令和七年度 大学入学共通テスト追試験 公共、政治・経済 第3問 問3

問題

生徒Xは、司法権の独立について調べた。日本国憲法における司法権の独立に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

①日本国憲法は、職務上の義務に著しく違反したか、職務の内外を問わず裁判官としての威信を著しく損なう非行を行った裁判官については、内閣に罷免権を付与している。
②日本国憲法は、裁判官は憲法と法律にのみ拘束されると規定し、裁判官の職権の独立を保障している。
③日本国憲法は、行政機関が終審として裁判を行うことを認めていないが、例外として、市場の独占や寡占等に関する訴訟については公正取引委員会が終審となることを認めている。
④日本国憲法は、最高裁判所の裁判官の任命について、内閣に任命権を認めているが、国会の同意を必要としている。

#現代日本の統治制度と権力分立 #司法府(裁判所)

解説

正解:②
復習用資料:政治分野第三章/現代日本の統治制度と権力分立
復習用資料:政治分野第三章/司法府(裁判所)

・極めて素直な知識問題である。こういう基本問題は絶対落とさないようにしたい
⇒四つの選択肢全てが高校の政治経済の範疇になっている。共テに限らず受験は、こういう基礎問題を落とさないところから。難問奇問は二の次三の次である

①日本国憲法は、職務上の義務に著しく違反したか、職務の内外を問わず裁判官としての威信を著しく損なう非行を行った裁判官については、内閣に罷免権を付与している。

・誤文である
⇒内閣(行政府)から裁判所(司法府)に対して可能な抑制(チェック)は、「最高裁判所長官の指名」と「最高裁判所裁判官の選定、任命」である。それ以上は手出しできない。下記にも引用した日本国憲法に基づくチェック・アンド・バランスは、必ずきちんと把握しておこう

②日本国憲法は、裁判官は憲法と法律にのみ拘束されると規定し、裁判官の職権の独立を保障している。

・正文である

③日本国憲法は、行政機関が終審として裁判を行うことを認めていないが、例外として、市場の独占や寡占等に関する訴訟については公正取引委員会が終審となることを認めている。

・誤文である

・公正取引委員会のような準司法機関は、裁判所ではないのに裁判所であるかのように機能する
⇒即ち、準司法機関は行政府(内閣)に所属する行政機関であり、司法府には所属していない。にも拘わらず、特定の法律に関係する事案(公正取引委員会であれば独占禁止法等)に関しては、まるで裁判所であるかのように審判をし、処分を申し渡すことができる
⇒このような、行政府に所属する組織が出す処分を”行政処分”と呼ぶ

・一般に、準司法機関が出す処分が不服である場合、裁判所に申し立てができる
・その場合、一般には地方裁判所から始まり、控訴を繰り返せば、最終的には最高裁判所まで行く
⇒即ち、準司法機関が噛んでくる事案は、“準司法機関で一回”“裁判所で最大三回”の最大四段階で判断される事になる。地方裁判所を一審、高等裁判所を二審、最高裁判所を三審とするとして、準司法機関は事実上ゼロ審の役割を果たす…と表現する事もできるだろう

④日本国憲法は、最高裁判所の裁判官の任命について、内閣に任命権を認めているが、国会の同意を必要としている。

・誤文である
⇒①でも見た三権分立とチェック・アンド・バランスを、再度確認しよう

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