令和七年度 大学入学共通テスト追試験 公共、政治・経済 第4問 問5

問題

地方公共団体について、現在の日本の地方公共団体に関する記述として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

①地方公共団体の活動を監視するために、一部の地方公共団体がオンブズパーソン(オンブズマン)制度を設置している。
②地方公共団体の事務処理の効率性を高めるために、一部の地方公共団体が共同で道州制を導入している。
③住民自治の原則を実現するために、地方公共団体の議会は、条例に基づいて行われた住民投票の結果に法的に拘束される。
④法律との整合性を図るために、地方公共団体の条例は、その地方公共団体の議会での議決ののち総務大臣の認可を経て制定される。

#地方自治

解説

正解:①
復習用資料:政治分野第三章/地方自治

・単純な、知識を問う四択問題…ではあるが、ちょっとマニアックないやらしい問題でもある
⇒消去法で解ける問題だが、④が少々いやらしい。こういう問題で点数に差がつくと言えばそうなので、しっかり正解できるようにしたい

①地方公共団体の活動を監視するために、一部の地方公共団体がオンブズパーソン(オンブズマン)制度を設置している。

・正文である
⇒私の授業では扱わないが、人によっては扱うところなので知っている人もそこそこいるかも…ぐらいの知識である

②地方公共団体の事務処理の効率性を高めるために、一部の地方公共団体が共同で道州制を導入している。

・誤文である
⇒そもそも現代の日本国に「州」は無い(「道」ならあるけど)。その時点で誤文である
⇒もうちょっと言うと、道州制は「一部の地方公共団体が共同で」導入できるような代物ではない。要は、県とか都とか府の上に更に大きい「州」もしくは「道」を設置しようという話なので…少なくとも国法の改正が必要である

※道州制導入というのは、2000年代後半(相互フォローの人調べ)(本試の解説を書く配信中に調べてくれました)に流行った話であり、令和七年現在は殆ど見なくなった。そんな一時の流行りを今の日本が採用している訳もなく…

③住民自治の原則を実現するために、地方公共団体の議会は、条例に基づいて行われた住民投票の結果に法的に拘束される。

・誤文である
⇒一般に、住民投票条例に基づく住民投票の結果に法的拘束力はない。地方特別法の住民投票や憲法改正の国民投票なら話は別だが…

※何を言っているのか全く分からない人は、政治分野第三章「現代日本の統治機構」の「地方自治」を復習しましょう。「地方自治体(地方公共団体)の構造」の節に解説があります

④法律との整合性を図るために、地方公共団体の条例は、その地方公共団体の議会での議決ののち総務大臣の認可を経て制定される。

・誤文である

・多くの受験生は消去法でこの問題を解くと思われるが、その際最も悩むと思われる選択肢がこれ
⇒条例は“地方議会の議決”と“首長の公布”で成立する。即ち、国の認可そのものが不要」…なのだが、高校の政治経済では、条例の制定についてここまで厳密にはやらない。しかも条例は“法律の範囲内で制定できるもの”なので、国の認可を得ていそうな気がすると言えばする。だから受験生は悩んでしまう訳である

・という訳で、まずは、高校の政治経済でやる知識で、かつ条例の制定に関係していそうなものを挙げよう

1:地方議会の権能のひとつとして、“条例の制定・改廃”がある
2:首長の権能のひとつとして、“条例の執行”がある
3:国と地方は“上下・主従”関係ではなく、“対等・協力”関係である
4:地方自治は主に、“団体自治”と“住民自治”という考え方に基づいて行われる
4-1:団体自治/地方の行政は、中央政府から独立した地方公共団体が自主的に実施する
4-2:住民自治/地方の行政は、その地方の住民の意志に従って決定され、実施される

・上記知識から、「地方公共団体の条例制定に、国が口を出すのはおかしくない?」という推論が導ける
⇒そもそも条例を作るのは地方議会の権能であり、しかも国と地方は対等なのであれば、明らかにおかしい
⇒もっと言えば、団体自治の考え方から見ても住民自治の考え方から見ても、やっぱりおかしい

・このような推論から、④は誤文だと類推する事が可能である
⇒ここで大事なのは、「って事は④は誤文だな!」と決断的に除外する事である。それができれば、正解に一気に近づくだろう。逆に言えばここで迷ってしまうと、正解が遠のく。受験では、こういう決断力が要求される場面がちょくちょく出現する。受験に向けて必死に勉強してきた自分を信じて決断しよう

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