令和七年度 大学入学共通テスト追試験 公共、政治・経済 第5問 問1

問題

人口減少の状況について、生徒Xは、日本の5年ごとの人口および労働力人口のデータを調べ、次の図を作成した。後の記述ア〜ウのうち、この図に関する記述として正しいものはどれか。当てはまるものをすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、後の①〜⑦のうちから一つ選べ。

ア 総人口が減少していても、65歳以上人口が増加している期間がある。
イ 2000年と2020年の労働力人口を比べると、65歳以上の増加分が65歳未満の減少分を上回っている。
ウ 生産年齢人口が減少している期間にも、65歳未満の労働力人口は増加した期間がある。

①ア   ②イ   ③ウ   ④アとイ   ⑤アとウ   ⑥イとウ   ⑦アとイとウ

#国語問題 #悪問

解説

正解:⑦

・ザ悪問みたいな問題である
⇒見るからに図表読み取り問題のような体裁で、しかも問題文で「この図に関する記述として正しいものはどれか」とまで言っているのに、“お、よくある図表読み取り問題だな!”と思って解くと時間がかかる、下手すると間違える、とかいうトンデモ問題である。いや「この図に関する記述」って部分がヒントなんだろうけどさぁ…(詳細は後述)

ア 総人口が減少していても、65歳以上人口が増加している期間がある。

・一旦敢えて、この選択肢について、図表読み取り問題として解いてみよう

・選択肢から、以下の二つが正であれば、アは正文となる
1:総人口が減少している期間がある
2:1の期間中の何処かで、65歳以上人口が増加している

・図を見ると、総人口を表す黒丸が2010年頃から下がっているのが分かる
・続いて2010年から2020年の棒グラフを見ると、65歳以上労働人口にあたる黒塗り部分が増加している
・よって、図から分かるのは以下の二つである

甲:総人口が減少している期間がある(2010年以降)
乙:甲の期間中、65歳以上労働人口は増えている

・甲は、1が正しい根拠として使えるだろう
・では乙は? 「65歳以上労働人口」が増えれば必ず、「65歳以上人口」も増えるのだろうか?
⇒これは否である。勿論、「65歳以上労働人口」(65歳以上でかつ働いている人の数)と「65歳以上人口」(65歳以上の人の数)の両方が増える場合もある。一方で、「65歳以上労働人口」は増えているが、「65歳以上人口」は減っている、という場合もあり得る

※極端な例を挙げよう。今、突然日本政府が崩壊したとしよう。当然、年金が支払われなくなったり、国立病院の機能が麻痺したりするだろう。そうなれば、「高齢者であろうが生きていくには働くしかない」「それはそれとして過酷な状況に晒された高齢者は容赦なく死ぬ」になるだろう。このような場合、「65歳以上労働人口」は増えているが、「65歳以上人口」は減っている、は充分あり得る

・結果として、アが正文か誤文か、判断がつかなくなってしまう訳である
⇒問題文が言う通り、素直に「この図に関する記述として正しいものはどれか」という意識で問題を解こうとすると、ここで詰まってしまうのである。図からは、“総人口が減少している期間がある”と“甲の期間中、65歳以上労働人口は増えている”しか分からない。“65歳以上人口”がどうなっているかは、図からは読み解けないのである

・という訳で普通に解くと詰まってしまうこの選択肢だが、別の考え方をすれば問題なく解ける
・即ち、“図表読み取り問題に見せかけて、図表読み取りを半分放棄した常識問題“と思えばよいのだ

ア 総人口が減少していても、65歳以上人口が増加している期間がある。

・この選択肢を常識から考えてみよう

1:総人口が減少している期間がある ← そりゃこんだけ少子高齢化放置してればそうなるでしょ
2:1の期間中の何処かで、65歳以上人口が増加している ← 少子高齢化なんだからそうだろうね

・↑のようになる筈である。常識的に考えて「それはそうだろうね」が選択肢アなのだ
・ここに、図表読み取り要素を申し訳程度に付け加えてみよう

1:総人口が減少している期間がある
↑そりゃこんだけ少子高齢化放置してればそうなるでしょ
↑図で見ても、2010年ぐらいから黒丸が右肩下がりになっとるね
2:1の期間中の何処かで、65歳以上人口が増加している
↑少子高齢化なんだからそうだろうね
↑図で見ても、2010年以降、65歳以上労働人口増えてるね。まぁこれは65歳以上人口そのものじゃないけど、65歳以上人口そのものもやっぱり、増えてそうだね

・という訳でアは正文…という判断になる筈である
⇒ここまで読んできて、受験生は「ふざけんな!!!!!!」と思っていると思うが、まぁこういう問題も出てしまうのが現実である。うーん…

※問題文が“この図から読み取れる記述として正しいものはどれか”じゃなくて「この図に関する記述として正しいものはどれか」になってるのが多分ヒントなんだと思うけども、そんな狐と狸の化かし合いみたいな事を全国の受験生が共通で受ける試験でやるなよ感は強いですわね…

イ 2000年と2020年の労働力人口を比べると、65歳以上の増加分が65歳未満の減少分を上回っている。

・打って変わって選択肢イとウは、純粋に図を見れば解ける内容になっている
⇒まぁ選択肢アみたいなのが沢山あっても困りますからね…とは言え、選択肢ウはともかくイも素直ではない。しっかりやらないと取りこぼす可能性は大いにあるだろう

・選択肢イで比べているのは、2000年と2020年の労働力人口である
⇒つまり、2000年の棒グラフと、2020年の棒グラフだけを見ればよい。その上で、以下の1と2を比べる必要がある

1:65歳以上労働力人口(棒グラフの上の方、黒い部分)の増加分
2:65歳未満労働力人口(棒グラフの下の方、斜線の部分)の減少分

・1>2であればイは正文、逆に1<2であればイは誤文である
⇒正直この図、積み上げ棒グラフなのでどっちが大きいか分かりづらい。が、よく目を凝らしてみれば、65歳以上(上の方、黒い部分)がかなり増えている割に、65歳未満(下の方、斜線の部分)はそこまで減っていない事が分かるだろう。よってイも正文である

ウ 生産年齢人口が減少している期間にも、65歳未満の労働力人口は増加した期間がある。

・これが一番素直な選択肢である。まずは選択肢ウの内容を分解してみよう

1:生産年齢人口が減少している期間
2:1の期間中、65歳未満労働力人口が増加した時期がある

・では続いて、図と照らし合わせてみよう

1:生産年齢人口が減少している期間
⇒生産年齢人口は折れ線グラフの黒四角。1995年からずっと右肩下がりになっている
2:1の期間中、65歳未満労働力人口が増加した時期がある
⇒65歳未満労働力人口は棒グラフの斜線部。1995年以降も、増える時は増えている(例えば2015年から2020年で明らかに増えている)

・よって、ウは正文である

※この問題、全部ウみたいな素直な選択肢にしちゃ駄目だったんですかね…

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