令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第6問 問1
問題
生徒Xは、探究を始めるにあたり、企業の形態について授業ノートを見直して、その内容を次のメモにまとめた。メモ中の空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①~⑧のうちから一つ選べ。
メモ
企業の形態の典型例に株式会社がある。株式会社の所有者は[ ア ]であり、その最高意思決定機関は[ ア ]によって構成される。一方で株式会社では、[ イ ]が進行しており、会社の行為が[ ア ]の利益と一致しないこともありうる。そして会社の下した判断に対して、[ ア ]がその判断が正しいかを評価するための十分な情報をもっていないこともある。このような状況は、会社が所有者にとって望ましい意思決定を下しているのかの判断が困難になってしまうことを意味している。
一般に、企業の意思決定の透明性を高め、不正を防ぎ、[ ア ]の利益を損なわないようにコーポレート・ガバナンスの強化が必要とされている。そのため、たとえば、ディスクロージャー(情報開示)や[ ウ ]が進められている。ただ、企業の不祥事が引き続き発生していることからもわかるように、コーポレート・ガバナンスの強化には持続的な取組みが必要であろう。
①ア:取締役 イ:所有と経営の分離 ウ:株主代表訴訟の手続の簡素化
②ア:取締役 イ:所有と経営の分離 ウ:メインバンク制度の新設
③ア:取締役 イ:有限会社への転換 ウ:株主代表訴訟の手続の簡素化
④ア:取締役 イ:有限会社への転換 ウ:メインバンク制度の新設
⑤ア:株主 イ:所有と経営の分離 ウ:株主代表訴訟の手続の簡素化
⑥ア:株主 イ:所有と経営の分離 ウ:メインバンク制度の新設
⑦ア:株主 イ:有限会社への転換 ウ:株主代表訴訟の手続の簡素化
⑧ア:株主 イ:有限会社への転換 ウ:メインバンク制度の新設
解説
正解:⑤
復習用資料:経済分野第一章/企業とは
・「企業とは」について、基本的な知識を問うてくる問題である
⇒「株式会社の仕組みが定番中の定番っていうのは知識としては知ってるけど、本当にこんな定番オブ定番みたいな感じで出題されるんですね」というコメントが思わず漏れてきそうな、基礎問題。こういう問題は落とさないようにしたい
株式会社の所有者は[ ア ]であり、その最高意思決定機関は[ ア ]によって構成される。
・選択肢は「取締役」と「株主」である
・言うまでもなく、株式会社の所有者は株主であり、最高意思決定機関は株主総会である
⇒ここが覚えづらい人は、「大体のモノって、カネを出した人が持ち主って形になるでしょ」「教室の机と椅子を実際に使っているのは生徒でも、カネを払って買ったのは学校でしょ」というような形で覚えればよいだろう。株式会社の場合、カネを出している人(出資者)は株主である
一方で株式会社では、[ イ ]が進行しており、会社の行為が[ ア ]の利益と一致しないこともありうる。
・選択肢は「所有と経営の分離」と「有限会社への転換」である
・言うまでもなく、現代の株式会社で進行しているのは、所有と経営の分離である
⇒即ち、“出資者(カネを出している人、株主)が会社を経営せず、専門家に任せる”という事態が進行している。そして、会社経営を任されている専門家こそ、[ ア ]の選択肢で出てきた取締役である
※勿論、「いや有限会社は会社法の改正で作れなくなった奴でしょ…」で解いてもよい
一般に、企業の意思決定の透明性を高め、不正を防ぎ、[ ア ]の利益を損なわないようにコーポレート・ガバナンスの強化が必要とされている。そのため、たとえば、ディスクロージャー(情報開示)や[ ウ ]が進められている。
・選択肢は「株主代表訴訟の手続の簡素化」と「メインバンク制度の新設」である
・既に見たように、現代の株式会社では、所有と経営の分離が進行している
・これは要するに、“出資者(カネを出している人、株主)が会社を経営せず、専門家に任せる”である
・これを放っておくと、出資者が知らないところで専門家が不法行為をする、という事態も起こり得る
・そういった事態を防ぐのに、「メインバンク制度を新設」しても仕方ない
・言うまでもなく、「株主代表訴訟の手続の簡素化」をした方が有益である
⇒取締役会のような会社の経営陣が、法令違反によって会社に損害を与えた場合、株主は訴訟を起こせる。特に、一部の株主が株主全体を代表して裁判に訴える場合を株主代表訴訟と言う