令和七年度 大学入学共通テスト追試験 公共、政治・経済 第6問 問3

問題

経常収支の変化に関連して、次の図は、2007年から2021年までの日本の経常収支、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支を示している。これらのうち、貿易収支、サービス収支、第一次所得収支は、それぞれ図中のA〜Cのいずれかで表されている。
生徒Xは、図に示されている期間に生じた日本の対外的な経済取引に関する変化を調べて、後のメモにまとめた。メモ中の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

メモ
〇Aの2012年から2015年までの時期の変化は、[ ア ]が増加してこの金額が計上されたことを反映している。
〇Bの2011年から2014年までの時期の変化は、[ イ ]が増加してこの金額が計上されたことを反映している。

[ ア ]に当てはまる語句
a日本企業による対外直接投資額
b日本企業による対外直接投資の投資収益

[ イ ]に当てはまる語句
cエネルギー資源の輸入額
d海外の証券に対する投資額

① ア―a イ―c   ② ア―a イ―d   ③ ア―b イ―c   ④ ア―b イ―d

#国際経済の仕組み #日本経済通史

解説

正解:③

・国際収支の知識と、日本経済史の知識とを複合して問うてくる問題である
⇒国際収支の知識については、「貿易収支」「第一次所得収支」といった言葉の意味が分かればよい。復習用資料:経済分野第一章/国際経済の仕組みの「国際収支」に全て書いてある
⇒日本経済史の知識については、経済分野第四章/失われた三十年の知識を使う。項目で言えば「大不況、アベノミクス、そして現代へ」のあたりを、なんとなーく知っていればよい。リーマンショックからの民主党政権、からの第二次安倍政権あたりの話である

※ABCの候補となる、「貿易収支」「サービス収支」「第一次所得収支」という言葉がちんぷんかんぷん、何言ってるか全くわからん…という場合は、まず、上記「国際経済の仕組み」の「国際収支」で学習してから戻ってくるようにしよう

・まずは、図に載っている時期の日本経済で、分かりやすく話題になる事象を挙げてみよう
1:2008頃/リーマンショックの影響が日本にも到来、大不況に
2:2009から/民主党政権誕生、↑の影響もありド不況の時代へ
3:2011/ただでさえド不況だったところに東日本大震災。“なんとか致命傷で済んだぜ”の世界へ突入
4:2012/年末に第二次安倍政権誕生。以降、アベノミクスにより、日本経済は持ち直し始める
5:2021/コロナ前最後の年。東京五輪直前で、何だかんだ景気は回復傾向ではあった

・続いて、図のABCがそれぞれ何なのかを考えていこう

・A(斜線)は一貫して大きく黒字である。特に不況だった2008-2012でも、大きく黒字を出している
⇒となると、やはり「第一次所得収支」っぽい。何せ第一次所得収支は、“外国で働く日本人が貰った給料”と“日本人が外国企業に投資して得たカネ(配当金等)”で増える。日本がどんなにド不況でも、全世界がそうとは限らない訳で…第一次所得収支は、不況の影響を受けづらいのである

・B(濃い灰色)はAとは対照的で、景気の影響を大きく受けている
⇒リーマンショックでまずゴリッと減り、東日本大震災で致命傷を受けている。2015年ぐらいからようやく、アベノミクスが多少効いてきた感じで回復傾向を見せ始めている

・Bは特に、東日本大震災で致命傷を受けているのが印象的である
⇒東日本大震災は、日本の貿易にとって大きな痛手であった。東北の工場が軒並みボロボロになったせいで商品が作れなくなり、輸出できなくなった(いわゆるサプライチェーンの崩壊)…というのもある。また、深く考えず原発を止めたせいで火力発電所を全力運転しなければいけなくなり、燃料の輸入額が爆増した、というのもある

・となると、Bは「貿易収支」であろうという話になる

・こうなってくると、残る「サービス収支」がC(白)ではないか、という形になる
⇒一貫して赤字ではあるが、そもそもの量が少ない。実際、サービス収支は“外人が日本に旅行に来てカネを使ったらプラス”とかそういう形で増えるものなので、黒字だろうが赤字だろうが数字が少ないのは当たり前だろう

〇Aの2012年から2015年までの時期の変化は、[ ア ]が増加してこの金額が計上されたことを反映している。
a日本企業による対外直接投資額
b日本企業による対外直接投資の投資収益

・Aは第一次所得収支、2012年から2015年は右肩上がりに増えている
⇒第一次所得収支は、“外国で働く日本人が貰った給料”と“日本人が外国企業に投資して得たカネ(配当金等)”で増える。となると、aの「投資額」ではなく、bの「投資収益」が適切である

・よって、[ ア ]はbの「日本企業による対外直接投資の投資収益」である

※まぁそもそも、外国に投資して(カネを払って)(言い方変えれば、日本から外国へカネが流出して)、それがプラスに勘定されそうなのは金融収支ぐらいなものだが…

〇Bの2011年から2014年までの時期の変化は、[ イ ]が増加してこの金額が計上されたことを反映している。
cエネルギー資源の輸入額
d海外の証券に対する投資額

・Bは貿易収支、2011年から2014年は東日本大震災直後であり物凄い勢いでマイナスになっている
⇒既に見たように、東日本大震災では日本の貿易収支が致命傷を負った。サプライチェーンの崩壊もそうだし、火力発電所を全力運転させる為の燃料輸入費も主な要因である

・よって、[ イ ]はcの「エネルギー資源の輸入額」である

※なお、dはあり得ない。ただでさえリーマンショックからの民主党政権、からの東日本大震災で日本経済が致命傷負ってる時に海外に投資して(カネばら撒いて)どうすんねん…いくら2012年末に第二次安倍政権ができるとは言っても、アベノミクスも魔法じゃないんだからそんな一瞬で効果出ないよ……

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