令和七年度 大学入学共通テスト本試験 政治・経済 第1問 問4

問題

私人どうしのルールに関して、生徒Aと生徒Bが、先生Tと契約の原則や契約の解除に関する法律上のルールについて学んでいる。次の会話文中の下線部dと下線部eの発言内容の正誤の組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。

A:近いうちに買おうと思っている自転車があります。d契約が成立すると、原則として、契約を一方的にやめることはできないんですよね。だとすれば、あるお店でいったん自転車を買った後で、同じ型の自転車をもっと安い値段で売っているお店を見つけた場合、そちらのお店で自転車を買い直したくても、もとのお店に自転車を返品して返金してもらうことはできない、ということになりますか?
T:お店側の好意で返品に応じてくれることはあるかもしれませんが、いったん契約が成立した後で、契約を取り消したり解除したりするためには、法律に規定されている取消しや解除の要件を満たす必要がありますね。
B:私は、エステティックサロンに通いたいと思っています。何か特別な法律上のルールがありますか?
T:事業者がエステサービスを一定の期間にわたり提供し、利用者が一定の料金を支払うことを約束する契約で、その期間が1月を超え、かつ、総額が5万円を超えるものは、特定商取引法が定めるクーリング・オフ制度の対象になります。
B:たしかeクーリング・オフは、一定の期間内であれば、事業者の同意を条件に契約を解除することができるという仕組みですね。いずれにせよ、契約を結ぶときには、契約内容をしっかり確認して、熟慮することが大事ですね。

①d―正 e―正   ②d―正 e―誤   ③d―誤 e―正   ④d―誤 e―誤

#消費者問題

解説

正解:②
復習用資料:経済分野第二章/消費者問題

・共テでは、“下線部だけ見ればOK”と“問題文全体を見ないと駄目”という問題が混在している
⇒なので、共テ(の特に公共、政治経済)では、“問題文全体は読まず、下線部とその周辺だけ読む”という“ラク”をするやり方はしないようにしたい

・この問題は典型で、下線部dに関しては後者、下線部eに関しては前者である
⇒即ち、下線部dについては問題文の残りの部分を読めば正誤が判定できる。下線部eに関しては、下線部だけ読めば、後は知識で判定できる

d契約が成立すると、原則として、契約を一方的にやめることはできない
T:お店側の好意で返品に応じてくれることはあるかもしれませんが、いったん契約が成立した後で、契約を取り消したり解除したりするためには、法律に規定されている取消しや解除の要件を満たす必要がありますね。

・下線部dの直後のTの発言を読めば、dは正であると分かる
⇒Tが言っているのは、要するに「原則として、契約を一方的にやめることはできない」という話である

eクーリング・オフは、一定の期間内であれば、事業者の同意を条件に契約を解除することができるという仕組み

・こちらは、クーリング・オフについて知っていれば誤と分かる部分である

・クーリング・オフの概要は、“売買契約の成立後一定期間内なら、買主側から契約を解除できる”である
⇒即ち、買った側が一方的に(売った側の同意なしに)契約を解除できる、というのがクーリング・オフである。特定商取引法等の、悪徳商法を防止する系の法律に書いてあるやり方である

・一方で、eには「契約を解除」するには「事業者の同意を条件」にしている
・よって、eは誤である

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