令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第3問 問6
問題
生徒Yは、地域における防災や減災の取組みに関心をもち、「政治・経済」の授業で配布された、日本における防災や減災に関する次の資料を読み返している。資料中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~④のうちから一つ選べ。
資料
防災や減災を目的とした公共の取組みは、時として個人の権利と衝突する。たとえば、災害から個人の生命を守るために防潮堤や遊水地を設置する場合、設置する場所の土地所有者の意思に反してでも、公共の利益のために当該土地が強制的に収用されることがありうる。ただし、その場合には、憲法で定められた[ ア ]が適切になされる必要がある。
防災や減災の担い手は国家だけではない。「自助、共助、公助」の観点からは、住民が自分で防災や減災に取り組むだけでなく、国や地方公共団体とともに地域コミュニティや地元企業といった主体も災害対策に関与することが求められる。たとえば、国や地方公共団体が洪水浸水想定区域を指定することは、[ イ ]に該当する。さらに、そうした指定をもとに防災や減災について話し合う集会を設けるなど、日頃からリスクコミュニケーションを活発化することに、地域の住民などが関与することも必要となる。
①ア 国家賠償 イ 公助
②ア 国家賠償 イ 共助
③ア 損失補償 イ 公助
④ア 損失補償 イ 共助
#日本国憲法と人権(請求権) #国語問題 #悪問
解説
正解:③
復習用資料:政治分野第二章/日本国憲法と人権(請求権)
・「そんなマニアックなところを、しかもそんな意地の悪い聞き方するかね?」と言わざるを得ない悪問
設置する場所の土地所有者の意思に反してでも、公共の利益のために当該土地が強制的に収用されることがありうる。ただし、その場合には、憲法で定められた[ ア ]が適切になされる必要がある。
・問題はこの[ ア ]。選択肢としては国家賠償か損失補償になる
・問題文のような場合、人権が制限される場合がある、というのは高校政経の授業でも扱う
・即ち、自由権の中でも経済的自由、財産権は、比較的制限を受けやすい。土地収用法はその実例である
・ただ、その場合の補償として損失補償が行われる…というところまでは普通、やらないのである
・一方、国家賠償は、人権の中でも請求権のところで出てくる単語である
・請求権の一種として国家賠償請求権というものがある、というので一応、高校政経でも取り扱う
⇒これは、日本国憲法十七条が根拠になっている権利である。簡単に言えば、公務員の不法行為によって損害が発生した場合、損害賠償を請求できる権利である。公害訴訟や薬害訴訟がその具体例となる
・今回の場合、空欄ア周辺で政府は、不法行為を働いた訳ではない
・あくまで土地収用法等の法律に則り、日本国憲法の範囲内で、財産権を制限しただけである
・つまり、ここでは国家賠償請求権は行使できない。よって[ ア ]に「国家賠償」は不適切である
⇒…とまぁ、一応高校政経の授業の知識の範囲内で解ける問題ではあるのだが…うーん…ちょっと知識としてマニアック過ぎるし、何より出し方が意地悪だし…
防災や減災の担い手は国家だけではない。「自助、共助、公助」の観点からは、住民が自分で防災や減災に取り組むだけでなく、国や地方公共団体とともに地域コミュニティや地元企業といった主体も災害対策に関与することが求められる。
・一方、[ イ ]に関しては、問題文をきちんと読めばそれだけで解ける
・何せ、自助、共助、公助の説明が、上記文章の中にあるのだ
※一応、「自助共助公助」は現代文を解く上で知っておくべき「お堅い」単語なので、問題文中に説明がなくても知っておいてほしいが…
・即ち、「住民が自分で防災や減災に取り組む」、これが自助である
・そして、「地域コミュニティや地元企業といった主体も災害対策に関与する」、これが共助である
・最後に、「防災や減災の担い手」が「国家」「国や地方公共団体」となる場合は、公助な訳である
たとえば、国や地方公共団体が洪水浸水想定区域を指定することは、[ イ ]に該当する。
・選択肢は共助と公助だが、自助共助公助の意味が分かっていれば迷う事はない。これは公助である