令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第2問 問2

問題

三人は、若い世代の負担と老後の経済生活に対する備えについて考えるために、「公共」の授業ノートで紹介されていた、スウェーデン、日本、アメリカの3か国の社会保障に関するデータを調べた。ノートには、表1の、財務省がまとめた、国民所得(NI)に対する租税負担と社会保険料負担の合計の割合である「国民負担率(対NI比)」のデータ、及び、表2の「50歳代までに行った老後の生活に向けてしていたこと」をまとめたデータが紹介されていた。後の会話文を読み、Xは3か国のうちどの国にあてはまるか、そしてXに対応する国は、後のア〜ウのどれにあたるのか、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑨のうちから一つ選べ。

表1 国民負担率(対NI比)(%)

国民負担率(対NI比)
X 32.3
Y 54.5
Z 47.9

(注)国民負担率(対NI比)2020年、日本は2020年度データ。
(出所)財務省Webページにより作成。

表2 50歳代までに行った老後の生活に向けてしていたこと(%)

  預貯金 個人年金への加入 債券・株式の保有、投資信託 老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める
54.6 24.0 13.5 12.7
42.4 48.8 32.5 1.3
62.7 45.7 52.2 27.1

(注1)対象は各国在住の60歳以上の男女個人(施設入所者は除く)である。
(注2)複数回答のため、合計は100%にはならない。
(注3)項目は表2に示したもの以外に「不動産取得」などがあるが、省略している。
(出所)内閣府「第&回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(2020年)(内閣府Webページ)により作成。

A:表1と表2のデータを比較してみると、国ごとの社会保障費の負担に関連した、老後に向けての準備状況の特徴がよく見えてくる。
B:国民負担率が最も高い国では、「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」という回答の比率が、顕著に低くなっているね。
C:逆に、社会保障制度の整備状況が低い国ほど、「預貯金」などのかたちで、自ら老後の生活に向けて準備しておくことが必要になってくるようだ。国ごとの社会保障制度に対応するかたちで、個人の負担状況も変わるという傾向が見えてくるね。
A:たしかに、国民負担率が3か国のなかで最も低かった国では、「預貯金」「債券・株式の保有、投資信託」と「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」という回答の比率が、最も高くなっている。
B:もっとも、単純な相関とは言えないね。3か国を比較すると、ちょうど国民負担率が中間だった国では、「個人年金への加入」と「債券・株式の保有、投資信託」という回答の比率が最も低くなっているからだ。
C:国民負担率と社会保障制度の国ごとの違いについて考えることは、だれがどのように負担するか、若いうちから将来に対する準備をどのようにしておくべきかを考える上で、重要なポイントだね。

  表1のXの国名 Xに対応する表2が示す国の記号
スウェーデン
スウェーデン
スウェーデン
日本
日本
日本
アメリカ
アメリカ
アメリカ

#社会保障 #国語問題

解説

正解:⑨
復習用資料:経済分野第二章/社会保障

・“アメリカ合衆国の社会保障はオワコン”という知識があれば、後は国語の問題である
⇒私なんかは授業中、雑談で何度も何度も繰り返し言う話なのだが…教科書にばっちり載ってるような知識ではないし、日本全国の高校三年生の人生を占う共テでこんな事聞いていいのか…? という気持ちはかなりある。ただこの手の、“普段から報道とか見てれば何となくそういう知識ついてるよね”的な前提を元に作られた問題が近年増加傾向なのも事実である

・今回、問題としてはXが問われており、表1を見ると、Xは日米瑞三国の中で国民負担率が最も低い
・よって、会話文の中でも↓の部分さえ見つける事ができれば、答えは分かる

C:逆に、社会保障制度の整備状況が低い国ほど、「預貯金」などのかたちで、自ら老後の生活に向けて準備しておくことが必要になってくる
A:たしかに、国民負担率が3か国のなかで最も低かった国では、「預貯金」「債券・株式の保有、投資信託」と「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」という回答の比率が、最も高くなっている

・この会話から、Xはアメリカ合衆国であると分かる
⇒CとAは、明らかに、「国民負担率が3か国のなかで最も低かった国」こそが「社会保障制度の整備状況が低い国」であるという前提で話をしている。表1から、「国民負担率が3か国のなかで最も低かった国」はXなので、日米瑞三国で「社会保障制度の整備状況が低い国」が分かれば、Xの国名も分かる。そして、日米瑞三国で社会保障がオワコンな国はどれかとなれば、それは言うまでもなく、自由権重視で社会権も公共事業も社会保障も大っ嫌いなアメリカ合衆国以外にあり得ない

・また、この会話から、Xはウであるという事も分かる
⇒「国民負担率が3か国のなかで最も低かった国」、即ちXが、表2に於いてどんな結果になっているかをAが語っている。それによると、Xは、表2の中では「預貯金」「債券・株式の保有、投資信託」「老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める」が最も高かった。表2を見ると、その条件を満たすのはウであると分かる

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