。
〇Bの2011年から2014年までの時期の変化は、[ イ ]が増加してこの金額が計上されたことを反映している。

[ ア ]に当てはまる語句
a日本企業による対外直接投資額
b日本企業による対外直接投資の投資収益

[ イ ]に当てはまる語句
cエネルギー資源の輸入額
d海外の証券に対する投資額

① ア―a イ―c   ② ア―a イ―d   ③ ア―b イ―c   ④ ア―b イ―d

#国際経済の仕組み #日本経済通史

第6問 問3 解説

正解:③

・国際収支の知識と、日本経済史の知識とを複合して問うてくる問題である
⇒国際収支の知識については、「貿易収支」「第一次所得収支」といった言葉の意味が分かればよい。復習用資料:経済分野第一章/国際経済の仕組みの「国際収支」に全て書いてある
⇒日本経済史の知識については、経済分野第四章/失われた三十年の知識を使う。項目で言えば「大不況、アベノミクス、そして現代へ」のあたりを、なんとなーく知っていればよい。リーマンショックからの民主党政権、からの第二次安倍政権あたりの話である

※ABCの候補となる、「貿易収支」「サービス収支」「第一次所得収支」という言葉がちんぷんかんぷん、何言ってるか全くわからん…という場合は、まず、上記「国際経済の仕組み」の「国際収支」で学習してから戻ってくるようにしよう

・まずは、図に載っている時期の日本経済で、分かりやすく話題になる事象を挙げてみよう
1:2008頃/リーマンショックの影響が日本にも到来、大不況に
2:2009から/民主党政権誕生、↑の影響もありド不況の時代へ
3:2011/ただでさえド不況だったところに東日本大震災。“なんとか致命傷で済んだぜ”の世界へ突入
4:2012/年末に第二次安倍政権誕生。以降、アベノミクスにより、日本経済は持ち直し始める
5:2021/コロナ前最後の年。東京五輪直前で、何だかんだ景気は回復傾向ではあった

・続いて、図のABCがそれぞれ何なのかを考えていこう

・A(斜線)は一貫して大きく黒字である。特に不況だった2008-2012でも、大きく黒字を出している
⇒となると、やはり「第一次所得収支」っぽい。何せ第一次所得収支は、“外国で働く日本人が貰った給料”と“日本人が外国企業に投資して得たカネ(配当金等)”で増える。日本がどんなにド不況でも、全世界がそうとは限らない訳で…第一次所得収支は、不況の影響を受けづらいのである

・B(濃い灰色)はAとは対照的で、景気の影響を大きく受けている
⇒リーマンショックでまずゴリッと減り、東日本大震災で致命傷を受けている。2015年ぐらいからようやく、アベノミクスが多少効いてきた感じで回復傾向を見せ始めている

・Bは特に、東日本大震災で致命傷を受けているのが印象的である
⇒東日本大震災は、日本の貿易にとって大きな痛手であった。東北の工場が軒並みボロボロになったせいで商品が作れなくなり、輸出できなくなった(いわゆるサプライチェーンの崩壊)…というのもある。また、深く考えず原発を止めたせいで火力発電所を全力運転しなければいけなくなり、燃料の輸入額が爆増した、というのもある

・となると、Bは「貿易収支」であろうという話になる

・こうなってくると、残る「サービス収支」がC(白)ではないか、という形になる
⇒一貫して赤字ではあるが、そもそもの量が少ない。実際、サービス収支は“外人が日本に旅行に来てカネを使ったらプラス”とかそういう形で増えるものなので、黒字だろうが赤字だろうが数字が少ないのは当たり前だろう

〇Aの2012年から2015年までの時期の変化は、[ ア ]が増加してこの金額が計上されたことを反映している。
a日本企業による対外直接投資額
b日本企業による対外直接投資の投資収益

・Aは第一次所得収支、2012年から2015年は右肩上がりに増えている
⇒第一次所得収支は、“外国で働く日本人が貰った給料”と“日本人が外国企業に投資して得たカネ(配当金等)”で増える。となると、aの「投資額」ではなく、bの「投資収益」が適切である

・よって、[ ア ]はbの「日本企業による対外直接投資の投資収益」である

※まぁそもそも、外国に投資して(カネを払って)(言い方変えれば、日本から外国へカネが流出して)、それがプラスに勘定されそうなのは金融収支ぐらいなものだが…

〇Bの2011年から2014年までの時期の変化は、[ イ ]が増加してこの金額が計上されたことを反映している。
cエネルギー資源の輸入額
d海外の証券に対する投資額

