令和七年度 大学入学共通テスト追試験 公共、政治・経済 第6問 問1
問題
為替相場の変動に関連して、生徒Wは、自国通貨の為替相場が米ドルに対して変動したときに起きることをまとめた。自国通貨が米ドルに対して下落したときに起きることとして最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
①自国企業が保有していた他国の米ドル建ての国債が償還されて、米ドルで受け取った元本と利子を自国通貨に換算すると、その受取額が減少する。
②自国企業が生産拠点をアメリカに設立する場合、自国通貨でみると、より多くの投資額が必要となる。
③外国企業が著作権をもつコンテンツを自国企業が利用して、その利用料を米ドルで支払っている場合、この支払額が自国通貨でみると減少する。
④米ドル建てで自動車を輸入している自国企業が、自国通貨建てでの国内の販売価格を据え置くと、自動車1台当たりの売上げに伴う利益が増大する。
解説
正解:②
・「経済分野第一章/国際経済の仕組み」の中でも、為替相場が変動した時に何が起きるかを問う問題である
⇒知識問題と言えばそれはそうなのだが、為替相場の変動によって何が起きるか、を全部丸暗記するのは厳しい。やはり、丸暗記するのは“円安になれば輸入有利、輸出不利。円高はその逆”ぐらいにして、理解に重点を置いていきたい
・今回は円安ドル高の時何が起こるかである
⇒例えば、元が1ドル100円だったところ、1ドル200円になれば円安ドル高である。そういう時何が起こるか、というのを各選択肢について考えていけばよい
※勿論、1ドル100円が1ドル200円になったらとんでもない円安である。が、リアリティを追求して計算を面倒にしてもしょうがないので、こういう時は分かりやすい数字で考えればよい
①自国企業が保有していた他国の米ドル建ての国債が償還されて、米ドルで受け取った元本と利子を自国通貨に換算すると、その受取額が減少する。
・この選択肢は、分解して考えればよい。例として、“額面1ドル”“利子なし”の国債として考えてみよう
1:1ドル100円時代に、他国の国債を1ドル分買いました(100円で国債を買った)
2:1ドル200円になりました
3:国債の満期が来て1ドル貰えました。これを日本円に換金しました(200円貰った)
・つまるところ、100円で買った国債が200円に化けた訳である
⇒よって、①は誤文である。正しくは「その受取額が増加する」である
②自国企業が生産拠点をアメリカに設立する場合、自国通貨でみると、より多くの投資額が必要となる。
・仮に、新しい生産拠点を作るのに、しめて10ドル必要だとしよう
※絶対にそんな額じゃ作れないけど、あんまり数字が大きくなってもめんどくさいだけなので…
1ドル100円時代:新しい生産拠点を作るのに、10ドル、即ち1000円必要
1ドル200円時代:新しい生産拠点を作るのに、10ドル、即ち2000円必要
⇒円安になった結果、円で言えば、より多くの投資額が必要になっている
・よって、②は正文である
③外国企業が著作権をもつコンテンツを自国企業が利用して、その利用料を米ドルで支払っている場合、この支払額が自国通貨でみると減少する。
・仮に、利用料が月間10ドルだとする
1ドル100円時代:利用料は10ドル、即ち1000円
1ドル200円時代:利用料は10ドル、即ち2000円
⇒円安になった結果、円で言えば、利用料が増えている
・よって、③は誤文である
⇒正しくは「支払額が自国通貨でみると増加する」である
④米ドル建てで自動車を輸入している自国企業が、自国通貨建てでの国内の販売価格を据え置くと、自動車1台当たりの売上げに伴う利益が増大する。
・仮に、米国の自動車メーカーが、自動車を10ドルで売っているとする
1ドル100円時代:自動車の価格は10ドル、即ち1000円
1ドル200円時代:自動車の価格は10ドル、即ち2000円
⇒日本の輸入業者からすると、商品の仕入れ価格が二倍になっている
・商品の仕入れ価格が二倍になっている状態で、「販売価格を据え置く」とどうなるか?
⇒言うまでもなく、利益は減る。よって、④は誤文である
※④は、正しくは「自動車1台当たりの売上げに伴う利益が減少する」である