令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第4問 問1

問題

生徒Xと生徒Yは、緊急の歳出拡大に関して話し合っている。次の会話文中の空欄[ ア ]~[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして正しいものを、後の①~④のうちから一つ選べ。

X:先進主要各国政府は、拡張的な財政政策のために国債を発行してきたけど、これにあわせて主要各国の中央銀行も巨額のお金を供給してきたね。
Y:その供給される「お金」というのは、中央銀行が市中銀行との間で国債等を売買する公開市場操作により増減する[ ア ]のことだね。その売買代金は、市中銀行が中央銀行に開いている当座預金口座で決済されているよ。
X:この当座預金は市中銀行の準備金でもあるから、その過不足は銀行間のコールレートの高低に影響を与えるよね。市中銀行は、このコールレートを基準に、企業や家計向けの貸出金利を設定して、貸出しを行っているよ。この貸出しが[ イ ]を形成していくんだよね。
Y:ところでアメリカでは[ イ ]の激増によるインフレーション対策として、2022年春から連邦準備制度理事会が、公開市場操作によって[ ア ]を削減してきたよね。それで、アメリカと日本との間で金利格差が広がり、日本円の対米ドル為替レートが下落して、輸入インフレーションの影響が大きくなったね。その結果、日本銀行に対して金利引上げを求める声も高まったよ。
X:だけど、額面100円、1年間の利子1円の国債の場合、たとえば金利が2%になると、額面と比較してその国債の市場評価額は[ウ]よね。大量の国債を購入した金融機関にとって、金利上昇の影響は大きいよね。
Y:アメリカと日本の金利が影響し合っているという金融のグローバリゼーションの一コマだね。今後も金融経済情報から目が離せないね。

①ア マネーストック   イ マネタリーベース   ウ 上がる
②ア マネーストック   イ マネタリーベース   ウ 下がる
③ア マネタリーベース   イ マネーストック   ウ 上がる
④ア マネタリーベース   イ マネーストック   ウ 下がる

#金融政策と銀行

解説

正解:④
復習用資料:経済分野第一章/金融政策と銀行

・共テ恒例実在性の低い高校生シリーズの中でも、特に実在性が低い経済オタク型
・この手の「買いオペで直接マネーストックは増えないよね」問題は令和四年本試に次いで二回目である
第2問の問4。この時も実在性の低い高校生シリーズだった。…のはともかくとして、よく似た問題がたったの三年で再登場したと考えると、この手の知識を大学入試センターが重視している可能性がある

・いい機会だからここで、マネーストックとマネタリーベースの違いを改めて把握しておこう
マネーストック:市場に流通する貨幣の総量(どこまでを「貨幣」とするかで数え方は色々ある)
マネタリーベース:市場に存在する現金全部+市中銀行の日銀口座全額

X:先進主要各国政府は、拡張的な財政政策のために国債を発行してきたけど、これにあわせて主要各国の中央銀行も巨額のお金を供給してきたね。
Y:その供給される「お金」というのは、中央銀行が市中銀行との間で国債等を売買する公開市場操作により増減する[ ア ]のことだね。その売買代金は、市中銀行が中央銀行に開いている当座預金口座で決済されているよ。

・会話の流れが完全に、令和四年本試第2問の問4と一緒である

・即ち、日本銀行が民間の金融機関と有価証券を売り買いするのが公開市場操作である
・買いオペであれば、日本銀行が買う側である
・日本銀行は有価証券を買い、カネを民間の金融機関へ支払う
・これで日本銀行からカネが民間へ流れ、通貨流通量が増える。すると、「お金」が増える

・そしてこの「お金」は、言うまでもなく民間の金融機関が日本銀行に持つ預金口座の「お金」である
・つまり、ここで言う「お金」とは、マネタリーベースを指している
・即ち、「市場に存在する現金全部+市中銀行の日銀口座全額」である

・で、手元のお金が増えた銀行は、企業や個人へカネを貸そうとする訳である
・銀行が他者へカネを貸すと、この世に存在するお金(マネーストック)が増える

・結果、[ ア ]はマネタリーベース、[ イ ]はマネーストックであると分かる

X:だけど、額面100円、1年間の利子1円の国債の場合、たとえば金利が2%になると、額面と比較してその国債の市場評価額は[ ウ ]よね。大量の国債を購入した金融機関にとって、金利上昇の影響は大きいよね。

・ここまでしっかり知識を問うてきたが、ここで突然国語問題、もしくは計算問題になる
・言うまでもなく、金利とは利子の事である
⇒即ち、「あなたに100円貸します。来年101円にして返してね」であれば、利子が1円、もしくは1%である

・「額面100円、1年間の利子1円」は、既に見たように、金利(利子)1%の国債である
・この国債は、当たり前だが一度買ったらずっと金利1%である
・ここで、「金利が2%になると」、つまり一般にどこの銀行も金利2%でカネを貸すようになったら?
・勿論、この金利1%の国債は“損”な国債となる

・勿論、「その国債の市場評価額は」下がるに決まっているのである

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