・Bは貿易収支、2011年から2014年は東日本大震災直後であり物凄い勢いでマイナスになっている
⇒既に見たように、東日本大震災では日本の貿易収支が致命傷を負った。サプライチェーンの崩壊もそうだし、火力発電所を全力運転させる為の燃料輸入費も主な要因である

・よって、[ イ ]はcの「エネルギー資源の輸入額」である

※なお、dはあり得ない。ただでさえリーマンショックからの民主党政権、からの東日本大震災で日本経済が致命傷負ってる時に海外に投資して(カネばら撒いて)どうすんねん…いくら2012年末に第二次安倍政権ができるとは言っても、アベノミクスも魔法じゃないんだからそんな一瞬で効果出ないよ……

第6問 問4

為替相場の安定に関連して、生徒Wと生徒Xは、主要通貨間の為替相場の安定のために20世紀以降に確立した仕組みと、それをめぐる各国の対立と協調について調べ、次のカードa〜eにまとめた。最初に起きたのがカードaの出来事であり、最後に起きたのがカードeの出来事である。これら二つの出来事の間に起きたカードb〜dの出来事について、それぞれの出来事を古いものから順に並べたものとして正しいものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。

カード 内容
a 1929年に始まった世界恐慌は、イギリスのポンドを中心とした国際金本位制に終焉をもたらした。恐慌が拡大すると、主要国は、それまで採用していた金本位制を停止して、相次いで自国通貨の為替相場を切り下げた。
b アメリカは、主要国の通貨当局に対して、金1オンス=35ドルのレートでドルを金と交換することを保証した。アメリカ以外の主要国は、自国通貨と米ドルとの為替相場を固定した。
c アメリカの金利が上昇してドル高が続いたため、主要国はドル高是正に合意し、当時の西ドイツのマルクや日本の円の米ドルに対する為替相場が上昇した。この合意はプラザ合意と呼ばれた。
d ニクソン・ショック(ドル・ショック)の後、主要国は固定為替相場制の維持を試みたものの長続きせず、変動為替相場制に移行した。
e ドイツのマルクが、たびたび米ドルに対して上昇し、欧州の主要通貨間の為替相場の変動が激しくなったため、EU(欧州連合)内の主な国は、相互の為替相場を安定させた後、通貨を統合して共通通貨ユーロを導入した。

①b→c→d   ②b→d→c   ③c→b→d
④c→d→b   ⑤d→b→c   ⑥d→c→b

#国際経済通史

第6問 問4 解説

正解:②

本来はaからeまで並べ替えろって問題だったと思われるが、流石にそれは畜生過ぎるだろうという事でbcdを並べ替えろという問題に変わり、でも悔しいのでaとeは残すだけ残した…という経緯で作られたと思われる問題である

復習用資料:経済分野第三章/国際経済通史の知識を正面から聞いてくる問題である
⇒私が学校で、第二次世界大戦後の歴史の話をする時、口を酸っぱくして言うのが“何年に何が起きたとか、細かい事は覚えんでいい”“ただし!!”“何年代に何が起きた、何年代はこういう時代、っていうのは覚えておけ!!”である。まさにそれができていれば解ける問題になっている

a 1929年に始まった世界恐慌は、イギリスのポンドを中心とした国際金本位制に終焉をもたらした。恐慌が拡大すると、主要国は、それまで採用していた金本位制を停止して、相次いで自国通貨の為替相場を切り下げた。

・並べ替える必要はないが一応。本文中にある通り、aは1920年末(と1930年代前半)の話である
⇒問題文から、これが最初である。よって、bcdは1930年代以降の話という事になる

b アメリカは、主要国の通貨当局に対して、金1オンス=35ドルのレートでドルを金と交換することを保証した。アメリカ以外の主要国は、自国通貨と米ドルとの為替相場を固定した。

・bは要するに、“ブレトン=ウッズ体制ができたよ~”という話である
⇒ブレトン=ウッズ体制ができたのは、第二次世界大戦直後。つまりbは、1940年代の話である

※より正確に言うと、ブレトン=ウッズ体制を定めた協定が結ばれたのは1944年。と言っても全然戦争中なので、第二次世界大戦が終わってから本格的に始動する事になる

c アメリカの金利が上昇してドル高が続いたため、主要国はドル高是正に合意し、当時の西ドイツのマルクや日本の円の米ドルに対する為替相場が上昇した。この合意はプラザ合意と呼ばれた。

