令和七年度 大学入学共通テスト追試験 公共、政治・経済 第3問 問1

問題

生徒Xと生徒Yは、人身の自由について話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

X:J教授の授業はとても興味深かったね。J教授は、犯罪の内容と刑罰をあらかじめ法律で定める[ ア ]は、許される行為と許されない行為との境界線を事前に示すことで、国民が刑罰を科せられる危険を事前に予測できるようにしている、と指摘していたね。
Y:なるほどね。日本国憲法では、行為のときに犯罪と定められていなかったのに、行為の後に制定された法律でその行為が犯罪とされ、刑罰が科せられないようにするために[ イ ]が定められているよ。
X:J教授は、刑事手続の場面では、告知と聴聞の機会を与えることも大切だと話していたけれど、どういうことかな。
Y:たとえば、抑留・拘禁される人に対して直ちに理由が知らせられなければ、逮捕が正当なものかどうかを判断したり、捜査機関や裁判所に十分な弁明をしたりすることができなくなってしまうよね。

[ ア ]に当てはまる語句
a罪刑法定主義
b過失責任主義

[ イ ]に当てはまる語句
c遡及処罰の禁止
d残虐な刑罰の禁止

① ア―aイ―c   ② ア―aイ―d   ③ ア―bイ―c   ④ ア―bイ―d

#日本国憲法と人権(自由権)

解説

正解:①
復習用資料:政治分野第二章/日本国憲法と人権(自由権)

・知識を問うだけの問題を会話文で糊塗しただけの、あんまり捻りがない問題である
⇒問われている知識は二つあるが、どちらも簡単。こういう問題は絶対落とさないようにしたい

J教授は、犯罪の内容と刑罰をあらかじめ法律で定める[ ア ]
[ ア ]に当てはまる語句
a罪刑法定主義
b過失責任主義

・「罪刑法定主義」を端的に説明すれば、「犯罪の内容と刑罰をあらかじめ法律で定める」となる
・よって、アはaである

※罪刑法定主義が主に公法(国家と国民の関係を規定)に出てくる概念なら、過失責任主義は、私法(私人と私人の関係を規定)の話で出てくる概念である。即ち、損害賠償でカネを払うのは、過失があった時だけにしようね…という考え方を過失責任主義と呼ぶ。公共や政治経済の授業では、消費者問題の単元で“PL法は無過失責任主義だよ~、過失責任主義じゃないよ~”みたいな形でよく出てくる

日本国憲法では、行為のときに犯罪と定められていなかったのに、行為の後に制定された法律でその行為が犯罪とされ、刑罰が科せられないようにするために[ イ ]が定められているよ
[ イ ]に当てはまる語句
c遡及処罰の禁止
d残虐な刑罰の禁止

・「遡及処罰の禁止」の端的な説明が、[ イ ]の直前の文章である
・よって、イはcである

※「残虐な刑罰の禁止」は…いやこれ解説しようがないですね。そのまんま、“残虐な刑罰は禁止です”という意味である。例えば現代日本では、絞首刑による死刑は「残虐な刑罰」にカウントされていない。これが、“市中引き回しの上打首獄門”とかだと「残虐な刑罰」カウントされると思われる

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