令和六年度 大学入学共通テスト追試験 政治・経済 第4問 問2
問題
生徒Xは、産業構造や産業のあり方の変化について調べ、第二次世界大戦後の日本の産業構造に関する次のメモと後の図を作成した。メモ中の空欄( ア )〜( ウ )には、後の記述a〜cが一つずつ当てはまる。また、図中の空欄( A )・( B )は、後の語句dかeのいずれかが当てはまる。空欄( イ )・( B )に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑥のうちから一つ選べ。
メモ
高度経済成長期には第二次産業が拡大した。特に、( ア )が進むこととなり、高度経済成長が実現された。
1970年代以降、第二次産業は縮小傾向に転じるが、( イ )が進み、これらが安定成長期における日本経済の国際競争力を高めることとなった。
しかし、1990年代以降、経済のグローバル化の中で新興国の経済発展が進むと、製造業の中にはかつての国際競争力を維持することが困難となるものがみられるようになってきた。そのような中で、( ウ )が十分に進んでいるとはいえず、この点が、現在の日本経済の課題となっている。
a 製造業において従来型の電機などに代わる新産業の発展、第三次産業において次代を担いうる新産業の発展
b 製造業において、軽工業から重化学工業への転換
c 製造業において、重厚長大型の産業から加工組立型産業や知識集約型産業への転換
d 医療、福祉
e 製造業
① イ―a B―d ② イ―a B―e ③ イ―b B―d
④ イ―b B―e ⑤ イ―c B―d ⑥ イ―c B―e
解説
・日本経済テーマ史の中でも、「産業構造の転換」を聞いてくる問題
・勿論、日本経済通史をしっかり勉強していても解ける
・まず、(ア)~(ウ)がabcのどれなのかを把握する必要がある
高度経済成長期には第二次産業が拡大した。特に、( ア )が進むこととなり、高度経済成長が実現された。
・高度経済成長期(つまり1950年代から1960年代)は第二次産業が伸びた時代である
・それだけでなく、軽工業中心だった日本経済に於いて、重工業が伸びた時代である
・その旨が書いてあるのはb。よって(ア)はbである
1970年代以降、第二次産業は縮小傾向に転じるが、( イ )が進み、これらが安定成長期における日本経済の国際競争力を高めることとなった。
・1970年代は、石油危機とブレトン=ウッズ体制崩壊の時代である
・この時代、二度の石油危機を受けた日本国は、省エネ志向になる
・即ち、「石油を湯水の如く使う産業を主力にするのはやめよう」という志向となる
・これを、「素材産業から加工組立産業へ」「労働集約産業から知識集約産業へ」と表現する
・その旨が書いてあるのはc。よって(イ)はcである
・当然、消去法で(ウ)はaである
d 医療、福祉
e 製造業
・続いて、図を見てみよう
・図によると、( A )は2002年からずっと労働者が減り続けている
・逆に( B )は増え続けている
・様々な見方ができるが、どう考えても減り続けているのはeで増え続けているのがdである
・( B )がdであると結論付ける考え方の例を、いくつか挙げておこう
1:産業の空洞化で、ここ二十年ぐらいは製造業の就業者減ってるだろうな
2:技術の進歩で、少人数で工場を動かせるようになってきてる筈。って事は製造業の労働者は減るな
3:少子高齢化で、高齢者の数は増える一方。老人ホームもデイケアセンターも大量にできるし、福祉分野の労働者は増えるしかないよね