・プラザ合意という単語が出てきたら、即座に“日米貿易摩擦だ!”となってほしい
⇒日米貿易摩擦と言えば1980年代。よってcは1980年代の話である

d ニクソン・ショック(ドル・ショック)の後、主要国は固定為替相場制の維持を試みたものの長続きせず、変動為替相場制に移行した。

・dは要するに、bで見たブレトン=ウッズ体制が崩壊したという話である
⇒ブレトン=ウッズ体制の崩壊は1970年代。1970年代は、国際経済史的には“ブレトン=ウッズ体制の崩壊”と“二度の石油危機”の時代、即ち世界的に不況の時代であると覚えておきたい

・よって、dは1970年代である

・後は年代順に並べ替えれば、②のb→d→cが正解と分かる

第6問 問5

技術革新と社会的公正との両立に関連して、生徒Yと生徒Zは、人々の健康や保健衛生をめぐる世界的問題群である「グローバル・ヘルス」を取り上げ、調べたことを次のポスターにまとめた。ポスターの内容を踏まえ、ポスター中の空欄[ ア ]に当てはまる解決策として誤っているものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

社会班(Y、Z)「グローバル・ヘルス」における医薬品アクセスの問題

概要 詳細
問題の背景 〇技術革新が進み、新しい医薬品が開発される。
〇だが、新薬開発費用は莫大になる。
〇製薬会社は、新薬の特許が保護されることで、一定期間独占的背景に薬を製造し販売して、開発に投じた費用を回収できる。
〇一方で、医療費は高額になり、医薬品へのアクセスに関しても、先進国と発展途上国の間で格差が生じる。
問題 医薬品アクセスをめぐる格差をどう解決するか。
解決策 より社会的公正を重視した取組みが必要ではないか。
たとえば、国際社会が[ ア ]

①発展途上国に対して、医薬品に関する知的財産権の厳格な運用を義務づける。
②発展途上国に対して、医薬品を共同で購入したものを優先的に供給する仕組みを作る。
③発展途上国の製薬企業に特許の切れた医薬品を大量生産する技術の導入を促して、より多くの発展途上国の人々が医薬品を入手できるようにする。
④先進国の製薬企業の特許権を管理して、発展途上国の製薬企業が医薬品を安価に製造・販売できるようにする。

#国語問題

第6問 問5 解説

正解:①

・何故か多くの人が「空欄[ ア ]に当てはまる解決策」を探してしまう奇問である
⇒よく読めば「空欄[ ア ]に当てはまる解決策として誤っているもの」とちゃんと書いてあるのだが、何故か、「空欄[ ア ]に当てはまる解決策」を探してしまう。私が問題演習の授業中いつも言う事だが、“問題文は素早く、ただし全部”読みましょう

※ちなみに、こんな事を偉そうに言っている私自身、最初は「空欄[ ア ]に当てはまる解決策」を探してしまいました。世の中そんなもんです。だからこそ、“問題文は素早く、ただし全部”を肝に銘じましょう

・まず問題文を読むと、大体以下のような話であると分かる

1:新しい薬を作るのってカネがかかるよね ← じゃあ誰が新しい薬作るねん、という問題アリ
2:新しい薬を作れば特許でめっちゃ儲かるようにすれば、民間企業が新薬を作るよね ← 現状
3:でも民間企業が沢山カネを稼ぐって事は、医療費が高いって事だよね ← 現状の問題a
4:特に発展途上国からしたら、高い新薬は手に入りづらいよね ← 現状の問題b
5:じゃあ例えば[ ア ]をすればいいじゃない? ← 現状の問題bの解決策

※1~3は問題文の「問題の背景」に書いてある事、4は「問題の背景」の最後と「問題」の内容をまとめたもの、5は「解決策」に書いてある事である

・これを理解した上で、空欄[ ア ]に入りそうにない選択肢を探せばよい

①発展途上国に対して、医薬品に関する知的財産権の厳格な運用を義務づける。

・知的財産権は、例えば、著作権や特許権を指すものである。そしてこの「特許」、既に見たものである
⇒即ち、先程問題文をまとめたところの2で、新薬を作る企業が儲かる源泉が「特許」だと指摘している。そして、新薬を作る企業が儲かるからこそ1の問題は解消されるが、3で見た“医療費が高い”、4で見た“特に発展途上国からしたら、高い新薬は手に入りづらい”という問題の源泉にもなってしまっているのである

・そんな特許を厳格に運用しなさい、って言ったら…当然、現状の問題は何も解決しない
⇒よって、①は誤文。①が正解である

②発展途上国に対して、医薬品を共同で購入したものを優先的に供給する仕組みを作る。
③発展途上国の製薬企業に特許の切れた医薬品を大量生産する技術の導入を促して、より多くの発展途上国の人々が医薬品を入手できるようにする。
④先進国の製薬企業の特許権を管理して、発展途上国の製薬企業が医薬品を安価に製造・販売できるようにする。

・①が誤文である以上当然だが、②~④は正文である
⇒どれも、“特に発展途上国からしたら、高い新薬は手に入りづらいよね”という問題が解決しそうな方向の施策になっている。言い換えれば、どの選択肢も空欄[ ア ]に入りそうな文章である

第6問 問6

生徒たちは、後日、街の図書館で学習成果を発表した。発表後、生徒Yと生徒Zは、発表を聞いていた街の人Jからの質問をきっかけに、新しい課題を発見した。次の会話文の趣旨を踏まえて、会話文中の空欄[ ア ]に当てはまる記述として最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

J:発表内容は、先進国と発展途上国との教育格差にも応用できませんか。
Y:できると思います。私たちは授業でタブレットやアプリを使いますが、発展途上国だとそもそも機材が手に入りにくいですよね。
J:私の勤める会社では、発展途上国向けにデジタル教材を販売しています。格差を縮めるねらいなのですが、普及はなかなか進みません。
Z:ただ、社会問題に企業が積極的に取り組むことは大事だと思います。技術革新が進んでも、多くの人にゆきわたるのは別だと思うからです。
Y:Zさん、新しい探究課題、「先進国と発展途上国との間で教育の社会的公正をどう実現するか」なんてどうかな。
Z:いいねそれ。授業で学んだESG投資も解決につながるかもしれない。たとえば[ ア ]なんか、当てはまるんじゃないかな。
J:そうですね。企業がグローバルな社会問題へ貢献することは、ますます重要になると思います。

①人々が発展途上国の教育改善に携わる企業の株式を積極的に購入すること
②先進国が無償資金援助を実施してより多くの学校を建設すること
③非営利組織が発展途上国の未就学の人々に教育を提供して社会的包摂を促進すること
④大学が研究を進めてより高い性能の教育機器を開発すること

#国語問題

第6問 問6 解説

正解:①

・共テあるあるの、“知識問題に見せかけてただの国語問題”である
⇒この問題の場合、一見すると、「ESG投資」という言葉を知らないと解けないように見える。が、実際には違う。と言うのは、会話文全体を読めば“あ~多分ESG投資ってこういう意味だな”というのが推測でき、そこから正解を出せるように作られているのである。ところでこれって共テ国語の過去問でしたっけ? 英語でもよく見るぞこういうの

・会話文全体を眺めると、“民間企業がどうやって社会貢献するか”みたいな話をしているらしいと分かる

Z:いいねそれ。授業で学んだESG投資も解決につながるかもしれない。たとえば[ ア ]なんか、当てはまるんじゃないかな。

・それを踏まえてここ↑を見ると、ESG投資の意味が何となく見えてくるだろう
⇒即ち、会話文全体を通して“民間企業がどうやって社会貢献するか”という話をしている以上、ここだけ全然別の話をしているとは考えづらい。よって、ESG投資も、ひいては[ ア ]に入る内容も、“民間企業がどうやって社会貢献するか”という話であると考えられる

※勿論、Zが突拍子もない事を言い出している可能性はゼロではない。そういう人はたまにいる。が、直後にJが「そうですね」とZの発言を肯定し、「企業がグローバルな社会問題へ貢献することは、ますます重要になると思います」と続けている以上、やはり“民間企業がどうやって社会貢献するか”の話だと考えるべきである

①人々が発展途上国の教育改善に携わる企業の株式を積極的に購入すること
②先進国が無償資金援助を実施してより多くの学校を建設すること
③非営利組織が発展途上国の未就学の人々に教育を提供して社会的包摂を促進すること
④大学が研究を進めてより高い性能の教育機器を開発すること

・そう思って選択肢を見てみると、①だけが民間企業の話をしている事が分かる
⇒②は国、③は非営利組織、④は大学。どれも、民間の普通の会社(いわゆる営利企業)の話ではない

・よって、[ ア ]に適するのは①である

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